キャプテンスティーヴ

和名:キャプテンスティーヴ

英名:Captain Steve

1997年生

栃栗

父:フライソーフリー

母:スパークリングディライト

母父:ヴァイスリージェント

日本から参戦したトゥザヴィクトリーを2着に破ってドバイワールドCを制覇した事で有名になった本邦輸入種牡馬

競走成績:2~4歳時に米首で走り通算成績25戦9勝2着3回3着7回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州においてロジャー・ラウバック氏により生産され、当歳時にC・J・ウィリアムズ氏により1万2千ドルで購入された。翌1歳7月にファシグ・ティプトン社が主催したセリに出品され、マイケル・E・ペグラム氏により7万ドルで購入され、ボブ・バファート調教師に預けられた。

競走生活(2歳時)

2歳6月にハリウッドパーク競馬場で行われたダート5ハロンの未勝利戦で、ジェリー・ベイリー騎手を鞍上にデビュー。単勝オッズ3.8倍の1番人気に支持されたが、中団後方から直線で伸びず、逃げ切った単勝オッズ4.2倍の2番人気馬エクスチェンジレートから9馬身半差をつけられた6着に敗れた。

翌月にデルマー競馬場で行われたダート6ハロンの未勝利戦では、クリス・アントレー騎手とコンビを組んだ。ここでは単勝オッズ4.4倍の2番人気だったが、2番手先行から直線で楽々と抜け出し、2着コッキーに7馬身差で圧勝して初勝利を挙げた。

次走のベストパルS(米GⅢ・D6.5F)では、ハリウッドジュヴェナイルCSSを勝ってきたディキシーユニオン、未勝利戦と一般競走を連続圧勝してきたコーラーワン(後にドバイゴールデンシャヒーンを2連覇)、ハリウッドジュヴェナイルCSSで2着だったエクスチェンジレートなどとの対戦となった。ディキシーユニオンが単勝オッズ2.4倍の1番人気、アントレー騎手騎乗の本馬が単勝オッズ3.5倍の2番人気、コーラーワンが単勝オッズ3.8倍の3番人気、エクスチェンジレートが単勝オッズ5.7倍の4番人気となった。今回は最後方待機策を採ったのだが、追い込み不発に終わり、勝ったディキシーユニオンから6馬身差、2着エクスチェンジレートからも5馬身半差の3着と完敗した。

続くデルマーフューチュリティ(米GⅡ・D7F)では、ディキシーユニオン、未勝利戦を2馬身差で勝ってきたフォレストキャンプ、未勝利戦を4馬身差で勝ってきたコメンダブルなどとの対戦となった。今回はクリス・マッキャロン騎手とコンビを組んだ本馬だったが、単勝オッズ10倍の4番人気と評価を下げていた。そして今回も最後方からの追い込みが届かず、フォレストキャンプ、ディキシーユニオンの2頭に屈して、勝ったフォレストキャンプから7馬身半差の3着に敗退した。

その後は東上して、ブリーダーズフューチュリティ(米GⅡ・D8.5F)に出走。ケンタッキーカップジュヴェナイルSを勝ってきたミレンコリン、サンフォードS2着馬マイティ、スウィンフォードSで3着してきたグレームホール、一般競走を5馬身半差で勝ってきたロケットキャットといった馬達が出走してきた。ミレンコリンが単勝オッズ2.8倍の1番人気で、ギャレット・ゴメス騎手騎乗の本馬が単勝オッズ2.9倍の2番人気となった。レースではスタートから単騎逃げに持ち込み、そのまま2着グレームホールに3馬身差、3着ミレンコリンにはさらに7馬身差をつけて快勝した。

