カコイーシーズ
和名:カコイーシーズ |
英名:Cacoethes |
1986年生 |
牡 |
鹿毛 |
父:アリダー |
母:ケアレスノーション |
母父:ジェスター |
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GⅠ競走では好走すれどもなかなか勝ち切れないレースが続いたが種牡馬としては日本でダートの活躍馬を多く出したアリダーの後継種牡馬の1頭 |
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競走成績:2~4歳時に英仏米日で走り通算成績14戦4勝2着3回3着3回 |
誕生からデビュー前まで
米国の著名な映画プロデューサーで、カリフォルニア州において馬産も行っていたレイ・スターク氏と妻のフランシス夫人により生産された米国産馬で、ジェーン・ハリソン夫人の所有馬となり、英国ガイ・ハーウッド調教師に預けられた。
競走生活(2・3歳時)
2歳10月にアスコット競馬場で行われたリステッド競走オータムS(T8F)で、主戦となるグレヴィル・スターキー騎手を鞍上にデビュー。既に勝ち上がっていた大物の誉れ高いナシュワンが単勝オッズ1.67倍の1番人気で、前走のヘインズハンソン&クラークSで1位入線2着降着だったムーンフィッシュが単勝オッズ3.75倍の2番人気、本馬は既に8戦2勝の成績だったオプティミストと並んで単勝オッズ12倍の3番人気だった。レースはオプティミストが逃げてナシュワンが2番手、本馬は4番手の好位を進んだ。しかし前を捕らえることはできず、勝ったナシュワンから5馬身半差、2着オプティミストから1馬身半差の3着に敗退。2歳時の出走はこれだけだった。
3歳時は4月にブライトン競馬場で行われたプリンスオブウェールズグラデュエーションS(T10F)から始動して、単勝オッズ1.83倍の1番人気に支持された。前走で抑えて届かなかった反省からか、今回はスタートから積極的に先行。そして残り2ハロン地点から後続馬をどんどん引き離し、2着ドルプール(同年暮れの英チャンピオンSで2着する)に7馬身差をつけて圧勝した。次走のリングフィールドダービートライアルS(英GⅢ・T12F)では、前走のハーヴェスターグラデュエーションSを12馬身差で圧勝してきたパイレートアーミーが単勝オッズ1.57倍の1番人気に支持され、本馬は単勝オッズ3.5倍の2番人気だった。しかしレースでは先行した本馬が残り1ハロン地点で後続を引き離し、2着パイレートアーミーに4馬身差をつけて楽勝した。
そして英ダービー(英GⅠ・T12F)に駒を進めた。この英ダービーでは、英2000ギニーなど3戦無敗のナシュワンが単勝オッズ2.25倍の1番人気に支持され、本馬は遅れてきた大物として単勝オッズ4倍の2番人気の評価を受けた。他の主な出走馬は、英シャンペンS・デューハーストSの勝ち馬プリンスオブダンス、ダンテSを勝ってきたトルジョーン、プリドミネイトSの勝ち馬ワルシャン、ドンカスターグラデュエーションSを6馬身差で圧勝してきたイルドニスキーなどだった。スタートが切られると本馬陣営が用意したペースメーカー役のポーラーランが先頭に立ち、本馬はそれを見るように先行体勢を採った。そしてタッテナムコーナーを回りながら先頭に並びかけていったが、直線に入ってしばらくしたところで外側の好位から来たナシュワンに並ぶ間もなく差されると瞬く間に突き放されてしまった。さらに本馬は単勝オッズ501倍の最低人気馬テリモン(ただし2年後に英国際Sなどに勝ってカルティエ賞最優秀古馬に選出される実力馬だった)にも差されて、勝ったナシュワンから7馬身差、2着テリモンから2馬身差の3着に完敗した。
次走のキングエドワードⅦ世S(英GⅢ・T12F)では、単勝オッズ1.62倍の1番人気に支持された。ここでは後方待機策を採り、残り6ハロン地点からのロングスパートを仕掛けた。そして残り1ハロン地点で先頭に立つと、追い上げてきたグリーハムSの勝ち馬ザヤーニを3/4馬身差の2着に抑えて勝利した。
続いてキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS(英GⅠ・T12F)に出走。エクリプスSも勝ってきたナシュワンと3度目の対決となった。ナシュワンが単勝オッズ1.22倍という圧倒的な1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ7倍の2番人気、コロネーションC・サンクルー大賞を連勝してきたシェリフズスターが単勝オッズ11倍の3番人気、プリンセスオブウェールズSを勝ってきたバーデン大賞の勝ち馬キャロルハウスが単勝オッズ34倍の4番人気であり、今回も本馬がナシュワンの対抗馬と目された。スタートが切られるとジェフリーフリアSの勝ち馬トップクラスやキャロルハウスなどが先頭争いを演じて、ナシュワンは4番手、本馬は5番手、シェリフズスターがその後方につけた。3番手で直線に入ったナシュワンが残り2ハロン地点で先頭に立ったが、そこへ直線入り口5番手から追い上げてきた本馬が残り1ハロン地点で外側からナシュワンに並びかけるという、英ダービーとは逆の展開となった。ここから2頭による息詰まる攻防戦となったが、結局本馬の馬体がナシュワンの前に出ることは無く、首差で惜敗。英ダービーの雪辱はならなかった。それでも3着トップクラスには7馬身差をつけており、その高い能力を示すことには成功した。
続いて英国際S(英GⅠ・T10F110Y)に出走。古馬勢にはそれほど目立つ馬がおらず、前年の同競走勝ち馬シェイディハイツの姿もあったが、近走は絶不調であり評価されていなかった。そのため本馬が単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持され、プリンスオブウェールズSを勝っていたツータイミングが単勝オッズ6.5倍の2番人気、チャイルドSを勝ってきたマジックグリームが単勝オッズ10倍の3番人気と、3歳馬勢が上位人気を占めた。ところが勝ったのは2番手から直線で早めに抜け出した単勝オッズ17倍の4番人気だった4歳馬イルドシプルで、スタートで出遅れて直線入り口で5番手だった本馬はゴール前で左側によれた影響もあって届かず、1馬身半差の2着に敗れた。
その後は凱旋門賞(仏GⅠ・T2400m)に直行した。前哨戦のニエル賞で初黒星を喫したナシュワンは回避(そのまま引退)しており、ナシュワンに勝るとも劣らない大物だった仏ダービー・愛ダービーの勝ち馬オールドヴィックも不在とあって、かなりの混戦模様だった。主な出走馬は、プランスドランジュ賞など3戦無敗のインザウイングス、ガネー賞2連覇のセントアンドリュース、ヴェルメイユ賞を勝ってきたヤングマザー、サンタラリ賞の勝ち馬ベヘーラ、英オークスで1位入線(薬物検査に引っ掛かって翌年に失格となっている)していたアリーサ、フォワ賞を勝ってきた前年のロワイヤルオーク賞勝ち馬スターリフト、ナシュワンが敗れたニエル賞を勝ってきた後のアーリントンミリオン・ジャパンC勝ち馬ゴールデンフェザント、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS5着後に愛チャンピオンSを勝ってきたキャロルハウスなどだった。GⅠ競走には初出走だったインザウイングスが単勝オッズ4.7倍の1番人気に押し出され、本馬は単勝オッズ5.9倍の2番人気に推された。メンバー構成からしても大レース勝利の絶好のチャンスのはずだったのだが、鞍上がスターキー騎手からスティーブ・コーゼン騎手に代わっていた事が影響を及ぼしたのか、それとも過去に堅良馬場ばかり走ってきた本馬にとっては慣れない湿った馬場が悪かったのか、馬群の後方から直線で今ひとつ伸びずに、キャロルハウスの16着に終わった(それでもキャロルハウスとの着差は5馬身3/4差だった)。このレースを最後に3歳時7戦3勝の成績で休養入りとなり、この年はGⅠ競走制覇に至らなかった。
競走生活(4歳時)
