パセアナ
和名:パセアナ |
英名:Paseana |
1987年生 |
牝 |
鹿毛 |
父:アーマド |
母:パシフリン |
母父:フリンサム |
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3歳年上のバヤコアに続いて亜国から米国に渡りBCディスタフなど米国GⅠ競走10勝を挙げて2年連続のエクリプス賞最優秀古馬牝馬に輝く |
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競走成績:3~8歳時に亜米で走り通算成績36戦19勝2着9回3着2回 |
競走生活(亜国時代)
亜国ヴァカシオン牧場の生産馬で、デビューも亜国だった。3歳8月にサンイシドロ競馬場で行われたセリート賞(T1400m)で、主戦となるM・サラティ騎手を鞍上にデビューして、2着ラカラダに1馬身半差で勝利。3週間後に同コースで行われたバルアルテ賞(T1400m)では、2着キャラメルトスに4馬身差をつけて圧勝した。翌9月にはフランシスコJビーズリー賞(亜GⅡ・D1800m)に出て、2着シルヴァービューティに1馬身半差で勝利した。
さらに10月の亜オークス(亜GⅠ・D2000m:正式名称はセレクシオン大賞)に出走したが、ここではGⅠ競走ホルヘデアトゥーチャ大賞で2着していたカンパーニャルデ、前走で負かしたシルヴァービューティの2頭に屈して、勝ったカンパーニャルデから8馬身半差の3着に敗れた。しかし11月のエンリケアセバル大賞(亜GⅠ・T2000m)では2着プーピィヒルに4馬身差で圧勝した。12月にはスペイン語で銀杯の意味であるコパデプラッタ大賞(亜GⅠ・T2000m)に出たが、エンリケアセバル大賞で本馬の3着だったジュエレリーの10馬身差7着に敗れた(カンパーニャルデが3着だった)。
その後はしばらく休養し、翌1991年の5月にフェデリコデアルベアール賞(亜GⅡ・T1900m)で復帰した。しかしここでは前年のコパデプラッタ大賞で本馬に先着する2着に入っていたファイルの2馬身半差4着に敗れた。次走のアブリル賞(亜GⅡ・T1800m)では、2着イニミタブルに2馬身半差で快勝した。3歳時の成績は8戦5勝だった。
競走生活(1991年:米国移籍後)
4歳になった本馬は、世界的に有名な健康管理・減量サービス提供会社であるジェニー・クレイグ社の創設者ジェニー・クレイグ夫人とシドニー・クレイグ氏の夫婦により購入され、米国に移籍することになった。クレイグ夫妻はこの時期に世界各国から素質のある馬を入手しており、本馬を購入した少し後には英ダービー馬となるドクターデヴィアスも購入している。本馬は米国カリフォルニア州を本拠地としていたロン・マッカナリー調教師に預けられた。マッカナリー師はかつて名馬ジョンヘンリーを手掛けて名を馳せた人物だった。
移籍初戦は1991年の10月にサンタアニタパーク競馬場で行われたマンタH(D8.5F)となった。ここではチュラヴィスタHを勝ってきたヴィエイユヴィニュ、チュラヴィスタHで2着だったフォーミダブルレディ、亜国のGⅠ競走ポトランカス大賞などを勝った後に米国に移籍していたラチャーラタナなどが対戦相手となった。ヴィエイユヴィニュが単勝オッズ2.8倍の1番人気、クリス・マッキャロン騎手とコンビを組んだ本馬が単勝オッズ3.2倍の2番人気、フォーミダブルレディが単勝オッズ4.6倍の3番人気、ラチャーラタナが単勝オッズ5.7倍の4番人気だった。3番手でレースを進めた本馬は、先に抜け出したラチャーラタナを直線で追撃したが、2馬身届かずに2着に敗れた。しかしマッキャロン騎手は本馬の素質を評価したようで、本馬が競走馬を引退するまでの全競走に騎乗することになる。
翌11月にはシルヴァーベルズH(米GⅡ・D8.5F)に出走。リンダヴィスタBCHを勝ってきたナイスアッセイ(サンタアニタH勝ち馬ケイムホームの母)、4戦3勝のダムウッド(日本で走って根岸Sを勝ったセレクトグリーンの母)、亜国のGⅡ競走カルロストムキンスン賞を勝った後に米国に移籍してサンタマリアH・ミレイディHで2着していたルナエレガンテ、前走4着のフォーミダブルレディなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ2.7倍の1番人気、ナイスアッセイが単勝オッズ3.6倍の2番人気、ダムウッドが単勝オッズ4.8倍の3番人気、ルナエレガンテが単勝オッズ5.5倍の4番人気となった。スタートが切られるとダムウッドが先手を取ったが、本馬も積極的にそれに絡んで2頭が後続を引き離して逃げる展開となった。そしてその状態のまま直線に入ると、本馬が一気にダムウッドを突き放し、最後は5馬身半差をつけて勝利した。
競走生活(1992年前半)
