イーストオブザムーン
和名:イーストオブザムーン |
英名:East of the Moon |
1991年生 |
牝 |
黒鹿 |
父:プライヴェートアカウント |
母:ミエスク |
母父:ヌレイエフ |
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母ミエスクが勝てなかった仏オークスを制した他に仏1000ギニー・ジャックルマロワ賞とGⅠ競走を3勝した良血の名牝 |
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競走成績:2・3歳時に仏英米で走り通算成績8戦4勝2着2回 |
誕生からデビュー前まで
母ミエスクの生産・所有者だったニアルコスファミリーの米国名義フラックスマンホールディングスにより生産・所有された米国産馬で、ミエスクも手掛けた仏国フランソワ・ブータン調教師に預けられた。主戦はキャッシュ・アスムッセン騎手で、本馬の全レースに騎乗した。本馬がデビューに向けて調整されている頃、やはりブータン師の管理馬だった1歳年上の半兄キングマンボが仏2000ギニー・セントジェームズパレスSを勝っていた事もあり、本馬にかかる期待も大きかった。
競走生活
2歳8月にドーヴィル競馬場で行われたリジュー賞(T1300m)でデビューし、2着シュバクニに3馬身差で快勝した。2歳時はこの1戦のみで終え、3歳時は4月のグロット賞(仏GⅢ・T1600m)から始動した。ここではマルセルブサック賞2着のフラッグバード、後に名牝アクワレリストの母となるアガセ、マルセルブサック賞を最低人気で勝利したシエラマドレ(後に1998年のカルティエ賞最優秀2歳牡馬アルジャブルの母となる)などを抑えて、単勝オッズ2.8倍の1番人気に支持された。レースでは馬群の好位4番手を追走して、2番手から先に抜け出したフラッグバードを直線で追撃したが、1馬身届かずに2着に敗れた。
次走の仏1000ギニー(仏GⅠ・T1600m)では、フラッグバード、グロット賞3着のベルアルゼンチン、ヴァントー賞2着のマイトリム、後のサンドランガン賞勝ち馬ルナフェアリー、ロウザーS勝ち馬ベルベットムーン、グロット賞4着のアガセなどが対戦相手となった。フラッグバードが単勝オッズ2.3倍の1番人気に支持され、本馬はその血統と素質も評価されて単勝オッズ2.7倍の2番人気に推された。スタートが切られるとフラッグバードなどが先行体勢を取ったが、本馬は後方に控える作戦に出た。直線に入ると好位からアガセが抜け出してゴールを目指したが、直線入り口で後方3番手だった本馬が豪快な末脚を繰り出し、残り200m地点でアガセを抜き去ると最後は1馬身半差をつけて勝利し、ミエスクとの母子制覇を果たした。
次走は仏オークス(仏GⅠ・T2100m)となった。このレースは7年前にミエスクがインディアンスキマーの2着に敗れており、その雪辱戦となった。クレオパトル賞を勝ってきたカラジャナ、アガセ、仏1000ギニーで3着だったベルアルゼンチン、シェーヌ賞2着馬シャイアンドリーム、グロット賞で7着だった後のヴェルメイユ賞勝ち馬シエラマドレなどが対戦相手となったが、本馬が単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された。そして2着ハーレディシップに頭差で勝利を収め、母の雪辱を果たした。
次走はジャックルマロワ賞(仏GⅠ・T1600m)となった。このレースには、前年の同競走に加えてモイグレアスタッドS・チェヴァリーパークS・英1000ギニーとGⅠ競走で4勝を挙げていたサイエダティ(この3か月前に日本に遠征して京王杯スプリングCで3着、安田記念では7着だった)、前年の同競走2着馬で、遠征先の日本では京王杯スプリングCで1着、安田記念で5着だったスキーパラダイス、愛1000ギニー馬メサーフ、前走サセックスSで2着してきた前年の愛2000ギニー馬バラシアなども出走していたが、母子制覇がかかる本馬が単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持された。ここでも後方待機策を採った本馬は、残り400m地点から進出を開始。そして残り100m地点で先頭に立つと、2着サイエダティに1馬身半差をつけて勝利し、GⅠ競走3連勝とした。
続くムーランドロンシャン賞(仏GⅠ・T1600m)では、母ミエスクと兄キングマンボに続く勝利が期待され、サイエダティ、サセックスS・クイーンエリザベスⅡ世S・イスパーン賞とGⅠ競走3勝のビッグストーン、同世代の仏2000ギニー馬グリーンチューン、ジャックルマロワ賞では5着だった前年の同競走2着馬スキーパラダイスといった有力馬を抑えて、単勝オッズ1.4倍という圧倒的な1番人気に支持された。しかしこのレースでは武豊騎手が騎乗したスキーパラダイスが勝利し、本馬は3/4馬身差の2着に敗れた。