4歳5月にグッドウッド競馬場で行われたリステッド競走グレアムS(T10F)で復帰した。新しく主戦となったレイ・コクレーン騎手と初コンビを組んだ本馬が単勝オッズ2倍の1番人気に支持され、愛ダービーでオールドヴィックの2着だったオブザベーションポストが単勝オッズ3倍の2番人気となった。本馬は馬群の中団後方からレースを進め、直線入り口5番手からの末脚で勝負したが、残り1ハロン地点で脚色が衰えてしまい、先行して抜け出した単勝オッズ13倍の4番人気馬リリーフピッチャーの4馬身半差4着に敗退した。
次走は前年に惜敗したキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS(英GⅠ・T12F)となった。前年の凱旋門賞こそ11着に終わったがこの年になってコロネーションC・サンクルー大賞を連勝してきたインザウイングス、長期休養明けの前走ハードウィックSで3着だったオールドヴィック、チェスターヴァーズまで3連勝して英ダービーで前売りオッズ1番人気に推されながら怪我で回避した愛ダービー3着馬ベルメッツ、アールオブセフトンSを勝ち前走のエクリプスSで2着してきた前年の英ダービー2着馬テリモン、プリンセスオブウェールズSを勝ってきたサピエンス、前年の英チャンピオンS勝ち馬リーガルケース、伊ジョッキークラブ大賞・ハードウィックS2回・セプテンバーSの勝ち馬で日本の柴田政人騎手が手綱を取るアサティスなどが対戦相手となった。インザウイングスが単勝オッズ4倍の1番人気、オールドヴィックが単勝オッズ5倍の2番人気で、本馬は単勝オッズ6.5倍の3番人気だった。スタートが切られるとオールドヴィックが先頭に立ち、ベルメッツや本馬がそれを追撃。直線に入るとベルメッツがオールドヴィックに並びかけて叩き合いに持ち込んだが、本馬はそれに付いていくことが出来なかった。そして後方から来たアサティスにも一気にかわされてしまった。結局はベルメッツがオールドヴィックを首差抑えて勝ち、本馬は3着アサティスからも5馬身差をつけられ、ベルメッツから6馬身3/4差の4着に終わった。
秋はグランドロッジS(英GⅢ・T12F)から始動した。セプテンバーSを勝ってきたロードオブザフィールド、ローズオブランカスターSで2着してきたアルファベル、ジョッキークラブSやハードウィックSで2着していたイルドニスキーなどを抑えて、単勝オッズ2.625倍の1番人気に支持された。レースではスタートから先頭に立って逃げ、そのまま押し切りを図ったが、2番手で追走してきた単勝オッズ8倍の5番人気馬イルドニスキーに残り1ハロン地点で並びかけられると、競り負けて半馬身差の2着に終わった。
その後は凱旋門賞には向かわず、北米大陸に遠征した。グランドロッジSの10日後、凱旋門賞と同日に行われたターフクラシックS(米GⅠ・T12F)のスターティングゲート内に、本馬とコクレーン騎手の姿はあった。対戦相手は、伊共和国大統領賞・ミラノ大賞・カールトンFバークHとGⅠ競走で3勝を挙げていたアルワウーシュ、ボーリンググリーンH・タイダルHを勝ちアーリントンミリオンでゴールデンフェザントの2着していた前年の加国三冠馬ウィズアプルーヴァルなどだった。レースでは積極的に先頭をひた走り、2着アルワウーシュに1馬身半差、3着ウィズアプルーヴァルにさらに鼻差をつけて逃げ切り優勝。ようやくGⅠ競走タイトルに手が届いた。
続いてターフクラシックSと同じベルモントパーク競馬場芝12ハロンで行われたBCターフ(米GⅠ・T12F)に参戦。キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS5着後にフォア賞を勝って臨んだ凱旋門賞で4着だったインザウイングス、その凱旋門賞とパリ大賞を勝っていたソーマレズ、ロスマンズ国際S・モーリスドニュイユ賞の勝ち馬フレンチグローリー、ケンタッキーダービー3着馬で2年後にエクリプス賞最優秀古馬牡馬に選ばれるプレザントタップ(タップダンスシチーの父)、ソードダンサー招待H2回・ハイアリアターフカップH・ボーリンググリーンHの勝ち馬エルセニョール、アルワウーシュ、ウィズアプルーヴァルなどが出走してきた。インザウイングスとフレンチグローリーのカップリングが単勝オッズ2.9倍の1番人気に支持され、ソーマレズが単勝オッズ3.7倍の2番人気、本馬は単勝オッズ6.8倍の3番人気となった。今回もスタートから先頭に立つ積極策を採ったが、直線に入る手前で既に手応えが怪しくなり、結局インザウイングスの9馬身1/4差9着に沈んだ。