翌年は1月のサンゴルゴニオH(米GⅡ・D9F)から始動した。対戦相手は、ビヴァリーヒルズH・ウィルシャーHの勝ち馬リラクタントゲスト(ゴールドアリュールの祖母)、亜国でコパデプラッタ大賞・ラミッション大賞とGⅠ競走2勝を挙げた後に米国に移籍していたローレライ、パロマーH2着馬アガールフロムアルスの3頭のみだった。本馬が単勝オッズ1.6倍の1番人気、リラクタントゲストが単勝オッズ4.6倍の2番人気、ローレライが単勝オッズ5.2倍の3番人気、アガールフロムアルスが単勝オッズ6.3倍の最低人気となった。レースはアガールフロムアルスが逃げて、本馬はそれから少し離れた2番手を追走。やがてアガールフロムアルスが失速すると代わりに先頭に立ち、そのまま直線を押し切って2着ローレライに2馬身半差をつけて勝利した。
続いて米国GⅠ競走初参戦となるサンタマリアH(米GⅠ・D8.5F)に出走。オペラ賞の勝ち馬カラーチャート(BCジュヴェナイルフィリーズ勝ち馬テンペラの母)、亜国のGⅡ競走リカルドエゼクァイエル&エゼクァイエルフェルナンデスグエリコ賞を勝った後に米国に移籍してサンタモニカHを勝ってきたララミームーン、かつて亜オークスで本馬を破って勝利した後に本馬より先に米国に移籍して既にラモナHで米国GⅠ競走勝ちを収めていたカンパーニャルデなど4頭が対戦相手となった。120ポンドの本馬が単勝オッズ1.8倍の1番人気、118ポンドのカラーチャートが単勝オッズ4.1倍の2番人気、117ポンドのララミームーンが単勝オッズ4.8倍の3番人気、117ポンドのカンパーニャルデが単勝オッズ6.8倍の4番人気となった。スタートから本馬とララミームーンの2頭が先頭争いを演じた。そして直線に入ると失速するララミームーンを尻目に末脚を伸ばし、追い込んできた2着カラーチャートに2馬身半差をつけて完勝した。
次走はサンタマルガリータ招待H(米GⅠ・D9F)となった。対戦相手は、カラーチャート、前走3着のカンパーニャルデ、同4着のララミームーン、ローレライの4頭で、カラーチャート以外は全て亜国産馬だった。この4頭は本馬が過去2戦で破った馬ばかりであり、122ポンドの本馬が単勝オッズ1.4倍の1番人気に支持され、118ポンドのカラーチャートが単勝オッズ4.1倍の2番人気、116ポンドのカンパーニャルデが単勝オッズ9.9倍の3番人気、114ポンドのローレライが単勝オッズ11.6倍の4番人気、116ポンドのララミームーンが単勝オッズ18倍の最低人気となった。ここではララミームーンを先に行かせて、2馬身ほど離れた2番手を追走。直線に入ってからララミームーンをかわすと、そのまま2着に粘ったララミームーンに2馬身1/4差をつけて勝利した。
その後は米国中南部のアーカンソー州にあるオークローンパーク競馬場に遠征して、4月のアップルブロッサムH(米GⅠ・D8.5F)に出走した。対戦相手は7頭いたが、実績がある馬は、ルイビルBCH・チャーチルダウンズディスタフH・ランパートH・ターフウェイBCSの勝ち馬フィットフォーアクイーン、ハリウッドスターレットS・ジュニアミスS・オークローンBCHの勝ち馬カドルスの2頭くらいだった。124ポンドの本馬が単勝オッズ1.4倍の1番人気、121ポンドのフィットフォーアクイーンが単勝オッズ4倍の2番人気、117ポンドのカドルスが単勝オッズ8.7倍の3番人気となった。ここではフィットフォーアクイーンやカドルスなど前3頭による先行争いが激しくなったため、4番手の好位を慎重に追走。四角で先頭のフィットフォーアクイーンを捕らえると、後は直線を独走して、2着フィットフォーアクイーンに4馬身半差をつけて完勝した。
西海岸に戻った本馬の次走は6月のミレイディH(米GⅠ・D8.5F)となった。ハリウッドオークス・モンマスオークス・ルイビルBCHの勝ち馬ファウダ、チリのGⅠ競走アラデチリ賞・チリ競馬場大賞を勝った後に米国に移籍してホーソーンHを勝ってきたサクラメンタダ、マンタHで本馬を破った後に出走したホーソーンHで4着に終わっていたラチャーラタナ、亜国のGⅠ競走ミルギネアス大賞を勝った後に米国に移籍してダリアHを勝っていたレトス(日本で走ってGⅡ競走で2着4回だったコイントスの母)などが対戦相手となった。125ポンドの本馬が単勝オッズ1.4倍の1番人気、119ポンドのファウダが単勝オッズ7.1倍の2番人気、118ポンドのサクラメンタダが単勝オッズ7.5倍の3番人気、116ポンドのラチャーラタナが単勝オッズ11.7倍の4番人気となった。ここでは他馬勢が本馬を先に行かせまいと積極的に飛ばしたため、本馬は後方2番手の位置取りとなった。しかし慣れない位置取りでも本馬には特に影響が無かったようで、四角で一気に位置取りを上げると直線半ばで先頭に立ち、最後方から2着に追い込んできた単勝オッズ40.6倍の6番人気馬レトスに2馬身3/4差をつけて勝利した。
