ミッドナイトリュート

和名:ミッドナイトリュート

英名:Midnight Lute

2003年生

黒鹿

父:リアルクワイエット

母:キャンディタフト

母父:デヒア

喘鳴症や出遅れ癖といった問題を抱えながらも、直線で繰り出す豪脚を武器に史上初のBCスプリント2連覇を達成する

競走成績:2~5歳時に米で走り通算成績13戦6勝2着3回

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州において、トム・エヴァンズ氏、マコン・ウィルミル・イクワインズ氏、マージャックファームズの3者共同名義で生産された。1歳9月のキーンランドセールに出品されたが買い手が付かなかった。そこで2歳3月にフロリダ州で行われたオカラブリーダーズトレーニングセールに出品され、ここで29万ドルの値が付いたが、トレーニングセールに出品された身でありながら訓練が不十分である事が発覚したため落札が不成立となった。

そこへ父リアルクワイエットの所有者だったマイケル・E・ペグラム氏と、リアルクワイエットを管理していた名伯楽ボブ・バファート調教師の2人がやって来た。予め本馬に目をつけていたバファート師はセリの終了後になって出品者側と交渉を行い、7万ドル(当時の為替レートで約770万円)という安値で購入した。そして本馬はペグラム氏と、彼の知人であるカール・ワトソン氏、ポール・ウェイトマン氏の3者共同名義となり、バファート師の管理馬となった。

馬名は長年に渡りアリゾナ大学のバスケットボールコーチを務めて数え切れないほどの名選手を育て上げ、史上最高のコーチと讃えられた米国バスケットボール界の大立者ロバート・ルター・“リュート”・オルソン氏に由来する。オルソン氏と並ぶ米国バスケットボール界の名コーチで友人かつ好敵手でもあったジェリー・ターカニアン氏が選手獲得を巡ってオルソン氏と争った際に名付けた渾名が“Midnight Lute(真夜中のリュート)”だったらしい。

競走生活(2・3歳時)

2歳7月にデルマー競馬場で行われたダート6ハロンの未勝利戦で、パトリック・ヴァレンズエラ騎手を鞍上にデビュー。単勝オッズ1.8倍で9頭立ての1番人気に支持された。ゲートの出が悪かった本馬は道中で馬群の中団後方を追走。三角で仕掛けると3番手で直線に入り、逃げる単勝オッズ3.8倍の2番人気馬アウトロージョーンズを鮮やかに差し切って1馬身1/4差で勝利した。

しかし、この後に喘鳴症を発症してしまい、2度に渡る手術と療養のため約1年間の休養に入る事になった。

前走からちょうど1年後の3歳7月にデルマー競馬場で行われたダート6ハロンの一般競走で復帰した。これまた未勝利戦を勝ち上がってから10か月の休養を経て復帰してきたばかりのジッターバグボールという馬が単勝オッズ2.7倍の1番人気で、当面の主戦となるビクター・エスピノーザ騎手とコンビを組んだ本馬は単勝オッズ4.8倍の2番人気だった。デビュー戦でもゲートの出が良くなかった本馬だが、今回はそれ以上にゲートの出が悪く、スタート直後は最後方だった。しかしその後は着実に順位を上げていき、12頭立ての6番手で直線に入ってきた。そして外側から豪快に追い上げてきたが、3番手から抜け出したセイラーズサンセットだけに届かず、半馬身差の2着に敗れた。

その23日後にはデルマー競馬場で行われたダート7ハロンの一般競走に出走。単勝オッズ2.1倍で9頭立ての1番人気に支持された。3戦目にしてようやくまともなスタートを切った本馬は、そのまま先頭直後の3番手を追走。直線に入ってから前の2頭をかわして先頭に立つと、そのまま後続との差を広げ、2着ウイニングタクティクスに3馬身半差で勝利した。

