ピルサドスキー

和名:ピルサドスキー

英名:Pilsudski

1992年生

鹿毛

父:ポリッシュプレシデント

母:ココット

母父:トロイ

当初は下級ハンデ馬だったが4歳時に本格化するとBCターフなど欧米でGⅠ競走を5勝する世界有数の強豪馬となり引退レースのジャパンCを制覇する

競走成績:2~5歳時に英愛独仏加日で走り通算成績22戦10勝2着6回3着2回

ジャパンCを勝利した海外馬は過去に14頭いるが、その多くが世界トップクラスとは言い難かった馬である(新国、豪州、独国など特定の地域では最強を謳われた馬はいたけれども)。中にはシングスピールファルブラヴのようにジャパンC勝利後に世界トップクラスへと出世した例もあるが、既に世界トップクラスの地位を確立していた海外馬がジャパンCで堂々と勝利したと言えるのは、おそらく本馬が唯一の例ではないだろうか。

誕生からデビュー前まで

愛国バリーマコールスタッドにおいて、本馬の母の父トロイの生産・所有者でもあった資本家のマイケル・ソベル卿と、彼の義理の息子アーノルド・ウェインストック卿の両名により生産された。しかし本馬が1歳時にソベル卿が死去したため、本馬はウェインストック卿とその息子サイモン氏の共同所有馬となった。所属は英国の名門サー・マイケル・スタウト厩舎だった。後に本馬の主戦を務めるウォルター・スウィンバーン騎手は本馬の印象について「特に美しい馬ではないけれども、大きくて堂々とした馬です」と述べている。

競走生活(2・3歳時)

2歳9月にニューマーケット競馬場で行われた芝8ハロンの未勝利ステークスで、スウィンバーン騎手を鞍上にデビューした。しかし単勝オッズ15倍で19頭立ての9番人気と今ひとつの評価だった。レースは後方待機策を採り、残り2ハロン地点からそれなりに追い上げてきたが、勝った単勝オッズ26倍の13番人気馬コートオブオナー(後の伊ジョッキークラブ大賞勝ち馬)から5馬身半差をつけられた6着だった。

翌月にレスター競馬場で出走した芝8ハロン8ヤードの未勝利ステークスでは、レイ・コクレーン騎手とコンビを組み、単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持された。ここでは先行して残り2ハロン地点で仕掛けたものの、残り1ハロン地点で失速して、勝った単勝オッズ13倍の6番人気馬ミスタンゲットから9馬身1/4差をつけられた8着と惨敗。2歳時は2戦未勝利の成績に終わった。

3歳5月にリポン競馬場で行われた芝9ハロンの未勝利ステークスで復帰して、単勝オッズ9倍の4番人気となった。ここで本馬に騎乗したディーン・マッケオン騎手は、レース序盤は馬群の後方でじっと我慢をさせ、残り3ハロン地点から満を持して追い始めた。すると素晴らしい加速を見せて先頭に迫っていったが、途中で若干の不利を蒙った事もあり、勝った単勝オッズ3.5倍の2番人気馬エリーアーデンスキーに2馬身届かず2着に敗れた。

翌月にはアスコット競馬場に向かい、キングジョージⅤ世H(T12F)に出走。ケヴィン・ダーレイ騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ11倍の4番人気であり、後にアスコット金杯を勝利するセレリック(単勝オッズ12倍の6番人気)や、後にローマ賞2回・オイロパ賞を勝利するタイパン(単勝オッズ17倍の9番人気)といった将来のGⅠ競走勝ち馬よりも評価は上だった。ところが116ポンドという軽量だったにも関わらず、後方から全く伸びずに、勝った単勝オッズ41倍の19番人気馬ディアギレフから23馬身差をつけられた17着と大惨敗。117ポンドのセレリック(11着)や126ポンドのタイパン(9着)も凡走しており、3頭とも斤量面ではそれほど厳しくなかった(ちなみにトップハンデは勝ったディアギレフの133ポンド)事から、この時点ではいずれも本格化には程遠かったという事であろう。

翌7月にニューマーケット競馬場で出走したケンブリッジ卿H(T10F)では、トップハンデのチェシャーオークス2着馬ヤーンより18ポンドも軽い115ポンドの軽量だったにも関わらず、単勝オッズ8.5倍の5番人気だった。しかし今回はダーレイ騎手を鞍上に後方一気の差し切りを決めて、2着となった単勝オッズ15倍の8番人気馬クリスタロス(斤量123ポンド)に2馬身差をつけてようやく初勝利を挙げた。

同月にはスウィンバーン騎手を鞍上に、グッドウッド競馬場でゴールドトロフィーH(T12F)に出走。ここでは斤量124ポンドで単勝オッズ6.5倍の2番人気となった。レースでは馬群の中団を追走して、残り3ハロン地点で仕掛けた。残り1ハロン地点からは、単勝オッズ6倍の1番人気だった125ポンドのロークビーボウルとの一騎打ちとなったが、首差で勝利を収めた。しかしスウィンバーン騎手はそれからしばらくして騎手生命が脅かされるほどの大怪我をしてしまい、しばらく本馬の鞍上を離れることになった。

