ヘンリーザナヴィゲーター
和名:ヘンリーザナヴィゲーター |
英名:Henrythenavigator |
2005年生 |
牡 |
黒鹿 |
父:キングマンボ |
母:セコイヤ |
母父:サドラーズウェルズ |
||
英愛の2000ギニーとセントジェームズパレスS・サセックスSとマイルGⅠ競走を4連勝しBCクラシックでも2着したクールモア自慢の「航海王子」 |
||||
競走成績:2・3歳時に愛英仏米で走り通算成績11戦6勝2着3回 |
誕生からデビュー前まで
米国ケンタッキー州の馬産団体ウエスタンブラッドストックにより生産された米国産馬で、クールモアグループの所有馬として、愛国エイダン・オブライエン調教師に預けられた。
競走生活(2歳時)
2歳5月に愛国ゴーランパーク競馬場で行われた芝7ハロンの未勝利戦で、シーミー・ヘファーナン騎手を鞍上にデビューして、単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された。スタートが切られるとまずはディックモリスという馬が先頭を伺ったが、2ハロンほど進んだところで本馬が先頭を奪い、そのまま着実に後続を引き離し続け、最後は2着ディックモリスに7馬身差をつけて圧勝した。
翌月には英国に向かい、コヴェントリーS(英GⅡ・T6F)に出走した。今回はマイケル・キネーン騎手とコンビを組んだ本馬が単勝オッズ3.75倍の1番人気に支持され、2戦2勝のデクラレーションオブウォー(後にジャンリュックラガルデール賞で2着している)が単勝オッズ5.5倍の2番人気、やはり2戦2勝のペンシルヒルが単勝オッズ7倍の3番人気となった。本馬はゲート入りを非常に嫌がっていたが、スタートが切られると普通にゲートを出て、逃げ馬を見るように先行。残り1ハロン地点で先頭に立つと、ゴール前の接戦を制して、2着スイスフランに3/4馬身差で勝利した。
その後は2か月後の愛フェニックスS(愛GⅠ・T7F)に向かった。今回はキーレン・ファロン騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ1.5倍の1番人気に支持され、クイーンメアリーS勝ち馬でチェリーヒントンS3着のエルテルが単勝オッズ5.5倍の2番人気となった。不良馬場の中でスタートが切られると単勝オッズ9倍の3番人気だった同厩馬ワルシャワが先頭に立ち、他の出走馬5頭もあまり離されずに続いた。残り2ハロン地点で単勝オッズ26倍の最低人気馬サーシャアブーが先頭に立つのを見計らうように本馬はスパート。残り1ハロン地点でサーシャアブーをかわして先頭に立ったのだが、ここからサーシャアブーが予想外の粘りを発揮したために叩き合いとなった。そしてゴール前で差し返されて、1馬身差の2着に敗れた。
勝ったサーシャアブーは次走のモイグレアスタッドSも勝利してGⅠ競走2連勝としており、この勝利は決してフロックではなかったのだが、それは後の話であり、この段階では最低人気馬に競り負けた本馬の評価は一時的に下降した。
それから2週間後には愛フューチュリティS(愛GⅡ・T7F)に出走。このレースは2戦2勝の期待馬ニューアプローチと本馬の一騎打ちムードとなった。ニューアプローチが単勝オッズ1.73倍の1番人気で、引き続きファロン騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ2.1倍の2番人気だった。前走と同様に馬場状態が悪い中でスタートが切られるとニューアプローチが先頭に立ち、ワルシャワが2番手、本馬が3番手を追走した。残り2ハロン地点で本馬が仕掛けてニューアプローチに迫ろうとしたが、ニューアプローチも加速したため2頭の差は縮まらなかった。そして本馬が先に失速してしまい、ゴール前で単勝オッズ41倍の伏兵カーテンコール(もっとも次走のベレスフォードSを勝っている)にかわされ、勝ったニューアプローチから3馬身1/4差の3着に敗退した。2歳時はこのまま休養入りし、この年の成績は4戦2勝となった。
競走生活(3歳前半)