次走は10月にケンタッキー州キーンランド競馬場で行われたペリーヴィルS(GⅢ・AW7F)となった。4か月前のベルモントSにも出走していたハイファイナンスが単勝オッズ3.5倍の1番人気、ロングブランチBCS2着・サンタカタリナS3着のラテントヒートが単勝オッズ5.1倍の2番人気、キャリーバックS2着馬マッハライドが単勝オッズ7.8倍の3番人気、アムステルダムS勝ち馬でキングズビショップS3着のコートフォリーが単勝オッズ7.9倍の4番人気と続き、単勝オッズ8.1倍の本馬は11頭立ての5番人気だった。

スタートが切られるとマッハライドが先頭に立ち、今回もあまりゲートの出が良くなかった本馬は馬群の中団につけた。しかし三角から一気に加速すると直線に入ってすぐに先頭を奪取。その後は単騎で直線を走り抜け、2着に入った単勝オッズ8.9倍の6番人気馬ルイスマイケルに4馬身3/4差をつけて圧勝した。勝ちタイム1分24秒38はコースレコードだった。

そのまま3週間後に同じケンタッキー州のチャーチルダウンズ競馬場で行われるBCスプリントに向かうはずだったが、賞金不足で除外されたために出走できず、カリフォルニア州に戻ってきた。

そのため次走は年末のマリブS(GⅠ・D7F)となった。ハリウッドフューチュリティ・サンタアニタダービー・ノーフォークS・サンラファエルS・サンタカタリナSの勝ち馬ブラザーデレク、スワップスBCSの勝ち馬アーソンスカッド、ペリーヴィルSで9着に沈んでいたラテントヒート、ドワイヤーS3着馬ダストゥープス、後のドンH・ゴドルフィンマイル勝ち馬スプリングアットラスト、ヴァーノンOアンダーウッドSを勝ってきたセイラーズサンセットなどが出走してきて、今までのレースより当然かなりレベルが高くなっていた。ブラザーデレクが単勝オッズ3.4倍の1番人気、本馬が単勝オッズ4.1倍の2番人気、アーソンスカッドが単勝オッズ4.3倍の3番人気、ラテントヒートが単勝オッズ6.7倍の4番人気となった。

スタートが切られるとセイラーズサンセットが先頭を奪い、ダストゥープス、ラテントヒートも加わって3頭で先頭集団を形成。ブラザーデレクは5番手の好位につけ、スタートでまたしても出遅れた本馬は馬群の中団後方につけた。そのままの体勢で直線に入ると、先頭集団の中からラテントヒートが抜け出した。本馬は直線入り口でも5番手だったが、4番手のスプリングアットラストと一緒になって先頭のラテントヒートを追撃。しかし届かず、スプリングアットラストとの2着争いにも敗れて、勝ったラテントヒートから2馬身差の3着に終わった。3歳時の成績は4戦2勝だった。

競走生活(4歳時)

4歳時も引き続きサンタアニタパーク競馬場に留まり、1月のサンフェルナンドBCS(GⅡ・D8.5F)に出走した。主な対戦相手は、スプリングアットラスト、前走7着のブラザーデレク、同8着のアーソンスカッド、それにサービューフォートSで2着してきたオーサムジェムなどだった。ブラザーデレクが単勝オッズ2.7倍の1番人気、本馬が単勝オッズ3.4倍の2番人気、アーソンスカッドが単勝オッズ6.1倍の3番人気、スプリングアットラストが単勝オッズ8倍の4番人気、オーサムジェムが単勝オッズ10倍の5番人気で、6番人気以下は単勝オッズ29倍以上の人気薄だった。

スタートが切られると単勝オッズ71倍の最低人気馬オブジェクティヴが先頭に立ち、ブラザーデレクやスプリングアットラストは好位、今回は比較的まともなスタートを切った本馬も好位の4~6番手につけた。そして三角でブラザーデレクが上がっていくと同時に本馬も上がっていき、直線に入って間もなくこの2頭が先頭で並んだ。そして2頭の叩き合いが始まり、本馬がブラザーデレクを競り落としたのだが、そこへ後方からオーサムジェムが差してきて、本馬とオーサムジェムがほぼ同時にゴールインした。写真判定の結果はオーサムジェムの鼻差勝ちで、本馬は2着に敗れてしまった(ブラザーデレクは本馬から1馬身1/4差の3着だった)。

