チチカステナンゴ

和名:チチカステナンゴ

英名:Chichicastenango

1998年生

芦毛

父:スマドゥン

母:スマラ

母父:アンテウス

ポストサンデーサイレンスとして社台グループが購入するも日本における初年度産駒デビュー前に他界したリュパン賞・パリ大賞の勝ち馬

競走成績:2・3歳時に仏で走り通算成績14戦4勝2着2回3着4回

誕生からデビュー前まで

エキュリー・ジュール・ウァキ氏とゲートン・ジャイルス氏により生産された仏国産馬で、B・ブルネット夫人の所有馬となり、仏国フィリップ・ドゥメルキャステル調教師に預けられた。

競走生活(2歳時)

2歳5月にシャンティ競馬場で行われたコックシャンタン賞(T1100m)で、ティエリー・テュリエ騎手を鞍上にデビューしたが、ネヴァールーザーの7馬身半差6着と大敗。翌月にメゾンラフィット競馬場で出走したメモランダム賞(T1200m)では、グリーングルームの2馬身差3着に敗れた。

3戦目は前走から12日後にサンクルー競馬場で行われたソーヌ賞(T1200m)となった。しかしここでも、マーチャンヴォランの3馬身差3着に敗れてしまい、その後は2か月間の調整期間に入った。

9月にシャンティ競馬場で行われたマニゲット賞(T1600m)で復帰した。しかし2年後のBCマイルでロックオブジブラルタルを2着に破って勝利するドームドライヴァーが初勝利を挙げ、本馬は3馬身半差の4着に敗れた。

翌10月にはメゾンラフィット競馬場でサムライ賞(T1400m)に出走。ここでは2着ノルブに3馬身差で勝利を収め、5戦目でようやく未勝利を脱出した。

同月末には同じメゾンラフィット競馬場でアラディス賞(T1400m)に出走。しかしスウェディッシュシェイヴの2馬身差2着に敗れた。

翌月にサンクルー競馬場で出走したトーマブリョン賞(GⅢ・T1600m)では、マニゲット賞勝利後にアイソノミー賞を勝ってきたドームドライヴァー、愛フェニックスSの勝ち馬エイヴィアンスの息子でモイグレアスタッドS・コロネーションSの勝ち馬チャイムズオブフリーダムの半弟という良血馬デノン(後に米国に移籍してハリウッドダービー・チャールズウィッティンガム記念H・ターフクラシック招待S・マンハッタンHとGⅠ競走4勝を挙げている)、仏グランクリテリウム3着馬スペットロ、クリテリウムドメゾンラフィット3着馬グリーングルームなどの強敵達が対戦相手となった。ドームドライヴァーとデノンのカップリングが単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持される一方で、過去6戦全てで手綱を取ってきたテュリエ騎手が他馬に騎乗したためにA・ジャンク騎手に乗り代わった本馬は単勝オッズ14.8倍で7頭立ての最低人気だった。レースでも直線に入る前までは後方をてくてくと走っていたが、残り600m地点から加速を開始すると、中団から抜け出して残り400m地点で先頭に立っていたデノンに残り300m地点で並びかけ、叩き合いを半馬身差で制して勝利した。

この結果を受けて、ジャンク騎手が本馬の主戦として固定されることになった。2歳時はこれが最後のレースで、この年の成績は7戦2勝だった。

競走生活(3歳時)

3歳時は3月にサンクルー競馬場で行われたリステッド競走オムニウムⅡ賞(T1600m)から始動した。しかしここでは後に独国のGⅡ競走グロッサーカールシュタットマイレを勝利するアグノヨーの8馬身差4着最下位に大敗。前年のトーマブリョン賞で4着に破っていたグリーングルーム(ここでは2着)にも先着を許した。

