北米の主要競走
2歳馬限定競走(牡馬)
名称:デルマーフューチュリティ | 英名:Del Mar Futurity | ||||
場所:カリフォルニア州デルマー競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1948年 | 格付け:GⅠ(1984~89、2007年~)GⅡ(1973~83、1990~2006年) | 施行時期:9月第1週 | |||
米国西海岸の伝統的な2歳馬限定戦。牡馬出走可能な2歳馬限定GⅠ競走の中ではホープフルSと並んで最も早い時期に施行されるため、西海岸を本拠地とする有力2歳馬の最初の目標競走となる事が多い。2015年の米国三冠馬アメリカンファラオが初めて勝ったGⅠ競走も本競走だった。
名称:ホープフルS | 英名:Hopeful Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1903年 | 格付け:GⅠ(1973~2011、2013年~)GⅡ(2012年) | 施行時期:9月第1週 | |||
米国伝統の2歳戦と言われる競走の多くは1973年のグレード制度導入前に既に権威が失墜していたり、当初はGⅠ競走でも現在は格下げになっていたりするが、本競走は2012年だけGⅡ競走に降格となったとは言えほぼ一貫してGⅠ競走の地位を保っており、米国を代表する2歳戦の1つと言える。牡馬出走可能な2歳馬限定GⅠ競走の中ではデルマーフューチュリティと並んで最も早い時期に施行されることもあり、2歳牡馬にとっては当面の目標となっている。最近はそうでもないが、20世紀には本競走の勝ち馬が米国三冠競走の勝ち馬となる事例がしばしば見られ、歴代優勝馬の中にはマンノウォーとセクレタリアトの米国競馬2大巨頭の名前も見られる。創設当初は距離6ハロンで、1925年に6.5ハロン、1994年に現行の距離となった。
名称:サプリングS | 英名:Sapling Stakes | ||||
場所:ニュージャージー州モンマスパーク競馬場 | 距離等:ダート6ハロン(→ダート8ハロン) | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1883年 | 格付け:L(2014年~)GⅢ(1997~2013年)GⅡ(1984~96年)GⅠ(1973~83年) | 施行時期:9月第1週 | |||
19世紀に創設された米国の伝統的な2歳戦。もっとも、ニュージャージー州の法令でパリミューチュエル方式が義務付けられるとそれに反発したモンマスパーク競馬場(当時はロングブランチ競馬場という名称)が1894年にいったん閉鎖されたために本競走も1893年限りでいったん廃止され、同競馬場が1946年に再開したのと同時に復活した経緯があるため、施行回数はその歴史の長さほど多くは無い。1970年代まではかなりの有力馬が参戦してくることが多かったが、1980年代以降の格の下落は著しく、2014年には遂にグレード競走の地位も失ってしまった。創設からほぼ一貫して距離6ハロンで施行されてきたが、2014年から8ハロン戦となった。
名称:アーリントンワシントンフューチュリティ | 英名:Arlington-Washington Futurity | ||||
場所:イリノイ州アーリントンパーク競馬場 | 距離等:ダート8ハロン(→オールウェザー7ハロン) | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1962年 | 格付け:GⅢ(2002年~)GⅡ(1990~2001年)GⅠ(1973~89年) | 施行時期:9月第2週 | |||
1927年に創設されたアーリントンフューチュリティと、1937年に創設されたワシントンパークフューチュリティの2競走が1962年に合併して誕生した。合併前からイリノイ州における主要2歳戦であり、合併後もその地位を保っているが、米国全体から見ると20世紀終盤から価値が下がり続けている。合併当初の距離は7ハロンで、1971年に6ハロン、1974年に6.5ハロン、1979年に7ハロン、1984年に8ハロン、1985年に6.5ハロン、1986年に8ハロン、2014年に7ハロンとなった。2007年からはダートではなくオールウェザーで施行されている。
名称:フロントランナーS(ノーフォークS) | 英名:Frontrunner Stakes(Norfolk Stakes) | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1970年 | 格付け:GⅠ(1980~92、2007年~)GⅡ(1973~79、1993~2006年) | 施行時期:9月第4週 | |||
米国西海岸における2歳戦の大競走。GⅡ競走に降格となっていた時期もあるが、BCジュヴェナイルの前哨戦としてちょうど良い時期に施行されるため出走馬のレベルは高く、現在は再びGⅠ競走に格上げとなっている。2015年の米国三冠馬アメリカンファラオも本競走を勝っているが怪我のためBCジュヴェナイルには出走しなかった。2011年までは「ノーフォークS」という名称だったが、2010年に主催者のオークツリー競馬協会とサンタアニタパーク競馬場の所有者ストロナックグループとの賃貸借契約がこじれて契約解除が決定され、その後2年間オークツリー競馬協会がサンタアニタパーク競馬場を使用しなかったためにオークツリー競馬協会が命名した競走名が2012年に一斉変更されると、本競走も現行の名称になった。創設からほぼ一貫して距離8.5ハロンで施行されているが、1997~2001年の期間のみはマイル戦だった。
