プリンスビショップ
和名:プリンスビショップ |
英名:Prince Bishop |
2007年生 |
騙 |
栗毛 |
父:ドバウィ |
母:ノースイーストベイ |
母父:プロスペクトベイ |
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ドバイワールドCに4度挑戦して最初の3回は惨敗だったが、8歳時に挑んだ4度目で遂に優勝を果たして有終の美を飾った老雄 |
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競走成績:3~8歳時に仏首英で走り通算成績28戦11勝2着3回3着3回 |
誕生からデビュー前まで
馬産団体サーソー社により生産された愛国産馬で、1歳時のタタソールズセールにおいてドバイのシェイク・モハメド殿下により8万ギニーで購入され、仏国アンドレ・ファーブル調教師に預けられた。
競走生活(3歳時)
3歳5月にシャンティ競馬場で行われたフォンテーヌ賞(T1600m)で、当面の主戦を務めるマキシム・ギュイヨン騎手を鞍上にデビュー。単勝オッズ2.8倍で12頭立ての1番人気に支持されたが、単勝オッズ13倍の6番人気馬メロンマルティーニの短頭差2着に惜敗した。
次走は同月にメゾンラフィット競馬場で行われたソーブリティッシュ賞(T1600m)となった。ここでも単勝オッズ2.5倍で15頭立て1番人気の評価を受けた。しかしゴール前で5頭が横一線となる大接戦に屈して、勝った単勝オッズ8.5倍の3番人気馬ストレートシックスから僅か首差の5着に敗れた。
次走は翌6月にロンシャン競馬場で行われたヴィロフレー賞(T2000m)となった。前走着外といっても着差が着差だけに、ここでも単勝オッズ2.3倍で14頭立て1番人気の評価を受けた。ところが結果は単勝オッズ6.8倍の3番人気馬アレッソンが勝利を収め、本馬は5馬身3/4差の8着と、今度は完敗を喫した。
次走は7月にヴィシー競馬場で行われたゴルフドゥスポルティング賞(T2000m)となった。競馬場がややローカルになり出走馬のレベルが下がった事もあり、ここでは単勝オッズ1.9倍で9頭立ての1番人気となった。そして今回は2着となった単勝オッズ9.3倍の4番人気馬フレデリックヘンデルに10馬身差をつけて圧勝し、4戦目でようやく勝ち上がった。
次走は8月にクレールフォンテーヌ競馬場で行われたパルファムジャコモ賞(T1800m)となった。ここでは単勝オッズ1.6倍で7頭立ての1番人気に支持された。レースでは先行して残り150m地点で先頭に立ち、2着となった単勝オッズ8倍の2番人気馬サイラスマーナーに2馬身半差をつけて勝利した。
次走は翌9月のプランスドランジュ賞(仏GⅢ・T2000m)となった。ダフニ賞・ギョームドルナノ賞とグループ競走で連続2着してきた同厩馬ウェルシーが単勝オッズ3.5倍の1番人気となる一方で、本馬は単勝オッズ11倍で10頭立て6番人気の評価だった。しかしレースでは2番手を進むと、残り300m地点から加速して追い上げ、先に先頭に立っていたウェルシーをゴール前できっちりと差し切って短首差で勝利を収め、グループ競走初出走で初勝利を挙げた。このレースは馬場状態が湿っており、ギュイヨン騎手は「この馬は柔らかい馬場のほうが向いています」と語った。実際、勝利した過去2戦も馬場状態が湿っており、逆に着外だったその前の2戦は良馬場だった。
次走は10月のコンセイユドパリ賞(仏GⅡ・T2400m)となった。対戦相手は、前走ドラール賞を勝ってきた前年のコンセイユドパリ賞・プランスドランジュ賞の勝ち馬で後にカルティエ賞最優秀古馬に選ばれるシリュスデゼーグル、ユジェーヌアダム賞の勝ち馬シムラーン、エドヴィル賞2着馬ザックホールなどだった。シリュスデゼーグルが単勝オッズ2.75倍の1番人気、シムラーンが単勝オッズ4倍の2番人気、ザックホールが単勝オッズ6.5倍の3番人気で、ギュイヨン騎手に代わってオリビエ・ペリエ騎手が手綱を取る本馬は単勝オッズ8倍の4番人気だった。レースは本馬にとって適した湿った馬場で行われた。前走より距離が伸びたためか、今回の本馬は馬群の中団やや後方を追走した。そして残り300m地点で仕掛けると、残り200m地点で一気に先頭に立った。そこへ馬群に包まれて仕掛けが遅れていたシリュスデゼーグルが猛然と差してきて、残り50m地点で並ばれてしまった。しかしここから本馬がシリュスデゼーグルより4kg軽い斤量を活かして差し返し、短首差で勝利した。
3歳時はこれが最後のレースで、この年の成績は7戦4勝だった。
競走生活(4歳時)
4歳時は名義がゴドルフィンに変わり、ドバイのサイード・ビン・スルール厩舎に転厩となった。