3歳時はいきなり英2000ギニー(英GⅠ・T8F)から始動した。主な対戦相手は、愛フューチュリティS勝利後に愛ナショナルS・デューハーストSも勝利して2歳時5戦全勝の成績でカルティエ賞最優秀2歳牡馬に選ばれたニューアプローチ、レーシングポストトロフィー・オータムSなど4連勝中のイブンカルダン、ソラリオS勝ち馬でクレイヴンS2着・デューハーストS3着のレイヴンズパス、ヨーロピアンフリーH勝ち馬でホーリスヒルS2着のスティミュレーション、リッチモンドS勝ち馬でミルリーフS・ミドルパークS2着のストライクザディール、ジャパンC勝ち馬ジュピターアイランドの姪の息子に当たるパーフェクトストライド、ハリウッドダービーやウッドバインマイルの勝ち馬ラビーブの甥に当たるファイヤーサイドといった有力馬・期待馬だった。ニューアプローチが単勝オッズ2.375倍の1番人気、イブンカルダンが単勝オッズ4.5倍の2番人気、レイヴンズパスが単勝オッズ5倍の3番人気と、この3頭に人気が集まり、主戦となるジョニー・ムルタ騎手と初コンビを組んだ本馬は単勝オッズ12倍の4番人気だった。
スタートが切られると本命馬ニューアプローチが先頭に立ち、イブンカルダンも先行。レイヴンズパスは馬群の中団、本馬は馬群の後方につけた。レース中盤でも本馬はまだ後方から3頭目辺りの位置取りだったが、残り3ハロン地点でスパートを開始。馬群の間を突き抜けると、残り1ハロン地点で先頭のニューアプローチに追いついて叩き合いに持ち込んだ。ニューアプローチもここからよく粘ったが、最後に本馬が前に出て鼻差で優勝した。
次走は愛2000ギニー(愛GⅠ・T8F)となった。対戦相手はニューアプローチ、キラヴーランSなど2戦2勝のジュピタープルヴィアス、英2000ギニーで単勝オッズ101倍の超人気薄ながら3着と好走していたスタブッスアート、前年に創設された米国の第1回BCジュヴェナイルターフの優勝馬ナウナウナウの4頭だけだった。ニューアプローチが単勝オッズ2.1倍の1番人気、本馬が単勝オッズ2.25倍の2番人気、ジュピタープルヴィアスが単勝オッズ8倍の3番人気であり、本馬とニューアプローチの一騎打ちムードだった。スタートが切られると、やはりニューアプローチが即座に先頭に立って逃げ、スタブッスアートが2番手、本馬が3番手を進んだ。直線に入ると本馬は外側に持ち出して残り2ハロン地点で加速を始め、残り1ハロン地点でニューアプローチを並ぶ間もなく差し切り、1馬身3/4差をつけて快勝した。
その後は英ダービーに参戦する予定だったが、降雨のため馬場状態が悪化する事が予測されたため回避となった(本馬の2度の敗戦は不良馬場と重馬場だった)。しかし予想に反して英ダービーはそれほど馬場状態が悪くならず、ニューアプローチが優勝を果たした。
結局マイル路線に専念する事になった本馬は、セントジェームズパレスS(英GⅠ・T8F)に向かった。仏2000ギニーを単勝オッズ22.5倍の人気薄で勝ってきたファルコ、英2000ギニー4着から直行してきたレイヴンズパス、クレイヴンS勝ち馬でダンテS3着のトゥワイスオーヴァー(後に英チャンピオンS2連覇・エクリプスS・英国際SとGⅠ競走を4勝)、英2000ギニーに続いて愛2000ギニーでも3着だったスタブッスアート、カブール賞勝ち馬でモルニ賞3着のアレクサンドロスなどが出走してきたが、この時点における実績的には既に本馬が頭一つ抜けていた。そこで本馬が1.57倍の断然人気に支持され、ファルコが単勝オッズ7.5倍の2番人気、レイヴンズパスが単勝オッズ8倍の3番人気、トゥワイスオーヴァーが単勝オッズ9倍の4番人気となった。
スタートが切られると、単勝オッズ67倍の伏兵キャットジュニアとオブライエン師が用意したペースメーカー役のミネアポリスの2頭が先頭を引っ張り、ファルコが先行、本馬、レイヴンズパス、トゥワイスオーヴァーは後方からレースを進めた。直線入り口でファルコが先頭に立ったが、四角でスパートした本馬が馬群の間を縫うようにして末脚を伸ばし、残り1ハロン地点で先頭を奪取。後方からはレイヴンズパスが追ってきたが、その追撃を3/4馬身差で封じた本馬が勝利した。
英2000ギニー・愛2000ギニー・セントジェームズパレスSを全て制したのは、1969年のライトタック、2002年のロックオブジブラルタルに続いて史上3頭目の快挙だった。
競走生活(3歳後半)
次走はサセックスS(英GⅠ・T8F)となった。対戦相手は、セントジェームズパレスS2着後にジャンプラ賞でも2着してきたレイヴンズパス、ベット365マイル・ジョンオブゴーントSを連勝してきたメジャーカドゥー、ノーフォークS・ジュライSの勝ち馬ウィンカーワトソン、ベットフェアC・ジャージーSの勝ち馬タリク、本馬のペースメーカー役ウィンザーパレスの5頭だった。本馬が単勝オッズ1.36倍の断然人気で、レイヴンズパスが単勝オッズ5倍の2番人気、メジャーカドゥーが単勝オッズ15倍の3番人気だった。