次走はガルフストリームパーク競馬場で行われたBCジュヴェナイル(米GⅠ・D8.5F)となった。デルマーフューチュリティ勝利後にノーフォークSで2着してきたフォレストキャンプ、シャンペンSで2着してきたチーフシアトル、デルマーフューチュリティ2着後にノーフォークSを勝ってきたディキシーユニオン、ホープフルSの勝ち馬でシャンペンS3着のハイイールド、インリアリティSの勝ち馬キスアネイティヴ、ミレンコリン、グレームホールなどの有力馬が顔を連ねており、ゴメス騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ10.5倍で6番人気の評価だった。レースでは3番手を追走したが、三角では既に手応えが無くなり、四角でずるずると後退して、勝ち馬から28馬身1/4差も離された11着と惨敗。勝ったのは直線入り口6番手から豪脚を繰り出した単勝オッズ31.3倍の10番人気馬アニーズだった。

その後は3週間後にチャーチルダウンズ競馬場で行われたケンタッキージョッキークラブS(米GⅡ・D8.5F)に向かった。BCジュヴェナイルで3着だったハイイールド、ブリーダーズフューチュリティ7着後にイロコイSを勝ってきたマイティなどが対戦相手となった。ハイイールドが単勝オッズ2.4倍の1番人気、マイティが単勝オッズ3.2倍の2番人気で、ロビー・アルバラード騎手騎乗の本馬は単勝オッズ5.7倍の3番人気だった。ここでも3番手の好位を追走すると、今回は直線で突き抜けて、2着マイティに5馬身3/4差をつけて圧勝した。

そして西海岸に戻ってハリウッドフューチュリティ(米GⅠ・D8.5F)に出走。未勝利戦を12馬身差で勝ってきたマラバーゴールド、ケンタッキージョッキークラブSで6着だったハイイールドなどを抑えて、単勝オッズ2.3倍の1番人気に支持された。スタートが切られるとマラバーゴールドが逃げを打ち、アルバラード騎手騎乗の本馬は後方2番手を追走。向こう正面で2番手まで押し上げると、ここからハイイールドとの一騎打ちとなった。しかし本馬が直線でハイイールドを突き放し、最後は4馬身差をつけて圧勝。GⅠ競走初勝利を挙げて、2歳時を8戦4勝で締めくくった。

競走生活(3歳時)

3歳時は1月のサンタカタリナS(米GⅡ・D8.5F)から始動。ここではデビュー戦以来となるベイリー騎手とコンビを組み、ハイイールド、ヒルライズHを勝ってきたザデピュティ(キングカメハメハの半兄)の有力馬2頭を抑えて、単勝オッズ1.5倍の1番人気に支持された。しかしハイイールドより6ポンド、ザデピュティより8ポンド重い斤量が影響したのか、スタートからゴールまで先頭争いを展開したこの2頭にまったく追いつけず、勝ったザデピュティから6馬身半差の3着に終わった。

その後は米国南部のルイジアナ州フェアグラウンズ競馬場に向かい、ルイジアナダービー(米GⅡ・D8.5F)に出走。前走とは異なり定量戦であり、リズンスターSを勝ってきたエクスチェンジレート、トレモントS・サンフォードS・ハッチソンSの勝ち馬モアザンレディ、マイティなどを抑えて、単勝オッズ3倍の1番人気に支持された。アルバラード騎手を改めて主戦に迎えて必勝を期したが、馬群の中団後方を追走するも、直線で今ひとつ伸びずに、マイティの2馬身半差3着に敗れた。

いったん西海岸に戻り、サンタアニタダービー(米GⅠ・D9F)に出走した。サンラファエルSを勝ってきたウォーチャント、前走サンフェリペSで2着だったザデピュティ、同3着だった前年のエクリプス賞最優秀2歳牡馬アニーズ、フリゼットS・ハリウッドスターレットS・ラスヴァージネスS・サンタアニタオークスとGⅠ競走4勝を挙げていたサーフサイド(暮れのBCディスタフで2着して、この年のエクリプス賞最優秀3歳牝馬に選出)などが対戦相手となった。ウォーチャントが単勝オッズ3.3倍の1番人気、ザデピュティが単勝オッズ3.4倍の2番人気で、本馬は単勝オッズ5.1倍の3番人気だった。レースでは馬群の中団を追走するも、直線で伸びを欠き、ザデピュティとウォーチャントに後れを取って、ザデピュティの3馬身差3着に敗れた。