続いて出走したストラブS(GⅡ・D9F)では、オーサムジェム、ブラザーデレク、前走4着のアーソンスカッド、同6着のスプリングアットラスト、同8着のオブジェクティヴの5頭が対戦相手であり、前走サンフェルナンドBCSで戦った馬しか出走していなかった。今回は本馬が単勝オッズ2.9倍の1番人気に支持され、ブラザーデレクが単勝オッズ3.2倍の2番人気、アーソンスカッドが単勝オッズ4.4倍の3番人気、オーサムジェムが単勝オッズ4.7倍の4番人気、スプリングアットラストが単勝オッズ11.3倍の5番人気だった。

スタートが切られると前走と同じくオブジェクティヴが先頭に立ち、スプリングアットラストが2番手、アーソンスカッド、オーサムジェム、ブラザーデレクが3~5番手に固まり、スタートでまたも出負けした本馬は最後方からの競馬となった。そのままの体勢で三角に差し掛かると、本馬が真っ先に仕掛けて外側を駆け上がり、直線入り口では先頭のスプリングアットラストまで1馬身差というところまで迫ってきた。ところが距離が長かったのかここから本馬はもう一つ伸びなかった。そして直線半ばで突き抜けて勝利したアーソンスカッドから1馬身3/4差の4着に敗退。スプリングアットラスト(2着)やブラザーデレク(3着)にも後れを取る結果となった。

このままカリフォルニア州に留まっていても思うような結果が出そうに無かったため、バファート師は本馬をケンタッキー州に向かわせ、4月のコモンウェルスBCS(GⅡ・AW7F)に出走させた。サンカルロスHで3着してきたラムズゲート、加国のGⅡ競走ニアークティックSの勝ち馬スチールライト、サンデーサイレンス産駒の日本産馬であるアーケイディアH勝ち馬サイレントネーム、前年のペリーヴィルS2着後に出走したBCスプリントで11着に終わっていたルイスマイケル、前年のペリーヴィルSで4着だったハイファイナンスといった辺りが主な対戦相手だった。過去6戦で騎乗したエスピノーザ騎手からエドガー・プラード騎手に乗り代わった本馬が単勝オッズ2.1倍の1番人気、ラムズゲートが単勝オッズ6.5倍の2番人気、スチールライトが単勝オッズ6.7倍の3番人気、サイレントネームが単勝オッズ7.2倍の4番人気であり、同コースで行われたペリーヴィルSを圧勝した実績がある本馬が抜けた人気となった。

しかし本馬の出遅れ癖は相変わらずであり、ここでもスタートに失敗。道中は11頭立ての9番手を走る羽目になった。徐々に順位を押し上げて5番手で直線に入ってきたものの、2番手から抜け出したサイレントネームは既にかなり前方を走っており、とても届きそうに無かった。結局ルイスマイケルやスチールライトにも届かなかった本馬は、2着ルイスマイケルに4馬身差をつけて圧勝したサイレントネームから5馬身差をつけられて4着に敗れた。

この時期に再度喘鳴症の兆候が現れ始めており、本馬はしばらく休養に入る事になった。この休養中に3度目の手術が行われ、喘鳴症の原因となっていた喉軟骨の突起が取り除かれた。

復帰してきた本馬はニューヨーク州に向かい、フォアゴーS(GⅠ・D7F)に出走した。主な対戦相手は、マリブSとアルフレッドGヴァンダービルトHで2着、ヴォスバーグSで3着、BCスプリントで4・5着していたトボガンH勝ち馬アッティラズストーム、コモンウェルスBCSで10着だったハイファイナンス、アルフレッドGヴァンダービルトHで3着してきたサイモンピュア、同4着だったベニーザブルなどだった。前々走のオプショナルクレーミング競走を8馬身差で、前走のトムフールBCHを2馬身3/4差で勝ってきたハイファイナンスが単勝オッズ3.05倍の1番人気に押し出され、ショーン・ブリッグモハン騎手が騎乗する本馬が単勝オッズ3.6倍の2番人気、サイモンピュアが単勝オッズ7.6倍の3番人気、アッティラズストームが単勝オッズ9.3倍の4番人気、ベニーザブルが単勝オッズ9.8倍の5番人気となった。