すると今度は来日してジャパンC(日GⅠ・T2400m)に出走した。この年の外国馬勢のレベルは比較的高く、キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS勝利後にグレートヴォルティジュールSを勝って臨んだ凱旋門賞5着からの巻き返しを図るベルメッツ、コックスプレート・マッキノンS・ホンダS・ウィンフィールドS・レールウェイS・セジェンホーSとGⅠ競走6勝を挙げていた豪州最強馬ベタールースンアップ、前年の愛セントレジャー勝ち馬でゴールデンゲートH・サンセットHも勝っていた牝馬プティットイル、エヴリ大賞勝ち馬でサンクルー大賞・バドワイザー国際S2着の牝馬オード、前走のBCクラシックで2着してきたイタリア大賞・オイロパ賞・ベルリン銀行大賞・愛セントレジャーの勝ち馬イブンベイ、ヴィクトリアダービー・スプリングチャンピオンSと豪州GⅠ競走2勝のスタイリッシュセンチュリー、マンハッタンHの勝ち馬ファントムブリーズ、BCターフで4着だったアルワウーシュ、同7着だったフレンチグローリーが出走していた。対する日本馬勢は、前走天皇賞秋で大敗していたオグリキャップ、その天皇賞秋を勝ったヤエノムテキ、宝塚記念の勝ち馬オサイチジョージ、セントライト記念の勝ち馬で東京優駿3着・菊花賞2着のホワイトストーンなどが出走していたが、かなりハイレベルだった前年に比べると見劣りがしていた。キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDS勝ち馬として史上初めてジャパンCに参戦したベルメッツが単勝オッズ5.8倍の1番人気に支持され、4連勝中のベタールースンアップが単勝オッズ6.2倍の2番人気、本馬が単勝オッズ7.3倍の3番人気で、オグリキャップが同じ単勝オッズ7.3倍ながら僅差の4番人気、ホワイトストーンが単勝オッズ7.9倍の5番人気と続いていた。レースではオサイチジョージが逃げを打ち、本馬は4番手を追走。直線に入ってすぐに先頭に立って抜け出し、そのまま粘り込みを図ったが、ゴール前で外側からやってきたベタールースンアップとオードの2頭に差されて、勝ったベタールースンアップから半馬身差の3着に惜敗した。このレースを最後に、4歳時6戦1勝の成績で競走馬引退となった。
本馬は現役時代を通じて1度も4番人気以下に落ちた事は無く、その実力は誰もが認めるところだったようだが、先行して粘り切れず、後方から差して届かずというレースが多く、GⅠ競走に8回出走しながら結局1勝止まりに終わってしまった。
血統
Alydar | Raise a Native | Native Dancer | Polynesian | Unbreakable |
Black Polly | ||||
Geisha | Discovery | |||
Miyako | ||||
Raise You | Case Ace | Teddy | ||
Sweetheart | ||||
Lady Glory | American Flag | |||
Beloved | ||||
Sweet Tooth | On-and-On | Nasrullah | Nearco | |
Mumtaz Begum | ||||
Two Lea | Bull Lea | |||
Two Bob | ||||
Plum Cake | Ponder | Pensive | ||