次走は9月にアスコット競馬場で行われたサンデースペシャルH(T12F)となった。ダーレイ騎手鞍上の本馬は斤量114ポンドと恵まれていた(トップハンデはグレートヴォルティジュールS2着の実績があったイオニオの136ポンド)が、それでも単勝オッズ15倍の8番人気に過ぎなかった。レースではやはり馬群の中団につけて、残り2ハロン地点から追い上げた。しかし突き抜けるほどの勢いはなく、勝った単勝オッズ21倍の13番人気馬トーファンズメロディ(後に豪州に遠征してGⅠ競走コーフィールドCに勝利)の1馬身半差3着だった。

これが3歳時最後のレースで、この年の成績は5戦2勝。公式ハンデキャッパーが評価したレーティングは95ポンドであり、この時点では名馬の片鱗も見えない平凡な下級ハンデキャップ馬に過ぎなかった。

しかし3歳から4歳にかけて急成長したため、陣営は本馬をハンデ競走路線からグループ競走路線に向かわせることにした。

競走生活(4歳前半)

4歳時は4月にサンダウンパーク競馬場で行われたゴードンリチャーズS(英GⅢ・T10F7Y)から始動した。ダーレイ騎手騎乗の本馬は、単勝オッズ17倍の5番人気止まりだった。このレースで単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持されていたのは本馬と同じスタウト厩舎所属のシングスピールで、伊2000ギニー馬でヴィットリオディカプア賞2着のプリンスアーサーが単勝オッズ6.5倍の2番人気、ブリタニアHの勝ち馬メダーイユミリテールが単勝オッズ7.5倍の3番人気、タタソールズ金杯・カンバーランドロッジS・ゴードンリチャーズSの勝ち馬プリンスオブアンドロスが単勝オッズ10倍の4番人気と続いていた。レースはシングスピールが先行して、本馬は後方につけた。そして残り2ハロン地点で先頭に立ったシングスピールを追いかけたのだが、3馬身届かず2着に敗退。後のジャパンC勝ち馬同士の初対決は、既にパリ大賞・エクリプスSで2着するなどGⅠ競走級の力を見せていたシングスピールに軍配が上がった。

この翌月に本馬の所有者の1人だったサイモン氏が父ウェインストック卿に先立って死去してしまい、本馬はウェインストック卿の単独所有馬となった。本馬が急上昇するのはこの後であり、あたかも亡きサイモン氏の後押しを受けたかのようである。

次走のブリガディアジェラードS(英GⅢ・T10F7Y)では、リステッド競走マグノリアSを3馬身差で快勝してきたラッキーディーが単勝オッズ2.625倍の1番人気、前走のドバイワールドCでシガーの5着してきた後のドバイデューティーフリーの勝ち馬タマヤズが単勝オッズ3.5倍の2番人気で、パット・エデリー騎手騎乗の本馬は単勝オッズ6.5倍の3番人気だった。ここでは珍しく先行策を採り、残り2ハロン地点で先頭に立った。そこへラッキーディーが叩き合いに持ち込んできたが、本馬が競り勝って半馬身差で勝利を収め、グループ競走勝ち馬となった。

勢いに乗る本馬は、翌6月のプリンスオブウェールズS(英GⅡ・T10F)に参戦。ラッキーディー、前走4着のタマヤズ、ケンブリッジシャーHの勝ち馬キャップジュルカ、ローズオブランカスターSの勝ち馬ファハル、ドンカスターマイル・ハンブルトンレイティドHとリステッド競走を2勝していたファーストアイランド、前走のガリニュールSを勝ってきたメルドSの勝ち馬で伊ダービー・セントジェームズパレスS・伊共和国大統領賞2回2着のニードルガン、ギョームドルナノ賞の勝ち馬でサラマンドル賞2着・仏グランクリテリウム・英チャンピオンS・ローマ賞・伊共和国大統領賞3着のモントジョイなどが対戦相手となった。ここでもエデリー騎手とコンビを組んだ本馬が勢いを評価されて単勝オッズ5倍の1番人気に支持され、ラッキーディーが単勝オッズ5.5倍の2番人気、キャップジュルカが単勝オッズ6倍の3番人気、ファハルが単勝オッズ8倍の4番人気となった。ここでも本馬は先行して残り3ハロン地点で早くも先頭に立つ積極的な走りを見せた。ところが今回は残り1ハロン地点から失速して、9馬身差の8着と大敗。勝ったのは翌月のサセックスSでGⅠ競走勝ち馬となる単勝オッズ10倍の5番人気馬ファーストアイランドだった。

競走生活(4歳後半)