まずは3月のマクトゥームチャレンジR2(首GⅡ・AW2000m)に出走。対戦相手は、南アフリカのGⅠ競走ゴールデンホースシューを勝った後にUAE2000ギニー・UAEダービーも勝っていたムジール、英チャンピオンS2回・エクリプスS・ユジェーヌアダム賞・クレイヴンSの勝ち馬で英チャンピオンS・プリンスオブウェールズS・英国際S2着・セントジェームズパレスS・ロッキンジS・BCクラシック・愛チャンピオンS3着のトゥワイスオーヴァー、米国のGⅠ競走グッドウッドS・愛国のGⅢ競走ダイアモンドSの勝ち馬ジターノエルナンド、パシフィッククラシックS2回・グッドウッドS・サンアントニオHの勝ち馬でグッドウッドS・ハリウッド金杯3着のリチャーズキッド、アーリントンミリオン・ユジェーヌアダム賞・ハクスレイSの勝ち馬で英チャンピオンS3着のドビュッシー、メドウランズカップS・モンマスカップS・ナシュアSの勝ち馬エッチドなどであり、かなり強力なメンバー構成となっていた。ムジールが単勝オッズ3.25倍の1番人気、トゥワイスオーヴァーが単勝オッズ4.5倍の2番人気、ランフランコ・デットーリ騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ7倍の3番人気、ジターノエルナンドが単勝オッズ10倍の4番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ15倍の7番人気馬エッチドが先頭に立ち、上位人気4頭は揃って馬群の中団を進んだ。そして直線に入ると真っ先にトゥワイスオーヴァーが抜け出し、ムジールとジターノエルナンドがそれを追っていった。しかし本馬の伸びはあまり良くなく、勝ったトゥワイスオーヴァーから5馬身1/4差の5着に敗れた。
次走はドバイワールドC(首GⅠ・AW2000m)となった。対戦相手は、トゥワイスオーヴァー、前走2着のムジール、同3着のジターノエルナンド、同10着のリチャーズキッド、愛ダービー・愛チャンピオンS・愛フューチュリティS・ダンテS・タイロスSの勝ち馬でキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS2着のケープブランコ、クイーンエリザベスⅡ世S・英シャンペンS・セレブレーションマイルの勝ち馬ポエッツヴォイス、アーリントンミリオン・フランクEキルローマイルH・マンハッタンH・マンノウォーS2回・シャドウェルターフマイルS・ヴァージニアダービー・ヒルプリンスS・サーボーフォートSの勝ち馬でターフクラシック招待S・BCクラシック・マンハッタンH・アーリントンミリオン・BCマイル2着のジオポンティ、チェスターヴァーズの勝ち馬で愛ダービー2着のゴールデンソード、ドワイヤーSの勝ち馬でベルモントS・トラヴァーズS2着のフライダウン、キングエドワードⅦ世S・ドバイシティオブゴールドを勝っていた同じドバウィ産駒のモンテロッソ、そして日本からも、阪神ジュベナイルフィリーズ・桜花賞・優駿牝馬・ヴィクトリアマイル・天皇賞秋・京都記念・チューリップ賞の勝ち馬で有馬記念2回・宝塚記念・ジャパンC・ドバイシーマクラシック2着のブエナビスタ、皐月賞・有馬記念・弥生賞・中山記念・ラジオNIKKEI杯2歳Sの勝ち馬で東京優駿・ジャパンC3着のヴィクトワールピサ、ジャパンCダート・フェブラリーS・みやこSと重賞を3連勝してきたトランセンドが参戦してきた。トゥワイスオーヴァーが単勝オッズ3倍の1番人気、ケープブランコが単勝オッズ5倍の2番人気、ブエナビスタが単勝オッズ8倍の3番人気と続く一方で、アーメド・アジュテビ騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ26倍の10番人気という低評価だった。
スタートが切られると単勝オッズ41倍の12番人気だったトランセンドが先頭に立ち、本馬は馬群の中団を進んだ。向こう正面で最後方にいた単勝オッズ13倍の5番人気馬ヴィクトワールピサが大外を一気に駆け上がり、先頭のトランセンドに並びかけていった。そして日本調教馬2頭が先頭に立った状態で直線へと突入すると、後は先行馬勢による争いとなり、馬群の中団以降で直線を向いた馬の出番は無かった。レースはヴィクトワールピサが2着トランセンドに半馬身差をつけて、日本調教馬初のドバイワールドC制覇を果たし、本馬は特に見せ場も無く、ヴィクトワールピサから5馬身1/4差の10着に終わった。
その後はしばらくレースに出なかったが、8月に英国ウィンザー競馬場に姿を現し、ウィンターヒルS(英GⅢ・T10F7F)に出走した。主な対戦相手は、ホーリスヒルS2着馬ダックススカラー、前走ナッソーSで3着してきたプリンシパルロール、フォルス賞の勝ち馬シモンドモンフォールなどだった。ダックススカラーが単勝オッズ4.33倍の1番人気、プリンシパルロールが単勝オッズ4.5倍の2番人気、シモンドモンフォールが単勝オッズ5.5倍の3番人気、デットーリ騎手が騎乗する本馬が単勝6倍の4番人気となった。本馬にとって適した湿った馬場状態で行われたレースでは馬群の中団を進み、残り2ハロン地点で仕掛けた。しかし残り1ハロン地点から一気に失速。中団から抜け出して勝った単勝オッズ15倍の6番人気馬プリンスジークフリードから23馬身差をつけられた8着と大敗を喫した。
これで終わってはわざわざ英国まで来た甲斐が無いため、出走レースのレベルを落として、翌9月にチェスター競馬場で行われたリステッド競走スタンドC(T12F66Y)に出走した。対戦相手は、マクトゥームチャレンジR3で13着に惨敗した後にドバイデューティーフリー・プリンスオブウェールズS・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSと3戦して全て着外だったドビュッシーなど5頭だった。惨敗続きのドビュッシーだったが、同じレースに出る僚馬のペースメーカー役として使役されたから止むを得ない面もあり、ここでは単勝オッズ2.875倍の1番人気に支持されていた。一方、ロバート・ウィンストン騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ6.5倍の4番人気止まりだった。しかし芝の良馬場だったこのレースでは、この評価でも高すぎたようである。馬群の中団を進むも残り2ハロン地点から大失速。先行抜け出しの競馬で勝ったドビュッシーから27馬身差をつけられた6着最下位と見るも無残な結果となった。