Miss Rushin | ||||
Real Delight | Bull Lea | |||
Blue Delight | ||||
Careless Notion | Jester | Tom Fool | Menow | Pharamond |
Alcibiades | ||||
Gaga | Bull Dog | |||
Alpoise | ||||
Golden Apple | Eight Thirty | Pilate | ||
Dinner Time | ||||
Thorn Apple | Jamestown | |||
Last Straw | ||||
Miss Uppity | Nasrullah | Nearco | Pharos | |
Nogara | ||||
Mumtaz Begum | Blenheim | |||
Mumtaz Mahal | ||||
Nursery School | Count Gallahad | Sir Gallahad | ||
Anita Peabody | ||||
Kindergarten | Jacopo | |||
Grade |
父アリダーは当馬の項を参照。
母ケアレスノーションは米で走り12戦1勝。繁殖牝馬としては、本馬の半姉ファビュラスノーション(父サムシングファビュラス)【サンタスサナS(米GⅠ)・リンダヴィスタH(米GⅢ)】も産んでいる。ケアレスノーションの牝系子孫は発展しており、ファビュラスノーションの子にはファビュラスリーファスト【テストS(米GⅠ)】が、本馬の半姉ケアレスヴァージン(父ウイングアウト)の孫にはフィジー【ゲイムリーS(米GⅠ)・イエローリボンS(米GⅠ)】、曾孫にはジャヴァズウォー【ブルーグラスS(米GⅠ)】が、本馬の半妹ノットソーケアレス(父デザートワイン)の子にはサブオーディネーション【ハリウッドダービー(米GⅠ)・エディリードH(米GⅠ)・ジャマイカH(米GⅡ)・ブルックリンH(米GⅡ)・ベルモントBCH(米GⅡ)・ヒルプリンスS(米GⅢ)・フォートマーシーH(米GⅢ)】、孫にはケアレスジュエル【アラバマS(米GⅠ)】がいるなど、多くの活躍馬が登場している。ケアレスノーションの曾祖母の従兄弟には米国顕彰馬グランヴィル【ベルモントS・アーリントンクラシックS・トラヴァーズS・ローレンスリアライゼーションS】がいる。→牝系:F2号族①
母父ジェスターはトムフールの直子で、現役成績は18戦5勝、ベルモントフューチュリティSに勝っている。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は、マルゼンスキーの所有者として知られる橋本善吉氏により種牡馬シンジケートが組まれて、北海道日高の豊郷地区にあるトヨサトスタリオンステーションで種牡馬入りした。初年度の交配数は52頭、2年目は55頭、3年目は56頭、4年目は52頭、5年目も52頭で、6年目の1996年は67頭と、安定した交配数が確保されていた。初年度産駒は1994年にデビュー。当初の産駒成績は今ひとつだったが、1996年になってコンサートボーイが公営競馬で活躍し、シーズプリンセスがファンタジーSを勝つなどしたために人気が上昇し、供用7年目の1997年は106頭の繁殖牝馬を集めた。この年にコンサートボーイが帝王賞を制覇すると、その後も主に公営競馬を中心に活躍馬を送り続けた。種牡馬人気も高く、8年目の交配数は88頭、9年目は63頭、10年目は59頭、11年目は91頭、12年目は99頭、13年目は96頭と、人気種牡馬の地位を保ち続けた。そして14年目の2004年には、同年の川崎記念を勝ったエスプリシーズの活躍により、過去最高となる117頭の繁殖牝馬を集めた。しかしさすがにこの時期から老いが目立つようになり、15年目は58頭、16年目は51頭、17年目の2007年は42頭と交配数は下落した。この2007年に種牡馬シンジケートが解散した後もトヨサトスタリオンステーションで種牡馬生活を続け、翌年は22頭、翌2009年は6頭と交配。同年9月に心臓麻痺のため23歳で他界した。