その後は2か月の間隔を空けて、8月のロイヤルホイップS(愛GⅢ・T10F)に出走した。怪我を乗り越えてきたスウィンバーン騎手がこのレースから本馬の主戦として固定されることになった。前走メルドSで2着してきたプレダピオが単勝オッズ3倍の1番人気で、プレダピオより11ポンド重い130ポンドを課されていた本馬は単勝オッズ3.5倍の2番人気だった。ここでは5頭立ての3番手を追走し、直線に入ってからスパートを開始。残り2ハロン地点で先頭に立つとそのまま押し切って、2着となった単勝オッズ7倍の最低人気馬アイムサポージンに1馬身半差で勝利した。着差はそれほどでもないが、非常に強いと思わせる勝ち方だったという。本馬に久々に乗ったスウィンバーン騎手は、本馬が見違えるように強くなっていたので驚いたという。

続いて独国に遠征して、バーデン大賞(独GⅠ・T2400m)に参戦。前走ダルマイヤー大賞で2着してきたダルマイヤー大賞・バーデン大賞・メルセデスベンツ大賞などの勝ち馬ジャーマニー、コロネーションC・クリテリウムドサンクルー・ロワイヤルオーク賞・コンセイユドパリ賞・ジャンドショードネイ賞の勝ち馬サンシャック、愛ナショナルS・タタソールズ金杯の勝ち馬で愛ダービー2着のディフィニットアーティクル、ゲルリング賞・ハンザ賞の勝ち馬でオイロパ賞2着のプロテクトール、クリテリウムドサンクルー・エヴリ大賞・コンデ賞の勝ち馬で仏ダービー2着・サンクルー大賞3着のポリグロート、ドイツ大賞2着馬アニェッリの6頭が対戦相手となり、GⅠ競走初出走の本馬は単勝オッズ12倍で7頭立ての最低人気の評価だった。スタートが切られるとジャーマニーが逃げを打ち、本馬は馬群の中団を無理なく追走した。そして残り200m地点で仕掛けて、逃げ粘るジャーマニーをきっちりと3/4馬身かわしてGⅠ競走初勝利を挙げた。

続いて仏国に向かい凱旋門賞(仏GⅠ・T2400m)に挑戦。対戦相手のレベルは前走バーデン大賞より数枚上手であり、リュパン賞・サンクルー大賞・ノアイユ賞・ニエル賞の勝ち馬エリシオ、コロネーションC・ドーヴィル大賞・フォワ賞・リス賞の勝ち馬でサンクルー大賞2着・前年の凱旋門賞3着のスウェイン、愛ダービー馬ザグレブ、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS・愛チャンピオンS・キングエドワードⅦ世S・グレートヴォルティジュールS・サンダウンクラシックトライアルSの勝ち馬で前年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSではラムタラの2着だったペンタイア、英ダービーの勝ち馬でキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS3着のシャーミット、モーリスドニュイユ賞の勝ち馬で前走ニエル賞2着のダラザリ、愛セントレジャー・ハードウィックS・オーモンドSの勝ち馬オスカーシンドラー、英セントレジャー・アスコット金杯・ダンテS・ヨークシャーCの勝ち馬でキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS2着のクラシッククリシェ、前年の英ダービーでラムタラの2着だったプランスドランジュ賞の勝ち馬タムレ、クリテリウムドサンクルー・リッチモンドSの勝ち馬で愛ナショナルS・仏ダービー・愛ダービー2着のポラリスフライト、サンタラリ賞・ヴァントー賞・ノネット賞の勝ち馬ルナウェルズ、この年の仏ダービーでエリシオに先着する3着に入っていたルディスタンなど、紛れも無く当時の欧州トップクラスの馬がずらりと並んでいた。さすがにこの状況では本馬に人気が集まるわけも無く、単勝オッズ23.1倍で8番人気の評価だった。エリシオが単勝オッズ2.8倍の1番人気、スウェイン、タムレ、クラシッククリシェの3頭カップリングが単勝オッズ3.5倍の2番人気、ザグレブが単勝オッズ7.6倍の3番人気、ペンタイアが単勝オッズ8.3倍の4番人気、ダラザリが単勝オッズ9倍の5番人気、オスカーシンドラーが単勝オッズ15.8倍の6番人気、シャーミットが単勝オッズ23倍の7番人気だった。

スタートが切られると1番人気のエリシオが果敢に先頭に立ち、本馬は直後の2番手を追走した。そのままの態勢で直線に入ると、エリシオが二の脚を使って後続馬を引き離しにかかり、2番手で必死に粘る本馬との差はどんどん開いていった。そして本馬の後方からはオスカーシンドラーやスウェインが押し寄せてきた。しかし本馬は後続馬には決して抜かさせず、勝ったエリシオからは5馬身差をつけられたものの、3着オスカーシンドラーを短首差抑えて2着を確保。欧州トップクラスと並んでも遜色ない実力を有することを示した。