スタートが切られるとウィンザーパレスが先頭に立ち、本馬はそれを見るように先行した。残り2ハロン地点で本馬がウィンザーパレスをかわして先頭に立ち、そのまま押し切ろうとしたところに、道中は馬群の後方で脚を溜めていたレイヴンズパスが並びかけてきて、残り1ハロン地点から激しい叩き合いとなった。叩き合いになれば普通は後方から来た馬が有利なのだが、本馬はゴール直前でもう一伸び。2着レイヴンズパスに頭差をつけて勝利した。
英国と愛国のマイル路線ではもはや敵無しとなった本馬は、今度は仏国に遠征して、ムーランドロンシャン賞(仏GⅠ・T1600m)に参戦した。対戦相手は過去4戦のマイルGⅠ競走とは全く顔触れが異なっており、本馬とは初顔合わせの馬ばかりだった。主な相手は、ロートシルト賞・クロエ賞の勝ち馬で仏1000ギニー2着のゴルディコヴァ、前年の仏1000ギニー・アスタルテ賞・ムーランドロンシャン賞の勝ち馬で、この年はドバイデューティーフリー・イスパーン賞・クイーンアンS・ロートシルト賞と4戦全て2着の善戦馬と化していたダルジナ、レノックスS・ハンガーフォードS・グリーナムSの勝ち馬パコボーイ、英1000ギニー・チェヴァリーパークS・ロベールパパン賞などの勝ち馬でジャックルマロワ賞・モルニ賞2着のナタゴラ、イスパーン賞の勝ち馬サージュブルク、独国のGⅡ競走ベルリンブランデンブルクトロフィーを勝ってきたフォーザミリオンキスなどだった。本馬がペースメーカー役オナードゲストとのカップリングで単勝オッズ2.1倍の1番人気となり、ゴルディコヴァが単勝オッズ4.4倍の2番人気、ダルジナが単勝オッズ5.5倍の3番人気となった。
スタートが切られると、パコボーイとオナードゲストが先頭を争い、ゴルディコヴァが先行、ダルジナが好位、本馬は後方待機策を採った。そして直線に入ると外側を通って追い込んできたのだが、今回は今ひとつ伸びが無く、勝ったゴルディコヴァから2馬身差の5着(3位入線のパコボーイが薬物検査に引っ掛かって失格となったため後に4着に繰り上がっている)に敗れ、マイル戦で初黒星を喫した。
レース後にオブライエン師は、湿った馬場状態(稍重馬場)を敗因として挙げている。また、このレースでペースメーカー役のオナードゲストは今ひとつ役割を果たせなかったが、この前月に行われた英国際S(オブライエン師の管理馬デュークオブマーマレードが勝っている)で、ペースメーカー役の馬が過度に僚馬を勝たせるための走りをしたとして、その戦術を指示したオブライエン師に5千ポンドの罰金が課せられた事件が少し影響したのかもしれない。
その後は改めて英国最強マイラーの地位を確定させるため、クイーンエリザベスⅡ世S(英GⅠ・T8F)に向かった。対戦相手は、ジャンプラ賞・ジャックルマロワ賞を連勝してきたタマユズ、前走セレブレーションマイルを勝ってきたレイヴンズパス、ウィンザーフォレストSなどの勝ち馬サバナパディーダ、サセックスSで4着だったウィンカーワトソン、ミュゲ賞・エドモンブラン賞・メシドール賞の勝ち馬ラシンガー、本馬のペースメーカー役オナードゲストの計6頭だった。本馬が単勝オッズ2.375倍の1番人気、タマユズが単勝オッズ3.25倍の2番人気、レイヴンズパスが単勝オッズ4倍の3番人気となった。
スタートが切られるとラシンガーが先頭に立ち、オナードゲストとタマユズが先行。レイヴンズパスは好位につけ、本馬は今回も後方待機策を採った。本馬は残り2ハロン地点で仕掛けて末脚を伸ばし、残り1ハロン地点で先頭に立っていたレイヴンズパスを差し切る勢いだった。しかしここからレイヴンズパスが粘りを見せて本馬に抜かさせなかった。結局レイヴンズパスがそのまま押し切って勝ち、1馬身差の2着に敗れた本馬は、レイヴンズパスとの対戦4度目にして初めて屈してしまった。
その後は米国サンタアニタパーク競馬場に向かい、ブリーダーズカップに参戦した。今までマイル路線をひた走っていた本馬の事であるから、出走するのは当然BCマイルと思いきや、実際に出たのはBCクラシック(米GⅠ・AW10F)だった。本馬を所有するクールモアグループは種牡馬としての価値をさらに上げる目的で、芝路線で活躍した馬をブリーダーズカップのダート競走に参戦させる事が頻繁にあった。ましてやこの年のBCクラシックはダートではなく史上初めてオールウェザーで行われており、普通のダートコースに比べれば芝馬でも好走できる可能性が高いと言われていた。クールモアは本馬に加えて、この年にガネー賞・タタソールズ金杯・プリンスオブウェールズS・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS・英国際SとGⅠ競走で5連勝していた現役欧州最強古馬デュークオブマーマレードもBCクラシックに参戦させていた。また、クイーンエリザベスⅡ世Sで本馬を破ったレイヴンズパスもBCクラシックに参戦してきた。
