ウルトラファンタジー

和名:ウルトラファンタジー

英名:Ultra Fantasy

2002年生

鹿毛

父:エンコスタデラゴ

母:ベルアングライズ

母父:サーアイヴァー

豪州から香港に移籍してこつこつと走り、10番人気で迎えたスプリンターズSを鮮やかに逃げ切って勝利する

競走成績:3~8歳時に豪香日で走り通算成績52戦9勝2着9回3着5回

誕生からデビュー前まで

豪州エルドンパークスタッドの生産馬で、最初に競走馬として走っていたのは豪州であり、当初の名前は“Quay Lago(クアイラゴ)”だった。かつてジャパンC勝ち馬ベタールースンアップや豪州の大種牡馬となるザビールを手掛けたデヴィッド・ヘイズ調教師に預けられた。

競走生活(3歳時)

3歳時の2005/06シーズンにムーニーバレー競馬場で行われた芝1200mのハンデ競走でデビューした。しかし結果は7着に完敗。次走の芝1400mの未勝利戦は2着に敗れ、続く芝1600mのハンデ競走も2着。その後は未勝利の身でAAMIヴァーズ(豪GⅡ・T2040m)に出たが、デュエレッドの7馬身差6着に敗れた。次走のリステッド競走ジョンウェストザベストS(T1800m)も3着に敗退。芝1600mのハンデ競走では5着に敗れた。

年明け初戦はメルボルン近郊にあるバララット競馬場で行われた芝1200mの未勝利戦だった。このレースを4馬身差で完勝して初勝利を挙げた。しかしその後は芝1400mのハンデ競走に2回出走して3着と10着。芝1741mのハンデ競走でも7着に敗退。

このレースの翌6月に本馬は香港の実業家で後に香港特別行政区立法会の議員にも就任する林大輝(ラム・タイ・ファイ)氏により購入されて香港に移籍することになり、05/06シーズンの成績は10戦1勝となった。

競走生活(4歳時)

「極奇妙(ウルトラファンタジー)」と改名されて、南アフリカ出身のデビッド・E・フェラーリ調教師に預けられた本馬は、06/07シーズンは10月にハッピーヴァレー競馬場で行われたシーダーH(T1000m)から始動。単勝オッズ6.7倍の3番人気だったが2着アモに1馬身差で勝利を収め、移籍初戦を飾った。

次走のポウルンクセンテナリーC(T1000m)では132ポンドが課せられながらも単勝オッズ4.2倍の2番人気で、グローリーイヤーズの短頭差2着。福建H(T1000m)では斤量が114ポンドまで下がったが、対戦相手のレベルも上がり、単勝オッズ3.9倍の2番人気で、キャノナイズの2馬身1/4差3着。フラミンゴH(T1400m)では単勝オッズ7.5倍の4番人気で、結果もインペリアルアプローズの2馬身半差5着と今ひとつ。

年明け初戦の香港大人文基金H(T1400m)では単勝オッズ5.7倍の3番人気だったが、インペリアルアプローズの3馬身3/4差8着に敗退した。ランタオアイランドH(T1200m)では単勝オッズ7.4倍の3番人気だったが、初めて装着したブリンカーの効果が出たのか、2着キングエンコスタに短頭差で勝利を収めた。次走のイーストポイントH(T1200m)では単勝オッズ7.3倍の2番人気で、翌年の香港スプリント勝ち馬インスピレーションの2馬身3/4差2着。AMAHロックH(T1000m)では単勝オッズ13倍の5番人気と少し評価を下げたが、バルブキングの3/4馬身差3着と好走。06/07シーズンの成績は8戦2勝となった。

競走生活(5歳時)

翌07/08シーズンは9月の上環H(T1000m)から始動。単勝オッズ9.1倍の4番人気で、スカイビューバーの5馬身1/4差5着に敗れた。次走の長春H(T1200m)では単勝オッズ48倍の10番人気と、香港移籍後では最低の評価となり、結果もハイポイントの7馬身1/4差9着と振るわなかった。アトランタH(T1000m)では単勝オッズ6.7倍の3番人気に推され、フィフティフィフティの1馬身3/4差2着と好走。それでも次走の大澳H(T1000m)では単勝オッズ9倍の6番人気止まりだったが、2着ジアンジュンに首差で勝利を収めた。

しかし対戦相手のレベルが上がった大帽山H(T1000m)では単勝オッズ23倍の8番人気で、結果もステップトゥウインの2馬身半差8着だった。次走のフェアリーキングプローンH(T1200m)でも単勝オッズ23倍の7番人気で、サンジロの1馬身半差6着。しかしこの2戦、着順は悪いが勝ち馬との着差自体はそれほど悪いものではなかった。特に前者の大帽山Hでは130ポンドが課せられながらの走りだった。