BCターフ

続いて本馬は北米に遠征し、加国のウッドバイン競馬場で行われたBCターフ(加GⅠ・T12F)に参戦した。このレースにはゴードンリチャーズSで本馬を破った後にコロネーションC2着・セレクトS勝利と着実に実力をつけて前走の加国際Sで本馬より4週間遅れでGⅠ競走の勝ち馬に上り詰めていた同厩馬シングスピール、凱旋門賞で本馬から1馬身差の4着だったスウェイン、英セントレジャー・伊ジョッキークラブ大賞を連勝してきた英ダービー3着馬シャントゥ、セクレタリアトS・ETマンハッタンS・アーリントンミリオン・パンアメリカンH・ピリグリムS・ブーゲンヴィリアH・ハイアリアターフカップHの勝ち馬でソードダンサー招待H・アーリントンミリオン・ターフクラシック招待S2着・サンフアンカピストラーノ招待H・ハリウッドターフH3着のアワッド、サンセットHの勝ち馬でブラジル大賞・ハリウッドターフC2着のタロワール、マンハッタンH・マンノウォーS・ターフクラシック招待S・ピリグリムS・ニッカボッカーHの勝ち馬でシーザース国際H2着のディプロマティックジェット、グレートヴォルティジュールSの勝ち馬で英ダービー・英セントレジャー2着のダシャンター、前走の加国際Sで2着だった加国三冠競走最終戦ブリーダーズSの勝ち馬チーフベアハート、セレクトSでシングスピールの2着した後にカンバーランドロッジSを勝ってきたウォールストリート、凱旋門賞で5着だったルナウェルズ、サンルイレイS・サンルイオビスポHの勝ち馬でサンフアンカピストラーノ招待H2着のウインドシャープ、セクレタリアトSの勝ち馬でマンノウォーS・ターフクラシック招待S3着のマーリンなどが出走してきた。

ドバイのシェイク・モハメド殿下が所有するシングスピール、スウェイン、シャントゥ、ウォールストリートの4頭がカップリングで単勝オッズ2.1倍の1番人気に支持され、アワッドが単勝オッズ5.9倍の2番人気、タロワールが単勝オッズ7.9倍の3番人気、ディプロマティックジェットが単勝オッズ7.95倍の4番人気、ウォーニングコマンダーインチーフの半弟ダシャンターが単勝オッズ13.45倍の5番人気と続いていた。一方の本馬は、鞍上のスウィンバーン騎手が米国の競馬場では上手に乗ることが出来ないと批判されていたこともあって、単勝オッズ14.7倍の6番人気だった。

スタートが切られるとディプロマティックジェットが先頭に立ち、スウェイン、シングスピールは好位を先行。本馬はシングスピールを見るように馬群の中団につけ、シャントゥ、アワッド、タロワールは最後方につけた。三角に入るとシングスピールが仕掛けて四角では先頭に立った。すると本馬もシングスピールを追うように上がっていった。そして直線に入ると、前を行くウインドシャープに並びかけて競り落とし、続いて先頭のシングスピールに並びかけた。そして並ぶ間もなく本馬がシングスピールを差し切り、最後は1馬身1/4差をつけて優勝。

これで名実共に世界トップクラスの馬の1頭としての地位を確立した。もっとも、この勝利で注目されたのは本馬よりも、米国では下手な騎手という評判が立っていたスウィンバーン騎手が大怪我を乗り越えて勝利した事と、英国の名伯楽スタウト師が15度目のブリーダーズカップ挑戦でようやく初勝利を挙げた事だった。4歳時の成績は7戦4勝だった。

競走生活(5歳前半)

5歳時も現役を続行し、4月のガネー賞(仏GⅠ・T2100m)から始動した。前年を最後に第一線を退いたスウィンバーン騎手に代わって、このレースからマイケル・キネーン騎手が本馬の主戦を務める事になった。このレースは、前年暮れのジャパンCでシングスピールの3着に敗れたエリシオの4歳初戦でもあった。他にも、愛セントレジャー・ミラノ大賞・ドーヴィル大賞・ジョンポーターSの勝ち馬で前年のジャパンCではエリシオと3着同着だったストラテジックチョイス、アルクール賞・パース賞の勝ち馬リヴァーベイ、ナッソーS・サンチャリオットS・ウェルドパークSの勝ち馬でコロネーションS2着のラストセカンド、ヴィシー大賞の勝ち馬ビュリントン、エクスビュリ賞で2着してきた前年の凱旋門賞6着馬ルディスタンなどが出走していた。エリシオが単勝オッズ1.6倍の1番人気、本馬が単勝オッズ4.7倍の2番人気、リヴァーベイが単勝オッズ5倍の3番人気、ラストセカンドが単勝オッズ12倍の4番人気となった。

スタートが切られると最低人気馬トロイヤンシーが逃げを打ち、エリシオは2番手につけた。好位につけていた本馬は、直線に入ると、前を行くエリシオを追撃しようとした。しかしエリシオとの差を縮めるどころか、後方から来た単勝オッズ29倍の7番人気馬ルディスタンに差されてしまい、勝ったエリシオから7馬身半差、2着ルディスタンから1馬身半差の3着と完敗した。

