サマースコール

和名:サマースコール

英名:Summer Squall

1987年生

鹿毛

父:ストームバード

母:ウィークエンドサプライズ

母父:セクレタリアト

好敵手アンブライドルドと好勝負を演じたプリークネスS優勝馬は種牡馬としてもアンブライドルドと同じく活躍する

競走成績:2~4歳時に米で走り通算成績20戦13勝2着4回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州レーンズエンドファームにおいて、同牧場の所有者ウィリアム・スタンプス・ファリッシュⅢ世氏とウィリアム・S・キルロイ氏の両名により生産された。1歳7月のキーンランドセールに出品され、構成員28人から成る共同馬主団体ドッグウッドステーブルにより30万ドルで購入された。

1969年にカリフォルニア州において、W・コスラン・“コット”キャンベル氏により設立されたドッグウッドステーブルは、米国における共同馬主団体の先駆け的存在であり、今日までに1200人以上を共同馬主として競馬界に引き入れている。ドッグウッドステーブルは70頭以上のステークスウイナーを所有したが、その中でも最上級の競走成績を収めたのが本馬である。小柄な馬体ながら軽快なピッチ走法で器用に走る事ができ、小回りの競馬場が多い米国競馬には適合していた。ニール・J・ハワード調教師に預けられた。

競走生活(2歳時)

2歳4月にキーンランド競馬場で行われたダート4.5ハロンの未勝利戦でデビューした。そしてランディ・ロメロ騎手を鞍上に、2着トラベルオンに11馬身差をつけて大圧勝した。次走は6月のケンタッキーBCS(GⅢ・D5.5F)となった。ここではC・R・ウッズ・ジュニア騎手とコンビを組み、2着ドクターボビーエーに2馬身半差で快勝した。

翌7月のバッシュフォードマナーS(D6F)では、主戦となるパット・デイ騎手と初コンビを組んだ。レースは本馬にとって初経験となる不良馬場となったが、それをものともせずに、2着テーブルリミットに4馬身差をつけて完勝した。翌8月のサラトガスペシャルS(GⅡ・D6F)では、ケンタッキーBCS2着後にトレモントSでも2着してきたドクターボビーエー、そのトレモントSを勝ってきたエターナルフライトなどが対戦相手となったが、本馬が2着ドクターボビーエーに1馬身半差で勝利した。

そして同月末のホープフルS(GⅠ・D6.5F)に駒を進めた。ここでは、ドクターボビーエー、前走4着のエターナルフライト、サプリングSを勝ってきたカーソンシティ、サプリングSで3着してきたアジュディケーティングなどが対戦相手となった。レースではカーソンシティとアジュディケーティングが先行争いを演じ、本馬はそれを見るように4番手で追走。そして四角で先頭に立って押し切り、2着サーリチャードルイスに1馬身3/4差をつけて勝利を収め、5戦無敗でGⅠ競走を制覇した。なお、道中でカーソンシティの進路を妨害したとして審議対象になったが、進路妨害をしたのは本馬ではなく別の馬という裁決が下りている。

2戦2勝の素質馬レッドランサムと共にこのまま米国2歳路線を牽引していくかに思われたが、レース後に左前脚の大砲骨を故障してしまい、以降の2歳戦は棒に振ってしまった(レッドランサムも故障で2歳時を棒に振っている)。

競走生活(3歳前半)

冬場はフロリダ州で過ごし、3歳3月にガルフストリームパーク競馬場で行われたスウェイルS(GⅢ・D7F)で復帰した。ここでは、ハッチソンSなど4連勝中だったハウスバスターの1馬身差2着に敗れ、無敗記録は止まった。しかし故障休養明けだった事や、ハウスバスターが後に2年連続でエクリプス賞最優秀短距離馬に選ばれる快速馬だった事を考慮すると、悪い内容ではなかった。しかしこのレース中に本馬は鼻出血を発症したため、以降は鼻出血防止剤のラシックスを常用する事になった。

次走のジムビームS(GⅡ・D9F)は不良馬場のレースとなったが本馬には関係なく、2着ブライトアゲインに2馬身半差で快勝した。続くブルーグラスS(GⅡ・D9F)では、フロリダダービーを勝ってきたアンブライドルドとの初対戦となった。両馬とも主戦はデイ騎手だったが、本馬を「自分が今までに出会った中で最も勇敢な馬」として高く評価していた彼は本馬を選択した。レースでは向こう正面入り口で先頭に立つと、後続を引きつけながら逃げた。三角でいったんランドラッシュに先頭を譲ったが四角で先頭を奪い返すと、ランドラッシュを1馬身3/4差の2着、アンブライドルドをさらに2馬身差の3着に下して勝利した。なお、デイ騎手はこの後もアンブライドルドに何度も乗ることになるが、本馬とアンブライドルドが顔を合わせた際には必ず本馬に騎乗している。