結局調子は戻らなかったが、それでも陣営は本馬を東上させてケンタッキーダービー(米GⅠ・D10F)に出走させた。サンフェリペS・ウッドメモリアルSなど4連勝中のフサイチペガサス、ザデピュティ、ファウンテンオブユースS・ブルーグラスSを勝ってきたハイイールド、スウェイルS・フラミンゴSなど4戦無敗のトリッピ、ウォーチャント、ルイジアナダービーとブルーグラスSで連続2着だったモアザンレディ、ウッドメモリアルS3着馬アプティテュード、サンタアニタダービーで4着だったアニーズ、タンパベイダービーの勝ち馬ウィールアウェイ、フロリダダービーの勝ち馬ハルズホープ、アーカンソーダービーを勝ってきたグレームホール、アーカンソーダービー3着馬インピーチメントなどが対戦相手となった。フサイチペガサスが単勝オッズ3.3倍の1番人気、ザデピュティが単勝オッズ5.6倍の2番人気、ハイイールド、トリッピ、コメンダブル、インピーチメントの4頭カップリングが単勝オッズ7.2倍の3番人気で、近走不調の本馬も単勝オッズ9.1倍の4番人気に推されていた。

レースでは馬群の中団内側7番手を追走して、四角で外側から位置取りを上げると、先頭に並びかけた状態で直線を向いた。ところがここで外側から急激に斜行してきたウィールアウェイに馬体を押されて、4頭分くらいは内側に押されるという致命的な不利を受けてしまった。これで走る気を無くしてしまったようで、その後は伸びずに、フサイチペガサスの13馬身3/4差8着に敗れた。筆者が見た限りではウィールアウェイ(5位入線)は失格か降着になって然るべきだと思うが、着順に変更は無く、後味が悪過ぎる結果になった。

ケンタッキーダービーで敗退した有力馬はプリークネスSを回避する事が多いが、本馬は前走があまりに消化不良だったためか、プリークネスS(米GⅠ・D9.5F)にも参戦してきた。単勝オッズ1.3倍の1番人気はフサイチペガサスで、単勝オッズ7.2倍の2番人気にケンタッキーダービー不参戦のゴーサムS勝ち馬レッドビュレット、単勝オッズ8.3倍の3番人気がケンタッキーダービー15着のハイイールドで、本馬が単勝オッズ12.5倍の4番人気と、随分と層が薄いメンバー構成となった。レースでは馬群の中団後方から先に抜け出したレッドビュレットが勝ち、直線入り口でもまだ後方2番手だった本馬は、フサイチペガサス、インピーチメントとの2着争いに敗れて、レッドビュレットから4馬身差の4着に終わった。

ベルモントSには出走せず(ケンタッキーダービー17着のコメンダブルが勝っている)、2か月ほどの短期休養に入った。

その後は米国中西部のアイオワ州に向かい、アイオワダービー(D8.5F)にシェーン・セラーズ騎手鞍上で出走した。さすがにここでは実績が違いすぎ、単勝オッズ1.3倍の1番人気に支持されると、2番手から直線で悠々と抜け出し、2着マイナーズプライズに1馬身3/4差で勝利した。

そして西海岸に戻り、スワップスS(米GⅠ・D9F)に出走。プリークネスS時点では未勝利馬だったアファームドHの勝ち馬ティズナウ、カリフォルニアカップジュヴェナイルSの勝ち馬スペースリンク、アファームドHで3着してきたミレンコリンなどとの対戦となった。コーリー・ナカタニ騎手と初コンビを組んだ本馬が単勝オッズ1.9倍の1番人気で、ティズナウが単勝オッズ3.9倍の2番人気となった。まずはミレンコリンが逃げを打ち、本馬が直後の2番手、ティズナウは4番手を追走してきた。直線入り口で本馬が先頭に立ったところへ、本馬より2ポンド斤量が軽かったティズナウが追いすがってきたが、ゴール前では逆に差を広げて、2着ティズナウに2馬身半差をつけて快勝した。