この結果を受けて仏2000ギニーは断念し、目標を仏ダービーに切り替えた。まずはグレフュール賞(GⅡ・T2100m)に出走した。対戦相手は、クリテリウムドサンクルーの勝ち馬サガシティ、前走モーリスカイヨー賞を5馬身差で圧勝してきたマイユピストル、コンデ賞の勝ち馬パニ、サンクタス賞の勝ち馬ノルなど5頭だった。サガシティが単勝オッズ1.6倍の1番人気、マイユピストルが単勝オッズ5倍の2番人気で、本馬は単勝オッズ8倍の4番人気に留まった。レースではやはり後方を進み、直線の末脚勝負に賭けたが、2着ノルに6馬身差をつけて圧勝したマイユピストルには全く届かず、9馬身差の3着に敗れた。

それでも陣営は諦めず、1か月後に同じコースで行われたリュパン賞(GⅠ・T2100m)に本馬を参戦させた。対戦相手は、前走ノアイユ賞を6馬身差で圧勝してきたアナバーブルー、ジェベル賞で2着してきたクリテリウムドメゾンラフィットの勝ち馬アミワイン、前走のバリサックスSでガリレオの2着してきた後の英セントレジャー馬ミラン、ロイヤルロッジSの勝ち馬アトランティスプリンスの4頭だった。アナバーブルーが単勝オッズ1.7倍の1番人気、アミワインが単勝オッズ4.5倍の2番人気、ミランが単勝オッズ4.9倍の3番人気、アトランティスプリンスが単勝オッズ6.4倍の4番人気で、本馬は単勝オッズ14.5倍の最低人気だった。スタートが切られるとアトランティスプリンスが逃げを打ち、アミワインが2番手、本馬が3番手、アナバーブルーが4番手、ミランが最後方を進む展開となった。そのままの態勢で直線に入ると、残り400m地点でジャンク騎手が仕掛けた。すると前2頭を残り200m地点でかわして先頭に立った。そこへ後方からアナバーブルーとミランの2頭が襲い掛かってきた。しかしジャンク騎手の檄に応えた本馬が粘り切り、2着アナバーブルーに首差、3着ミランにはさらに頭差をつけて勝利した。

次走は目標としていた仏ダービー(GⅠ・T2400m)となった。主な対戦相手は、グレフュール賞勝利後にオカール賞を8馬身差で圧勝してきたマイユピストル、前走シュレンヌ賞を5馬身差で圧勝してきたセンシブル、グレフュール賞4着後にオカール賞で2着していたサガシティ、仏グランクリテリウム・ロシェット賞の勝ち馬オカワンゴ、ディーSで2着してきた後のカルティエ賞最優秀古馬グランデラ、それにアナバーブルーとミラン達だった。前哨戦を連続圧勝してきたマイユピストルが単勝オッズ2.5倍の1番人気、ミランが単勝オッズ7.8倍の2番人気、アナバーブルーが単勝オッズ9.6倍の3番人気、センシブルが単勝オッズ9.8倍の4番人気と続いた。一方の本馬は前走がフロック視されたらしく、単勝オッズ19.4倍で14頭立ての10番人気という低評価だった。

スタートが切られると前走とは異なりアナバーブルーが即座に先頭に立って逃げを打ち、ハナを叩かれた形になった大本命のマイユピストルもそれを追って先行。一方の本馬は焦らずに馬群の中団で自分の競馬に徹した。レース中盤でマイユピストルが先頭を奪い、そのまま直線に入ってきたが、自分のペースで逃げられなかった事が影響したのか過去3戦のような伸びは無く、やがて馬群に飲み込まれていった。それと入れ代わるようにして、いったんは先頭を譲って2番手に下がっていたアナバーブルーが残り300m地点で先頭に立った。そこへ後方馬群が押し寄せてきた。その先頭にいたのは本馬であり、残り200m地点では今にもアナバーブルーをかわすかのような勢いだった。しかしここからアナバーブルーが粘りを発揮。最後までアナバーブルーをかわせなかった本馬は半馬身差の2着に敗れた。しかし今回もまた人気薄を覆す好走となった。