その後はエリシオを避けるように英国に戻り、ハードウィックS(英GⅡ・T12F)に出走した。前年のロイヤルホイップSで本馬の3着に敗れた後にブランドフォードSを勝ち前走ブリガディアジェラードSで名牝ボスラシャムの2着してきたプレダピオ、ポリグロートの1歳年下の半弟に当たる4戦2勝2着2回の素質馬キングアレックス、前年の英オークスを9馬身差で圧勝していたレディカーラ、前走コロネーションCでシングスピールの2着だった前年のBCターフ7着馬ダシャンター、ジョンポーターSの勝ち馬ホワイトウォーターアフェア(アサクサデンエンやヴィクトワールピサの母)、オーモンドSの勝ち馬ロイヤルコートなどなかなかの好メンバーが揃った。本馬が単勝オッズ3倍の1番人気、プレダピオとキングアレックスが並んで単勝オッズ7倍の2番人気、レディカーラが単勝オッズ8倍の4番人気、ダシャンターが単勝オッズ9倍の5番人気となった。

スタートが切られると単勝オッズ12倍の6番人気馬ビジーフライトが先頭に立ち、プレダピオやキングアレックスが先行、本馬は馬群の好位を進んだ。そして残り3ハロン地点で仕掛けて残り1ハロン地点でプレダピオをかわして先頭に立つという優等生的な競馬を見せた。ところがプレダピオがここから強烈な粘り腰を披露し、最後は差し返されて半馬身差2着に敗れてしまった。このレースの敗因は、本馬にとっては不向きな柔らかい馬場状態にあったとされている。

次走のエクリプスS(英GⅠ・T10F7Y)では、英1000ギニー・英チャンピオンS・フィリーズマイル・プリンスオブウェールズS・ブリガディアジェラードS・フレッドダーリンSの勝ち馬でクイーンエリザベスⅡ世S2着の前年のカルティエ賞最優秀3歳牝馬ボスラシャム、英ダービー・ロイヤルロッジS・ダンテSの勝ち馬でレーシングポストトロフィー3着のベニーザディップ、ギョームドルナノ賞・ゴードンリチャーズS・イスパーン賞など5連勝中の上昇馬サズルー、クイーンアンS・ペガサスH・ジャマイカH・ランプライターHの勝ち馬でサセックスS3着のアライドフォーシズの計4頭が対戦相手となった。前走プリンスオブウェールズSを8馬身差で圧勝してきたボスラシャムが単勝オッズ1.57倍の1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ6.5倍の2番人気、ベニーザディップが単勝オッズ7倍の3番人気、サズルーが単勝オッズ9倍の4番人気と、ボスラシャムの一強状態だった。

スタートが切られると、英ダービーを逃げて勝っていたベニーザディップが先頭に立ったが、本馬もそれをマークするように2番手につけた。これは、ベニーザディップの逃げ脚と、ボスラシャムの末脚を両方まとめて潰すためのキネーン騎手の作戦だったようである。道中は徹底してベニーザディップの直後につけると、残り2ハロン地点でベニーザディップをかわして先頭に立った。そしてそのまま押し切り、2着ベニーザディップに1馬身1/4差で勝利。追い上げてきたボスラシャムはベニーザディップから短頭差の3着だった。どちらかと言えば本馬の勝利よりも、クイーンエリザベスⅡ世S以外では負けが無かったボスラシャムの敗戦のほうがクローズアップされていたけれども、これで前年のBCターフ勝ち馬でありながら今ひとつ信用されていなかった本馬の実力が本物であると万人に認識されるようになった。

競走生活(5歳後半)

次走はキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS(英GⅠ・T12F)となった。ここでは、ガネー賞を勝った後にサンクルー大賞も勝ってきたエリシオ、前年のBCターフ2着後にジャパンC・ドバイワールドC・コロネーションCと3連勝してきたシングスピール、前走プリンセスオブウェールズSで2着してきた前年のBCターフ3着馬スウェイン、前年のBCターフ4着後にミラノ大賞・プリンセスオブウェールズSと連勝して好調のシャントゥ、キングエドワードⅦ世Sを8馬身差で圧勝してきたキングフィッシャーミル、ハードウィックSから直行してきたプレダピオ、ガネー賞5着後に出走したミラノ大賞では4着だったストラテジックチョイスの計7頭が対戦相手となった。出走頭数こそそれほど多くないが、質的には欧州上半期最強馬決定戦の名に相応しいメンバー構成となった。エリシオが単勝オッズ2.1倍の1番人気、シングスピールが単勝オッズ5倍の2番人気、本馬が単勝オッズ7倍の3番人気、キングフィッシャーミルが単勝オッズ9倍の4番人気、プレダピオが単勝オッズ13倍の5番人気、スウェインとシャントゥが並んで単勝オッズ17倍の6番人気となった。

スタートからエリシオが先頭を伺ったが、それにキングフィッシャーミルが競りかけて先頭を奪取。本馬とスウェインが3~4番手につけた。やがてエリシオが進路を失って後退する隙を突いて、スウェインが外側をまくって先頭に立った。本馬も遅れて追いかけたが、最後までスウェインを捕らえきれず、1馬身差の2着に敗れた。しかし本馬から1馬身1/4差の3着だったエリシオには初めて先着したし、エリシオから2馬身半差の4着だったシングスピールとの最終対戦成績も2勝1敗とした。

