コロラド
和名:コロラド |
英名:Colorado |
1923年生 |
牡 |
鹿毛 |
父:ファラリス |
母:キャニオン |
母父:チョーサー |
||
好敵手コロナックと戦いながら英2000ギニー・エクリプスSを制した名馬だが種牡馬入り後僅か2年で他界する |
||||
競走成績:2~4歳時に英で走り通算成績16戦9勝2着1回3着2回 |
誕生からデビュー前まで
第17代ダービー伯爵エドワード・スタンリー卿により生産・所有され、英国ジョージ・ラムトン調教師に預けられた。体高は15ハンドほどであり、かなり小柄な馬だったようだが、非常に均整が取れた力強い馬格の持ち主であり、スタンリー卿は本馬のことをとても気に入っていたという。しかし調教時にむせぶ癖があり、ラムトン師は本馬を仕上げるのに苦労したという。
競走生活(2・3歳時)
2歳6月にマンチェスター競馬場で行われた未勝利プレートでデビューして、4馬身差で快勝した。次走のコヴェントリーS(T5F)も3馬身差で制して2連勝とし、競走馬として順調なスタートを切った。しかし3戦目のエクセターS(T7F)では、スウィフトアンドシュアの着外に敗退。4戦目のハーストパークグレート2歳Sでも着外に終わった。2歳時は4戦2勝の成績であり、2歳時フリーハンデではトップから8ポンドも低い118ポンド止まりだった。
3歳時は3月にリヴァプール競馬場で行われたユニオンジャックS(T8F)から始動して、8馬身差で圧勝。そして英2000ギニー(T8F)に乗り込んだのだが、このレースで単勝オッズ1.8倍という圧倒的な1番人気に支持されていたのは、2歳時フリーハンデでレガティーと並ぶトップタイの126ポンドという評価を得ていたコロナックであり、レース前調教で動きが悪かった本馬は単勝オッズ13.5倍の5番人気に留まっていた。レースはスタートがあまり良くなかったコロナックがそれでもいったんは先頭に立ったが、そこに一気に突っ込んできたトミー・ウェストン騎手鞍上の本馬が残り1ハロン地点で瞬く間にコロナックを抜き去ると、最後は2着コロナックに5馬身差、3着アップルサミー(ジュライSの勝ち馬で、英シャンペンSではコロナックの2馬身差2着、コヴェントリーSでは本馬の3着だった)にはさらに3馬身差をつける圧勝を収め、スタンリー卿に初めての英2000ギニー勝利をプレゼントした。
続く英ダービー(T12F)では当然のように本馬が1番人気となった。しかし結果は英2000ギニーとは逆となった。先行して抜け出したコロナックに5馬身差をつけられてしまい、同月のハードウィックSを勝利するランスゲイとの2着争いにも短頭差で屈して3着に敗れてしまったのである。敗因は色々言われており、大雨で湿った馬場で切れ味が鈍った影響があったとも、エプソム競馬場に来ていた観衆の1人が連れていた犬が馬場に乱入した際に、的確に回避行動を取れずに不利を蒙ったためだとも言われる。騎乗したウェストン騎手は、仕掛けを徹底して遅らせるように指示されていた事を敗因として挙げている。
これで調子を落としてしまったのか、古馬との初対戦となったロウス記念S(T8F)でも圧倒的1番人気に応えられずに、チェスターフィールドC・シティ&サバーバンHの勝ち馬で前年の英セントレジャー3着のワルデンオブザマーチズ(後にこの年の英チャンピオンSを勝っている)、ジムクラックS2着馬ベラミンナの2頭に敗れて、4頭立ての3着に完敗してしまった。本馬の状態を見たラムトン師は、3歳シーズン後半を全休させる事にしたため、3歳時の成績は2歳時と同じく4戦2勝となった。
競走生活(4歳時)
4歳になった本馬は、ラムトン師に代わってフランク・バターズ調教師が管理することになった。まずは4月にニューベリー競馬場で行われたスプリングカップS(T8F)から始動したが、着外に敗れた。次走のグレートジュビリーH(T10F)でも、同競走を2連覇することになるアボッツスピード、愛2000ギニー・愛ダービー・シティ&サバーバンHの勝ち馬エンバーゴ、キングエドワードⅦ世Sの勝ち馬フィングラス(後にアスコット金杯でインヴァーシンの2着、凱旋門賞でカンタールの3着している)といった実力馬勢に敗れて、アボッツスピードの6着に完敗した。
次走は前年に完敗を喫したロウス記念S(T8F)となった。しかし苦い思い出のあるこのレースで本馬は8馬身差の圧勝劇を演じて、復活の狼煙を挙げた。さらに翌週のニューベリーサマーC(T12F)も2着グラスムーアに4馬身差をつけて快勝した。
さらに翌週に出走したプリンセスオブウェールズS(T12F)では、宿敵コロナックと久々の対戦となった。コロナックは英ダービーを勝った後に、セントジェームズパレスS・エクリプスS・英セントレジャー・コロネーションC・ハードウィックSを次々と圧勝しており現役最強馬の名をほしいままにしていたが、この時期には喉鳴りの症状が悪化して本調子ではなかった。ウェストン騎手騎乗の本馬は、レース序盤はコロナックをマークするように進み、直線でコロナックに並びかけるとすぐに引き離し、コロバックを8馬身差の2着にちぎり捨てて圧勝した。
続くエクリプスS(T10F)でも本馬とコロナックは対戦したが、結果は単勝オッズ1.91倍の1番人気に支持された本馬が2着マリオに6馬身差をつけて圧勝し、コロナックはさらに1馬身差の3着に終わった。本馬とコロナックの対戦はこれが最後で、対戦成績は本馬の3勝1敗だった。