本馬は8戦7勝2着1回の好成績でケンタッキーダービー(GⅠ・D10F)に挑むことになった。主な対戦相手は、プエルトリコからやって来たサンタアニタダービー・サンラファエルS・サンヴィンセントSなど16戦無敗のミスターフリスキー、スウェイルS3着後にゴーサムS・ウッドメモリアルSを連勝してきたサーティシックスレッド、アーカンソーダービー・エルカミノリアルダービーの勝ち馬シルヴァーエンディング、アンブライドルド、ランドラッシュ、サンフェリペSの勝ち馬でアーカンソーダービー2着のリアルキャッシュ、サンタアニタダービーで2着してきたビデオレンジャー、レキシントンSで2着してきたプレザントタップ、ガーデンステートSを勝ってきたキラーディラー、前年のホープフルSでは8着最下位に終わるもその後にチェリーヒルマイルSを勝っていたドクターボビーエーなどだった。ミスターフリスキーが単勝オッズ2.9倍の1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ3倍の2番人気となった。

レースはミスターフリスキーなど5頭が激しく先頭争いを演じ、本馬は先頭集団から離れた2番手集団の先頭辺りにつけた。そして三角から四角にかけて外側を通って上がっていくと先頭で直線を向いた。しかしこの時点では既に、さらに後方外側から来たアンブライドルドにほぼ並びかけられていた。そして直線でアンブライドルドに引き離されてしまい、最後は3馬身半差をつけられて2着に敗れた。もっとも、3着プレザントタップには6馬身差をつけており、実力を示すことは出来た。

2週間後のプリークネスS(GⅠ・D9.5F)では、アンブライドルド、前走7着のランドラッシュ、同8着のミスターフリスキーなど8頭が対戦相手となった。今回はアンブライドルドが1番人気に支持され、本馬は単勝オッズ3.4倍の2番人気での出走となった。スタートが切られると、アンブライドルドはいつも通りに馬群の後方につけたが、本馬もアンブライドルドをマークするように後方の位置取りとなった。三角から四角にかけて、アンブライドルドは馬群の外側から、本馬はインを突いてほぼ同時に上がっていき、直線入り口ではこの2頭がほぼ同時に逃げ馬をかわして先頭に立った。そして直線で叩き合いとなったが、今回は本馬がアンブライドルドを引き離して2馬身1/4差をつけて優勝。

本馬のラスト1ハロン半における走破タイム18秒フラットは、プリークネスS史上最速だったとされる。アンブライドルドも3着ミスターフリスキーには9馬身差をつけており、この年の米国調教3歳馬の中ではこの2頭が抜きん出ていることを示す結果となった。ちなみに、ケンタッキーダービー1・2着馬が、プリークネスSで着順が逆となって1・2着となるという事例は意外と珍しく、2015年現在では、1950年(ミドルグラウンドとヒルプリンス)、1956年(ニードルズとファビウス)と、この1990年の3度しか事例が無い。

通常であれば次走は米国三冠競走最終戦のベルモントSになるところだが、ベルモントパーク競馬場があるニューヨーク州ではラシックスが禁止されていたため、本馬は回避した。アンブライドルドはベルモントSに出走したが、ゴーアンドゴーの4着に大敗している。

競走生活(3歳後半)

一方の本馬は夏場を休養に充て、秋は9月のペンシルヴァニアダービー(GⅡ・D9F)から始動した。道中は馬群の後方を追走しており、この日はあまり走る気がないのではと思われたが、鞍上のデイ騎手が単にハイペースを見切って控えただけだった。向こう正面で外側から内側に進路変更すると、三角から四角にかけてインコースを通って一気に位置取りを上げ、そのまま押し切って2着チャレンジマイデューティーに3馬身3/4差で完勝した。