翌月のヴァニティH(米GⅠ・D9F)では、レトス、前走3着のファウダ、サンタマルガリータ招待Hで4着だったカンパーニャルデ、サンタマルガリータ招待H2着後に出走したアグリームHでは6着だったララミームーンなどが対戦相手となった。127ポンドの本馬が単勝オッズ1.3倍の1番人気、118ポンドのファウダと115ポンドのカンパーニャルデのカップリングが単勝オッズ4.7倍の2番人気、116ポンドのララミームーンが単勝オッズ9.5倍の3番人気、115ポンドのレトスが単勝オッズ12倍の4番人気となった。今回はペースがそれほど速くなかったためか、ファウダと共に先頭争いを展開。直線に入ったところでファウダを楽に振り切ると、2着ファウダに2馬身差で勝利した。
競走生活(1992年後半)
次走のパシフィッククラシック(D10F)は、初の牡馬混合戦だった。カリフォルニアンS・サンバーナーディノH・マーヴィンルロイHなどを勝っていたアナザーレビュー、ドンH・ガルフストリームパークH・フィリップHアイズリンHなどを勝っていたジョリーズヘイロー、マンノウォーS・チャールズHストラブS・エクセルシオールHなどを勝っていたディフェンシヴプレイといった有力牡馬勢が対戦相手となった。本馬が単勝オッズ2.7倍の1番人気、アナザーレビューが単勝オッズ3.4倍の2番人気、ジョリーズヘイローが単勝オッズ4倍の3番人気、ディフェンシヴプレイが単勝オッズ8.1倍の4番人気となった。スタートが切られると、単勝オッズ25.5倍の最低人気だったガリニュールSの勝ち馬ミッショナリーリッジがスタートから先頭を引っ張り、本馬は2~3番手を追走した。しかし直線に入ると本馬は失速。レースはミッショナリーリッジがそのまま逃げ切って勝ってしまい、本馬は6馬身1/4差をつけられた5着と完敗を喫した。連勝は7で止まり、本馬はこの後に牡馬混合戦に出走することは無かった。
秋シーズンはガルフストリームパーク競馬場で行われるBCディスタフを目指して東上。まずはキーンランド競馬場に立ち寄ってスピンスターS(米GⅠ・D9F)に出走した。ヴァニティH2着後にチュラヴィスタHでも2着していたファウダ、前年にケンタッキーオークス・CCAオークス・ラスヴァージネスS・サンタアニタオークスなどを勝っていたライトライト(日本で走ってさきたま杯・兵庫ゴールドトロフィーに勝ったゲイリーイグリットの母)、一昨年にスピナウェイS・メイトロンS・フリゼットSなど7戦全勝の成績を残してエクリプス賞最優秀2歳牝馬に選ばれ3歳時もエイコーンS・マザーグースSを勝ちCCAオークスで2着していたメドウスター、テンプテッドSの勝ち馬デピュテーションなどが対戦相手となった。定量戦ということもあって斤量面の不利は無く、本馬が単勝オッズ1.5倍という断然の1番人気、ファウダが単勝オッズ7.4倍の2番人気、ライトライトが単勝オッズ8倍の3番人気、メドウスターが単勝オッズ11.7倍の4番人気となった。しかし慣れない土地でのレースだったためなのか、本馬はスタートから反応が悪く、道中は5番手を追走した。それでも四角で位置取りを上げると、スタートから逃げていたファウダを追撃。しかし2馬身1/4差届かずに2着に敗れた。それでも3着メドウスターには6馬身差をつけていたから、それほど悲観する内容でもなかった。
そして20日後のBCディスタフ(米GⅠ・D9F)に向かった。本馬の父アーマドは亜国の名種牡馬ではあったが、ブリーダーズカップ登録はさすがに無く、陣営は20万ドルもの追加登録料を支払った。対戦相手は、ガゼルH・ベルデイムS・カムリーSを勝ちアラバマSで2着していたこの年10戦8勝の3歳馬サラトガデュー(この年のエクリプス賞最優秀3歳牝馬に選出)、本馬と同馬主(ただし厩舎は異なる)のエルエンシノS・ラカナダS・チュラヴィスタHの勝ち馬エクスチェンジ(後にサンタアナH・サンタバーバラH・メイトリアークSとGⅠ競走3勝をマーク)、テストS・アラバマS・ガゼルH・モリーピッチャーH・ラフィアンHの勝ち馬でエイコーンS・ベルデイムS2回・BCディスタフ・ジョンAモリスHとGⅠ競走2着が5回あったヴェルサイユトリーティ、ファウダ、前走3着のメドウスター、同4着のライトライト、欧州でチェヴァリーパークS・愛1000ギニー・コロネーションS・サセックスS・クイーンメアリーSを勝ち英1000ギニーで2着していたマーリング、ハリウッドスターレットS・ラスヴァージネスS・リンダヴィスタBCHの勝ち馬でサンタアニタオークス2着のマジカルメイドン、シュヴィーH・ヘンプステッドH・バレリーナSとGⅠ競走3戦を含む6戦連続2着中のハーバークラブ、ファーストフライトHを勝ってきたジョンAモリスH3着馬シェアードインタレスト(BCジュヴェナイルフィリーズ勝ち馬キャッシュランやキングズビショップS勝ち馬フォレストリーの母)、フィリーズマイル・マルセルブサック賞・仏1000ギニー・ロウザーSを勝ちコロネーションSで2着していた前年のカルティエ賞最優秀2歳牝馬カルチャーヴァルチャーなどだった。サラトガデューが単勝オッズ3倍の1番人気、本馬とエクスチェンジのカップリングが単勝オッズ3.7倍の2番人気、ヴェルサイユトリーティが単勝オッズ4.7倍の3番人気、ファウダが単勝オッズ9.3倍の4番人気、マーリングが単勝オッズ9.5倍の5番人気となった。