この僅か2週間後には米国の東端にあるニュージャージー州モンマスパーク競馬場にナカタニ騎手と共に姿を現し、ハスケル招待H(米GⅠ・D9F)に出走した。ケンタッキーダービー4着馬モアザンレディ、ベルモントSの勝ち馬コメンダブル、プリークネスS3着馬インピーチメント、前年のBCジュヴェナイル5着後に三冠競走を回避して調子を整えてきたディキシーユニオン、ロングブランチBCSを勝ってきたサースティランザスクラス、オハイオダービーなど4連勝中のミルウォーキーブルーなどを抑えて、単勝オッズ2.6倍の1番人気に支持された。レースでは3番手の好位を追走し、直線に入ると先頭に立った。しかしここで後方から来たディキシーユニオンの追い込みに屈して3/4馬身差の2着に敗れた。

次走のケンタッキーCクラシックH(米GⅡ・D9F)では、ピムリコスペシャルH・スティーヴンフォスターHの勝ち馬で前年のBCクラシック3着馬ゴールデンミサイル、前年のBCクラシック優勝馬キャットシーフ、ハリウッド金杯・サンバーナーディノHの勝ち馬アーリーパイオニア、フィリップHアイズリンHを勝ってきたライズといった有力古馬勢との対戦となった。ゴールデンミサイルが単勝オッズ2.4倍の1番人気に支持され、キャットシーフが単勝オッズ3.9倍の2番人気、セラーズ騎手騎乗の本馬が単勝オッズ4.3倍の3番人気となった。スタートが切られると、ライズが逃げを打ち、本馬は2番手を追走。三角で後方からゴールデンミサイルがやってきて、直線では本馬とゴールデンミサイルの一騎打ちとなった。そして最後は本馬が競り勝ち、3/4馬身差で勝利した。

その後は西海岸に取って返し、サンタアニタパーク競馬場で行われたグッドウッドBCH(米GⅡ・D9F)に出走。スーパーダービーを6馬身差で圧勝してきたティズナウ、シガーマイルH・メトロポリタンHなどの勝ち馬サーベア、2年前のサンタアニタH2着馬バグショット、ベルエアHの勝ち馬ユーカー(この年の第1回ジャパンCダートで2番人気8着となる)、カリフォルニアンSの勝ち馬ビッグテン、前年のウッドワードS・ジョッキークラブ金杯・ベルエアHの勝ち馬リヴァーキーンとの対戦となった。ティズナウが単勝オッズ2.2倍の1番人気、ビクター・エスピノーザ騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ2.8倍の2番人気、サーベアが単勝オッズ8.5倍の3番人気で、本馬とティズナウの一騎打ちムードだった。今回はティズナウがスタートから先手を取り、ティズナウより1ポンド重い斤量だった本馬が2番手でそれを追いかける展開となった。そして直線に入るとティズナウに並びかけて叩き合いに持ち込んだが、スワップスSから一段と強くなっていたティズナウが競り勝ち、本馬は半馬身差の2着に敗れた。