その後は11月にケンプトンパーク競走場で行われたリステッド競走フラッドライトS(AW12F)に向かった。これといって目立つ対戦相手はいなかったのだが、近走の内容があまりにも悪かったため、単勝オッズ7倍の7頭立て3番人気の評価だった。しかしこのレースでは、この年の英平地騎手ランキングで最終的に2位に入るシルベストル・ド・スーザ騎手の手綱捌きが冴え渡った。馬群の中団で折り合いをつけると、早めに進出して先頭を射程圏内に捉えた状態で残り1ハロン地点までやってきた。そしてスーザ騎手の合図に応えて一瞬にして先頭に立って後続との差を広げ、2着となった単勝オッズ2.75倍の2番人気馬パーラーゲームスに3馬身3/4差をつけて快勝した。このレースは良馬場であり、オールウェザーであれば馬場状態はあまり関係ないようだった。
シーズン最後のレースを勝利で飾ってなんとか恰好をつけた本馬の4歳時の成績は5戦1勝となった。
競走生活(5歳時)
5歳時は1月に地元ドバイで行われたアルナブーダトラベル&ツーリズムH(AW2000m)から始動した。ここでは実績最上位で調子も戻っていたため、単勝オッズ2.375倍で10頭立ての1番人気に支持された。そしてデットーリ騎手を鞍上に、2番手追走から残り500m地点であっさりと抜け出して押し切るという強い内容で、2着となった単勝オッズ7.5倍の3番人気馬スプリングオブフェイムに5馬身1/4差をつけて勝利した。
次走はマクトゥームチャレンジR2(首GⅡ・AW1900m)となった。対戦相手は、前年のUAEダービーと前走のマクトゥームチャレンジR1でいずれも2着していたマスターオブハウンズ、キラヴーランSの勝ち馬ドバイプリンス、ユジェーヌアダム賞・ターセンテナリーSの勝ち馬ピスコサワー、前年のマクトゥームチャレンジR1・バージナハールの勝ち馬メンディップ、伊グランクリテリウムの勝ち馬ビオンデッティ、前年のドバイワールドC14着後は不振だったリチャーズキッド、ダーバンジュライ・南アフリカクラシックと南アフリカのGⅠ競走2勝のハンティングタワーなどだった。マスターオブハウンズが単勝オッズ2.5倍の1番人気、スーザ騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ4倍の2番人気、ドバイプリンスが単勝オッズ4.33倍の3番人気、ピスコサワーが単勝オッズ9倍の4番人気、メンディップが単勝オッズ11倍の5番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ51倍の最低人気馬ハンティングタワーと単勝オッズ26倍の7番人気馬ハーセクが先頭に立ち、本馬はそれを追って先行した。やがてハンティングタワーは失速していったが、ハーセクはまだ粘っており、本馬はそれを捕らえることが出来なかった。そうこうしているうちに後方馬勢が押し寄せてきてそれに飲み込まれた本馬は、勝ったメンディップから4馬身半差の5着に敗れた。
次走はマクトゥームチャレンジR3(首GⅠ・AW2000m)となった。対戦相手は、メンディップ、前走2着のハーセク、同4着のビオンデッティ、同6着のリチャーズキッド、ダーバンジュライ・マクトゥームチャレンジR2の勝ち馬ボールドシルヴァノ、ストレンソールS・アークトライアルの勝ち馬グリーンデスティニー、3着と健闘した前年のドバイワールドC以来の実戦となるモンテロッソ、本馬と同馬主同厩の地元ドバイの有力馬カッポーニ、オカール賞・シャンティ大賞の勝ち馬でサンクルー大賞3着のシルヴァーポンド、前年のドバイワールドCでは13着に終わっていたフライダウンなどだった。ボールドシルヴァノが単勝オッズ4.5倍の1番人気、グリーンデスティニーが単勝オッズ5.5倍の2番人気、メンディップとモンテロッソが並んで単勝オッズ6倍の3番人気、デットーリ騎手騎乗の本馬とカッポーニが並んで単勝オッズ10倍の5番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ41倍の最低人気馬トレブルジグが先頭に立ち、やや出遅れた本馬もすぐに挽回して先行集団に加わった。そして残り300m地点で仕掛けたが、先に抜け出したカッポーニとシルヴァーポンドの2頭を捕らえることは出来ず、勝ったカッポーニから4馬身半差の3着に敗れた。