名称:シャンペンS | 英名:Champagne Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート8ハロン | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1867年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:10月第1週 | |||
現在も続いている米国の2歳戦としては最も歴史が古い伝統競走。米国伝統の2歳戦と言われる競走の多くは1973年のグレード制度導入前に既に権威が失墜していたり、当初はGⅠ競走でも現在は格下げになっていたりするが、本競走は牡馬出走可能な2歳戦としては唯一1973年から現在まで一貫してGⅠ競走の地位を保っており、その歴史の古さや歴代優勝馬の見事なまでのレベルの高さから米国競馬史上最高の2歳戦であると言える。BCジュヴェナイルの前哨戦としての役割を担う事も多いが、ブリーダーズカップの施行場所が米国東海岸では無い場合には、東海岸を本拠地とする馬にとって本競走が2歳戦の最大目標となる場合も少なくない。名称は英国ドンカスター競馬場で施行されている同名の2歳戦に由来するが、本家はGⅡ競走なので、こちらのほうが格が上となっている。英国や豪州など各国で同名の競走が施行されているため、「米シャンペンS」と表記される場合もある。創設当初は距離6ハロンで、1891年に7ハロン、1905年に6ハロン165ヤード、1933年に6.5ハロン、1940年に8ハロン、1995年に8.5ハロン、2005年に現行の8ハロンとなった。
名称:ブリーダーズフューチュリティ | 英名:Breeders' Futurity | ||||
場所:ケンタッキー州キーンランド競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1910年 | 格付け:GⅠ(2004年~)GⅡ(1976~2003年)GⅢ(1973~75年) | 施行時期:10月第1週 | |||
ケンタッキー州における2歳最強馬決定戦。かなり歴史がある競走で、歴代優勝馬の中にはワーラウェイ、デヴィルダイヴァー、ラウンドテーブルのような歴史的名馬もいるが、1973年にグレード制度が導入された際には格は下がっていたようで、当初はGⅢ競走だった。しかしブリーダーズカップが創設されると、時期的にBCジュヴェナイルの叩き台としてちょうど良い本競走には有力馬が多く出走してくるようになり、レースとしての格は上昇に転じ、2004年からはGⅠ競走に格付けられてかつての地位を取り戻した。創設当初は距離6ハロンで、1950年に7ハロン、1956年に7ハロン184フィート、1981年に8.5ハロンとなった。
名称:ベルモントフューチュリティS | 英名:Futurity Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート8ハロン(→ダート6ハロン) | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1888年 | 格付け:GⅡ(2004年~)GⅠ(1973~2003年) | 施行時期:10月第1週 | |||
正式名称は単に「フューチュリティS」だが、同様の名称の競走が米国でも他国でも多く施行されているため、日本でも米国でも施行競馬場の名を冠して「ベルモントフューチュリティS」と呼称されることが多い。創設から1909年まではシープズヘッドベイ競馬場で、1910年から1914年まではサラトガ競馬場で施行されており、他にベルモントパーク競馬場改修中の代替開催としてアケダクト競馬場で施行された時期もあるが、この名馬列伝集ではそれらの時期も全部含めて「ベルモントフューチュリティS」と表記している。シープズヘッドベイ競馬場の代表者だったジェームズ・G・K・ローレンス氏の発案により、当時米国最高賞金額の競走として創設された。BCジュヴェナイルの創設前はシャンペンSやホープフルSと並んで米国を代表する2歳戦だったが、他2競走と異なり現在は価値が下がり、GⅠ競走の地位さえも失っている。創設から色々な距離で施行されているが、大雑把に書くと1924年までは6ハロン、1925年から7ハロン、1934年から6.5ハロン、1976年から7ハロン、1994年から8ハロン、2005年から7ハロンで、2011年から6ハロンになっている。時期的にBCジュヴェナイルの前哨戦としてちょうど良かったのだが、距離が6ハロンになっている現在ではその役割を果たせそうにはないし、そもそも本競走の勝ち馬がBCジュヴェナイルを勝った事例は無い(だから価値が下がったとも言える)。
名称:グレイS(グレイBCS) | 英名:Grey Stakes(Grey Breeders' Cup Stakes) | ||||
場所:加国・ウッドバイン競馬場 | 距離等:オールウェザー8.5ハロン | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1906年 | 格付け:GⅢ(1983~98、2005年~)GⅡ(2002~04年)GⅠ(1999~2001年) | 施行時期:10月第1週 | |||
加国の伝統的な2歳戦で、GⅠ競走に格付けられていた時期もある。加国の主要2歳戦の中では珍しく加国産馬限定戦ではないため、米国産馬の参戦も時々見られる。1996~2007年までは「グレイBCS」の名称で施行された。名称は創設当時のカナダ総督だった英国の貴族アルバート・グレイ卿に由来する。創設当初はマイル戦で、1930年から8ハロン70ヤード、1956年から8.5ハロンとなり、それ以降の距離の変更はない。ただし2005年まではダート戦だったが、現在はオールウェザーで施行されている。