この後はルイジアナ州ルイジアナダウンズ競馬場で行われるスーパーダービーを経て、ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場で行われるBCクラシックに向かう予定だった。しかし何故か予定を変更して、スーパーダービーではなくニュージャージー州メドウランズ競馬場で施行されるメドウランズC(GⅠ・D9F)に出走した。ペガサスHの勝ち馬ノルクエスター、フィリップHアイズリンHの勝ち馬ボウジーニアスといったGⅠ競走勝ち馬の姿もあったが、本馬の能力をもってすれば問題ないはずだった。ところが結果は勝ち馬から10馬身差をつけられた8着と、初めての惨敗を喫してしまった。勝ったのは、単勝オッズ182倍という超人気薄のグレートノルマンドだった。

この2週間後にはBCクラシックが行われたが、メドウランズCで大敗した上に、ラシックスが使えないことから無理に出走することを避け、そのまま3歳時7戦4勝の成績で休養入りした。本馬不在のBCクラシックをデイ騎手騎乗のアンブライドルドが勝ったため、エクリプス賞最優秀3歳牡馬の座は逃す事になった。

競走生活(4歳時)

4歳時は4月にキーンランド競馬場で行われたダート6.5ハロンの一般競走から始動して、2着ブライトアゲインに4馬身差で快勝した。次走のピムリコスペシャルH(GⅡ・D9.5F)では久々の対戦となるアンブライドルドを抑えて単勝オッズ2.8倍の1番人気に支持されたが、サンタアニタHの勝ち馬ファーマウェイを捕まえるのに失敗して3馬身差の2着に敗れた(アンブライドルドは6着だった)。その後はチャーチルダウンズ競馬場でダート8.5ハロンの一般競走に出走して、2着オンジエッジに7馬身半差をつけて圧勝。

そしてカリフォルニア州に移動して、ハリウッド金杯(GⅠ・D10F)に参戦した。ファーマウェイが単勝オッズ2.4倍の1番人気で、本馬が単勝オッズ3.1倍の2番人気となった。しかし結果は当時グレード競走未勝利だった単勝オッズ28.4倍の伏兵マーケトリーが2着ファーマウェイを頭差抑えて逃げ切り勝ちを収め、何の見せ場も無かった本馬はマーケトリーから16馬身差の7着に沈んだ。

そのままカリフォルニア州を去った本馬は、8月にアーリントンパーク競馬場でダート6.5ハロンの一般競走に出て、2着モムズフラリに1馬身1/4差で勝利。そのまま翌月のワシントンパークH(GⅡ・D9F)に出走した。単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持されたが、スティーヴンフォスターH・ミシガンマイル&ワンエイスH・コーンハスカーH・フィリップHアイズリンHと4連勝中だった上がり馬ブラックタイアフェアーの圧倒的な逃げ切り劇の前に、7馬身半差をつけられた2着に終わった(3着馬には18馬身半差をつけた)。

次走のフェイエットH(GⅡ・D9F)では、アンブライドルドと5度目の対戦となった。今回は単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持された本馬が3番手追走から直線であっさりと抜け出して、2着アンブライドルドに3馬身差をつけて快勝した。

次走はチャーチルダウンズ競馬場で行われたBCクラシック(GⅠ・D10F)となった。単勝オッズ4.1倍の1番人気はジョッキークラブ金杯を勝ってきたフェスティンで、本馬とブラックタイアフェアーが並んで単勝オッズ5倍の2番人気、連覇を目指すアンブライドルドが単勝オッズ5.3倍の4番人気となった。スタートからブラックタイアフェアーが先手を奪い、本馬は2~3番手、フェスティンやアンブライドルドは後方を追走した。しかし本馬は三角を過ぎた辺りで手応えが無くなって失速。勝ったブラックタイアフェアーから10馬身半差をつけられた9着と惨敗してしまった(アンブライドルドは3着だった)。このレースを最後に、4歳時8戦4勝の成績で競走馬を引退した。

本馬とアンブライドルドの対戦成績は本馬の4勝2敗。本馬が勝ち越しているが、後方から怒涛の追い込みを見せるアンブライドルドの方が、勝ったレースの格の高さもあって、派手な印象はある。また、本馬がラシックスを使用していたのは周知の事実であり、ベルモントパーク競馬場で行われたベルモントSやBCクラシックを、ラシックスが使用できないことを理由に回避した事もあって、あまり良い印象を持たない人も多いのではないだろうか。もっとも、本馬のラシックス使用は3歳時からであり、2歳時にはラシックスを使用していなかった(ニューヨーク州にあるサラトガ競馬場で行われたサラトガスペシャルSやホープフルSを勝っている)のだから、ラシックスの利尿効果を悪用してドーピングを誤魔化す目的ではなかったはずである。