次走はチャーチルダウンズ競馬場で行われたBCクラシック(米GⅠ・D10F)となった。ジェロームHを勝ってきたフサイチペガサス、前年のベルモントS・トラヴァーズS勝ち馬でこの年もブルックリンH・サバーバンH・ホイットニーH・ウッドワードSを勝ってエクリプス賞最優秀古馬牡馬に選ばれるレモンドロップキッド、セントジェームスパレスS・エクリプスS・サセックスS・英国際S・愛チャンピオンSと欧州GⅠ競走を5連勝していたこの年のカルティエ賞年度代表馬ジャイアンツコーズウェイ、ドワイヤーSの勝ち馬で前走ジョッキークラブ金杯を6馬身差で圧勝してきた本馬とは未対戦の3歳馬アルバートザグレート、ティズナウ、アメリカンダービー・ペンシルヴァニアダービーの勝ち馬パインダンス、前年の覇者キャットシーフ、ゴールデンミサイルなど、メンバーが非常に揃っていたため、セラーズ騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ14.6倍で9番人気の低評価に甘んじた。最内枠発走の本馬は、道中は後方2番手を追走。四角で内側を通って位置取りを上げて5番手で直線を向いた。前方で激しく競り合っていた勝ち馬ティズナウと2着馬ジャイアンツコーズウェイの2頭には結局3馬身半届かなかったが、ゴール寸前でアルバートザグレートを頭差捕らえて3着に食い込み、フサイチペガサス、レモンドロップキッドなどにも先着した。3歳時の成績は11戦3勝だった。

競走生活(4歳時)

4歳時はベイリー騎手を主戦に迎えて、2月のドンH(米GⅠ・D9F)から始動。アルバートザグレート、メドウランズCH・サラトガBCHの勝ち馬プレザントブリーズ、メドウランズCHなどの勝ち馬ノースイーストバウンドなどとの対戦となった。120ポンドのトップハンデだった本馬が単勝オッズ2.4倍の1番人気、119ポンドのアルバートザグレートが単勝オッズ3倍の2番人気となった。レースでは、逃げるノースイーストバウンドの直後2番手を追走して四角で先頭に立った本馬に、後方から追い上げてきたアルバートザグレートが襲い掛かり、人気馬2頭の対決となった。しかし本馬がアルバートザグレートの追撃を完封し、1馬身1/4差をつけて快勝した。

その後は招待を受けてドバイワールドC(首GⅠ・D2000m)に出走した。本馬以外の出走馬は、本馬が出走したケンタッキーダービーで2着してベルモントSでも2着だったアプティテュード、前哨戦のマクトゥームチャレンジR2を勝ってきたベストオブザベスツ、前哨戦のマクトゥームチャレンジR3を勝ってきたハイトーリ、アルゼンチン共和国大賞・エストレージャス大賞クラシックと亜国のGⅠ競走2勝のセイミ、レーシングポストトロフィーの勝ち馬アリストテレス、ディスカヴァリーH・クイーンズカウンティH・ギャラントフォックスHの勝ち馬アーリーウォーニング、ドラール賞などの勝ち馬でドバイの条件戦を勝ってきたステートシントウ、マクトゥームチャレンジR3で2着のブローチェ、同年暮れの香港ヴァーズでステイゴールドの2着する事になるエクラールなどで、日本からもダービーグランプリと川崎記念の勝ち馬レギュラーメンバー、ダート競走初挑戦だった前走フェブラリーSで3着してきた牝馬トゥザヴィクトリーの2頭が参戦していた。

英国ブックメーカーの評価では、本馬とベストオブザベスツが並んで単勝オッズ2.75倍の1番人気で、アプティテュードが単勝オッズ6倍の3番人気、ハイトーリが単勝オッズ9倍の4番人気、エクラールが単勝オッズ13倍の5番人気で、トゥザヴィクトリーは単勝オッズ26倍の7番人気、レギュラーメンバーが単勝オッズ51倍の11番人気という低評価だった。

スタートが切られると武豊騎手騎乗のトゥザヴィクトリーが果敢に先頭に立ち、ブローチェ、レギュラーメンバーがそれに続き、ベイリー騎手が騎乗する本馬はその後方4番手辺りを追走した。最終コーナー手前で本馬は位置取りを上げて、トゥザヴィクトリーに次ぐ2番手で直線を向いた。トゥザヴィクトリーが予想外の粘りを見せたため、なかなか本馬は捕らえる事が出来なかったが、残り200m地点でようやくかわすと、2着トゥザヴィクトリーに3馬身差をつけて優勝した。トゥザヴィクトリーの2着は大健闘として日本の競馬ファンに称えられ、そのトゥザヴィクトリーを破った本馬の日本における知名度も一気に上昇した。