次走はドバイワールドC(首GⅠ・AW2000m)となった。カッポーニ、前走4着のモンテロッソ、同11着のメンディップに加えて、コックスプレート2回・アンダーウッドS・ヤルンバS・マッキノンSと豪州でGⅠ競走5勝を挙げた後に愛国に移籍してタタソールズ金杯・エクリプスS・愛チャンピオンSを勝ちプリンスオブウェールズS・英チャンピオンSで2着していた新国出身馬ソーユーシンク、サンタアニタH・グッドウッドS・サンアントニオS・ローンスターダービーの勝ち馬で前年のBCクラシック・ハリウッド金杯2着のゲームオンデュード、BCレディーズクラシック・アラバマS・ブラックアイドスーザンSの勝ち馬でベルデイムS2着・CCAオークス3着のロイヤルデルタ、ローマ賞・ウニオンレネン・ドクトルブッシュ記念・バーデン貯蓄銀行賞の勝ち馬で独ダービー2着・クリテリウムドサンクルー・ラインラントポカル・香港C3着のザズー、ガネー賞・ノアイユ賞・アルクール賞の勝ち馬で仏ダービー・パリ大賞2着のプラントゥール、マクトゥームチャレンジR2で3着した後にジェベルハッタを勝っていたマスターオブハウンズ、そして日本からも、JBCクラシック2回・東京大賞典2回・帝王賞・川崎記念・浦和記念2回・ブリーダーズゴールドC・ダイオライト記念・日本テレビ盃・白山大賞典・兵庫ゴールドトロフィー・佐賀記念・名古屋大賞典・かきつばた記念2回・さきたま杯2回と重賞19勝を挙げていた目下9連勝中のスマートファルコン、一昨年の東京優駿・京成杯の勝ち馬で前年の天皇賞春・有馬記念2着のエイシンフラッシュ、前年のドバイワールドC2着後にマイルCS南部杯・ジャパンCダートを勝ちJBCクラシックで2着していたトランセンドが参戦してきて、計12頭が対戦相手となった。ソーユーシンクが単勝オッズ2.25倍の1番人気、スマートファルコンが単勝オッズ7.5倍の2番人気、ゲームオンデュードが単勝オッズ9倍の3番人気と続く一方で、デットーリ騎手が騎乗する本馬はメンディップと並んで単勝オッズ34倍の最低人気だった。スタートが切られると前年と同じくトランセンドが逃げを打ち、本馬は馬群の中団後方を進んだ。しかし直線に入っても伸びず、勝った単勝オッズ21倍の9番人気馬モンテロッソから7馬身半差の7着に敗れた。
この年は英国遠征を行わずにドバイワールドCが年内最後のレースとなり、5歳時の成績は4戦1勝となった。
競走生活(6歳時)
6歳時はマクトゥームチャレンジR2(首GⅡ・AW1900m)から始動した。対戦相手は、ギョームドルナノ賞・ギシュ賞の勝ち馬で仏ダービー2着・パリ大賞3着のサンボードリーノ、ローマ賞・ローズオブランカスターSの勝ち馬ハンターズライト、ハードウィックス・キルターナンS・ハクスレイSの勝ち馬で英国際S3着のアウェイトザドーン、トラヴァーズS・ウィザーズS・ジムダンディSの勝ち馬アルファ、ダフニ賞の勝ち馬ソービューティフル、それに、前年のドバイワールドCでは11着だったメンディップ、ムシュレク、ムファー、サーファーといった地元ドバイの有力馬勢だった。サンボードリーノが単勝オッズ3倍の1番人気、ハンターズライトが単勝オッズ4.5倍の2番人気、ムシュレクが単勝オッズ6.5倍の3番人気と続き、ライアン・ムーア騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ13倍の6番人気だった。今回の本馬はスタートから先頭に立って逃げた。しかし直線手前でサーファーにかわされ、さらにハンターズライトにも抜き去られた。それでも直線では粘り続け、勝ったハンターズライトから3馬身3/4差の3着に入った。
次走のマクトゥームチャレンジR3(首GⅠ・AW2000m)では、ハンターズライト、前年のBCターフを筆頭にターフクラシックS・アーリントンミリオン・フォートローダーデールS・カナディアンターフH・アップルトンS・カナディアンターフSを勝っていたリトルマイク、前年のドバイワールドC優勝後に出走したエクリプスSでは惨敗していたモンテロッソ、この年地元ドバイで4戦3勝2着1回と好調のカッシアノ、一昨年の愛ダービー・セクレタリアトS・チェスターヴァーズの勝ち馬で英ダービー・ターフクラシック招待S2着のトレジャービーチ、ロイヤルロッジS・UAEダービーの勝ち馬ダディロングレッグス、日本から参戦してきたアルゼンチン共和国杯・京都記念の勝ち馬でBCターフ4着のトレイルブレイザーなどが対戦相手となった。ハンターズライトが単勝オッズ3.25倍の1番人気、リトルマイクが単勝オッズ5.5倍の2番人気、モンテロッソとカッシアノが並んで単勝オッズ7倍の3番人気と続き、前走に続いてムーア騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ15倍の8番人気だった。スタートが切られると単勝オッズ13倍の5番人気馬ダディロングレッグスが先頭に立ち、本馬は前走から一転して馬群の中団を進んだ。そして直線入り口でスパートを開始したが、今ひとつ伸びが無く、先行したハンターズライトと追い込んだカッシアノの2頭に後れを取り、勝ったハンターズライトから3馬身差の3着に敗れた。