血統

Storm Bird Northern Dancer Nearctic Nearco Pharos
Nogara
Lady Angela Hyperion
Sister Sarah
Natalma Native Dancer Polynesian
Geisha
Almahmoud Mahmoud
Arbitrator
South Ocean New Providence Bull Page Bull Lea
Our Page
Fair Colleen Preciptic
Fairvale
Shining Sun Chop Chop Flares
Sceptical
Solar Display Sun Again
Dark Display
Weekend Surprise Secretariat Bold Ruler Nasrullah Nearco
Mumtaz Begum
Miss Disco Discovery
Outdone
Somethingroyal Princequillo Prince Rose
Cosquilla
Imperatrice Caruso
Cinquepace
Lassie Dear Buckpasser Tom Fool Menow
Gaga
Busanda War Admiral
Businesslike
Gay Missile Sir Gaylord Turn-to
Somethingroyal
Missy Baba My Babu
Uvira

ストームバードは当馬の項を参照。

母ウィークエンドサプライズは現役成績31戦7勝、スカイラヴィルS(米GⅢ)・ゴールデンロッドS(米GⅢ)の勝ち馬で、他にラカナダS(米GⅠ)で2着、フリゼットS(米GⅠ)・メイトロンS(米GⅠ)・デラウェアH(米GⅠ)・サンタマルガリータ招待H(米GⅠ)でそれぞれ3着している。本馬はウィークエンドサプライズにとって初子に当たる。

ウィークエンドサプライズの2番子は牡駒オナーグレイズ(父ダンチヒ)で、現役成績は24戦5勝。ダービートライアルS(米GⅢ)で2着したが、ケンタッキーダービーには不出走、プリークネスS(米GⅠ)ではハンセルの8着最下位に終わった。結局グレード競走勝ちには至らなかったオナーグレイズだが、血統が評価されてフロリダ州で種牡馬入りして、新国にもシャトルされた。種牡馬としては米国と新国の両方で複数のGⅠ競走勝ち馬を含む多くのグレード競走勝ち馬を出して成功した。代表産駒の1頭アドレーションがBCディスタフを勝つ前年の2002年3月にケンタッキー州ダービーダンファームで急死した。

ウィークエンドサプライズの3番子は牡駒エーピーインディ(父シアトルスルー)で、ベルモントS(米GⅠ)・BCクラシック(米GⅠ)・ハリウッドフューチュリティ(米GⅠ)・サンタアニタダービー(米GⅠ)・サンラファエルS(米GⅡ)・ピーターパンS(米GⅡ)を勝ち、1992年のエクリプス賞年度代表馬に選ばれた(詳細は当馬の項を参照)。エーピーインディは種牡馬としても大活躍して、本馬、オナーグレイズと共に名種牡馬3兄弟となった。

エーピーインディの活躍により1992年のケンタッキー州最優秀繁殖牝馬に選ばれたウィークエンドサプライズだが、その後は10番子の牝駒ウェルカムサプライズ(父シーキングザゴールド)がドッグウッドS(米GⅢ)を勝ったのが目立つ程度だった。本馬の半妹ウィークエンドストーム(父ストームバード)の子には、スマートサプライズ【ヘンドリーS(加GⅢ)】、コートヴィジョン【BCマイル(米GⅠ)・ハリウッドダービー(米GⅠ)・シャドウェルターフマイルS(米GⅠ)・ガルフストリームパークターフH(米GⅠ)・ウッドバインマイル(加GⅠ)・レムセンS(米GⅡ)・ジャマイカH(米GⅡ)・イロコイS(米GⅢ)】、日本で走ったタガノインディー【園田金杯・新春賞・六甲盃】がいる。

ウィークエンドサプライズの母ラッシーディアーは現役成績26戦5勝、ヴィレッジャーS(米GⅢ)やマリカHの勝ち馬。ウィークエンドサプライズと同じく優秀な繁殖牝馬であり、12頭の産駒中11頭が勝ち上がっている。ウィークエンドサプライズの半弟にはウルフハウンド(父ヌレイエフ)【フォレ賞(仏GⅠ)・スプリントC(英GⅠ)・ダイアデムS(英GⅢ)】がいる。また、ウィークエンドサプライズの半妹ラッシーズレディ(父アリダー)の孫にはデュークオブマーマレード【キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(英GⅠ)・ガネー賞(仏GⅠ)・タタソールズ金杯(愛GⅠ)・プリンスオブウェールズS(英GⅠ)・英国際S(英GⅠ)】とルーラーオブザワールド【英ダービー(英GⅠ)】の兄弟が、半妹チャーミングラッシー(父シアトルスルー)の子にはレモンドロップキッド【ベルモントS(米GⅠ)・ベルモントフューチュリティS(米GⅠ)・トラヴァーズS(米GⅠ)・ホイットニーH(米GⅠ)・ウッドワードS(米GⅠ)】がいる。ラッシーディアーの半弟にはゲイメセン【サンクルー大賞(仏GⅠ)】がおり、近親には名種牡馬ラジャババ、ヴォスバーグSなどGⅠ競走4勝のプラグドニックル、フラワーボウル招待S2連覇のリスクアヴァース、2011年のエクリプス賞年度代表馬ハヴァードグレイスなど数々の活躍馬がおり、文句無しの名門牝系である。→牝系:F3号族④