スタートが切られるとサラトガデューが果敢に先頭に立ち、大外14番枠発走だった本馬は無理に先行せずに5番手の好位を追走して、向こう正面で3番手に押し上げた。三角でサラトガデューが失速すると本馬が代わって先頭を奪取。そのまま直線に突入すると後続馬を突き放し、2着ヴェルサイユトリーティに4馬身差をつけて圧勝。これで完全に米国牝馬の頂点に立った。この年は9戦7勝の成績で、エクリプス賞最優秀古馬牝馬に選出された。
競走生活(1993年前半)
翌1993年は本馬の斤量が128ポンド以上になるような事は無かったが、その代わりに他馬の斤量が抑えられるようになり、他馬勢との斤量差は前年の各競走より大きくなることが多くなった。まず2月のサンタマリアH(米GⅠ・D8.5F)から始動した。ファンタジーS・プリンセスSの勝ち馬レースザワイルドウインド、サンゴルゴニオHを勝ってきたサザントゥルース、前年のヴァニティH3着後にラモナHで2着していたレトス、BCディスタフで6着だったライトライトなどが対戦相手となった。他馬より9~15ポンド重い127ポンドが課せられた本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気、117ポンドのレースザワイルドウインドが単勝オッズ3.7倍の2番人気、116ポンドのサザントゥルースが単勝オッズ5.7倍の3番人気、115ポンドのレトスが単勝オッズ10.8倍の4番人気となった。レースでは3番手を追走したが、9ポンドのハンデを与えたレースザワイルドウインドの逃げ切りを許してしまい、2馬身1/4差の2着に敗れた。
続いてサンタマルガリータH(米GⅠ・D9F)に出走。ラカナダSを勝ってきたアリスベル(日本でアメリカジョッキークラブC・アルゼンチン共和国杯を勝ったマチカネキンノホシの母)、前走3着のサザントゥルース、同4着のライトライト、前年のヴァニティH5着後はあまり好成績を挙げていなかったカンパーニャルデなどが対戦相手となった。他馬勢より8~13ポンド重い125ポンドの本馬が単勝オッズ1.4倍の1番人気、117ポンドのアリスベルが単勝オッズ6.1倍の2番人気、115ポンドのサザントゥルースが単勝オッズ8倍の3番人気、116ポンドのカンパーニャルデが単勝オッズ14.5倍の4番人気となった。スタートが切られると、本馬より10ポンド斤量が軽いサザントゥルースと本馬が先頭争いを演じた。この2頭の戦いは直線に入った後も続いたが、最後の一完歩でサザントゥルースが前に出て、本馬は頭差の2着に惜敗した。
その後は前年に引き続きアップルブロッサムH(米GⅠ・D8.5F)に向かった。対戦相手は、サザントゥルース、ネクストムーヴBCH・スノーグースHを連勝してきたロートレランス、サンタイネスBCSの勝ち馬でハリウッドスターレットS2着のルーイーカポウティなどだった。他馬勢より7~12ポンド重い124ポンドの本馬が単勝オッズ1.4倍の1番人気、117ポンドのサザントゥルースが単勝オッズ4.8倍の2番人気、116ポンドのロートレランスが単勝オッズ7.5倍の3番人気、115ポンドのルーイーカポウティが単勝オッズ12.3倍の4番人気となった。レースでは、ルーイーカポウティやサザントゥルースなどが先頭争いを演じ、本馬は4番手の好位を追走した。しかし124ポンドの斤量なら本馬の末脚に決定的な影響を及ぼすことは無かったようで、四角で瞬く間に位置取りを上げると直線入り口で先頭に立ち、2着ルーイーカポウティに3馬身半差をつけて完勝した。
その後は地元に戻ってミレイディH(米GⅠ・D8.5F)に出走。比較的骨がある相手は、アグリームHを勝ってきたボールドウインディ、サンタマリアH5着後に出走したホーソーンHで4着だったレトス、デルマーデビュータントSの勝ち馬で一昨年のBCジュヴェナイルフィリーズ2着のラスピアくらいであった。他馬勢より9~12ポンド重い125ポンドの本馬が単勝オッズ1.4倍の1番人気、114ポンドのボールドウインディが単勝オッズ9.3倍の2番人気、116ポンドのレトスが単勝オッズ9.8倍の3番人気、114ポンドのラスピアが単勝オッズ10.2倍の4番人気となった。レースでは最初に馬群の中団につけて、徐々に位置取りを上げていく無難は走りを見せた。直線ではボールドウインディ、レトスとの三つ巴の勝負となったが、本馬が2着ボールドウインディに半馬身差、3着レトスにもさらに半馬身差をつけて勝利した。