その後は英国に移動してクイーンエリザベスⅡ世S(英GⅠ・T8F)に参戦。このレースには、スキーパラダイス、ジャックルマロワ賞3着後にセレブレーションマイルを勝ってきたメサーフ、ムーランドロンシャン賞で4着だったビッグストーン、ジャックルマロワ賞で6着だったバラシア、ムーランドロンシャン賞で5着だったサイエダティといった、本馬と対戦経験がある実力馬達の他に、前走サセックスSをレコード勝ちしたディスタントヴューや、愛2000ギニーを15馬身差で勝ったタートルアイランドといった本馬と未対戦の有力馬も出走しており、まさしく欧州最強マイラー決定戦に相応しいメンバー構成となっていた。ディスタントヴューが単勝オッズ3倍の1番人気に支持され、本馬は単勝オッズ4.5倍の2番人気となった。ここでも後方に控えた本馬は直線入り口を後方3番手で迎えると、残り2ハロン地点で仕掛けた。しかしここから伸びずに7馬身半差の7着に敗退してしまった。他の有力馬達も揃って敗退し、先行してそのまま勝ったのは出走馬中唯一のGⅠ競走未勝利馬だった単勝オッズ67倍の最低人気馬マルーフだった。
その後は米国に向かい、チャーチルダウンズ競馬場で行われたBCマイル(米GⅠ・T8F)に参戦。クイーンエリザベスⅡ世Sに引けを取らない好メンバーが揃っており、史上初の同競走3連覇を狙うルアー、シューメーカーH勝ち馬ミーガンズインターコ、クイーンエリザベスⅡ世Sで2着だったバラシア、クイーンエリザベスⅡ世S4着・フォレ賞5着のスキーパラダイス、クイーンエリザベスⅡ世S5着のディスタントヴュー、クイーンエリザベスⅡ世S3着後にフォレ賞を勝ってきたビッグストーンなどが出走していた。
このBCマイルは過去にミエスクが2連覇を果たしており、仏1000ギニー・ジャックルマロワ賞に続く3度目の同一競走母子制覇が期待された本馬は、単勝オッズ1.9倍のルアー、単勝オッズ6.7倍のミーガンズインターコに次ぐ3番人気(単勝オッズ9.3倍)に推された。ここでは米国特有の小回り競馬場を意識してか、いつものような後方待機策ではなく、好位の6番手を追走する作戦に出た。しかし三角では既に手応えが怪しくなり、直線では後方のまま、バラシアの18馬身差12着と惨敗した。これが現役最後のレースとなった。3歳時の成績は7戦3勝で、この年の仏最優秀3歳マイラーに選ばれている。
血統
Private Account | Damascus | Sword Dancer | Sunglow | Sun Again |
Rosern | ||||
Highland Fling | By Jimminy | |||
Swing Time | ||||
Kerala | My Babu | Djebel | ||
Perfume | ||||
Blade of Time | Sickle | |||
Bar Nothing | ||||
Numbered Account | Buckpasser | Tom Fool | Menow | |
Gaga | ||||
Busanda | War Admiral | |||
Businesslike | ||||
Intriguing | Swaps | Khaled | ||
Iron Reward | ||||
Glamour | Nasrullah | |||
Striking | ||||
Miesque | Nureyev | Northern Dancer | Nearctic | Nearco |
Lady Angela | ||||
Natalma | Native Dancer | |||
Almahmoud | ||||
Special | Forli | Aristophanes | ||
Trevisa | ||||
Thong | Nantallah | |||
Rough Shod | ||||
Pasadoble | Prove Out | Graustark | Ribot | |
Flower Bowl | ||||
Equal Venture | Bold Venture | |||
Igual | ||||
Santa Quilla | Sanctus | Fine Top | ||
Sanelta | ||||
Neriad | Princequillo | |||
Sea-Change |
父プライヴェートアカウントは当馬の項を参照。
母父ヌレイエフは当馬の項を参照。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は、ニアルコスファミリーが米国ケンタッキー州に所有するオークツリーファームで繁殖入りした。母としては9頭の子を産んだが、そのうちグループ競走を勝ったのは2番子のムーンドライヴァー(父ミスタープロスペクター)【アランベール賞(仏GⅢ)】のみと、期待に応えるだけの繁殖成績を挙げることは出来なかった。2006年に落雷に打たれたためにオークツリーファームにおいて15歳で他界した。孫世代からは、牝駒カンダ(父ストームキャット)の子であるエヴァシヴ【ホーリスヒルS(英GⅢ)】が出ている。