アシュカラニ
和名:アシュカラニ |
英名:Ashkalani |
1993年生 |
牡 |
栗毛 |
父:ソヴィエトスター |
母:アシュターカ |
母父:ダルサーン |
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同世代の強豪馬スピニングワールドと4度戦って全て先着した1990年代欧州屈指の名マイラー |
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競走成績:2・3歳時に仏英で走り通算成績7戦5勝2着1回 |
誕生からデビュー前まで
アガ・カーンⅣ世殿下により生産・所有された愛国産馬で、彼の専属調教師である仏国アラン・ド・ロワイエ・デュプレ師の管理馬となった。
競走生活
2歳10月にロンシャン競馬場で行われたキャプシーヌ賞(T1600m)で、主戦となるジェラルド・モッセ騎手を鞍上にデビューして、3/4馬身差の僅差ながら勝利した。
2週間後のトーマブリョン賞(仏GⅢ・T1600m)では、他にこれといった馬が出走していなかった事もあり、単勝オッズ1.8倍の1番人気に支持された。道中は5頭立ての最後方を追走。そして直線に入ると豪快な末脚を繰り出し、2着メヨンビに2馬身半差で勝利した。2歳時の成績は2戦2勝だった。
3歳時は4月のフォンテーヌブロー賞(仏GⅢ・T1600m)から始動。トーマブリョン賞とは対戦相手のレベルが段違いであり、仏グランクリテリム勝ち馬ルーソリテール、後に本馬の好敵手となるサンロマン賞勝ち馬スピニングワールド、仏グランクリテリウム3着馬エタニティレンジ、コンデ賞勝ち馬ゴービトウィーンなどが参戦していた。ルーソリテールが単勝オッズ2.5倍の1番人気に支持され、本馬が単勝オッズ3.7倍の2番人気、スピニングワールドが単勝オッズ4.6倍の3番人気となった。スタートが切られるとゴービトウィーンが先頭に立ち、スピニングワールドが3番手の好位を、本馬は後方2番手を、ルーソリテールは最後方を追走した。直線に入るとエタニティレンジが2番手から抜け出してゴールを目指したが、後方から来た本馬がエタニティレンジを一気にかわして、最後は1馬身半差をつけて快勝。スピニングワールドはエタニティレンジから2馬身半差の3着、ルーソリテールはスピニングワールドから5馬身差の5着だった。
続く仏2000ギニー(仏GⅠ・T1600m)では、スピニングワールド、フライングチルダースS勝ち馬で前走ヨーロピアンフリーHも勝ってきたケイマンカイ、モルニ賞・ジュライS勝ち馬タグラ、フェニックスS・ナショナルS勝ち馬デインヒルダンサー、エタニティレンジ、テトラークS勝ち馬で後の愛国際S勝ち馬ガゼンバーグなどが対戦相手となったが、単勝オッズ1.4倍という圧倒的な1番人気に支持された。レースはガゼンバーグが逃げを打ち、本馬は馬群の中団、スピニングワールドは本馬をマークするようにさらにその後方に陣取った。そして本馬とスピニングワールドの2頭共に直線勝負に出た。スピニングワールドの追い上げも見事だったが、本馬の末脚も素晴らしく、スピニングワールドを3/4馬身差の2着に抑えて勝利した。
次走のセントジェームズパレスS(英GⅠ・T8F)では、愛2000ギニーを勝ってきたスピニングワールド、英2000ギニー馬マークオブエスティームとの対戦となり、戦前から2000ギニー馬対決と言われて盛り上がった。モッセ騎手からテン乗りのマイケル・キネーン騎手に乗り代わっていた本馬がそれでも単勝オッズ2.625倍の1番人気に支持され、スピニングワールドが単勝オッズ4.33倍の2番人気、マークオブエスティームが単勝オッズ6.5倍の3番人気となった。スタートが切られると単勝オッズ10倍の4番人気だった英2000ギニー3着馬ビジューダンドが先頭に立ち、マークオブエスティームは中団待機、本馬とスピニングワールドの2頭はやはり後方待機策を採った。そして直線に入るとマークオブエスティームやスピニングワールドを置き去りにして末脚を伸ばし、先頭を走るビジューダンドに並びかけていった。しかしここからビジューダンドが予想以上の粘り腰を発揮。そしてゴール前の一完歩でビジューダンドが前に出て勝利し、本馬は頭差の2着に敗れた。それでもスピニングワールドは本馬から5馬身半差の6着、マークオブエスティームはスピニングワールドからさらに6馬身半差の8着だったから、人気馬3頭の中では本馬が唯一まともに走ったという事になった。
夏場を休養に充てた本馬の次走は、秋のムーランドロンシャン賞(仏GⅠ・T1600m)となった。ここでは前走ジャックルマロワ賞を制してきたスピニングワールドとの4度目の対決となった。他にもコロネーションS優勝、仏1000ギニー2着のシェイクザヨーク、ジャックルマロワ賞で2着だったミュゲ賞勝ち馬ヴェトゥイユ、ジャックルマロワ賞で3着だったアスタルテ賞勝ち馬シャンクシー、前走ゴントービロン賞を勝ってきた前年の仏オークス・ヴェルメイユ賞勝ち馬カーリング、ジャンプラ賞勝ち馬ルトリトンなども参戦しており、仏国マイル王決定戦に相応しい豪華メンバーとなった。今回の本馬は4番手の好位を追走。スピニングワールドは3番手で本馬の少し前を走っていた。そして直線に入ると先に抜け出そうとしたスピニングワールドに並びかけて抜き去り、最後は1馬身半差をつけて快勝。本馬とスピニングワールドとの対戦はこれが最後で、対戦成績は本馬の4戦全勝となった。