スタートが切られると真っ先にゲートを飛び出していったハイファイナンスがそのまま先頭に立ったが、珍しく好スタートを切った本馬もアッティラズストームと共に先行した。この3頭が激しく先頭を争い、三角でハイファイナンスが、四角でアッティラズストームが脱落して、本馬が単独先頭で直線に入ってきた。直線で本馬を追ってきたのは、道中で最後方につけて追い込みに賭けたベニーザブルただ1頭だった。しかしその追撃を完封した本馬が2着ベニーザブルに2馬身1/4差、3着アッティラズストームにはさらに9馬身1/4差をつけて勝利を収め、GⅠ競走初勝利を達成した。勝ちタイム1分21秒06はレースレコードだった。

次走はモンマスパーク競馬場で行われたBCスプリント(GⅠ・D6F)となった。対戦相手は、ポトレログランデBCH・ベイメドウズBCスプリントHの勝ち馬スモーキーストーヴァー、エインシャントタイトルSを勝ってきたイディオットプルーフ、ビングクロスビーH・パットオブライエンHの勝ち馬で前走エインシャントタイトルS2着のグレッグズゴールド、ベニーザブル、一昨年のホイットニーH勝ち馬コメンテーター、7か月前のドバイゴールデンシャヒーンを勝っていたケリーズランディング、ヴォスバーグSで2着してきたタレントサーチ、ジェロームHで2着してきたフォアファーザーズ、エインシャントタイトルBCS・ヴァーノンOアンダーウッドS・カウントフリートスプリントH2回の勝ち馬ボードナロの9頭だった。主戦となるギャレット・ゴメス騎手と初コンビを組んだ本馬が単勝オッズ3.5倍の1番人気に支持され、スモーキーストーヴァーが単勝オッズ4.9倍の2番人気、イディオットプルーフが単勝オッズ6.8倍の3番人気、グレッグズゴールドが単勝オッズ7.1倍の4番人気、ベニーザブルが単勝オッズ8.2倍の5番人気で、過去の実績だけなら最上位級のボードナロは近走がやや不振だったため単勝オッズ31.1倍の最低人気となっていた。

まるで沼地のような不良馬場の中でスタートが切られるとタレントサーチが先頭に立ち、コメンテーターやイディオットプルーフがそれを追って先行。一方の本馬はスタートでまたしても後手を踏んでしまい、10頭立ての8~9番手を追走した。しかし本馬にとって幸運なことに、タレントサーチが刻んだペースは不良馬場にも関わらず最初の2ハロン通過が21秒56、半マイル通過は44秒06というかなり速いペースとなり、後方の馬に有利な展開となった。本馬は四角で内側から外側に持ち出しながら位置取りを上げると、5番手で直線に突入。この段階で5馬身以上前方ではタレントサーチとイディオットプルーフが先頭を争っていた。しかしゴメス騎手の檄に応えた本馬が大外から猛然とその差を詰めると残り50ヤード地点で前2頭を続けてかわして突き抜けた。そして2着イディオットプルーフに4馬身3/4差(現在でもBCスプリント史上最大着差である)、3着タレントサーチにさらに1馬身3/4差をつけて圧勝した。3頭のケンタッキーダービー馬を含む数々の名馬を手掛けてきたバファート師はレース後に本馬を「私が管理した中でも最高の馬です」と賞賛した。

この年はこれで休養入りではなく、BCスプリントから4週間後のシガーマイルH(GⅠ・D8F)に向かった。本馬が123ポンドのトップハンデでも単勝オッズ1.5倍の1番人気に支持され、前走ジェロームHを勝ってきた3歳馬ダーハーが114ポンドの斤量で単勝オッズ3.35倍の2番人気、サプリングSの勝ち馬エクスチェンジャーが116ポンドの斤量で単勝オッズ10.3倍の3番人気、ウエストチェスターH勝ち馬でカーターH2着のサーグリーリーが116ポンドの斤量で単勝オッズ12.9倍の4番人気となった。