それにも関わらずダフォディルH(T1200m)では単勝オッズ10倍の6番人気だったが、2着カントリーミュージックに半馬身差で勝利を収めた。次走のオーテマピゲドリームH(T1200m)では132ポンドが課せられてしまい、単勝オッズ55倍の12番人気で、結果も9着だったが、後に香港短距離路線の実力馬の1頭となる勝ち馬ワンワールドとの差は4馬身半差だった。18ディストリクツC(T1200m)でも131ポンドを課せられながら、今回は単勝オッズ8.6倍の4番人気と、それなりの評価を受けた。そして先行してゴール前で良く粘り、ノーマンインベーダーの1馬身1/4差4着と好走。次走の香港ジョッキークラブコミュニティトロフィー(T1200m)では123ポンドまで斤量が下がったにも関わらず、単勝オッズ10倍の4番人気だったが、2~3番手を進んで粘り、スカイビューバーの1馬身半差3着と好走した。07/08シーズンの成績は10戦2勝で、勝ち星自体は前シーズンと同じだったが、内容は確実に良化していた。

競走生活(6歳時)

翌08/09シーズンは9月の上環H(T1000m)から始動した。単勝オッズ11倍で5番人気の評価だった本馬はここでは凡走。馬群の中団からの伸びが今ひとつで、ハイマークの3馬身半差8着に敗れた。次走のポリスC(T1200m)では単勝オッズ10倍の3番人気だったが、先行して失速し、ハイポイントの4馬身1/4差9着に敗退。次走の長發H(T1200m)ではさすがに単勝オッズ31倍の10番人気まで評価が落ち、結果も馬群の中団から後退して、勝ったワンワールドから5馬身1/4差の10着と振るわなかった。次走のアバディーンH(T1200m)では単勝オッズ32倍の9番人気で、やはり馬群の中団から伸びずに、勝ったウィリングストームから6馬身1/4差の10着に敗退。大帽山H(T1000m)では単勝オッズ20倍の8番人気で、馬群の中団から大失速して、キルデアの30馬身半差12着最下位と惨敗。

この状況を見た所有者の林氏は、本馬をリッキー・イウ調教師の元に転厩させた。イウ師はかつて安田記念を勝ったフェアリーキングプローンの管理調教師だった時期があり(ただし、フェアリーキングプローンが安田記念を勝つ直前に転厩により彼の手を離れている)、本馬が転厩してきた時期には香港スプリント・沙田スプリントトロフィー・香港国際スプリントトライアル・チェアマンズスプリントなどを勝っていた名短距離馬セイクリッドキングダムが厩舎のエース格だった。

転厩したからと言って馬が劇的に変わるわけでも周囲の評価がいきなり上がるわけでもなく、転厩初戦のプライアーH(T1200m)では単勝オッズ52倍で12頭立ての最低人気まで落ち、結果も後方のまま見せ場無く、ウィリングストームの8馬身差11着に終わった。4か月間の休養を経て出走した7月のプリヴィレッジH(T1200m)では単勝オッズ99倍で14頭立ての最低人気だったが、最後方待機策からの追い込みがある程度決まり、勝ったディファレンシャルから4馬身差の6着だった。それでも08/09シーズンの成績は7戦未勝利で、最終戦プリヴィレッジHの6着が最高と、完全に壁に突き当たってしまった。もっともこのシーズンは7戦中4戦で133ポンドを課せられるなど、斤量面で厳しい戦いを強いられていた一面もあった。

競走生活(7歳時)

翌09/10シーズンは9月のビッグウェーブベイH(T1200m)から始動。相変わらず評価は低く単勝オッズ84倍の11番人気だったが、馬群の中団後方から追い込んで、アワラッキーベイビーの1馬身1/4差2着と好走した。次走の象山H(T1200m)では単勝オッズ9倍の4番人気と評価は上昇。そして3番手追走から抜け出して、2着ディファレンシャルに1馬身半差で勝利を収め、前年2月のダフォディルH以来1年7か月ぶりの勝利を挙げた。