本馬の産駒は中央競馬では今ひとつだったが、地方競馬では多くの活躍馬が登場している。中央競馬種牡馬ランキングでは1996年の35位が最高で、100位以内は8回だったが、地方競馬種牡馬ランキングでは2002年の3位を筆頭に、10位以内が10回、100位以内が19回だった。全日本種牡馬ランキングでは1997年の24位が最高で、100位以内が16回だった。いわゆる切れ味に欠けており、先行して粘るタイプの産駒が多いため、勝ち切れないことがしばしばあった。このあたりは良くも悪くも父の特徴が出ていたと言える。
主な産駒一覧
生年 |
産駒名 |
勝ち鞍 |
1992 |
コンサートボーイ |
帝王賞(GⅠ)・マイルグランプリ(南関GⅠ)2回・東京記念(南関GⅡ)・報知グランプリC(南関GⅢ)・金盃(大井) |
1993 |
キタサンシーズン |
埼玉新聞杯(南関GⅢ) |
1993 |
シンコウリーダー |
ステイヤーズC(H1) |
1994 |
カコイサンデー |
高知県知事賞(高知) |
1994 |
シーズプリンセス |
ファンタジーS(GⅢ) |
1995 |
カネショウシュホー |
しらさぎ賞(南関GⅢ) |
1995 |
サンクスメモリー |
東国賞(北関GⅡ)・尊氏賞(北関GⅢ) |
1995 |
ユニティステージ |
トゥインクルレディー賞(南関GⅡ)・京成盃グランドマイラーズ(南関GⅢ) |
1995 |
ロングイカロス |
小倉サマージャンプ(JGⅢ) |
1996 |
エビスジャパン |
黒潮盃(南関GⅡ) |
1998 |
ナミ |
エーデルワイス賞(GⅢ)・浦和桜花賞(南関GⅠ)・東京プリンセス賞(南関GⅠ)・トゥインクルレディー賞(南関GⅡ)・ゴールデンティアラ賞(南関GⅡ)・スーパーCS(南関GⅡ) |
1999 |
エスプリシーズ |
川崎記念(GⅠ)・東京湾C(南関GⅢ)・船橋記念(南関GⅢ)・京成盃グランドマイラーズ(南関GⅢ)・報知オールスターC(南関GⅢ) |
1999 |
ディーエスアロー |
華月賞(H3) |
1999 |
プルザトリガー |
エンプレス杯(GⅡ)・トゥインクルレディー賞(南関GⅡ)・TCKディスタフ(南関GⅢ) |
2000 |
ディーエスメイドン |
東京プリンセス賞(南関GⅠ) |
2001 |
ブルーロバリー |
東京プリンセス賞(南関GⅠ) |
2002 |
ウツミジョンソン |
若駒賞(盛岡)・阿久利黒賞(水沢) |
2002 |
メイプルエイト |
金盃(南関GⅡ) |
2002 |
ランアップ |
九州ジュニアグランプリ(KG2) |
2003 |
アスターバジル |
黒潮盃(南関GⅡ) |
2003 |
ウインドファンタジ |
園田ジュニアC(園田)・園田ユースC(園田) |
2003 |
ミスジョーカー |
東京シンデレラマイル(SⅢ) |
2004 |
エスプリベン |
クラウンC(SⅢ)・報知オールスターC(SⅢ) |
2004 |
グローリーソング |
若駒賞(盛岡) |
2004 |
プラネットワールド |
建依別賞(高知) |
2005 |
ヴァイタルシーズ |
ハイセイコー記念(SⅡ)・鎌倉記念(SⅢ) |
2005 |
ノーブルシーズ |
北日本新聞杯(金沢)・MRO金賞(金沢)・サラブレッド大賞典(金沢)・北國王冠(金沢)・中日杯(金沢)・百万石賞(金沢) |
2005 |
ミスティックダイヤ |
道営スプリント(H2) |
2006 |
アラベスクシーズ |
北海優駿(H1) |
2006 |
ツクシヒメ |
黒潮盃(SⅡ)・TCKディスタフ(SⅢ) |
2007 |
ウィークリーショウ |
鞆の浦賞(福山) |
2007 |
コウユーヒーロー |
大村湾賞(S2) |
2008 |
ピエールタイガー |
北海優駿(H1)・マイルグランプリ(SⅡ) |