さらに再度英国に向かい、クイーンエリザベスⅡ世S(英GⅠ・T8F)に出走した。マークオブエスティーム、英1000ギニー馬ボスラシャム、サセックスS勝ち馬ファーストアイランド、クイーンアンS勝ち馬チャーンウッドフォレスト、ビジューダンドといった錚々たる相手を抑えて、単勝オッズ3.25倍の1番人気に支持された。セントジェームズパレスSと同じくビジューダンドが逃げを打ち、ボスラシャムが2番手、本馬は好位を追走した。しかし今回は直線に入って伸びを欠き、マークオブエスティームやファーストアイランドなどに抜かれていき、マークオブエスティームの6馬身半差5着に完敗。これが最後のレースとなり、3歳時の成績は5戦3勝となった。
競走馬としての評価
本馬が走った7戦は全てマイル戦だった。また、地元仏国では5戦全勝だったが、英国アスコット競馬場で走った2戦はいずれも敗れている。それが影響したのかは定かではないが、英タイムフォーム社のレーティングではマークオブエスティームより9ポンドも低い128ポンド、国際クラシフィケーションでもマークオブエスティームより8ポンドも低い125ポンドであり(いずれもスピニングワールドよりは3ポンド高い)、この年の仏国マイル路線はレベルが低かったと判断されてしまったようである。しかしスピニングワールドが古馬になって名マイラーとしての名声を不動にする活躍を見せており、それに全勝した本馬の評価は引退後になって上昇したと言える。
血統
ソヴィエトスター | Nureyev | Northern Dancer | Nearctic | Nearco |
Lady Angela | ||||
Natalma | Native Dancer | |||
Almahmoud | ||||
Special | Forli | Aristophanes | ||
Trevisa | ||||
Thong | Nantallah | |||
Rough Shod | ||||
Veruschka | ヴェンチア | Relic | War Relic | |
Bridal Colors | ||||
Rose O'Lynn | Pherozshah | |||
Rocklyn | ||||
Marie d'Anjou | Vandale | Plassy | ||
Vanille | ||||
Marigold | Panipat | |||
Theodora | ||||
Ashtarka | Dalsaan | Habitat | Sir Gaylord | Turn-to |
Somethingroyal | ||||
Little Hut | Occupy | |||
Savage Beauty | ||||
Dumka | Kashmir | Tudor Melody | ||
Queen of Speed | ||||
Faizebad | Prince Taj | |||
Floralie | ||||
Asharaz | Sicambre | Prince Bio | Prince Rose | |
Biologie | ||||
Sif | Rialto | |||
Suavita | ||||
Vareta | Vilmorin | Gold Bridge | ||
Queen of the Meadows | ||||
Veronique | Mon Talisman | |||
Volubilis |
父ソヴィエトスターは当馬の項を参照。
母アシュターカもアガ・カーンⅣ世殿下の生産・所有馬で、現役成績は6戦1勝だった。本馬の半妹アシーナ(父グリーンデザート)の子にはジンギス【フォンテーヌブロー賞(仏GⅢ)】がいる。アシュターカの半兄にはシャファラ(父レヴモス)【カドラン賞(仏GⅠ)・ケルゴルレイ賞(仏GⅡ)・バルブヴィル賞(仏GⅢ)】がいる。アシュターカの祖母ヴァレタはフォレ賞の勝ち馬で、ゼダーン【仏2000ギニー・イスパーン賞・ロベールパパン賞】の母でもある。ヴァレタの牝系子孫にはザライーカ【仏1000ギニー(仏GⅠ)】やディックターピン【ヴィットリオディカプア賞(伊GⅠ)】などもいる。→牝系:F11号族①
母父ダルサーンはハビタットの直子で、英2000ギニー馬で名種牡馬でもあるドユーンの半兄。現役時代はハンガーフォードS(英GⅢ)など5勝を挙げている。種牡馬としてはあまり成功していないが、母父としては多数のステークスウイナーを出している。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は愛国ナショナルスタッドで種牡馬入りしたが、現在は愛国クーラマーリースタッドで暮らしている。種牡馬としては期待に応えられる成績を残していない。
主な産駒一覧
生年 |
産駒名 |
勝ち鞍 |
1998 |
Potemkin |
ブリガディアジェラードS(英GⅢ) |
1999 |
Ashdown Express |
ベンティンクS(英GⅢ) |
1999 |
In a Bound |
STCクイーンオブザターフS(豪GⅡ) |
2002 |
Ashkal Way |
サイテーションH(米GⅠ)・ケルソBCH(米GⅡ)・バーナードバルークH(米GⅡ) |