その後は愛チャンピオンS(愛GⅠ・T10F)に出走した。愛2000ギニー・愛ダービー・愛ナショナルSを勝っていた当時の愛国最強3歳馬デザートキング、デューハーストS・英シャンペンS・ヴィンテージS・ソラリオS・ロンポワン賞・愛国際Sを勝っていた一昨年のカルティエ賞最優秀2歳牡馬アルハース、ロイヤルホイップSで2着してきたラユーニ、デズモンドSを勝ってきたスウィフトガリバーなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ2.25倍の1番人気、デザートキングが単勝オッズ2.375倍の2番人気、アルハースが単勝オッズ10倍の3番人気で、本馬とデザートキングの完全な2強対決となった。

スタートが切られるとデザートキング陣営が用意したペースメーカー役のノースラウチが先頭を引っ張り、本馬とデザートキングはいずれも馬群の中団を追走した。そして本馬が先に仕掛けて直線入り口で先頭に立った。そこへ後方からデザートキングもやってきたが、その差は縮まるどころか開いていき、最後は馬なりのまま走った本馬が2着デザートキングに4馬身半差をつけて完勝した(デザートキングも3着アルハースには14馬身差をつけていた)。欧州においてはこれが本馬のベストレースであるとされているようで、サンデーミラー紙には「ピルサドスキーが王者になりました。本当に素晴らしい勝ち方でした」という記事が載った。

その後は前年2着の雪辱を期して凱旋門賞(仏GⅠ・T2400m)に向かった。キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS3着後に出走したムーランドロンシャン賞で2着だったエリシオ、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSの次走アークトライアルで3着だったスウェイン、前走の愛セントレジャーで2連覇を果たしてきた前年の凱旋門賞3着馬オスカーシンドラー、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS7着後に出走したバーデン大賞で3着だったプレダピオ、ガネー賞2着後にコロネーションC・フォア賞でいずれも3着だったルディスタン、ハードウィックSで10着最下位だったビジーフライトといった既対戦組のほかに、仏ダービー・パリ大賞・グレフュール賞の勝ち馬でニエル賞2着のパントレセレブル、ヴェルメイユ賞・ヨークシャーオークスの勝ち馬マイエマ、独ダービー・バーデン大賞を勝ってきた独国の名牝ボルジア、ヴェルメイユ賞・ヴァントー賞の勝ち馬クイーンモード、愛オークス馬エバディーラ、スプリングチャンピオンS・ヴィクトリアダービーと豪州GⅠ競走2勝のナッシンライカデーン、フォワ賞を勝ってきたヨコハマなどが対戦相手となった。出走馬中唯一の3歳牡馬だったパントレセレブルが単勝オッズ3.2倍の1番人気、エリシオが単勝オッズ3.5倍の2番人気、本馬が単勝オッズ4.8倍の3番人気、スウェインとプレダピオのカップリングが単勝オッズ10.4倍の4番人気、オスカーシンドラーが単勝オッズ13.3倍の5番人気となった。

レースは最初に先頭に立ったビジーフライトを無理矢理にエリシオがかわし、それをスウェイン、プレダピオなどが追う超ハイペースの展開となった。本馬は馬群の中団につけると、7番手で直線に入り末脚を伸ばした。しかしその内側から猛然と追い上げていったパントレセレブルに一気に置き去りにされてしまった。本馬も先行馬勢は全て差し切って2番手に上がったものの、2分24秒6という驚異的なコースレコードで勝ったパントレセレブルからは5馬身差をつけられてしまった(3着ボルジアとは2馬身半差)。もっとも、古馬と3歳馬の斤量差、そして非常に堅い良馬場と超ハイペースという、パントレセレブルには有利すぎる条件が揃っており、個人的には本馬とパントレセレブルの間にそんなに実力差があるとは思わない。

このレースの後、日本中央競馬会が本馬を購入し、翌年から本馬は日本で種牡馬入りする事が決定したが、ひとまず次走に予定していた英チャンピオンS(英GⅠ・T10F)に向かった。仏グランクリテリウム・サラマンドル賞など4戦全勝の成績で前年のカルティエ賞最優秀2歳馬に選ばれた英2000ギニー2着馬リヴォーク、プランスドランジュ賞を勝ってきた仏2000ギニー2着・愛ダービー3着馬ルウソヴァージュ、エクリプスS2着後に出走した英国際Sでシングスピールの3着だったベニーザディップ、ゴードンS・グレートヴォルティジュールSを連勝してきたストワウェイ、英シャンペンSの勝ち馬バハーレ、前年のセントジェームズパレスSの勝ち馬でエクリプスS2着のビジューダンドの計6頭が対戦相手となった。本馬が単勝オッズ2倍の1番人気、リヴォークが単勝オッズ5.5倍の2番人気、ルウソヴァージュが単勝オッズ7倍の3番人気、ベニーザディップが単勝オッズ8倍の4番人気、ストワウェイが単勝オッズ9倍の5番人気となった。

スタートが切られるとストワウェイが先頭に立ったが、しばらくしてビジューダンドが先頭を奪った。一方の本馬は馬群の好位を悠然と進んだ。そして残り2ハロン地点で仕掛けると、先に先頭に立っていたルウソヴァージュを残り1ハロン地点でかわして先頭に立つという優等生的な競馬を見せた。そしてそのまま2着ルウソヴァージュに2馬身差をつけて快勝した。