次走のエグリントンSでは140ポンドという過酷な負担重量となったが、2馬身差で楽勝。向かう所敵無しに見えた本馬だが、この年の過密な出走日程は確実に本馬の体に影響を与えていた。秋の英チャンピオンS(T10F)では、前年の仏2000ギニー・グレフュール賞の勝ち馬でジャックルマロワ賞2着のアステルスに半馬身後れを取って2着に敗退してしまい、このレースを最後に4歳時8戦5勝の成績で競走馬を引退した。
血統
Phalaris | Polymelus | Cyllene | Bona Vista | Bend Or |
Vista | ||||
Arcadia | Isonomy | |||
Distant Shore | ||||
Maid Marian | Hampton | Lord Clifden | ||
Lady Langden | ||||
Quiver | Toxophilite | |||
Young Melbourne Mare | ||||
Bromus | Sainfoin | Springfield | St. Albans | |
Viridis | ||||
Sanda | Wenlock | |||
Sandal | ||||
Cheery | St. Simon | Galopin | ||
St. Angela | ||||
Sunrise | Springfield | |||
Sunray | ||||
Canyon | Chaucer | St. Simon | Galopin | Vedette |
Flying Duchess | ||||
St. Angela | King Tom | |||
Adeline | ||||
Canterbury Pilgrim | Tristan | Hermit | ||
Thrift | ||||
Pilgrimage | The Palmer | |||
Lady Audley | ||||
Glasalt | Isinglass | Isonomy | Sterling | |
Isola Bella | ||||
Dead Lock | Wenlock | |||
Malpractice | ||||
Broad Corrie | Hampton | Lord Clifden | ||
Lady Langden | ||||
Corrie Roy | Galopin | |||
Corrie |
父ファラリスは当馬の項を参照。後にフェアウェイが登場するまで、本馬が大種牡馬ファラリスの最高傑作と言われていた。
母キャニオンは現役成績10戦4勝、英1000ギニー・ブレットバイS・ベッドフォードSを勝った名牝で、本馬の2歳年上の全姉ハルシオン【リッチモンドS】、全弟カーリアン【エクリプスS】など7頭の勝ち上がり馬を産んで繁殖牝馬としても活躍した。
ハルシオンの牝系子孫は、日本に繁殖牝馬として輸入されたハルシオンの曾孫メダリオンを経由して日本で発展した。超大物競走馬は出ていないが、ミスイエリュウ【朝日チャレンジC】、ロッコーイチ【北九州記念・小倉大賞典・小倉記念】、ポットヒーロー【京都大障害春】、ポットテスコレディ【スワンS(GⅡ)・阪神牝馬特別(GⅢ)・京都牝馬特別(GⅢ)】、マスコットキング【青雲賞】、シマノヤマヒメ【中京記念(GⅢ)】、スエヒロジョウオー【阪神三歳牝馬S(GⅠ)】、スエヒロコマンダー 【鳴尾記念(GⅡ)・小倉大賞典(GⅢ)】、マーベラスタイマー【アルゼンチン共和国杯(GⅡ)・日経新春杯(GⅡ)】、インターラッシャー【中津大賞典・中津サラブレッドチャンピオン・中津王冠】、チアズニューパワー【新潟ジャンプS(JGⅢ)】といった玄人好みがする渋い馬が多く出ている。
キャニオンの半兄にはキングウィリアム(父ウィリアムザサード)【デューハーストS・アスコットダービーS】がおり、キャニオンの半姉グレイシャー(父セントサイモン)の子にはサイルリアン【ドンカスターC】、ブルーアイス【ヨークシャーオークス】、トボガン【英オークス・デューハーストS・コロネーションS・ジョッキークラブS】がいる。トボガンの孫には米国三冠馬サイテーションがいるほか、牝系子孫にはニューヨーク牝馬三冠馬ダヴォナデイルもいる。→牝系:F3号族④
母父チョーサーは当馬の項を参照。
競走馬引退後
競走馬を引退した本馬は英国で種牡馬入りしたが、供用僅か2年目の1929年に6歳の若さで夭折した。数少ない産駒からは活躍馬が多数出ており、もっと余命があればと惜しまれる種牡馬の1頭である。
主な産駒一覧
生年 |
産駒名 |
勝ち鞍 |
1929 |
Bosphore |
ノアイユ賞 |
1929 |
Colorado Kid |
ドンカスターC・ロイヤルハントC |
1929 |
Loaningdale |
エクリプスS・クレイヴンS |
1929 |
Riot |
ジュライS |
1929 |
Yellowstone |
ディーS |
1930 |
Canon Law |
セントジェームズパレスS |
1930 |
Colorow |
ジュライS |
1930 |
Coroado |
ジュライC |
1930 |
アスコット金杯・ミドルパークS・ジョッキークラブC・ジョンポーターS・ヨークシャーC |
|
1930 |
Figaro |
スチュワーズC |