この年はドバイワールドCには出走せず、代わりにドバイシーマクラシック(首GⅠ・T2410m)に参戦した。ほぼ同距離のコンセイユドパリ賞を勝った実績があったのが、路線変更理由の一端にあったと推察される。対戦相手は、BCターフ・コロネーションC2回・レーシングポストトロフィー・ベレスフォードS・オーモンドSの勝ち馬で前年のドバイシーマクラシック2着・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS2回・英国際S・愛チャンピオンS・BCターフ3着のセントニコラスアビー、ヨークシャーオークス・ヴェルメイユ賞・ミネルヴ賞の勝ち馬で凱旋門賞・サンクルー大賞2着・ヴェルメイユ賞3着のシャレータ、メルボルンC・香港ヴァーズ・コーフィールドC・バルブヴィル賞の勝ち馬ドゥーナデン、マクトゥームチャレンジR2では9着に終わるもその後はドバイシティオブゴールドで2着など2戦1勝の成績を挙げてきたアウェイトザドーン、前年の愛セントレジャー馬ロイヤルダイアモンド、オイロパ賞の勝ち馬ジローラモ、カタールのGⅠ競走カタールダービー・アパレントトロフィー・HHエミールズトロフィーの3勝を含む5連勝中のベリーナイスネーム、それに日本からも、桜花賞・優駿牝馬・秋華賞・ジャパンC・ローズS・シンザン記念の勝ち馬ジェンティルドンナ、マクトゥームチャレンジR3で10着だったトレイルブレイザーが参戦してきた。ジェンティルドンナが単勝オッズ2.375倍の1番人気、セントニコラスアビーが単勝オッズ3.75倍の2番人気、シャレータが単勝オッズ7倍の3番人気と続き、ミカエル・バルザローナ騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ26倍の8番人気だった。スタートが切られるとシャレータが先頭に立ち、ジェンティルドンナやセントニコラスアビーも先行。一方の本馬は不得手な芝の良馬場だった影響があったのか、スタートからずっと後方だった。そして全く何の見せ場も無く、勝ったセントニコラスアビーから12馬身半差の10着と惨敗した。
前年は英国には向かわなかったが、この年は秋になって英国に遠征した。まずはセプテンバーS(英GⅢ・AW12F)に出走。前走のジェフリーフリアSを勝ってきたロイヤルエンパイア、リングフィールドダービートライアルSの勝ち馬で英ダービー2着の後のBCターフ馬メインシークエンス、ドーヴィル大賞の勝ち馬で前年の凱旋門賞3着のマスターストローク、ノーザンダンサーターフS2回・ジェベルハッタの勝ち馬でセクレタリアトS2着・ドバイデューティーフリー3着のウィグモアホールなどが出走してきて、GⅢ競走としてはかなりレベルが高いメンバー構成となった。ロイヤルエンパイアが単勝オッズ3.25倍の1番人気、メインシークエンスとマスターストロークが並んで単勝オッズ5倍の2番人気、キーレン・ファロン騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ8倍の4番人気、ウィグモアホールが単勝オッズ10倍の5番人気となった。スタートが切られるとマスターストロークが先頭に立ち、本馬はロイヤルエンパイアと一緒にそれを追って先行した。そして残り2ハロン地点でマスターストロークが失速すると同時にスパート。先に先頭に立ったロイヤルエンパイアに並びかけると、ゴールまで続いた叩き合いを制して頭差で勝利した。
次走は翌10月のセントサイモンS(英GⅢ・T12F5Y)となった。対戦相手のレベルは前走よりあからさまに低く、前走で8着に沈んでいたマスターストロークが目立つ程度であり、しかもレースは本馬が得意とする芝の重馬場だった。しかし単勝オッズ2.75倍の1番人気に支持されたのはリステッド競走ノエルマーレスSを勝ってきたニコラスキャニオンで、単勝オッズ5.5倍の2番人気はリステッド競走スタンドCで2着してきたクバニタ。スーザ騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ6倍の3番人気止まりだった。この人気順は、本馬の斤量がトップハンデの132ポンドで、ニコラスキャニオンが122ポンド、クバニタが126ポンドだった事と無関係ではなさそうである。ところがレースはこの斤量差では説明できないような結果となった。本馬はスタートから先行したものの、残り3ハロン地点で急ブレーキがかかったように失速。勝ったクバニタから76馬身差、7着マスターストロークからも56馬身差をつけられた8着最下位と壊滅的な大敗を喫した。故障などが原因だったとは資料に書かれておらず、この大敗の理由は定かではない。
6歳時はこれが最後のレースで、この年の成績は5戦1勝だった。
競走生活(7歳時)
7歳時は前年と同じくマクトゥームチャレンジR2(首GⅡ・AW1900m)から始動した。対戦相手は、本馬と同世代同馬主同厩で当初はファーブル厩舎にいたという点でも同じだが今までは対戦機会が無かったゴドルフィンマイル・バージナハール2回の勝ち馬アフリカンストーリー、前年のマクトゥームチャレンジR2・マクトゥームチャレンジR3で本馬を連破して出走したドバイワールドCで1番人気に推されるも7着に終わっていたハンターズライト、前年のドバイシーマクラシック4着後に勝ち星は無かったがコロネーションC・サンクルー大賞2着・ガネー賞・香港ヴァーズ3着と好走は続けていたドゥーナデン、ダーバンジュライ・チャンピオンズチャレンジと南アフリカのGⅠ競走を2勝していたヘヴィメタル、ベレスフォードS・バリサックスS・デリンズタウンスタッドダービートライアルSの勝ち馬バトルオブマレンゴ、ヴィンテージS・ロイヤルロッジS2着馬アルティジャーノ、前年の同競走2着馬サーファーなどだった。アフリカンストーリーが単勝オッズ4倍の1番人気、ハンターズライトが単勝オッズ5倍の2番人気、ヘヴィメタルが単勝オッズ9倍の3番人気と続き、ファロン騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ15倍で9番人気の評価だった。スタートが切られると単勝オッズ11倍の4番人気馬アルティジャーノが先頭に立ち、本馬は馬群の中団を進んだ。そして徐々に位置取りを上げていくと、残り700m地点では2番手。ここでアルティジャーノが失速するとすぐに先頭に立ち、そのままロングスパートを仕掛けた。後方からはアフリカンストーリーが追いかけてきたが影は踏ませず、1馬身1/4差をつけて勝利した。