ジャパンC

その後は来日してジャパンC(日GⅠ・T2400m)に出走した。日本からの出走馬は、前年の天皇賞秋を筆頭に朝日杯三歳S・スプリングS・鳴尾記念・毎日王冠と重賞5勝を挙げてこの年の宝塚記念・天皇賞秋でも2着していたバブルガムフェロー、前走の天皇賞秋でバブルガムフェローとの叩き合いを制して牝馬として17年ぶりの天皇賞馬となった優駿牝馬・札幌記念・チューリップ賞・マーメイドSの勝ち馬で阪神三歳牝馬S2着のエアグルーヴ、京都大賞典・京都四歳特別の勝ち馬で東京優駿2着のシルクジャスティス、ラジオたんぱ杯三歳S・きさらぎ賞の勝ち馬で前年の皐月賞・菊花賞2着のロイヤルタッチ、前年のNHKマイルC・毎日杯の勝ち馬タイキフォーチュン、NHKマイルC2着馬ツクバシンフォニー、セントライト記念・アメリカジョッキークラブC・日経賞の勝ち馬ローゼンカバリー、アルゼンチン共和国杯で2着してきたスノーエンデバーの計8頭。海外からの出走馬は、本馬、凱旋門賞4着後に出走したロワイヤルオーク賞で3着だったオスカーシンドラー、アラルポカル・伊ジョッキークラブ大賞・ウニオンレネンの勝ち馬カイタノ、アンドレバボワン賞を勝ってきた仏ダービー3着馬アスタラバド、AJCダービー・マッキノンSと豪州GⅠ競走2勝のエボニーグローブ、ロイヤルロッジSの勝ち馬でレーシングポストトロフィー・伊ジョッキークラブ大賞3着のモンズの計6頭だった。

本馬は紛れも無く当時の欧州古馬最強馬であり、実績から言えば1番人気になって当然だった。ところが本馬はレース前のパドックで馬っ気を出しながら周回し、それを見て本馬の馬券購入をキャンセルするファンが続出した影響もあったのか、単勝オッズ4.6倍の3番人気に留まった。バブルガムフェローが単勝オッズ3.7倍の1番人気、エアグルーヴが単勝オッズ4倍の2番人気、シルクジャスティスが単勝オッズ7倍の4番人気、オスカーシンドラーが単勝オッズ10.8倍の5番人気となった。

スタートが切られると、ツクバシンフォニーが先頭に立ち、タイキフォーチュン、モンズ、エアグルーヴ、バブルガムフェローなどが先行集団を形成した。一方の本馬は馬群の中団後方を追走した。直線に入ると馬群の中からエアグルーヴが伸びてきて先頭に立とうとした。しかしここで直線入り口では5番手まで位置取りを上げていた本馬が、凄い迫力でインコースからエアグルーヴを強襲。さらにツクバシンフォニーもかわして一気に先頭に立った。ゴール前ではエアグルーヴが差し返してきたが、首差抑えて勝利を収め、引退レースを見事勝利で飾った。

エアグルーヴ鞍上の武豊騎手は「あれだけ完璧な騎乗をしたエアグルーヴを差す馬が世界にいるなんて・・・」と絶句し、エアグルーヴを管理していた伊藤雄二調教師は、(かつて阪神三歳牝馬Sでエアグルーヴの鞍上をキネーン騎手に委ねた事について)「あのレースでエアグルーヴの癖を掴まれていた。しまった事をしました」と述懐した。もっとも、キネーン騎手は本馬に差された後に再度差し返してきたエアグルーヴについて「以前より遥かに強くなっていました」と讃えている。また、本馬の担当厩務員だったグレヴィル・スターキー氏は騎手時代にアレミロードでジャパンCに出走して2着に惜敗した過去があり、本馬で雪辱を果たしたと言える。

5歳時に8戦4勝の成績を残した本馬は、この年のカルティエ賞最優秀古馬に選出された。国際クラシフィケーションと英タイムフォーム社のレーティングではいずれも134ポンドの評価で、共にこの年の古馬勢では最上位だった。3歳馬も含むと、137ポンドだったパントレセレブルに次ぐ2位だったが、パントレセレブルの高評価は本馬を5馬身ちぎったためであり、本馬がもし並の一流馬であれば、パントレセレブルの数値もそこまで高くならなかった事であろう。

馬名に関して

本馬の馬名は第二次ポーランド共和国の初代大統領でポーランド建国の父と言われるユゼフ・ピウスツキ(ポーランド独立支援要請のために日露戦争中の日本を訪問したこともある。子孫は今でも日本にいる)にちなんでいる。父ポリッシュプレシデントの「Polish Precedent(ポーランドの先例)」と「Polish president(ポーランドの大統領)」をかけたものであるだけでなく、ピウスツキ大統領がとても馬好きだった事も命名理由の1つである。