次走のヴァニティH(米GⅠ・D8.5F)では、ボールドウインディ、レトス、サンタマルガリータHの次走ミスアメリカHも勝ったがその後は4連敗していたサザントゥルースなどとの顔合わせとなった。実力的には本馬が群を抜いているのは明らかであり、本馬には他馬勢より10~13ポンドも重い126ポンドが課せられることになった。それでも本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持され、116ポンドのレトスが単勝オッズ4.6倍の2番人気、115ポンドのボールドウインディが単勝オッズ9.5倍の3番人気となった。レースは単勝オッズ15.5倍の7番人気まで評価を下げていたサザントゥルースが逃げを打ち、本馬は好位を追走した。そして三角で先頭に立ち、そのまま直線を押し切ろうとした。しかし追い込みに賭けたレトスにゴール前でかわされてしまい、1馬身1/4差の2着に敗れた。
競走生活(1993年後半)
この年のBCディスタフは地元のサンタアニタパーク競馬場で行われる事になっていたのだが、その前に再度東上して、ベルモントパーク競馬場でラフィアンH(米GⅠ・D8.5F)に出走した。マザーグースS・CCAオークス・シュヴィーH・ヘンプステッドH・スカイラヴィルSの勝ち馬でスピナウェイS2着のターンバックジアラーム、ケンタッキーオークス・ガゼルH・ボニーミスSの勝ち馬でマザーグースS2着の3歳馬ディスピュート、トップフライトH・ジョンAモリスHを連勝してきたユードビーサプライズド、前年のBCディスタフ11着後にシュヴィーH2着・トップフライトH3着していたシェアードインタレストの4頭が対戦相手となった。125ポンドの本馬が単勝オッズ2.2倍の1番人気、123ポンドのターンバックジアラームが単勝オッズ3.5倍の2番人気、115ポンドのディスピュートが単勝オッズ4.2倍の3番人気、118ポンドのユードビーサプライズドが単勝オッズ5.5倍の4番人気、114ポンドのシェアードインタレストが単勝オッズ14.4倍の最低人気となった、スタートが切られるとシェアードインタレストが先頭に立ち、本馬は3番手の好位につけた。ところが本馬は徐々に後退していき、直線ではまったく伸びずに、勝ったシェアードインタレストから21馬身差、4着馬ユードビーサプライズドからも13馬身も離された5着最下位に沈んでしまった。惨敗の原因は不明だが、本馬が米国東海岸で走ったのはこれが最初で最後となった。
西海岸に戻る途中でスピンスターS(米GⅠ・D9F)に出走。ターフウェイBCSを勝ってきたグレイキャッシュメア、ポストデブS・モンマスオークス・コティリオンHの勝ち馬ジャコディ、CCAオークスとアラバマSで2着だったフューチャープリテンス、一昨年のスピンスターSとチャーチルダウンズバドワイザーBCH・モリーピッチャーHなどを勝っていた前年のソヴリン賞最優秀古馬牝馬ウィルダネスソング、前年のBCディスタフ9着後は2戦未勝利だったファウダなどが対戦相手となった。定量戦のため斤量差に悩まされる必要が無くなった本馬が単勝オッズ2.2倍の1番人気に支持され、グレイキャッシュメアが単勝オッズ5.7倍の2番人気、ジャコディが単勝オッズ6.1倍の3番人気、フューチャープリテンスが単勝オッズ9.6倍の4番人気、ウィルダネスソングが単勝オッズ10倍の5番人気となった。レースでは逃げるグレイキャッシュメアから少し離れた4番手を追走。直線に入るとグレイキャッシュメアに並びかけて差し切り、1馬身差をつけて勝利した。
そして西海岸に戻ってきた本馬は、連覇を目指してBCディスタフ(米GⅠ・D9F)に出走した。ハリウッドオークス・デルマーオークス・レディーズシークレットSなど4連勝中のハリウッドワイルドキャット、エイコーンS・マザーグースS・CCAオークス・メイトロンS・アラバマS・アディロンダックS・レアパフュームSを勝っていた目下5連勝中のニューヨーク牝馬三冠馬スカイビューティ、ラフィアンH2着後にベルデイムSを勝ってきたディスピュートの3歳馬3頭が強敵だった。ハリウッドワイルドキャットが単勝オッズ2.3倍の1番人気、本馬が単勝オッズ3.5倍の2番人気、スカイビューティが単勝オッズ5.3倍の3番人気、ディスピュートが単勝オッズ5.5倍の4番人気、ヴァニティH勝利後は3連敗していたレトスが単勝オッズ19.4倍の5番人気、イエルバブエナHの勝ち馬でサンタアナH2着のパーティサイティドが単勝オッズ42.9倍の6番人気、前年のBCディスタフ3着後にチュラヴィスタHを勝っていたマジカルメイドンが単勝オッズ48.6倍の7番人気だったから、4強による対決と目されていた。
スタートからハリウッドワイルドキャットが2番手につけ、本馬はディスピュートと並んで3~4番手を追走した。三角に入るとハリウッドワイルドキャットが先頭に立ち、本馬もディスピュートを置き去りにして進出を開始。四角途中でハリウッドワイルドキャットに並びかけて叩き合いに持ち込んだ。2頭の激しい一騎打ちはゴールまで続いたが、最後はハリウッドワイルドキャットが鼻差で勝利し、本馬は2着に惜敗した(最後方から追い込んだレトスが2馬身半差の3着に入った)。この年は8戦3勝の成績だったが、2年連続でエクリプス賞最優秀古馬牝馬のタイトルを獲得した。