スタートが切られるとダーハーが先頭に立ち、エクスチェンジャー、サーグリーリー、本馬の順番で走っていった。三角で本馬がエクスチェンジャーとサーグリーリーの2頭をかわし、さらに逃げるダーハーを追いかけた。しかし直線に入ってもダーハーの逃げ脚は衰えず、それを捕まえられなかった本馬は2馬身半差の2着に敗れた。

4歳時の成績は6戦2勝だったが、267票中229票を獲得して、この年のエクリプス賞最優秀短距離牡馬に選出された。

競走生活(5歳時)

翌5歳時も現役を続けたが、調教中に脚を故障したため、復帰は8月にデルマー競馬場で行われたパットオブライエンH(GⅡ・AW7F)となった。ビングクロスビーH・パロスヴェルデスHなどの勝ち馬で前走のビングクロスビーHでも2着してきたインサメーション、コモンウェルスSの勝ち馬リベリオン、前年のエインシャントタイトルS3着馬バーベキューエディー、それに前年のコモンウェルスBCS2着後にワシントンパークHを勝っていたルイスマイケル、アーソンスカッドといった古い好敵手の姿もあった。122ポンドの本馬が単勝オッズ1.9倍の1番人気、121ポンドのインサメーションが単勝オッズ4.4倍の2番人気、118ポンドのリベリオンが単勝オッズ7.1倍の3番人気、118ポンドのルイスマイケルが単勝オッズ9.6倍の4番人気となった。

スタートが切られるとバーベキューエディーが先頭に立って馬群を牽引。一方の本馬は毎度お決まりのスタート失敗を犯しており、道中は馬群の中団後方を追走した。出遅れはいつもの事だが、久々のためか今回は反応が非常に悪く、ゴメス騎手がいくら押しても進出していくことは無かった。そして結局後方のままで、勝ち馬から7馬身3/4差の10着と惨敗。勝ったのは本馬にとって一番古い好敵手と言えるルイスマイケルだった。

その後は2か月間の調整を経て、この年はサンタアニタパーク競馬場で行われたBCスプリント(GⅠ・AW6F)に出走した。対戦相手は、トリプルベンド招待H・ビングクロスビーHのGⅠ競走2勝を含む5連勝を達成し、前走エインシェントタイトルSでも2着してきたストリートボス、ケンタッキーカップスプリントSなど3連勝してきたフェイタルブレット、前年のヴォスバーグS勝ち馬で前走ヴォスバーグSでも2着だったファビュラスストライク、パットオブライエンH4着後にエインシェントタイトルSで3着してきたインサメーション、ヴォスバーグS・キャリーバックSの勝ち馬ブラックセブンティーン、フォアゴーSの勝ち馬ファーストディフェンス、米フェニックスSを勝ってきたシングベイビーシングの7頭だった。ストリートボスが単勝オッズ3.1倍の1番人気、本馬が単勝オッズ3.7倍の2番人気、フェイタルブレットが単勝オッズ6.1倍の3番人気、ファビュラスストライクが単勝オッズ7.8倍の4番人気、インサメーションが単勝オッズ8.5倍の5番人気となった。

スタートが切られると、ファーストディフェンスとフェイタルブレットの2頭が先頭に立ち、ファビュラスストライクとブラックセブンティーンが3~4番手、さらにインサメーション、シングベイビーシング、ストリートボスと続き、最後まで出遅れ癖が治らなかった本馬はまたも出遅れて最後方からの競馬となっていた。しかしファーストディフェンスとフェイタルブレットの2頭が競り合ったペースは、最初の2ハロン通過が21秒28、半マイル通過は43秒85であり、高速決着になりやすいサンタアニタパーク競馬場のオールウェザーコースとしても非常に速いラップだった。しかしいくらハイペースでも短距離戦で後方をのんびり走るわけにはいかず、三角に入る前からゴメス騎手は本馬を加速させた。そして三角から四角にかけて一気に外側を駆け上がった。前の馬達も外側に持ち出していたため、そのさらに外側を走った本馬は直線入り口では各馬横一線の大外だった。しかし既に先頭までは2馬身程度まで詰め寄っていた。そして逃げるフェイタルブレットに残り1ハロン地点で並ぶと、残り半ハロン地点で突き抜けて、1馬身3/4差をつけて優勝。勝ちタイム1分07秒08は現在でもBCスプリント史上最速タイム(オールウェザーであるから当然と言えば当然なのだが)となっている。