名称:ヤングアメリカS(廃止) | 英名:Young America Stakes | ||||
場所:ニュージャージー州メドウランズ競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン(→芝8.5ハロン) | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1977年 | 格付け:GⅢ(1993~95年)GⅡ(1989~92年)GⅠ(1979~88年) | 施行時期:10月第2週 | |||
創設当時は賞金50万ドルを誇る米国の重要な2歳戦として機能していたが、BCジュヴェナイルの登場に伴い時期が近すぎる本競走の価値は一気に下がり、1995年を最後に20年足らずの短い歴史に幕を閉じた。距離は一貫して8.5ハロンだったが、1990年まではダート戦で、1991年以降は生き残りをかけて芝に変更されていた。なお、19世紀末にテネシー州ナッシュビルで同名の2歳戦が施行されていた。
名称:カウディンS(廃止) | 英名:Cowdin Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート7ハロン(→ダート6.5ハロン) | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1923年 | 格付け:L(2003~05年)GⅢ(2000~02年)GⅡ(1973~83、1990~99年)GⅠ(1984~89年) | 施行時期:10月第3週 | |||
創設当初の名称は「ジュニアチャンピオンS」で、アケダクト競馬場の代表者ジョン・C・カウディン氏を記念して1941年に改名された。米国の重要な2歳戦の1つだったが、BCジュヴェナイルの登場に伴い時期が近すぎる本競走の価値は一気に下がり、2003年にグレード競走ですらもなくなってしまい、2005年を最後に廃止された。創設当初は距離8ハロンで、1935年に6.5ハロン、1958年に7ハロン、1997年に再び6.5ハロンとなり、廃止までこの距離で施行された。
名称:ローレルフューチュリティ | 英名:Laurel Futurity | ||||
場所:メリーランド州ローレルパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン(→変更多数) | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1921年 | 格付け:L(2005年~)GⅢ(1990~2004年)GⅡ(1989年)GⅠ(1973~88年) | 施行時期:10月第4週(→9月第2週) | |||
創設当初はメリーランド州における2歳最強馬決定戦で、2歳戦としては全米においても有数の高額賞金競走だった。当初はピムリコ競馬場で施行されており、名称も「ピムリコフューチュリティ」だった。施行場所がローレルパーク競馬場に移されると1967年から「ピムリコローレルフューチュリティ」という名称になり、1972年に「ローレルフューチュリティ」となった。全盛期は毎年のように有力馬が参戦しており、歴代優勝馬にはカウントフリート、サイテーション、セクレタリアト、アファームドと後の米国三冠馬が4頭もおり、他にもエクワポイズ、トップフライト、シャルドン、バイムレック、リヴァリッジ、スペクタキュラービッドなどが勝利している。しかしBCジュヴェナイルと時期が被るために同競走創設以降は価値がどんどん下がり、1987年に芝競走に変更して立て直しを図ったが、その後はダートと芝の間を行き来する迷走状態となり、2005年に遂にグレード競走としての地位も失った。創設当初は距離8ハロンで、1929年に8.5ハロンとなった。芝に変更後もしばらく8.5ハロンのままだったが、1994年に7.5ハロン、1996年に9ハロン、2002年に8.5ハロン、2011年に6ハロンと、馬場だけでなく距離も迷走した。2012年以降は距離5.5ハロンだが、2014年までは芝だったのが2015年はダートで施行されるなど相変わらず安定していない。施行時期は長らく10~11月だったが、2013年からは9月開催になっている。
名称:BCジュヴェナイルターフ | 英名:Breeders' Cup Juvenile Turf | ||||
場所:持ち回り | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:2007年 | 格付け:GⅠ(2011年~)GⅡ(2009・10年) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの1日目に施行される。米国の2歳牡馬出走可能GⅠ競走としては唯一の芝競走で、米国芝路線のレベル向上を目的として新設された。これといった目標が無かった芝を得意とする米国調教の2歳牡馬にとって最初の大目標となっている。BCジュヴェナイルフィリーズターフは北米調教馬のほうが欧州調教馬より優勢だが、本競走は逆に欧州調教馬のほうが優勢である。
名称:BCジュヴェナイル | 英名:Breeders' Cup Juvenile | ||||
場所:持ち回り | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:2歳牡馬・騙馬 | |||