競走生活(1994年)
翌1994年は前年に引き続き、2月のサンタマリアH(米GⅠ・D8.5F)から始動した。前年のBCディスタフでは最低人気で6着だったがエルエンシノSを勝って勢いに乗るスパージェム、エルエンシノSで2着だったセンセーショナルアイズ、前年のBCディスタフで8着最下位だったパーティサイティド、前年のサンタマルガリータH8着後は4戦全敗だったアリスベルなどが対戦相手となった。他馬勢より8~10ポンド重い124ポンドの本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気、114ポンドのセンセーショナルアイズが単勝オッズ4.3倍の2番人気、116ポンドのスパージェムが単勝オッズ6.7倍の3番人気、116ポンドのパーティサイティドが単勝オッズ11.6倍の4番人気、116ポンドのアリスベルが単勝オッズ13.4倍の5番人気となった。レースでは3番手の好位を追走し、直線に入ると、逃げるスパージェム、最後方から追い込んできたアリスベルとの三つ巴の勝負となった。最後はスパージェムが勝ち、本馬は鼻差の2着、さらに鼻差の3着がアリスベルだった。
続いてサンタマルガリータH(米GⅠ・D9F)に向かった。アリスベル、前走4着のセンセーショナルアイズ、リンダヴィスタBCH・ラカナダSを勝ってきたストルクリーク、レトス、ダリアHの勝ち馬カリータメロディ、欧州でダルマイヤー大賞・プリティポリーS・メルドSを勝ち愛1000ギニー・愛オークスで2着した後に米国に移籍してきたが現時点では結果を出せていなかったマーケットブースターなどが対戦相手となった。本馬と他馬勢との斤量差はやや縮まり、4~10ポンド重い123ポンドだった。本馬が単勝オッズ2.1倍の1番人気、113ポンドのセンセーショナルアイズが単勝オッズ4.7倍の2番人気、116ポンドのアリスベルが単勝オッズ4.8倍の3番人気、119ポンドのストルクリークが単勝オッズ9.6倍の4番人気となった。スタートが切られると、単勝オッズ42.2倍の最低人気だったマーケットブースターが逃げを打ち、本馬は最近の常套手段となっている好位追走策を採った。そして四角で位置取りを上げると直線入り口で先頭に立ち、2着に粘った単勝オッズ35.2倍の7番人気馬カリータメロディに2馬身3/4差をつけて快勝した。
この後に長期休養に入った本馬は、8月にデルマー競馬場で行われたチュラヴィスタH(米GⅡ・D8.5F)で復帰した。対戦相手は、一昨年のBCディスタフ8着後にサンタアナH・サンタバーバラHを勝ちヴァニティHで2着していた同馬主のエクスチェンジ、前年のBCディスタフで7着だった前年の同競走の勝ち馬マジカルメイドン、シルヴァーベルズH・アグリームH・ホーソーンHの勝ち馬ゴールデンクレアの3頭のみだった。123ポンドの本馬と120ポンドのエクスチェンジのカップリングが単勝オッズ1.3倍の1番人気、118ポンドのマジカルメイドンが単勝オッズ4.1倍の2番人気、118ポンドのゴールデンクレアが単勝オッズ4.6倍の最低人気となった。斤量的にはトップハンデの本馬から最軽量まで5ポンド差とそれほどでもなかったが、レースは出走全馬に勝つ機会があるほどの意外な大接戦となった。逃げたマジカルメイドン、少し離れた2番手を走ったエクスチェンジ、さらに少し離れた3番手の本馬、そして大きく離された最後方だったゴールデンクレアの4頭が直線では団子状態となり、出走全馬による直線の叩き合いが展開された。しかし最後に本馬が僅かに前に出て勝利し、鼻差の2着がエクスチェンジ、さらに3/4馬身差の3着がマジカルメイドン、さらに首差の4着がゴールデンクレアで、勝ち馬から最下位まで1馬身差という、ハンデキャッパーの慧眼を讃えるべき凄い戦いだった。しかし本馬はこのレース後に再度長期休養に入り、この年は3戦2勝の成績に留まった。
競走生活(1995年)
8歳になる1995年も現役を続行。まずは4年連続となるサンタマリアH(米GⅠ・D8.5F)に出走した。本馬が休んでいる間に米国牝馬路線の世代交代は着実に進行しており、このレースの対戦相手も、サンタモニカHを勝ってきたキーフレイズ、サンゴルゴニオHを勝ってきたクイーンズコートクイーン、ビヴァリーヒルズHを勝っていたコラゾナなど、本馬にとっては全く馴染みが無い馬ばかりだった。117ポンドのキーフレイズが単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持され、長期休養明けで123ポンドのトップハンデだった本馬が単勝オッズ3.2倍の2番人気、120ポンドのコラゾナが単勝オッズ4.9倍の3番人気、118ポンドのクイーンズコートクイーンが単勝オッズ7.5倍の4番人気となった。レースはキーフレイズにクイーンズコートクイーンが絡んで先頭を争い、本馬は後方で様子を見た。そして直線では2番手まで押し上げてきたが、直線でキーフレイズを振り切って独走態勢に入ったクイーンズコートクイーンには届かず、4馬身半差の2着に敗れた。