また、1984年にブリーダーズカップが創設された当初から存在した7競走中、BCジュヴェナイルとBCジュヴェナイルフィリーズの2歳馬限定競走を除く5競走のうち4競走は既に2連覇を達成した馬がおり、BCスプリントだけが連覇馬がいない状態となっていたのだが、本馬により史上初の同競走連覇が達成された。

ちなみにこのBCスプリントの僅か2日前に本馬の名前の由来となったオルソン氏が健康上の問題によりバスケットボールのコーチを引退する旨を発表しており、所謂サイン馬券の信奉者にとっては的中させやすいレースだったようである。

このレース3日後に現役引退が発表され、5歳時の成績は2戦1勝となった。この年のエクリプス賞最優秀短距離牡馬のタイトルは、前年のBCスプリント直後のフランクJドフランシス記念Sを勝ってGⅠ競走初勝利を挙げ、さらにこの年はドバイゴールデンシャヒーンなど4戦全勝の成績を残したベニーザブルとの争いとなったが、106票対86票で次点に終わり、本馬の2年連続受賞は成らなかった。

血統

Real Quiet Quiet American Fappiano Mr. Prospector Raise a Native
Gold Digger
Killaloe Dr. Fager
Grand Splendor
Demure Dr. Fager Rough'n Tumble
Aspidistra
Quiet Charm Nearctic
Cequillo
Really Blue Believe It In Reality Intentionally
My Dear Girl
Breakfast Bell Buckpasser
Reveille
Meadow Blue Raise a Native Native Dancer
Raise You
Gay Hostess Royal Charger
Your Hostess
Candytuft デヒア Deputy Minister Vice Regent Northern Dancer
Victoria Regina
Mint Copy Bunty's Flight
Shakney
Sister Dot Secretariat Bold Ruler
Somethingroyal
Sword Game Damascus
Bill and I
Bolt from the Blue Blue Times Olden Times Relic
Djenne
Cocoblu Blue Prince
Cocopet
Berkut Sea-Bird Dan Cupid
Sicalade
Feria Toulouse Lautrec
Feira de Rio

リアルクワイエットは当馬の項を参照。

母キャンディタフトは不出走馬。本馬以外の産駒は殆ど活躍していない。キャンディタフトの母ボルトフロムザブルーはラプレヴォヤンテH(米GⅢ)の勝ち馬で、ボルトフロムザブルーの半妹にはアリダーズベスト【仏グランクリテリウム(仏GⅠ)・プリティポリーS(愛GⅡ)】が、ボルトフロムザブルーの伯父にはジル【サンクルー大賞】がいる。→牝系:F3号族③

母父デヒアは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬はケンタッキー州ヒルンデイルファームで種牡馬入りした。種付け料は2万ドルに設定されている。手ごろな種付け料に加えて、その快速に魅せられた馬産家達からの人気は高く、初年度産駒は121頭誕生した。その初年度産駒から既に複数のGⅠ競走勝ち馬が登場しており、今後が期待される種牡馬である。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

2010

Govenor Charlie

サンランドダービー(米GⅢ)

2010

Midnight Aria

クイーンズプレート

2010

Midnight Cello

阪神CS(米GⅢ)

2010

Midnight Lucky

エイコーンS(米GⅠ)・ヒューマナディスタフS(米GⅠ)

2010

Shakin It Up

マリブS(米GⅠ)・サンヴィンセントS(米GⅡ)・ストラブS(米GⅡ)

2010

Tiz Midnight

バヤコアS(米GⅡ)

2011

Midnight Hawk

シャムS(米GⅢ)

2012

Gimme da Lute

ロスアラミトスダービー(米GⅡ)・アファームドS(米GⅢ)

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