母父セクレタリアトは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は生まれ故郷のレーンズエンドファームで種牡馬入りした。同じくレーンズエンドファームで種牡馬入りした半弟エーピーインディに比べると種牡馬成績はやや見劣りするものだったが、それでもエクリプス賞年度代表馬カリズマティックなど37頭のステークスウイナーを出して一定の成功を収め、エーピーインディと共にレーンズエンドファームの馬産を支えた。

本馬は停留睾丸(通常、睾丸は胎生期には腹腔内にあり、成育とともに下下して、出産時には陰嚢内に完全に収まるものだが、この正常な睾丸下降が行われず、下降の途中で睾丸が停滞してしまった状態を指す。痛みを感じるだけでなく、放置すると悪性腫瘍を発症したり、授精能力が失われたりするため、早めの処置が必要とされる。片方の睾丸のみが停留している事が多く、本馬の場合もそうであった)だったため、片方の睾丸を摘出する手術を受けていた。そのために受精能力の低さを懸念する声もあったが、それほど影響は無かったようである。なお、エーピーインディも停留睾丸の手術を受けている。停留睾丸は遺伝性疾患であるとも言われており、本馬とエーピーインディは父が異なるので、これが遺伝性のものだとすれば母方から受け継いだものだと思われる。2004年に受精率低下のために種牡馬を引退。以降はレーンズエンドファームで余生を送っていたが、2009年9月に老衰による合併症のため22歳で他界した。

母父としてはベルモントS馬サマーバードやBCジュヴェナイル勝ち馬スティーヴィーワンダーボーイを出している。ちなみにスティーヴィーワンダーボーイの父スティーヴンガットイーヴンはエーピーインディ産駒なので、2代父に本馬とエーピーインディの兄弟が並ぶ血統となっている。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

1993

Delay of Game

スタイヴァサントH(米GⅢ)

1993

Golden Gale

ボーモントS(米GⅡ)

1993

Mackie

ブッシャーS(米GⅢ)

1994

River Squall

サラナクS(米GⅢ)・ホーソーンダービー(米GⅢ)

1994

Storm Song

BCジュヴェナイルフィリーズ(米GⅠ)・フリゼットS(米GⅠ)・アディロンダックS(米GⅡ)

1995

Early Warning

ディスカヴァリーH(米GⅢ)・クイーンズカウンティH(米GⅢ)・ギャラントフォックスH(米GⅢ)

1995

アイアムザプリンス

札幌2歳S(GⅢ)

1996

Capsized

フォースターデイヴH(米GⅢ)

1996

Charismatic

ケンタッキーダービー(米GⅠ)・プリークネスS(米GⅠ)・レキシントンS(米GⅡ)

1996

Ground Storm

スタイミーH(米GⅢ)

1997

Country Be Gold

アケダクトH(米GⅢ)

1997

Globalize

レーンズエンドスパイラルS(米GⅡ)・カリフォルニアジュヴェナイルS(米GⅢ)

1997

Postponed

ピーターパンS(米GⅡ)

1998

Summer Colony

パーソナルエンスンH(米GⅠ)・ラカナダS(米GⅡ)・モリーピッチャーBCH(米GⅡ)・レディーズH(米GⅢ)・ピムリコBCディスタフH(米GⅢ)・デラウェアH(米GⅢ)

1999

Summer Mis

サラブレッドクラブオブアメリカS(米GⅢ)

2001

Summer Symphony

ブリティッシュコロンビアBCオークス(加GⅢ)

2002

Summer Raven

テンプテッドS(米GⅢ)

2002

Summerly

ケンタッキーオークス(米GⅠ)・フェアグラウンズオークス(米GⅡ)・シルヴァービュレットデイS(米GⅢ)

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