なお、日本中央競馬会が本馬の馬名をピウスツキでなくピルサドスキーで登録した事については批判も出たが、外国馬名を日本語に直す際には、どの国の言葉を採用するか、発音をどう捉えるかなどによって、人それぞれ読み方が異なるのは当然であるから、特に批判する必要は無いと筆者は考える。日本の競馬関係者やファンには何かと言うと日本中央競馬会を批判する者が多い。中には納得できる意見もあるが、大半は八百長とか進路妨害の基準が不明確だとかの場当たり的な批判ばかりであり、気にいらないならさっさと競馬を止めろと言いたい。

ただし、本馬のジャパンC参戦時には日本中央競馬会が実質的な馬主であり、元の馬主ヴァインストック卿に名義貸しを行っていた。名義貸しは日本中央競馬会が禁止している行為のため、自らそれを破った日本中央競馬会に対する批判が出たが、この批判意見には筆者も同感である。

血統

Polish Precedent Danzig Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Pas de Nom Admiral's Voyage Crafty Admiral
Olympia Lou
Petitioner Petition
Steady Aim
Past Example Buckpasser Tom Fool Menow
Gaga
Busanda War Admiral
Businesslike
Bold Example ボールドラッド Bold Ruler
Misty Morn
Lady Be Good Better Self
Past Eight
Cocotte Troy Petingo Petition Fair Trial
Art Paper
Alcazar Alycidon
Quarterdeck
La Milo Hornbeam Hyperion
Thicket
Pin Prick Pinza
Miss Winston
Gay Milly Mill Reef Never Bend Nasrullah
Lalun
Milan Mill Princequillo
Virginia Water
Gaily Sir Gaylord Turn-to
Somethingroyal
Spearfish Fleet Nasrullah
Alabama Gal

ポリッシュプレシデントは当馬の項を参照。

母ココットは現役成績11戦1勝。繁殖牝馬としては、本馬の半姉グローイングアーダー(父ダンシングブレーヴ)【シルケングライダーS(愛GⅢ)】、日本で走った半妹ファインモーション(父デインヒル)【秋華賞(GⅠ)・エリザベス女王杯(GⅠ)・ローズS(GⅡ)・阪神牝馬S(GⅡ)・札幌記念(GⅡ)】を産んだ。本馬の半姉アニマ(父アジャダル)の孫にはユームザイン【オイロパ賞(独GⅠ)・サンクルー大賞(仏GⅠ)】、クレカドール【ロッキンジS(英GⅠ)】が、日本に繁殖牝馬として輸入された半姉ハニーバン(父アンフワイン)の孫にはレッドキングダム【中山大障害(JGⅠ)】がいる。ユームザインは凱旋門賞3年連続2着でも知られており、凱旋門賞2年連続2着だった本馬といい、凱旋門賞制覇には近くて遠い一族である。

ココットの母ゲイミリーは、愛1000ギニー馬ゲイリーの娘。ゲイミリーの半妹グラッドタイディングスの孫には2001年の中央競馬最優秀2歳牝馬タムロチェリー【阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)・小倉2歳S(GⅢ)】が、半妹ゲイヘレンの孫にはナークース【ジャンリュックラガルデール賞(仏GⅠ)】が、半妹ゲイファンタスティックの孫には日本で走ったロックドゥカンブ【セントライト記念(GⅡ)・ラジオNIKKEI賞(GⅢ)】がいる。ゲイリーの母スピアフィッシュはサンタイネスS・サンタスサナS・ハリウッドオークスの勝ち馬で、ゲイリーの半兄には、米国の重要短距離競走キングズビショップSの名の由来となった名短距離馬キングズビショップ【アーリントンクラシックS・カーターH(米GⅡ)・フォールハイウェイトH(米GⅢ)・ミシガンマイル&ワンエイスH】がいる。→牝系:F11号族②

母父トロイは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬はそのまま日本軽種馬協会静内種馬場で種牡馬入りした。初年度の1998年はファティマとユキノビジンの母娘など71頭、2年目はライデンリーダーなど87頭、3年目はミヤマポピー、サンドピアリス、スエヒロジョウオー、ワコーチカコなど90頭、4年目の2001年はタケノベルベット、チョウカイキャロル、ナリタトップロードの母フローラルマジック、テイエムオーシャンの母リヴァーガールなど95頭の繁殖牝馬を集めた。しかしこの2001年にデビューした産駒の成績が極めて不振であり、5年目は50頭、6年目の2003年は10頭と交配数が一気に下落。この2003年に愛国ナショナルスタッドへ再輸出された。その後は愛国アングローヴスタッドで障害競走用種牡馬として供用されたが、2008年以降は種牡馬活動を行っていないようで、既に種牡馬引退状態である。全日本種牡馬ランキングは2005年の84位が最高で、中央競馬の重賞勝ち馬を出すことは無かった。繁殖牝馬の父としてはメルボルンCを勝ったフィオレンテを出している。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

2001

ニッシングリン

東海金杯(SPⅠ)・読売レディス杯(金沢)・兵庫クイーンC(園田)

2002

キッズブルーム

ウイナーC(盛岡)

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