しかしこの年のBCクラシックの主役は、前年のBCクラシック・プリークネスS・ジョッキークラブ金杯とこの年のドバイワールドC・スティーヴンフォスターH・ウッドワードS・ジョッキークラブ金杯を勝っていた北米競馬史上初の1000万ドルホースのカーリンだった。他の出走馬は、パシフィッククラシックSを勝ってきたサンタアニタH・ハリウッド金杯2着馬ゴービトウィーン、サンタアニタダービー・トラヴァーズSを勝ってきたカーネルジョン、サンタアニタダービー・グッドウッドS・スワップスBCS・オークローンHの勝ち馬ティアゴ、ノーザンダンサーターフS・サンマルコスSの勝ち馬シャンゼリゼ、ホーソーン金杯Hを勝ってきたフェアバンクス、パシフィッククラシックS・ピムリコスペシャルHの勝ち馬ステューデントカウンシル、ハッチソンS・オハイオダービーの勝ち馬スムーズエアー、それに日本から遠征してきたピーターパンS勝ち馬カジノドライヴだった。
カーリンが単勝オッズ1.9倍の1番人気、BCクラシックと同じオールウェザー10ハロンのパシフィッククラシックSを快勝してきたゴービトウィーンが単勝オッズ9倍の2番人気、デュークオブマーマレードが単勝オッズ10.6倍の3番人気、カジノドライヴが単勝オッズ10.9倍の4番人気と続き、本馬は単勝オッズ20倍の8番人気で、単勝オッズ14.5倍の6番人気だったレイヴンズパスより評価が低かった。本馬が人気薄だったのは、過去にマイルより長い距離のレースに出た経験が無かった(これはレイヴンズパスも同じ)事に加えて、直近2走の内容からやや調子落ちと判断された事、さらにデュークオブマーマレードの主戦でもあったムルタ騎手がデュークオブマーマレードに騎乗したために、ジョン・ヴェラスケス騎手に乗り代わった事などが影響したようである。
スタートが切られるとカジノドライヴが先頭に立ち、フェアバンクスが2番手、デュークオブマーマレードとゴービトウィーンが3~4番手につけた。カーリンと本馬が馬群の中団後方の7~8番手につけ、レイヴンズパスはさらに後方から慎重にレースを進めた。向こう正面で先頭のカジノドライヴにデュークオブマーマレードが並びかけると、カーリンが加速を開始。後方にいたレイヴンズパスはカーリンを追うようにして上がっていったが、本馬鞍上のヴェラスケス騎手はまだあまり動かなかった。カジノドライヴは三角で失速し、デュークオブマーマレードがいったんは先頭に立ったが、その外側から来たカーリンが四角で先頭に立ち、そのまま直線へと入っていった。さらにレイヴンズパスもカーリンの直後まで上がっていき、本馬も四角で馬群の中をすり抜けると直線入り口7番手から追い上げを開始した。前方では、カーリンを外側からかわしたレイヴンズパスが先頭に立っていた。カーリンには伸びが無く、本馬がその内側からそれをかわして2番手に上がり、さらにレイヴンズパスを追撃した。しかしレイヴンズパスの脚色は最後まで衰えず、届かなかった本馬は1馬身3/4差の2着に敗れた。
BCクラシック制覇に執念を燃やすクールモアの悲願は果たせなかったが、クールモア所有馬のBCクラシックにおける成績としては2000年に2着したジャイアンツコーズウェイと並ぶ最高成績であり、デュークオブマーマレードが9着に惨敗した事も考慮すると、誉められるべき内容だった。
また、BCクラシック史上初めて欧州調教馬のワンツーフィニッシュであり、本馬とレイヴンズパスが激戦を演じてきたこの年の欧州マイル路線はレベルが高かったのだという事を示す結果でもあった(ちなみに同日実施されたBCマイルでは、ムーランドロンシャン賞で本馬を破ったゴルディコヴァが勝っている)。
3歳時の成績は7戦4勝(勝ち星は全てGⅠ競走)だったが、カルティエ賞最優秀3歳牡馬の座は、この年6戦3勝(勝ち星は英ダービー・愛チャンピオンS・英チャンピオンSでやはり全てGⅠ競走)のニューアプローチに奪われてしまった。しかし陣営にとっては十分満足がいくこの年の内容だったらしく、本馬はBCクラシックを最後に引退した。