帰国後は6月のスティーヴンフォスターH(米GⅡ・D9F)に出走した。他馬勢よりも5~10ポンド重い123ポンドのトップハンデだったが、レキシントンSの勝ち馬アンシェイデッド、前年のハリウッドダービーの勝ち馬ブラームス、ホーソーン金杯Hを勝ってきたダックホーン、ジムダンディS・エクリプスHなどを勝っていたグレームホール、サンアントニオHの勝ち馬ガイデッドツアーなどを抑えて、単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持された。レースでは逃げるダックホーンを見るように2番手を追走して、直線入り口で堂々と先頭に立った。しかしここで後方から来たガイデッドツアーに並びかけられ、最後は競り負けて半馬身差の2着に惜敗した。しかし本馬とガイデッドツアーの斤量差は10ポンドであり、負けてなお強いと思わせる内容ではあった。

次走のハリウッド金杯(米GⅠ・D10F)では、ドバイワールドCで6着だったアプティテュード、前年のパシフィッククラシックSでティズナウを2着に破り前走のカリフォルニアンSでアプティテュード以下に勝利していたスキミング、サンバーナーディノH・マーヴィンルロイHの連勝後にカリフォルニアンSで2着してきたフューチュラルなど4頭が対戦相手となった。今回はゲイリー・スティーヴンス騎手とコンビを組んだ本馬が単勝オッズ1.7倍の1番人気に支持され、アプティテュードとスキミングのカップリングが単勝オッズ2.6倍の2番人気、フューチュラルが単勝オッズ4.7倍の3番人気となった。

スタートが切られると単勝オッズ41.1倍の最低人気馬パワーウイングが先頭に立ち、スキミングが2番手、フューチュラルが3番手、本馬が4番手、アプティテュードが最後方という体勢でレースが進んだ。三角でパワーウイングが失速すると、スキミングと本馬が進出して先頭に立ち、さらに外側からフューチュラルとアプティテュードもやってきた。そして直線の攻防に突入したのだが、残り1ハロン地点で外側のフューチュラルが内側に斜行してスキミングにぶつかり、さらにスキミングが内側の本馬にぶつかるというアクシデントがあった。結局フューチュラルがトップゴールして、アプティテュードが1馬身半差の2位入線、不利を受けて失速したスキミングがさらに3馬身差の3位入線、本馬がさらに1馬身差の4位入線だった。フューチュラルはスキミングの進路を妨害したと判定されたが、本馬は不利を受けなかったとされてしまい、アプティテュードが繰り上がり勝利、スキミングが繰り上がり2着、フューチュラルが3着降着、本馬は4着のままという、前年のケンタッキーダービーに続いて何とも不公平な裁定となった。

次走のサンディエゴH(米GⅡ・D8.5F)では、スキミング、フューチュラル、サンパスカルHの勝ち馬フリーダムクレスト、サンバーナーディノH・マーヴィンルロイH・グッドウッドBCH・サンアントニオHの勝ち馬で2年前のBCクラシック2着馬バドロワイヤル(ティズナウの全兄)などとの対戦となった。前走に続いてスティーヴンス騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ2.8倍の1番人気に支持され、スキミングが単勝オッズ3倍の2番人気、フューチュラルが単勝オッズ3.3倍の3番人気となった。レースでは、スキミングがスタートから先頭をひた走り、本馬はフューチュラルと共に最後方を追走した。しかし先に仕掛けて上がっていったフューチュラルに置き去りにされてしまい、逃げ切ったスキミングから6馬身差、2着フューチュラルからも5馬身差の3着と完敗した。