創設:1984年 | 格付け:GⅠ(1984年~) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの2日目に施行される。ブリーダーズカップの創設1年目から存在している7競走のうちの1つで、北米のダート路線における2歳牡馬最強馬決定戦。欧州の有力2歳馬の参戦もしばしば見受けられ、ブリーダーズカップにおける他のダート競走と比べると欧州調教馬の成績が良く、4頭の欧州調教馬が本競走を優勝している。しかし本競走の優勝馬は3歳以降に活躍できない事例がかなり多く、特にここ数年は有力2歳馬が本競走に出走しない事例が目立っており、北米2歳牡馬最強馬決定戦という看板は揺らいでいる。1年目と2年目はマイル戦だったが、3年目以降は一貫して距離8.5ハロンで施行されている。
名称:ガーデンステートS(廃止) | 英名:Garden State Stakes | ||||
場所:ニュージャージー州ガーデンステート競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン(→ダート8ハロン) | 出走馬:2歳馬(→3歳馬) | |||
創設:1945年 | 格付け:L(1995~99年)GⅢ(1987、1990~94年)GⅡ(1988・89年) | 施行時期:11月第3週(→4月第2週) | |||
1945年にニュージャージー州ガーデンステート競馬場において2歳馬限定戦として創設された。当初から非常に賞金額が高く、全盛期の1956年における総額30万ドルは北米のみならず世界最高の金額だった。当然2歳馬にとってのシーズン最大目標となり、多くの有力馬が本競走を勝ち、その中にはセクレタリアトを筆頭に歴史的名馬に出世した馬も少なくない。しかしガーデンステート競馬場の経営難によりセクレタリアトが勝った1972年を最後にいったん休止。1985年に今度は春開催の3歳馬限定戦としてリニューアルされて再開した。しかしガーデンステート競馬場の経営状態が安定しなかったためにGⅠ競走まで地位が回復することは無く、1995年に非グレード競走に転落し、1999年限りで廃止された。創設当初は距離6ハロンで、1953年に8.5ハロンとなった。リニューアル後はしばらく9ハロンで実施され、1993年に8.5ハロン、1996年から廃止まで8ハロンだった。基本的にダート競走だったが、1994~97年と廃止年は芝競走だった。
名称:レムセンS | 英名:Remsen Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州アケダクト競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1904年 | 格付け:GⅡ(1973~80、1989年~)GⅠ(1981~88年) | 施行時期:11月第4週 | |||
米国の伝統的な2歳戦の1つで、歴代優勝馬には歴史的名馬が何頭もいる。現在はGⅡ競走ではあるが、それでもBCジュヴェナイルからの臨戦組や同競走に不参戦だった有力馬などが出走してくる事例がしばしば見られ、GⅠ競走級のレベルになる事も多い。名称は米国独立戦争における最大の戦闘ロングアイランドの戦いの当時にロングアイランド島を所有していたジョレムス・レムセン大佐に由来する。創設当初は距離5.5ハロンで、1918年からは概ね6ハロン、1952年に8.5ハロン、1959年に8ハロン、1973年に9ハロンとなって以降は現在まで距離の変更はない。創設から1953年まではハンデ戦で、1954年から別定重量戦となった。
名称:ロスアラミトスフューチュリティ(ハリウッドフューチュリティ・キャッシュコールフューチュリティ) | 英名:Los Alamitos Futurity(Hollywood Futurity・Cash Call Futurity) | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→ロスアラミトス競馬場) | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:2歳馬 | |||
創設:1981年 | 格付け:GⅠ(1983年~) | 施行時期:12月第2週 | |||
歴史は比較的新しいが、施行時期がBCジュヴェナイルの次走としてちょうど良い時期にあるためBCジュヴェナイルに出走した有力馬が引き続いて参戦してきたり、ブリーダーズカップの施行場所が米国西海岸では無い場合に西海岸を本拠地とする馬がこちらを2歳戦の最大目標としてきたりして、レベルが高い戦いが展開されることが多い。実際に本競走の優勝馬が米国三冠競走の優勝馬となった例はかなり多い。創設から基本的に距離8.5ハロンで施行されているが、1985~90年の間はマイル戦だった。創設当初の名称は「ハリウッドフューチュリティ」で、2007年に「キャッシュコールフューチュリティ」と改称。2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると2014年から同州のロスアラミトス競馬場に移され、同競馬場の名を冠した現在の名称となった。
2歳馬限定競走(牝馬)
名称:スピナウェイS | 英名:Spinaway Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1881年 | 格付け:GⅠ(1973~2003、2006年~)GⅡ(2004・05年) | 施行時期:9月第1週 | |||
米国伝統の2歳牝馬限定戦で、GⅡ競走に降格になっていた時期こそあるが歴史の古さなどからしても米国を代表する2歳牝馬戦であると言える。米国の2歳牝馬限定GⅠ競走としてはデルマーデビュータントSと並んで最も早い時期に施行される。創設当初は距離5ハロンで、1901年に5.5ハロン、1923年に6ハロン、1994年に現行の距離となった。