しかし次走のブロードウッドH(T1400m)では単勝オッズ91倍の12番人気の低評価で、結果も4番手追走から後退して、ベリオの6馬身半差8着と振るわなかった。次走のカイイップH(T1200m)でも単勝オッズ17倍の6番人気だったが、スタートから先頭争いに加わるとゴール前でも良く粘り、アワラッキーベイビーの2馬身3/4差2着と好走。次走の長沙H(T1200m)でも133ポンドの斤量が影響したのか単勝オッズ35倍の7番人気だったが、3番手を先行してゴール前で良く粘り、ブリッシュゴールドの短頭差2着と好走した。それでもハッピーヴァレートロフィー(T1200m)では単勝オッズ11倍の5番人気止まり。先行してゴール前で後続馬に差されるという内容で、ノーマンインベーダーの2馬身3/4差8着と今ひとつだった。年明け初戦のランタオピークH(T1200m)では133ポンドが課せられたが、単勝オッズ7.8倍の3番人気と一定の評価を受けた。そしてスタートからゴールまで先頭を走り続け、2着プレストに半馬身差で勝利を収めた。

次走は香港国内におけるGⅠ競走であるセンテナリースプリントC(香港国内GⅠ・T1000m)となった。ここでは、前年暮れの香港スプリントで2年ぶりの同競走制覇を果たしていた同厩馬セイクリッドキングダムとの初顔合わせとなった。1番人気は当然セイクリッドキングダムで、単勝オッズ1.4倍の断然人気。対する本馬は単勝オッズ18倍の4番人気という評価だった。しかしスタートから先頭に立って良く粘り、3番手から本馬をかわして勝ったセイクリッドキングダムから3/4馬身差の2着と大健闘。斤量は本馬もセイクリッドキングダムも同じであり、本馬の実力はセイクリッドキングダムを脅かすところまで来ている事がここで示された。なお、このレースには一昨年の香港スプリント2着馬グリーンバーディーも出走していたが4着に敗れている。

次走のチェアマンズスプリント(香港国内GⅠ・T1200m)でもセイクリッドキングダム、グリーンバーディーとの対戦となった。しかしセイクリッドキングダムが単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持されたのに対して、本馬は単勝オッズ28倍の5番人気と、前走より評価を下げていた(グリーンバーディーは単勝オッズ25倍の4番人気だった)。レースでは2番手を進んで粘りこもうとしたが、もう一踏ん張りが出来ずに、勝ったセイクリッドキングダムから1馬身3/4差の4着。前走ほどセイクリッドキングダムに迫ることは出来なかった(6着だったグリーンバーディーには先着した)。

この後にセイクリッドキングダム共々日本の高松宮記念に招待されたが、セイクリッドキングダムは疝痛を発症したため遠征は出来なくなり、この時点における本馬の実績では単独で日本に派遣しても勝負にならないと考えた林氏の判断により、本馬も辞退となった。

セイクリッドキングダムはそのまま休養入りしたが、本馬は引き続きヴィクトリアレーシングクラブトロフィー(T1000m)に参戦。単勝オッズ7.1倍の4番人気に推されたが、ここでは133ポンドの斤量に加えて雨で湿った馬場状態が効いたようで、先行して失速し、勝ったスイートサネットから13馬身3/4差の14着最下位に沈んでしまった。

次走は香港短距離路線の大競走の1つであるスプリントC(香港国内GⅡ・T1200m)となった。前走の惨敗が響いて本馬の評価は下落しており、単勝オッズ28倍の6番人気。単勝オッズ1.9倍の1番人気に支持されたのはクイーンズシルヴァージュビリーC・香港国際スプリントトライアルを勝っていたハッピーゼロで、ワンワールドが単勝オッズ4.8倍の2番人気、グリーンバーディーが単勝オッズ5倍の3番人気だった。ところが初コンビとなるホイ・ウィン・ライ騎手を鞍上にスタートからゴールまで一貫して先頭を走り抜けて、2着グリーンバーディーに短頭差で勝利を収めた。

次走の沙田ヴァーズ(香港国内GⅢ・T1200m)では前走がフロック視された上に130ポンドの斤量も嫌われて、単勝オッズ23倍の6番人気。そしてやはり湿った馬場が影響したのか先頭に立つ事さえもできずに、勝ったディムサムから10馬身差をつけられた14着最下位に敗れ去った。09/10シーズンの成績は12戦3勝だったが、GⅡ競走を勝利したこともあり、明らかに飛躍のシーズンとなった。