次走のパシフィッククラシックS(米GⅠ・D10F)では、フューチュラル、スキミングとの顔合わせとなったが、フューチュラルとスキミングが並んで単勝オッズ2.6倍の1番人気に支持される一方で、エスピノーザ騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ4.6倍の3番人気と評価を下げていた。今回もスキミングが逃げを打ち、本馬は馬群の中団後方、フューチュラルは最後方を追走した。しかしこの3頭の順位は最後まで変わることが無く、スキミングが2着ディキシードットコムに5馬身半差をつけて逃げ切り圧勝。本馬はスキミングから6馬身差の4着、フューチュラルは本馬から16馬身半差の6着最下位と惨敗した。これが本馬の現役最後のレースとなり、ドバイから帰国後は4戦全敗となってしまった。

馬名に関して

本馬の馬名は、チャーチルダウンズ競馬場があるケンタッキー州ルイビルの警察に勤務していたスティーヴ・トンプソン警部(警部は英語で「キャプテン」)に由来する。これには以下のような話が伝わっている。

後に本馬の所有者となるペグラム氏は、1997年のケンタッキーダービーを観戦した帰りに女友達から誕生日プレゼントを受け取った。彼はそのプレゼント箱をすぐに開封しなかった。後日、彼がルイビル国際空港で保安検査を受けた際に、彼が所持していた未開封のプレゼント箱の中に拳銃(357マグナム)が入っている事が発覚した。ケンタッキー州では州の許可が無ければ拳銃を携帯してはならないと定められていたため、彼は警察に逮捕されてしまった。ペグラム氏の親友だったバファート師(この年のケンタッキーダービー優勝馬シルバーチャームを手掛けていた)は警察署に駆け付けて、トンプソン警部に事情を説明した。バファート師の話を聞いたトンプソン警部の計らいにより、ペグラム氏は釈放された。

ペグラム氏は翌年に自身の所有馬でバファート師の管理馬だったリアルクワイエットがケンタッキーダービーを制覇した際に、トンプソン警部を勝ち馬表彰式場に招いたという。その後、本馬を購入したペグラム氏は「私を救ってくれたトンプソン警部にちなんで名前を付けたい」として、本馬をキャプテンスティーヴと命名した。本馬の名の由来となったトンプソン警部は、本馬が地元ケンタッキー州で出走する際にはいつも応援に駆け付けていたという。

血統

Fly So Free Time for a Change Damascus Sword Dancer Sunglow
Highland Fling
Kerala My Babu
Blade of Time
Resolver Reviewer Bold Ruler
Broadway
Lovely Morning Swaps
Misty Morn
Free to Fly Stevward Nashua Nasrullah
Segula
Sherry Jen Sun Again
Quittance
Dancing Lark Native Dancer Polynesian
Geisha
Say Blue Blue Larkspur
I Say
Sparkling Delite Vice Regent Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Victoria Regina Menetrier Fair Copy
La Melodie
Victoriana Windfields
Iribelle
Sparkling Topaz Jacinto Bold Ruler Nasrullah
Miss Disco
Cascade Precipitation
Marita
Alotoffun Crozier My Babu
Miss Olympia
Nimble Doll Eight Thirty
Camelina

父フライソーフリーは現役成績33戦12勝。2歳時にはBCジュヴェナイル(米GⅠ)・シャンペンS(米GⅠ)を制してエクリプス賞最優秀2歳牡馬に選ばれ、3歳時にもフロリダダービー(米GⅠ)・ハッチソンS(米GⅡ)・ファウンテンオブユースS(米GⅡ)・ジムダンディS(米GⅡ)・リヴァリッジS(米GⅢ)に勝利した。ケンタッキーダービー(米GⅠ)ではストライクザゴールドの5着、3歳時に出たBCクラシック(米GⅠ)ではブラックタイアフェアーの4着だった。単なる早熟馬ではなく、4歳時にピムリコスペシャルH(米GⅠ)で2着、5歳時にフォールハイウェイトH(米GⅡ)を勝つなど古馬になっても活躍している。

フライソーフリーの父タイムフォーアチェンジはダマスカス直子で、本邦輸入種牡馬アジュディケーティングの半兄。現役成績は9戦5勝で、フラミンゴS(米GⅠ)・エヴァーグレイズS(米GⅢ)を勝っている。