名称:デルマーデビュータントS | 英名:Del Mar Debutante Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州デルマー競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1951年 | 格付け:GⅠ(1999年~)GⅡ(1973~98年) | 施行時期:9月第1週 | |||
米国の2歳牝馬限定GⅠ競走としてはスピナウェイSと並んで最も早い時期に施行される。創設当初は距離6ハロンで、1974年に8ハロン、1993年に7ハロンとなった。2009年に馬産団体ダーレーグループがスポンサーとなったために「ダーレーデビュータントS」と呼称された事もあったが、現在は元の名称で呼ばれる。
名称:アーリントンワシントンラッシーS | 英名:Arlington-Washington Lassie Stakes | ||||
場所:イリノイ州アーリントンパーク競馬場 | 距離等:ダート7ハロン(→オールウェザー7ハロン) | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1929年 | 格付け:L(2013年~)GⅢ(1973~75、2000~12年)GⅡ(1976~80、1990~97年)GⅠ(1981~89年) | 施行時期:9月第1週 | |||
イリノイ州の伝統的な2歳牝馬限定戦で、歴代優勝馬にはトップフライト、トワイライトティアー、ビウィッチといった歴史的名牝もいる。1980年代までは全米全体で見ても重要な競走としての地位を有していたが、その後は価値がどんどん下落し、2013年にグレード競走ですらもなくなってしまった。それでも廃止はされていない。創設当初は距離5.5ハロンで、1932年に6ハロン、1962年に6.5ハロン、1980年に7ハロン、1989年に8ハロン、2014年に7ハロンとなった。2007年からはオールウェザーで施行されている。
名称:ソロリティS | 英名:Sorority Stakes | ||||
場所:ニュージャージー州モンマスパーク競馬場 | 距離等:ダート6ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1956年 | 格付け:L(2004年~)GⅢ(1989~2003年)GⅡ(1984~88年)GⅠ(1973~83年) | 施行時期:9月第1週 | |||
ニュージャージー州における2歳牝馬の大競走として創設された。アフェクショネイトリーやラフィアンなど歴史的名牝も優勝馬に名を連ねているが、1980年代後半以降の格の下落が著しく、2004年にはグレード競走ですらもなくなってしまった。廃止はされていないが格の向上の兆しは見えない。創設から一貫して距離6ハロンで施行されている。
名称:シャンデリアS(オークリーフS) | 英名:Chandelier Stakes (Oak Leaf Stakes) | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1969年 | 格付け:GⅠ(1980~89、1992~2001、2006年~)GⅡ(1973~79、1990・91、2002~05年) | 施行時期:9月第4週 | |||
米国西海岸の重要な2歳牝馬限定戦で、BCジュヴェナイルフィリーズの前哨戦でもある。1973年のグレード制度施行以降しばらくはGⅠ競走とGⅡ競走の間を行ったり来たりしており地位は安定していなかったが、2006年以降は10年間に渡りGⅠ競走に格付けられており、ほぼその地位は確立されたようである。創設当初の名称は「オークリーフS」だったが、2010年に主催者のオークツリー競馬協会とサンタアニタパーク競馬場の所有者ストロナックグループとの賃貸借契約がこじれて契約解除が決定され、その後2年間オークツリー競馬協会がサンタアニタパーク競馬場を使用しなかったためにオークツリー競馬協会が命名した競走名が2012年に一斉変更されると、本競走も現行の名称になった。創設当初から概ね距離8.5ハロンで施行されているが、1997~2001年の期間はマイル戦だった。
名称:フリゼットS | 英名:Frizette Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート8ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1945年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:10月第1週 | |||
米国の2歳牝馬限定戦の中で唯一、1973年のグレード制度導入時から現在まで一貫してGⅠ競走の地位を保っている、米国を代表する2歳牝馬限定戦。BCジュヴェナイルフィリーズの前哨戦としての役割を担う事も多いが、ブリーダーズカップの施行場所が米国東海岸では無い場合には、東海岸を本拠地とする牝馬にとって本競走が2歳戦の最大目標となる場合も少なくない。名称は米国出身の根幹繁殖牝馬フリゼットに由来する。創設当初は距離6ハロンで、短期間の間に様々な距離を経て、1959年からしばらくは8ハロンの時期が続いた。1994年に距離8.5ハロンとなったが、2005年に8ハロンに戻っている。
名称:アルキビアデスS | 英名:Alcibiades Stakes | ||||