次走はこれまた4年連続出走となるサンタマルガリータH(米GⅠ・D9F)となった。対戦相手はクイーンズコートクイーン、エルエンシノSを勝ってきたクラッシーキムなどだった。120ポンドのクイーンズコートクイーンが単勝オッズ2.1倍の1番人気、123ポンドの本馬が単勝オッズ2.3倍の2番人気、116ポンドのクラッシーキムが単勝オッズ6.2倍の3番人気となった。レースはクラッシーキムが逃げて、クイーンズコートクイーンが2番手を追走、その後方3番手に本馬がつける展開となった。直線に入るとクイーンズコートクイーンがクラッシーキムをかわして先頭に立ち、逃げ込みを図った。そこへ本馬も追い上げてきたが、全盛期のような末脚はもはや無く、クラッシーキムを半馬身かわすのが精一杯で、クイーンズコートクイーンの2馬身差2着に敗れた。
その後は2年ぶりにオークローンパーク競馬場に向かい、アップルブロッサムH(米GⅠ・D8.5F)に出走。このレースにおける強敵は、前年にアラバマS・ガゼルH・ベルデイムSを勝ちBCディスタフでも2着してエクリプス賞最優秀3歳牝馬に選ばれていたヘヴンリープライズ、オークローンBCHの勝ち馬で後にアップルブロッサムHを勝つヘイローアメリカの2頭だった。120ポンドのヘヴンリープライズが単勝オッズ2倍の1番人気、122ポンドの本馬が単勝オッズ3倍の2番人気、116ポンドのヘイローアメリカが単勝オッズ4.6倍の3番人気となった。斤量はヘヴンリープライズより本馬のほうが2ポンド重かったが、このレースを好勝負にするためには、本馬のほうが軽量でなければならなかった。逃げるヘイローアメリカを3番手で追いかけた本馬だったが、直線に入ると最後方から猛然と追い込んできたヘヴンリープライズに一気にかわされてしまった。そしてヘイローアメリカにも差を広げられ、勝ったヘヴンリープライズから5馬身差、2着ヘイローアメリカから4馬身差の3着に完敗してしまった。
地元に戻った本馬は、ホーソーンH(米GⅡ・D8.5F)に出走した。ミスハリウッドパークSを勝ってきたパイレーツリベンジ、サンタアニタBCHを勝ってきたジャコドラズデヴィル、アグリームHを勝ってきたアンジーゴー、ラブレアSの勝ち馬トップラングなどが対戦相手となった。ヘヴンリープライズのような超強敵はおらず、やはり本馬が122ポンドのトップハンデとなった。117ポンドのパイレーツリベンジと116ポンドのジャコドラズデヴィルのカップリングが単勝オッズ2.2倍の1番人気で、本馬が単勝オッズ3.1倍の2番人気、117ポンドのアンジーゴーが単勝オッズ6.8倍の3番人気、117ポンドのトップラングが単勝オッズ7.6倍の4番人気となった。ここでは後方2番手を追走し、四角で位置取りを上げて直線で差し切るという内容で、2着パイレーツリベンジに2馬身差をつけて勝利を収めた。
次走のミレイディH(米GⅠ・D8.5F)でも、パイレーツリベンジとの対戦となった。2頭の斤量差は前走では5ポンドだったが、今回は7ポンドになっていた。それでも前走の勝利が評価された本馬が123ポンドのトップハンデながらも単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持され、パイレーツリベンジと一般競走を完勝してきたプライヴェートパースウェイジョンのカップリングが単勝オッズ2.2倍の2番人気となった。ここでも後方待機策を選択した本馬だったが、直線入り口で先頭に立っていたパイレーツリベンジに追いつけず、3馬身半差の2着に敗れた。
次走のヴァニティH(米GⅠ・D9F)では、サンタアナH・サンタバーバラHの勝ち馬で後にエクリプス賞最優秀芝牝馬に選ばれるワンデスタ、ホーソーンHで3着だったトップラング、ミレイディHで3着だったプライヴェートパースウェイジョンなどが対戦相手となった。本馬はまたかという感じの123ポンドのトップハンデ。それでも本馬が単勝オッズ2.3倍の1番人気に支持され、119ポンドのワンデスタが単勝オッズ3倍の2番人気、116ポンドのトップラングが単勝オッズ4.1倍の3番人気、114ポンドのプライヴェートパースウェイジョンが単勝オッズ10.7倍の4番人気となった。しかしレースでは4番手の好位を追走するも、直線に入るとまったく伸びずに、逃げ切って勝ったプライヴェートパースウェイジョンから11馬身半差の5着と大敗。このレースを最後に、この年6戦1勝の成績で競走馬を引退した。
血統