次走は2年連続3着に終わっていたマクトゥームチャレンジR3(首GⅠ・AW2000m)となった。対戦相手は、アフリカンストーリー、前走8着のサーファー、マッキノンS・ソヴリンS・ダイオメドSの勝ち馬でクイーンアンS・アーリントンミリオン3着のサイドグランス、加国際S3回・ロイヤルロッジS・ケルゴルレイ賞の勝ち馬で加国際S2着・コロネーションC3着のジョシュアツリー、それに、日本で活躍したノボトゥルーの甥に当たるキャットオマウンテン、UAEダービー2着馬エレーヴァル、サンショーウェズといった地元ドバイ勢などだった。アフリカンストーリーが単勝オッズ2倍の1番人気、前走に続いてファロン騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ6倍の2番人気、キャットオマウンテンが単勝オッズ9倍の3番人気、サイドグランスが単勝オッズ10倍の4番人気、エレーヴァルとサンショーウェズが並んで単勝オッズ13倍の5番人気となった。
スタートが切られると単勝オッズ41倍の11番人気馬ムタジャレが先頭に立ち、本馬は今回も馬群の中団を追走。アフリカンストーリーは本馬の少し後方を追走してきた。内埒沿いの経済コースを走ってきた本馬は勝負どころで速やかに加速。直線に入ると、先に先頭に立っていた単勝オッズ26倍の9番人気馬サーファーを残り200m地点で抜き去って先頭に立った。そして2着に追い上げてきたサンショーウェズに1馬身1/4差をつけて勝利を収め、GⅠ競走初勝利を挙げた。
そして3度目の挑戦となるドバイワールドC(首GⅠ・AW2000m)に、ファロン騎手と共に出走した。対戦相手は、サンショーウェズ、前走3着のサーファー、同4着のキャットオマウンテン、同7着のサイドグランス、同8着のアフリカンストーリー、クイーンエリザベスⅡ世C・シンガポール航空国際C・香港金杯の勝ち馬ミリタリーアタック、前年の英ダービー・チェスターヴァーズの勝ち馬で英チャンピオンS3着のルーラーオブザワールド、香港C・香港ダービーの勝ち馬アキードモフィード、ヨークS・ブリガディアジェラードSの勝ち馬でプリンスオブウェールズS2着・エクリプスS3着のムカドラム、キングエドワードⅦ世Sの勝ち馬でキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS3着のヒルスター、香港ヴァーズ・ヨークシャーC・カラーCの勝ち馬で前年のドバイワールドC・メルボルンC2回・コロネーションC2着・香港ヴァーズ・天皇賞春3着のレッドカドー、ジェベルハッタで2着してきたギョームドルナノ賞の勝ち馬バンクーバーライト、サンタアニタH・スティーヴンフォスターH・ジョッキークラブ金杯の勝ち馬でホイットニー招待H2着・スティーヴンフォスターH3着のロンザグリーク、日本から参戦してきたジャパンCダート・武蔵野Sの勝ち馬で東京優駿・フェブラリーS3着のベルシャザール、かしわ記念・帝王賞・東京大賞典・川崎記念・レパードS・佐賀記念・名古屋大賞典・アンタレスSの勝ち馬でマイルCS南部杯・フェブラリーS2着・ジャパンCダート2回3着のホッコータルマエの計15頭だった。ミリタリーアタックが単勝オッズ4倍の1番人気、ルーラーオブザワールドが単勝オッズ7倍の2番人気、本馬とアキードモフィードが並んで単勝オッズ9倍の3番人気、サンショーウェズとアフリカンストーリーが並んで単勝オッズ13倍の5番人気となった。
スタートが切られると単勝オッズ15倍の7番人気馬ムカドラムが先頭に立ち、ホッコータルマエ、ルーラーオブザワールド、アフリカンストーリーなども先行した。一方の本馬はスタートで後手を踏んでおり、馬群の後方から競馬を進める羽目になった。そして直線に入っても伸びず、勝ったアフリカンストーリーから11馬身半差をつけられた9着と大敗してしまった。
その後はしばらくレースに出なかったが、秋になって英国に向かい、前年に勝利したセプテンバーS(英GⅢ・AW12F)に出走した。対戦相手は、カンバーランドロッジSの勝ち馬シークレットナンバー、ドバイワールドCで3着と健闘していたキャットオマウンテン、同6着に終わっていたレッドカドー、ジョッキークラブS・セプテンバーSの勝ち馬で加国際S・コーフィールドC2着のダンディノ、ウインターダービーの勝ち馬ロビンフッズベイなどだった。前年と比較してそれほど遜色ないメンバー構成だった上に、前年は130ポンドだった本馬の斤量は今回138ポンド。他馬も全て131~134ポンドの斤量だったが、さすがに138ポンドは辛いものがあった。シークレットナンバーが単勝オッズ3.5倍の1番人気、キャットオマウンテンが単勝オッズ4倍の2番人気、レッドカドーが単勝オッズ5.5倍の3番人気、ダンディノが単勝オッズ7倍の4番人気で、フレデリック・テュリッヒ騎手が騎乗する本馬は単勝オッズ8.5倍の5番人気だった。