場所:ケンタッキー州キーンランド競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1952年 | 格付け:GⅠ(2007年~)GⅡ(1976~2006年)GⅢ(1973~75年) | 施行時期:10月第1週 | |||
ケンタッキー州における2歳牝馬最強馬決定戦。GⅡ競走だった時期が長かったが、1990年代に本競走をステップにBCジュヴェナイルフィリーズに出走して勝利した馬が続出するなど出走馬のレベル上昇が顕著となったため、2007年にGⅠ競走に格付けられた。創設当初は距離7ハロンで、1956年に7ハロン184フィートに、1981年に現行の距離となった。名称は1930年のケンタッキーオークス馬アルキビアデスに由来する。
名称:メイトロンS | 英名:Matron Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート8ハロン(→ダート6ハロン) | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1892年 | 格付け:GⅡ(2007年~)GⅠ(1973~2006年) | 施行時期:10月第1週 | |||
米国の伝統競走で、BCジュヴェナイルフィリーズの創設前はフリゼットSやスピナウェイSと並んで米国を代表する2歳牝馬戦だったが、他2競走と異なり現在は価値が下がり、GⅠ競走の地位さえも失っている。創設当初は牡馬と牝馬の混合戦だった。1902年から牡馬限定戦のメイトロンSと牝馬限定戦のメイトロンSの2本立てとなった。牡馬限定戦のほうは1914年を最後に廃止され、残った牝馬限定戦が本競走である。創設当初は距離6ハロンで、1972年に7ハロン、1994年に8ハロン、2005年に7ハロン、2011年に6ハロンとなった。時期的にBCジュヴェナイルフィリーズの前哨戦としてちょうど良かったのだが、距離が6ハロンになっている現在ではその役割を果たせそうにはない。
名称:マザリーンS(マザリーンBCS) | 英名:Mazarine Stakes(Mazarine Breeders' Cup Stakes) | ||||
場所:加国・ウッドバイン競馬場 | 距離等:オールウェザー8.5ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1965年 | 格付け:GⅢ(1988~91、2005年~)GⅡ(2002~04年)GⅠ(1999~2001年) | 施行時期:10月第1週 | |||
加国の伝統的な2歳戦で、GⅠ競走に格付けられていた時期もある。加国の主要2歳戦の中では珍しく加国産馬限定戦ではないため、米国産馬の参戦も時々見られる。1996~07年までは「マザリーンBCS」の名称で施行された。一時期を除いて1998年まではグレード競走では無かったが、1999年にいきなりGⅠ競走に格付けられた。しかしその後は格の下落が続いている。創設から基本的に距離8.5ハロンで施行されているが、1975~79年の間はマイル戦だった。2006年からはダートではなくオールウェザーで施行されている。
名称:BCジュヴェナイルフィリーズターフ | 英名:Breeders' Cup Juvenile Fillies Turf | ||||
場所:持ち回り | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:2008年 | 格付け:GⅠ(2012年~)GⅡ(2010・11年) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの1日目に施行される。米国の2歳牝馬限定GⅠ競走としては唯一の芝競走で、米国芝牝馬路線のレベル向上を目的として新設された。これといった目標が無かった芝を得意とする米国調教の2歳牝馬にとって最初の大目標となっている。欧州調教馬の参戦も多いが、現在のところは地元北米の馬のほうが優勢である。
名称:BCジュヴェナイルフィリーズ | 英名:Breeders' Cup Juvenile Fillies | ||||
場所:持ち回り | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1984年 | 格付け:GⅠ(1984年~) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの2日目に施行される。ブリーダーズカップの創設1年目から存在している7競走のうちの1つで、北米のダート路線における2歳牝馬最強馬決定戦。BCジュヴェナイルと同じく本競走の優勝馬は3歳以降に活躍できない事例が多いが、その程度はBCジュヴェナイルに比べると小さい。1年目・2年目・4年目はマイル戦だったが、それ以外は全て距離8.5ハロンで施行されている。BCディスタフと同じく北米調教馬以外が優勝した事例は無い。
名称:セリマS | 英名:Selima Stakes | ||||
場所:メリーランド州ローレルパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン(→変更多数) | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1926年 | 格付け:L(2000年~)GⅢ(1990~99年)GⅡ(1989年)GⅠ(1973~88年) | 施行時期:11月第1週(→9月第2週) | |||