スプリンターズS

10/11シーズンの初戦は日本のスプリンターズS(日GⅠ・T1200m)となった。当初は前哨戦のセントウルSにも出る予定だったが、高齢馬だけに体力を温存したいという理由で回避しての出走となった。函館スプリントS・キーンランドCを連勝してきたワンカラット、スワンS・阪神C・オーシャンS・高松宮記念と重賞4連勝していたキンシャサノキセキ、阪急杯・キーンランドCの勝ち馬で前年のスプリンターズSとこの年の高松宮記念で2着していたビービーガルダン、前年の高松宮記念とスプリンターズSを勝利して中央競馬最優秀短距離馬に選ばれたローレルゲレイロ、セントウルSを勝ってきたダッシャーゴーゴー、ニュージーランドトロフィーの勝ち馬サンカルロ、アイビスサマーダッシュ・キーンランドCと連続2着してきたジェイケイセラヴィ、CBC賞の勝ち馬ヘッドライナー、阪神Cの勝ち馬マルカフェニックス、オーシャンS・CBC賞・京阪杯の勝ち馬プレミアムボックス、オーシャンSの勝ち馬アイルラヴァゲイン、北九州記念の勝ち馬サンダルフォン、UHB杯などオープン特別3勝のウエスタンビーナス、一昨年の高松宮記念勝ち馬ファイングレイン、それに5か月前のスプリントCで本馬の2着した直後に星国のGⅠ競走クリスフライヤー国際スプリントを勝っていたグリーンバーディーが対戦相手となった。

前哨戦のセントウルSに出走して首差2着していたグリーンバーディーが単勝オッズ3.2倍の1番人気となり、勢いが買われたワンカラットが単勝オッズ4.9倍の2番人気、疝痛のためセントウルSを回避してぶっつけ本番となったキンシャサノキセキが単勝オッズ5.6倍の3番人気、ビービーガルダンが単勝オッズ6.9倍の4番人気、前年の覇者ローレルゲレイロが単勝オッズ9.1倍の5番人気と続き、グリーンバーディーとの過去の対戦成績では3戦全勝ながら、実績自体はグリーンバーディーより1枚落ちの上にぶっつけ本番の本馬は単勝オッズ29.3倍の10番人気だった。

スタートが切られるとジェイケイセラヴィが真っ先にゲートを飛び出したが、ライ騎手が猛然と押して加速させた本馬が単騎で先頭に立ち、ローレルゲレイロやジェイケイセラヴィなどが先行。ワンカラットは5~6番手の好位につけ、グリーンバーディーやキンシャサノキセキは馬群の中団につけた。しばらくするとローレルゲレイロが差を詰めてきて、三角に入る手前では本馬のリードは殆ど無くなった。しかしそれでも先頭を堅持し続け、四角で内埒沿いの経済コースを利して後続との差を少し広げた状態で直線を向いた。直線に入っても失速せずにひたすらゴールを目指した本馬だったが、中山競馬場名物の登り坂に差し掛かったところで後続馬勢が襲い掛かってきた。特に脚色が良かったのは内側を突いたダッシャーゴーゴーで、本馬を差し切る勢いで伸びてきた。しかし本馬が凌ぎきり、2位入線のダッシャーゴーゴーを鼻差抑えて勝利(ダッシャーゴーゴーは4位入線のサンカルロの進路を妨害した咎で降着となり、ダッシャーゴーゴーから1馬身1/4差の3位入線だったキンシャサノキセキが繰り上がって2着となった)。

同競走を海外馬が勝利したのは2006年のテイクオーバーターゲット以来4年ぶり史上3頭目だった(香港調教馬としては2005年のサイレントウィットネス以来史上2頭目)。8歳馬が中央競馬のGⅠ競走を勝利したのは、2009年に天皇賞秋とマイルCSを勝ったカンパニーに次いで史上2頭目だった。また、騎乗したライ騎手は香港出身騎手として初めて日本のGⅠ競走制覇騎手となった(2000年の安田記念を勝ったフェアリーキングプローンに乗っていたロバート・フラッド騎手は南アフリカ出身。2005年のスプリンターズSを勝ったサイレントウィットネスに乗っていたフェリックス・コーツィー騎手も南アフリカ出身。2006年の安田記念を勝ったブリッシュラックに乗っていたブレット・プレブル騎手は豪州出身)。

競走生活(スプリンターズS以降)

帰国した本馬は香港スプリント(香GⅠ・T1200m)に出走した。連覇を目指すセイクリッドキングダム、ドバイゴールデンシャヒーン・クリスフライヤー国際スプリントで2着していた星国最強短距離馬ロケットマン、後に香港短距離界の中心的存在となる上がり馬ラッキーナイン、後にキングズスタンドSを勝つ上がり馬リトルブリッジ、コンピュータフォームスプリント・ゴールデンホーススプリント2回・マーキュリースプリント2回と南アフリカのGⅠ競走を5勝していたジェイジェイザジェットプレーン、スプリンターズSで7着に終わっていたグリーンバーディー、ワンワールド、ディムサム、ナンソープS・ゴールデンジュビリーSを勝っていた英国調教馬キングスゲートネイティヴなどが対戦相手となった。本馬はスプリンターズSを勝ってきたにも関わらず単勝オッズ36倍の10番人気という低評価。レースでも2番手追走から残り400m地点で後退するという見せ場の無い内容で、ジェイジェイザジェットプレーンの8馬身半差14着最下位に敗れ去った(セイクリッドキングダムは3着、グリーンバーディーは10着だった)。曲がりなりにもスプリンターズSを勝った馬が最下位という事で、日本の競馬ファンの中からは日本の短距離戦のレベル低下を嘆く意見が多く上がった。日本のレベルが下がったのかどうかは定かではないが、香港のレベルが上がっているのは確実であろう。