次走のパリ大賞(GⅠ・T2000m)では、前走仏ダービーで人気を集めた馬達が揃って回避したため、本馬を含めて僅か5頭立てという寂しいレースとなった。対戦相手は、前走4着のオカワンゴ、レーシングポストトロフィー3着馬ボナール、ギシュ賞を勝ってきたミズンマストなどだった。今までは後方待機策が主だった本馬だが、今回はスタートから先頭に立って馬群を先導した。そして残り400m地点で二の脚を使って後続との差を広げると、そのままゴールまで粘り切り、2着ミズンマストに1馬身半差をつけて勝利した。

その後は突然マイル路線に方向転換し、ジャックルマロワ賞(GⅠ・T1600m)に出走。主な対戦相手は、サセックスS・英シャンペンSの勝ち馬でデューハーストS・セントジェームズパレスS2着のノヴェール、コロネーションS・サンドリンガム賞の勝ち馬で仏1000ギニー2着のバンクスヒル、本馬が見送った仏2000ギニーの勝ち馬ヴァオリミクス、ミュゲ賞・ファルマスSを勝ってきたプラウドウイングス、独2000ギニーを勝ってきたロイヤルドラゴン、マルセルブサック賞の勝ち馬アモニタ、パリ大賞で本馬の3着だったボナールなどだった。仏2000ギニーでも1位入線していたが薬物検査に引っ掛かって失格となっていたノヴェールが単勝オッズ2.8倍の1番人気、バンクスヒルが単勝オッズ3.3倍の2番人気、ヴァオリミクスが単勝オッズ4.3倍の3番人気、本馬が単勝オッズ8.4倍の4番人気と続いていた。レースは単勝オッズ16倍の5番人気馬プラウドウイングスが逃げを打ち、本馬は3番手を先行した。しかし残り200m地点からの伸びが悪く、プラウドウイングスを捕らえられず、後方から来たヴァオリミクス、バンクスヒル、ノヴェールに差されて、1位入線のプラウドウイングスから2馬身差の5位入線となった。レース後にプラウドウイングスが道中の斜行による進路妨害を咎められて失格となったため、2位入線のヴァオリミクスが繰り上がって勝利馬となり、本馬の順位も1つ上がって4着となった。

その後はマイル路線を捨てて、凱旋門賞を睨んでニエル賞(GⅡ・T2400m)に出走した。主な対戦相手は、英2000ギニー勝ち馬で英ダービー2着のゴーラン、キングエドワードⅦ世Sの勝ち馬ストーミングホーム、仏ダービー勝利後に出走したキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスDSではガリレオの7着に終わっていたアナバーブルー、ユジェーヌアダム賞の勝ち馬キングオブタラなどだった。ゴーランが単勝オッズ2.3倍の1番人気、ストーミングホームが単勝オッズ4.8倍の2番人気、本馬が単勝オッズ5.4倍の3番人気、アナバーブルーが単勝オッズ6.2倍の4番人気となった。今回の本馬は後方待機策に戻し、直線入り口最後方からの末脚勝負に出た。しかしゴーランとアナバーブルーの2頭に届かず、勝ったゴーランから2馬身3/4差の3着に敗退。

結局凱旋門賞には出ずに、このレースを最後に3歳時7戦2勝の成績で競走馬引退となった。

馬名はグアテマラ中部キチェ県にある都市名。18世紀にマヤ族の創生神話が記された古文書「ポポル・ブフ」が発見されたことで有名である。

血統

Smadoun Kaldoun Caro フォルティノ Grey Sovereign
Ranavalo
Chambord Chamossaire
Life Hill
Katana Le Haar Vieux Manoir
Mince Pie
Embellie ヴェンチア
But Lovely
Mossma Tip Moss Luthier Klairon
Flute Enchantee
Top Twig High Perch
Kimpton Wood
Ticma Arctic Storm Arctic Star
Rabina
Tecoma Major Portion
Bignonia
スマラ Antheus Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Apachee Sir Gaylord Turn-to
Somethingroyal
Americaine Cambremont
Alora
Small Partie Fabulous Dancer Northern Dancer Nearctic
Natalma
Last of the Line The Axe
Bryonia
Summer Parties Vaguely Noble ヴィエナ
Noble Lassie
Selerina Reviewer
Swan Dance