スタートが切られると単勝オッズ13倍の最低人気馬バタリオンが先頭に立ち、キャットオマウンテンがそれを追って先行。本馬はスタート直後こそ先行の位置取りだったが、このレースはスタートで後手を踏んだ馬が複数おり、それらが上がってきたために結局は馬群の中団に落ち着くことになった。そのままの位置取りでレースを進めると、残り2ハロン地点でスパート。残り1ハロン地点で先頭に立つと、2着シークレットナンバーに2馬身差をつけて勝利した。
7歳時はこれが最後のレースで、この年の成績は4戦3勝だった。
競走生活(8歳時)
8歳時も現役を続け、5年連続出走となるマクトゥームチャレンジR2(首GⅡ・D1900m)から始動した。ところで、この年の本馬を語る際に避けて通れない件があるので、ここで触れておく。ドバイの主要競馬場はかつてナドアルシバ競馬場だった。しかし2009年のドバイミーティングを最後にナドアルシバ競馬場は閉鎖され、ドバイの主要競馬場は2010年からメイダン競馬場に移行された。ナドアルシバ競馬場はダートコースを使用していたが、メイダン競馬場はオールウェザーを使用していた。しかし維持費の問題や、米国ダートの有力馬がオールウェザーで活躍できずにドバイワールドCへの参戦を見送る(米国でも一時期流行ったオールウェザーへの嫌悪感が広がりダートコースに戻す動きが出ている)といった理由などにより、この年からメイダン競馬場はオールウェザーをやめてダートコースに変更していた。そのためにこのマクトゥームチャレンジR2は、本馬にとっては生涯初のダート競走となったのだった。
対戦相手は、前年のドバイワールドC制覇以来の実戦となるアフリカンストーリー、前年のドバイワールドCでは15着に終わるも前月のマクトゥームチャレンジR1を勝ってきたサーファー、マクトゥームチャレンジR1で2着してきたフランキーフォーフィンガーズ、米国のGⅢ競走ペガサスSの勝ち馬ルベルナルダン、亜国のGⅠ競走ナシオナル大賞の勝ち馬クープタードなどだった。アフリカンストーリーが単勝オッズ3.25倍の1番人気、ウィリアム・ビュイック騎手と初コンビを組んだ本馬が単勝オッズ4.33倍の2番人気、サーファーが単勝オッズ4.5倍の3番人気、フランキーフォーフィンガーズが単勝オッズ7倍の4番人気となった。
スタートが切られるとフランキーフォーフィンガーズが先頭に立ち、本馬やアフリカンストーリーは馬群の中団を追走した。そして伸びを欠くアフリカンストーリーを置き去りにして残り400m地点からスパート。先行馬勢を次々に抜き去り、残すはまだ逃げ粘っていたフランキーフォーフィンガーズのみとなった。そしてゴール前で並びかけて殆ど同時にゴールインした。しかし僅かに届いておらず、頭差の2着に敗れた。
次走は4年連続出走となるマクトゥームチャレンジR3(首GⅠ・D2000m)となった。対戦相手は、フランキーフォーフィンガーズ、前走3着のルベルナルダン、同7着のアフリカンストーリー、前年のジョッキークラブ金杯3着馬ロングリヴァー、それに、ストームベルト、ヘンリークレイといった地元ドバイの有力馬勢などだった。前走に続いてビュイック騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ2.5倍の1番人気、フランキーフォーフィンガーズが単勝オッズ4倍の2番人気、アフリカンストーリーが単勝オッズ6.5倍の3番人気、ストームベルトが単勝オッズ9倍の4番人気、ロングリヴァーが単勝オッズ15倍の5番人気となった。
スタートが切られると単勝オッズ21倍の6番人気馬ヘンリークレイが先頭に立ち、フランキーフォーフィンガーズやアフリカンストーリーなども先行。一方の本馬は前走よりもやや後方の位置取りで、馬群の後方からレースを進めた。そして直線に入ってから猛然と追い上げていった。そして残り200m地点で先頭に立っていたアフリカンストーリーと殆ど同時にゴールイン。しかし今回も僅かに届いておらず、首差の2着に敗れた。
それでも2戦連続で好走した本馬は、4度目の出走となるドバイワールドC(首GⅠ・D2000m)に参戦した。対戦相手は、アフリカンストーリー、前走9着最下位のロングリヴァー、ケンタッキーダービー・プリークネスS・ハリウッドダービー・サンフェリペSを勝っていた前年のエクリプス賞年度代表馬カリフォルニアクローム、ドンH・ハルズホープS2回の勝ち馬で前走ドンH2着のリー、ロバートBルイスSの勝ち馬でキャッシュコールフューチュリティ2着・サンタアニタダービー3着のキャンディボーイ、前年のドバイワールドC4着後にユナイテッドネーションズS・アーリントンミリオン・コーフィールドCで3着していたサイドグランス、日本から参戦してきた菊花賞・ジャパンC・神戸新聞杯・ラジオNIKKEI杯2歳Sの勝ち馬で皐月賞・東京優駿2着のエピファネイア、前年のドバイワールドC16着最下位後にチャンピオンズC・東京大賞典・川崎記念を勝っていたホッコータルマエの、計8頭だった。カリフォルニアクロームが単勝オッズ2.25倍の1番人気、リーが単勝オッズ5倍の2番人気、エピファネイアが単勝オッズ7.5倍の3番人気、アフリカンストーリーとホッコータルマエが並んで単勝オッズ9倍の4番人気で、今回もビュイック騎手が騎乗する本馬は近2戦の好走にも関わらず、同競走に過去3度出走して7着が最高という経歴が嫌われたのか、単勝オッズ15倍の6番人気だった。