年明け初戦のセンテナリースプリントC(香港国内GⅠ・T1000m)でも単勝オッズ30倍で7番人気の低評価。レースではスタートから先頭争いを演じるもゴール前で失速して、勝ったセイクリッドキングダムからの着差は4馬身半差ながらも8着最下位に終わった。次走のチェアマンズスプリント(香港国内GⅠ・T1200m)でも単勝オッズ99倍で10番人気の低評価。レースではスタートから先頭に立つもゴール前で大きく失速し、勝ったディムサムから13馬身1/4差の11着最下位だった(セイクリッドキングダムは2着だった)。次走のボーヒニアスプリントトロフィー(香港国内GⅢ・T1000m)でも単勝オッズ89倍で10番人気の低評価。そしてハナを切ることさえも出来ずに中団から後退し、スイートサネットの8馬身1/4差11着最下位に終わった(セイクリッドキングダムは今回も2着だった)。

スプリンターズS以降は4戦して全て最下位という結果に、陣営はもうこれ以上の成績は望めないと判断し、ここで現役引退となった。引退後の消息については伝わっていないが、香港ジョッキークラブは予後不良と診断された馬以外の殺処分を禁止しており、各方面で第二の馬生を送れるように金銭的補助を行っている(香港は長らく英国領だったから、基本的に動物愛護の精神が強く、馬肉を食べる習慣も無い)から、本馬も今もどこかで暮らしている可能性が高い。

血統

Encosta de Lago Fairy King Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Fairy Bridge Bold Reason Hail to Reason
Lalun
Special Forli
Thong
Shoal Creek Star Way Star Appeal Appiani
Sterna
New Way Klairon
New Move
Rolls Mr. Prospector Raise a Native
Gold Digger
Grand Luxe Sir Ivor
Fanfreluche
Belle Anglaise Sir Ivor Sir Gaylord Turn-to Royal Charger
Source Sucree
Somethingroyal Princequillo
Imperatrice
Attica Mr. Trouble Mahmoud
Motto
Athenia Pharamond
Salaminia
English Trifle Protanto Native Dancer Polynesian
Geisha
Foolish One Tom Fool
Miss Disco
Set before a King King of the Tudors Tudor Minstrel
Glen Line
Blackbird Pie One Count
Queens Full

父エンコスタデラゴはフェアリーキング産駒の豪州産馬で、競走馬としても豪州で走り8戦3勝。しかしその3勝はヴィクヘルスC(豪GⅠ)・アスコットヴェイルS(豪GⅡ)・ビルスタットS(豪GⅡ)と全てグループ競走だった。他にコーフィールドギニー(豪GⅠ)で3着の実績もある。競走馬引退後はクールモアグループに購入されて愛国と豪州を行き来するシャトルサイヤーとなった。欧州における種牡馬成績は今ひとつだが、豪州では素晴らしい活躍を示している。豪州や新国だけでなく香港や南アフリカでも一流馬を次々に送り出し、2007/08シーズンの豪首位種牡馬に輝くなど、いまやクールモア繋養種牡馬のオセアニアにおけるエース格の1頭となっている。本馬が競走馬時代に6度戦って1度も先着できなかったセイクリッドキングダムもエンコスタデラゴの産駒である。

母ベルアングライズは米国産馬で、競走馬としても米国で走ったが13戦1勝という冴えない成績に終わった。競走馬引退後は豪州で繁殖入りしたが、なかなかこれといった産駒を出すことは出来ず、本馬を産んだ翌年2003年に18歳で他界している。近親にもあまり活躍馬がおらず、ベルアングライズの母の従兄弟にバウンドレスリー【アーリントンクラシックS(米GⅡ)・シェリダンS(米GⅢ)】が、ベルアングライズの4代母クイーンズフルの半弟に大種牡馬レイズアネイティヴがいるのが目立つ程度である。→牝系:F8号族①

母父サーアイヴァーは当馬の項を参照。

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