父スマドゥンは現役成績63戦13勝。主に下級条件戦を中心に走った馬で、グループ競走ではアンドレバボワン賞(仏GⅢ)の2着が最高成績だった。種牡馬としてもそれほど成功しておらず、本馬以外にGⅠ競走の勝ち馬は出していない。スマドゥンの父カルドゥンはカロの直子で、現役成績は19戦5勝。パン賞を2回勝った程度で、やはり競走馬としては目立たなかったが、種牡馬としては多数の活躍馬を出して成功した。

母スマラは現役成績3戦1勝。スマラの5代母スワンシーは名種牡馬サーゲイロードの全妹で米国三冠馬セクレタリアトの半姉であるが、そこまで遡らないと活躍馬の名前が出てこない牝系である。→牝系:F2号族④

母父アンテウスはノーザンダンサー産駒で、現役成績は12戦5勝。グループ競走勝ちは伊ジョッキークラブ大賞(伊GⅠ)・ラクープドメゾンラフィット(仏GⅢ)の2つだけだが、伊ジョッキークラブ大賞ではトニービンを2着に破っている。種牡馬としては活躍していない。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は仏国ヴィクトー牧場で種牡馬入りした。その地味な血統と、ムラがある競走成績から、種牡馬としての期待は低いものだったが、2年目産駒のヴィジョンデタが仏ダービーを勝つなど活躍した。

ヴィジョンデタが仏ダービーを制した2008年の12月、日本の社台スタリオンステーションは本馬を約7億円で種牡馬として購入した事を発表した。社台グループにはサンデーサイレンスの血を持つ繁殖牝馬が溢れかえっており、本馬の地味な血統は、かつてのサンデーサイレンスがそうだったように、それらの馬に交配しやすい血統上の利点を有していたのである。

翌2009年から日本で種牡馬生活を開始した本馬は、ちょうど競走馬を引退したばかりの女傑ダイワスカーレットの初年度の交配相手に指名されたため、その知名度は一気に上昇した。日本における供用初年度は152頭の繁殖牝馬を集めた。その中にはダイワスカーレットだけでなく、ダンスインザムードやキストゥヘヴンも含まれていた。2年目はスティンガー、キストゥヘヴン、ブルーメンブラットなどを含む153頭、3年目は147頭の交配数であり、社台グループが本馬に対して抱いていた期待のほどが伺える。

しかし日本における初年度産駒がデビューする前の2011年12月末に疝痛を発症した本馬は、年明けの1月13日に容態が急変し、繋養先の社台スタリオンステーションにおいて14歳で他界した。

初年度産駒は本馬が他界した2012年にデビューしたが、2015年現在で中央・地方を含めて重賞勝ち馬は出ておらず、交配された繁殖牝馬の質と量からすると、日本における種牡馬生活は失敗だったと現時点では判断せざるを得ない。ただ、社台グループが本馬を導入した目的の1つには、異流血脈を有する本馬の血を緩衝材のように入れることで、本馬を母の父に持つ繁殖牝馬に今後様々な血統の種牡馬を交配させやすくするという事があったのではという見解もあり、もしかしたら何年か後には繁殖牝馬の父として名を馳せる事になるのかもしれない。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

2004

Chichi Creasy

フォンテーヌブロー賞(仏GⅢ)

2004

Chinandega

レゼルヴォワ賞(仏GⅢ)

2005

Blek

モーリスドニュイユ賞(仏GⅡ)・バルブヴィル賞(仏GⅢ)

2005

Vision d'Etat

仏ダービー(仏GⅠ)・ガネー賞(仏GⅠ)・プリンスオブウェールズS(英GⅠ)・香港C(香GⅠ)・ニエル賞(仏GⅡ)・ゴントービロン賞(仏GⅢ)

2008

Bubble Chic

ダーレーS(英GⅢ)

2009

Saonois

仏ダービー(仏GⅠ)・ニエル賞(仏GⅡ)・フォルス賞(仏GⅢ)

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