母スパークリングディライトは加国産馬で、現役成績6戦2勝。本馬を産む前にゴーンウエスト牝駒を2頭、ミスワキ牝駒を1頭産んでいるが、いずれも競走馬としてはそれほど活躍できなかった。本馬を受胎した状態で本馬の生産者ラウバック氏に1万9千ドルで購入されたが、本馬を産んだ後にさらなる安値で転売されていった。結局本馬以外にこれと言った産駒を産むことは出来なかった。

スパークリングディライトの祖母アロットオブファンの半姉ドールインエーの孫にはアフィリエイト【モンマス招待H(米GⅠ)・ヴォスバーグS(米GⅡ)】と、日本で走ったトーアファルコン【京王杯スプリングC(GⅡ)・小倉三歳S・CBC賞(GⅢ)】、玄孫にはフサイチエアデール【桜花賞トライアル四歳牝馬特別(GⅡ)・シンザン記念(GⅢ)・ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)・マーメイドS(GⅢ)】、フサイチエアデールの子にはフサイチリシャール【朝日杯フューチュリティS(GⅠ)・阪神C(GⅡ)・東京スポーツ杯2歳S(GⅢ)】が、アロットオブファンの半姉ラヴィングシスターの子にはドレスデンドール【デモワゼルS】、プラウドデルタ【トップフライトH(米GⅠ)・ベルデイムS(米GⅠ)・ヘンプステッドH(米GⅡ)】、曾孫にはインディファイヴハンドレッド【ガーデンシティBCH(米GⅠ)】、ビオンデッティ【伊グランクリテリウム(伊GⅠ)】、玄孫にはロイヤルデルタ【BCレディーズクラシック(米GⅠ)2回・アラバマS(米GⅠ)・ベルデイム招待S(米GⅠ)・デラウェアH(米GⅠ)・パーソナルエンスン招待H(米GⅠ)】がいる。→牝系:F20号族①

母父ヴァイスリージェントは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は日本中央競馬会により500万ドルで購入され、日本軽種牡馬協会静内種馬場で種牡馬入りした。ペグラム氏によると、米国の馬産家達は種牡馬としての本馬に対して無関心だったため、まだ日本のほうが成功する可能性が高いと判断したのだという。テディの直系としてはオジジアン以来の大物種牡馬として期待され、種付け料も180万円と比較的高額に設定された。初年度は77頭、2年目は79頭と多くの繁殖牝馬を集めたが、3年目は47頭、4年目は13頭と激減してしまった。その後は胆振種馬場、七戸種馬場、九州種馬場と転々とした。5年目は41頭、6年目は33頭、7年目は16頭、8年目は25頭、9年目は33頭、10年目は27頭、11年目は18頭、12年目の2013年は13頭の交配数だった。そしてこの2013年4月に九州種馬場において急性心不全のため16歳で他界した。前日までは何の異常も見られなかったが、当日の運動中に突然倒れたという。

地方競馬では複数の重賞勝ち馬を出しているが、中央競馬における重賞勝ち馬は今のところ登場しておらず、かつてドバイワールドCで戦ったトゥザヴィクトリーの全妹ビスクドールとの間に産まれたアイスドールがオープン特別のエニフSを勝った程度である。全日本種牡馬ランキングでは2008年の56位が最高で、地方競馬種牡馬ランキングでも2008年の41位が最高である。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

2003

ペプチドジャスパー

九州王冠(KJ3)・九州むしゃんよかスプリント(荒尾)

2004

ギオンパワー

ロータスクラウン賞(KJ2)

2004

キャプテンハート

スプリングC(SPⅡ)

2006

マヨノエンゼル

阿久利黒賞(水沢)・岩手ダービーダイヤモンドC(盛岡)・青藍賞(盛岡)・トウケイニセイ記念(水沢)

2007

メモリーキャップ

クイーンC(SPⅢ)

2008

エムザックハーツ

北日本新聞杯(金沢)

2009

シゲルミカン

新涼賞(S2)

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