馬名は、世界史の授業で大半の人が習ったと思われる有名人で、大航海時代の幕を開いた15世紀ポルトガルの王子であるエンリケ航海王子(Prince Henry the Navigator)のことである。
血統
Kingmambo | Mr. Prospector | Raise a Native | Native Dancer | Polynesian |
Geisha | ||||
Raise You | Case Ace | |||
Lady Glory | ||||
Gold Digger | Nashua | Nasrullah | ||
Segula | ||||
Sequence | Count Fleet | |||
Miss Dogwood | ||||
Miesque | Nureyev | Northern Dancer | Nearctic | |
Natalma | ||||
Special | Forli | |||
Thong | ||||
Pasadoble | Prove Out | Graustark | ||
Equal Venture | ||||
Santa Quilla | Sanctus | |||
Neriad | ||||
Sequoyah | Sadler's Wells | Northern Dancer | Nearctic | Nearco |
Lady Angela | ||||
Natalma | Native Dancer | |||
Almahmoud | ||||
Fairy Bridge | Bold Reason | Hail to Reason | ||
Lalun | ||||
Special | Forli | |||
Thong | ||||
Brigid | Irish River | Riverman | Never Bend | |
River Lady | ||||
Irish Star | Klairon | |||
Botany Bay | ||||
Luv Luvin' | Raise a Native | Native Dancer | ||
Raise You | ||||
Ringing Bells | ボールドラッド | |||
Prayer Bell |
父キングマンボは当馬の項を参照。
母セコイヤは競走馬としては9戦して2勝だが、そのうち1勝がモイグレアスタッドS(愛GⅠ)だった。母としては本馬の全姉クイーンクレオパトラ【デリンズタウンスタッド1000ギニートライアル(愛GⅢ)】も産んでいる。セコイヤの全妹にはリッスン【フィリーズマイル(英GⅠ)】がいるほか、セコイヤの半姉レディウィンダミア(父レイクコニーストン)の孫には2013年のカルティエ賞最優秀3歳牡馬マジシャン【BCターフ(米GⅠ)・愛2000ギニー(愛GⅠ)】がいる。近親には他にも活躍馬が多数おり、なかなか優秀な牝系である。→牝系:F9号族③
母父サドラーズウェルズは当馬の項を参照。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は、米国ケンタッキー州にあるクールモア傘下のアッシュフォードスタッドで種牡馬入りした。初年度の種付け料は6万5千ドルとなかなかの高額に設定されたが、種牡馬人気は高く、ベルモントSでカーリンを破ったラグストゥリッチズ、愛オークスなどGⅠ競走4勝を挙げて2007年のカルティエ賞最優秀3歳牝馬に選ばれたピーピングフォーン、ミアン(ケンタッキーダービー・プリークネスS勝ち馬ビッグブラウンの母)、ヴェルティジヌー(BCクラシックなどデビュー19連勝したゼニヤッタの母)など、超一流の繁殖牝馬が本馬のところに集まった。また、クールモア種牡馬の例により、豪州のクールモア・オーストラリアにもシャトルされている。現在は愛国のクールモアスタッドと豪州を行き来しながら種牡馬生活を続けている。初年度産駒から早速ペドロザグレートというGⅠ競走の勝ち馬を出しており、今後期待の種牡馬の一頭である。
主な産駒一覧
生年 |
産駒名 |
勝ち鞍 |
2010 |
George Vancouver |
BCジュヴェナイルターフ(米GⅠ) |
2010 |
Pedro the Great |
愛フェニックスS(愛GⅠ) |
2011 |
Sudirman |
愛フェニックスS(愛GⅠ)・レイルウェイS(愛GⅡ) |
2012 |
Lite'n In My Veins |
サーアーネストリースティーレクラシック(豪GⅢ) |