米国の伝統2歳牝馬限定戦の1つだったが、BCジュヴェナイルフィリーズが創設されると時期が近すぎる本競走はその価値をどんどん下落させ、2000年にはグレード競走でさえもなくなってしまった。それでも廃止はされずに現在も続いている。名称は米国競馬における基礎繁殖牝馬の1頭となったゴドルフィンアラビアン産駒の1745年生まれの牝馬セリマ(名馬ハノーヴァーなどの牝系先祖)に由来する。創設当初はダート8ハロン、1941年にダート8.5ハロンとなり、それが長期間続いたが、1987年に芝8.5ハロン、1989年に再びダート8.5ハロン、1990年に再び芝8.5ハロン、1994年にダート7.5ハロン、1996年にダート9ハロン、2002年にダート8.5ハロン、2005年に芝8.5ハロン、2011年に芝6ハロン、2012年に芝5.5ハロン、2015年にダート5.5ハロンと条件の変更が繰り返されており、はっきり言って迷走している。施行時期は10~11月の時期だったが、2013年からは9月開催となっている。
名称:ガーデニアS(廃止) | 英名:Gardenia Stakes | ||||
場所:ニュージャージー州ガーデンステート競馬場(→メドウランズ競馬場) | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1955年 | 格付け:GⅢ(1981、1990・91年)GⅡ(1982~89年) | 施行時期:11月第3週 | |||
1945年にニュージャージー州ガーデンステート競馬場において創設された2歳馬限定の高額賞金競走ガーデンステートSの牝馬限定版として創設された。ガーデンステートSには及ばないがやはり賞金額は高く、全盛期の1956年における総額13万ドルは牝馬限定戦としては北米のみならず世界最高の金額だった。当然2歳牝馬にとってのシーズン最大目標となり、多くの有力馬が本競走に参戦してきた。しかしガーデンステート競馬場の経営難により1972年を最後にいったん休止。1980年に施行場所を同州のメドウランズ競馬場に移して、引き続き2歳牝馬限定戦として再開した。しかしもはやかつての輝きを取り戻すことは無く、1991年を最後に廃止された。距離は創設から廃止まで一貫して8.5ハロンだったが、1990年の1度だけ芝競走だった。
名称:デモワゼルS | 英名:Demoiselle Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州アケダクト競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1908年 | 格付け:GⅡ(1976~80、1990年~)GⅠ(1981~89年)GⅢ(1973~75年) | 施行時期:11月第4週 | |||
米国の伝統2歳牝馬限定戦の1つで、現在はGⅡ競走だがそれでもBCジュヴェナイルフィリーズの次走としてちょうど良い時期に施行されるためか、一流牝馬の参戦は時々見られる。創設当初は距離5.5ハロンで、1936年に5.75ハロン、1943年に6ハロン、1948年に8.5ハロン、1958年に7ハロン、1963年に8ハロン、1975年に現行の9ハロンとなった。
名称:スターレットS(ハリウッドスターレットS) | 英名:Starlet Stakes(Hollywood Starlet Stakes) | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→ロスアラミトス競馬場) | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:2歳牝馬 | |||
創設:1981年 | 格付け:GⅠ(1983年~) | 施行時期:12月第2週 | |||
歴史は比較的新しいが、施行時期がBCジュヴェナイルフィリーズの次走としてちょうど良い時期にあるためBCジュヴェナイルフィリーズに出走した有力馬が引き続き参戦してきたり、ブリーダーズカップの施行場所が米国西海岸では無い場合に西海岸を本拠地とする牝馬がこちらを2歳戦の最大目標としてきたりして、レベルが高い戦いが展開されることが多い。創設から基本的に距離8.5ハロンで施行されているが、1985~90年の間はマイル戦だった。2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると2014年から同州のロスアラミトス競馬場に移され、名称からも「ハリウッド」の文字が外された。
3歳馬限定ダート競走(牡馬)
名称:ファウンテンオブユースS | 英名:Fountain of Youth Stakes | ||||
場所:フロリダ州ガルフストリームパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1945年 | 格付け:GⅡ(1982~98年、2004年~)GⅠ(1999~2003年)GⅢ(1973~81年) | 施行時期:2月第3週 | |||
GⅠ競走だった時期もあるが、本競走を最大目標とする事例はまず無く、この後のフロリダダービー、そしてケンタッキーダービーに向けた前哨戦としての位置づけである。本競走をステップに米国三冠競走を勝った馬は数多く、その意味ではGⅠ競走ではなくなってもかなり重要な競走である事には間違いない。創設当初は2歳馬限定戦であり、1947年から3歳馬限定戦となった。1952年までは様々な距離を行き来していたが、1953年からかなり長期間に渡って8.5ハロンだった。2005年に9ハロン、2009年に8ハロン、2010年に9ハロンとなり、2012年から8.5ハロンに戻っている。名称はスペインの探検家フアン・ポンセ・デ・レオンが探し求めていた「若返りの泉」の意味で、それが現在のフロリダ州に存在すると言い伝えられていた事に由来する。