Ahmad | Good Manners | Nashua | Nasrullah | Nearco |
Mumtaz Begum | ||||
Segula | Johnstown | |||
Sekhmet | ||||
Fun House | The Doge | Bull Dog | ||
My Auntie | ||||
Recess | Count Fleet | |||
Recce | ||||
Azyade | Churrinche | Congreve | Copyright | |
Per Noi | ||||
Urraca | Your Majesty | |||
Canora | ||||
Zeilah | Advocate | Fair Trial | ||
Guiding Star | ||||
Antinea | Pont l'Eveque | |||
Yamile | ||||
Pasiflin | Flintham | フォルティノ | Grey Sovereign | Nasrullah |
Kong | ||||
Ranavalo | Relic | |||
Navarra | ||||
Pagasai | Alcide | Alycidon | ||
Chenille | ||||
Sailor's Knot | Blue Peter | |||
Marriage Day | ||||
Las Pasiones | Amateur | Charlottesville | Prince Chevalier | |
Noorani | ||||
Dilettante | Dante | |||
Herringbone | ||||
Pasionaria | Oh Johnny | Johns Joy | ||
Saracen Flirt | ||||
Holly | Xaret | |||
Harp |
父アーマドは亜国産馬で、現役時代はアメリカ国際大賞(亜GⅠ)・サンマルティン将軍大賞(亜GⅠ)・プラサングレデカレーラ勧業南米連盟賞(亜GⅠ)などを勝利。種牡馬としても亜国のGⅠ勝ち馬を複数出し、亜首位種牡馬には1991/92年シーズンと92/93年シーズンの2回、亜母父首位種牡馬にも2003/04シーズンの1回輝く活躍を見せた。
アーマドの父グッドマナーズはナシュア産駒で、現役時代は米国で走り57戦9勝。主な勝ち鞍はハギンSという地味な競走馬だった。しかし亜国で種牡馬入りすると大成功。188頭の産駒から8頭のチャンピオン級の馬を含む41頭のステークスウイナーを出し、1979/80シーズンの亜首位種牡馬に輝いた。後継種牡馬にも恵まれており、ナシュアの直系が今世紀まで残る最大の原動力となった。
母パシフリンは亜国産の不出走馬。本馬がBCディスタフを勝った翌年1993年に米国に繁殖牝馬として輸入されたが、米国では成功できなかった。本馬の1歳年上の半姉パラグアージャ(父カントリードクター)の子に南アフリカの名牝パラカ【アランロバートソンフィリーズCS(南GⅠ)・トリプルティアラ1600(南GⅠ)・マジョルカS(南GⅠ)】がいる。牝系は、1853年の英1000ギニー馬メントモアラスの娘で、1871年の英国牝馬三冠馬ハンナの全姉に当たるブリーズの曾孫アトバラが20世紀初頭に英国から亜国に輸入されて南米の土着血統となったものだが、本馬の近親には南米の活躍馬も殆どおらず、牝系としては優れていない。→牝系:F3号族①
母父フリンサムはグレイソヴリンの後継種牡馬フォルティノ直子の英国産馬だが、競走馬としては5歳時にゴールデネパイチェ(独GⅢ)を勝った程度に終わった。亜国に種牡馬として輸入され、亜種牡馬ランキングで最高9位、亜母父種牡馬ランキングで最高6位に入る活躍を見せた。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は米国で繁殖入りした。しかし受胎率が非常に悪く、なかなか子を産む事が出来なかった。故郷に戻れば改善されるかもしれないという考えの下、1998年に亜国に里帰りして、サン・イグナチオ・デ・ロヨラ牧場で繁殖生活を続けた。2000年にようやく初子となる牝駒パセアナズガール(父のロードはミスタープロスペクター産駒で後に亜首位種牡馬となる)を産んだが、これが本馬の唯一の産駒となった。翌2001年には米国競馬の殿堂入りを果たした。2006年6月に内臓血管破裂のために18歳で他界した。
パセアナズガールは現役成績2戦未勝利に終わったが、クレイグ夫妻の所有のもとで繁殖入りしており、やはりクレイグ夫妻の所有馬だったキャンディライド(亜国産馬で、サンイシドロ大賞(亜GⅠ)・ホアキンSデアンチョレーナ大賞(亜GⅠ)・パシフィッククラシックS(米GⅠ)・アメリカンH(米GⅡ)など6戦全勝で引退。種牡馬としての成績も優秀)を主に交配されて複数の産駒を産んでいる。