スタートが切られるとホッコータルマエが先頭に立ち、カリフォルニアクロームやアフリカンストーリーは先行。リーが馬群の中団好位につけ、本馬やスタートで出遅れたエピファネイアは後方から競馬を進めた。そのまま淡々とレースが進み、残り700m地点の辺りから各馬の動きが活発化。ホッコータルマエは先頭を維持すべく加速し、カリフォルニアクロームやリーもそれを抜き去るべく加速。本馬も外側を通って加速して、先行集団に並びかけていった。アフリカンストーリーの手応えは悪く徐々に後退。エピファネイアは後方に沈んだままだった。直線に入ると、粘るホッコータルマエを残り400m地点でカリフォルニアクロームが捕らえた。そこへ後方から来た本馬も並びかけ、残り300m地点では3頭が横一線となった。そしてここから本馬が抜け出して、徐々に後続馬との差を広げていった。後方から本馬を脅かすような脚を繰り出す馬もおらず、カリフォルニアクロームにも本馬を差し返すだけの余力は無く、本馬が完全に先頭に立ってゴールへと突き進んだ。そして2着カリフォルニアクロームに2馬身3/4差、3着リーにはさらに1馬身1/4差をつけて勝利を収め、同競走実に4度目の挑戦で遂に優勝を飾った。
8歳馬の制覇は、前年に7歳で勝ったアフリカンストーリーの記録を上回る、同競走史上最年長勝利となった。ゴールと同時にガッツポーズをした同競走初勝利のビュイック騎手は、本馬の首をぽんと叩いて労った。2連覇を狙ったアフリカンストーリーは6着で、ホッコータルマエは5着、エピファネイアは9着最下位だった。
そしてこのレースの約1か月後に陣営から本馬とアフリカンストーリーの2頭が競走馬を引退する旨が発表された。今後はゴドルフィンが所有する牧場で余生を過ごすと思われる。
血統
Dubawi | Dubai Millennium | Seeking the Gold | Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | ||||
Con Game | Buckpasser | |||
Broadway | ||||
Colorado Dancer | Shareef Dancer | Northern Dancer | ||
Sweet Alliance | ||||
Fall Aspen | Pretense | |||
Change Water | ||||
Zomaradah | Deploy | Shirley Heights | Mill Reef | |
Hardiemma | ||||
Slightly Dangerous | Roberto | |||
Where You Lead | ||||
Jawaher | ダンシングブレーヴ | Lyphard | ||
Navajo Princess | ||||
High Tern | High Line | |||
Sunbittern | ||||
North East Bay | Prospect Bay | Crafty Prospector | Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | ||||
Real Crafty Lady | In Reality | |||
Princess Roycraft | ||||
Baltic Sea | Danzig | Northern Dancer | ||
Pas de Nom | ||||
Renounce | Buckpasser | |||
Bold Princess | ||||
Wassifa | Sure Blade | Kris | Sharpen Up | |
Doubly Sure | ||||
Double Lock | Home Guard | |||
St. Padina | ||||
Rye Tops | イルドブルボン | Nijinsky | ||
Roseliere | ||||
Topsy | Habitat | |||
Furioso |
父ドバウィは当馬の項を参照。
母ノースイーストベイは米国産馬で、競走馬としては1戦未勝利だった。ノースイーストベイの半弟には、ブリンゴ(父アーティーシラー)【サンアントニオS(米GⅡ)】がいる。ノースイーストベイの祖母ライトップスの半姉トロイトップスの曾孫には日本で走っているスマートオーディン【東京スポーツ杯2歳S(GⅢ)】がいる。ライトップスの母トプシーは、サンチャリオットS(英GⅡ)・フレッドダーリンS(英GⅢ)・アスタルテ賞(仏GⅢ)の勝ち馬。トプシーの半弟にはティーノソ【英ダービー(英GⅠ)・サンクルー大賞(仏GⅠ)・キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(英GⅠ)】がおり、サーパーシー【英ダービー(英GⅠ)・デューハーストS(英GⅠ)】なども同じ牝系。→牝系:F3号族①
母父プロスペクトベイは現役成績8戦3勝。アフィナミナンH(米GⅡ)を勝ち、トゥルーノースH(米GⅡ)で2着、フランクJドフランシス記念ダッシュS(米GⅡ)で3着している。プロスペクトベイの父クラフティプロスペクターはインティカブの項を参照。