名称:サンフェリペS | 英名:San Felipe Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1935年 | 格付け:GⅡ(1973~83年、1989年~)GⅠ(1984~88年) | 施行時期:3月第1週 | |||
GⅠ競走だった時期もあるが、本競走を最大目標とする事例はまず無く、この後のサンタアニタダービー、そしてケンタッキーダービーに向けた前哨戦としての位置づけである。本競走をステップに米国三冠競走を勝った馬も少なくなく、その意味ではGⅠ競走ではなくなってもかなり重要な競走である事には間違いない。1990年まではハンデ戦だったが、1991年から別定重量戦となった。
名称:フロリダダービー | 英名:Florida Derby | ||||
場所:フロリダ州ガルフストリームパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1952年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:3月第4週 | |||
気候が温暖なため有力馬が冬場を過ごすことが多いフロリダ州における3歳最強馬決定戦。これを勝てばフロリダ州最強3歳馬の地位を手にすることが出来るが、現実にはこの後のケンタッキーダービーの前哨戦としての役割のほうが強い。もっとも、本競走自体もかなりの高額賞金競走ではある。ちなみに同名の競走が1926~37年の期間に施行されていたが、こちらは1938年にフラミンゴSと改称されて2001年に廃止されており、本競走とは別競走である。もっとも、このフラミンゴSも本競走やケンタッキーダービーの重要な前哨戦の1つではあった。
名称:ウッドメモリアルS | 英名:Wood Memorial Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州アケダクト競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1925年 | 格付け:GⅠ(1973~94、2002年~)GⅡ(1995~2001年) | 施行時期:4月第1週 | |||
ケンタッキーダービーの最重要前哨戦の1つで、これを叩いて本番を勝った馬は数多い。名称は本競走が創設当初に施行されていたジャマイカ競馬場の創設者メンバーの1人ユージーン・D・ウッド氏に由来する。創設当初は距離8ハロン70ヤードで、1940年に8.5ハロンに、1952年に現行の距離となった。
名称:サンタアニタダービー | 英名:Santa Anita Derby | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1935年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:4月第1週 | |||
米国西海岸における3歳最強馬決定戦。もっとも、この後に控えているケンタッキーダービーの前哨戦としての意味合いが強く、本競走を叩いて米国三冠競走を制した馬は多い。ただし、本競走自体にも数多くの前哨戦があり、本競走自体の価値も高い。創設当初は距離8.5ハロンで、1938年に9ハロンとなると、10ハロンで施行された1947年を除いて一貫してこの距離で施行されている。
名称:ブルーグラスS | 英名:Blue Grass Stakes | ||||
場所:ケンタッキー州キーンランド競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1911年 | 格付け:GⅠ(1973~89、1999年~)GⅡ(1990~98年) | 施行時期:4月第2週 | |||
ケンタッキーダービーの前哨戦として創設された。現在でもケンタッキーダービーの最重要前哨戦の1つで、これを叩いて本番を勝った馬は数多い。名称はケンタッキー州における馬産の中心的地域であるブルーグラス地域に由来する。トヨタ自動車がスポンサーであるために「トヨタブルーグラスS」と表記される事も多い。
名称:アーカンソーダービー | 英名:Arkansas Derby | ||||
場所:アーカンソー州オークローンパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1936年 | 格付け:GⅠ(1981~88、2010年~)GⅡ(1973~80、1989~2009年) | 施行時期:4月第2週 | |||
アーカンソー州のダービーで、アーカンソー州においては最大の競走であり、本競走の施行日の前後の時期はオークローンパーク競馬場の祭典となっている。全米的な視点で見ると、ケンタッキーダービーの前哨戦としての位置づけとなっている。本競走を勝って米国三冠競走の勝ち馬に出世した馬は少なくなく、2015年の米国三冠馬アメリカンファラオもこれを勝ってからケンタッキーダービーに向かっている。本競走単体でもかなりの高額賞金だが、他競走との抱き合わせで超高額のボーナスが設定された事もあり、スマーティジョーンズが当該ボーナスを獲得している。
名称:ケンタッキーダービー | 英名:Kentucky Derby | ||||
場所:ケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場 | 距離等:ダート10ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1875年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:5月第1土曜日 | |||
米国三冠競走の第1戦というだけでなく、米国競馬に携わる者なら誰もが一度は勝ちたいと思い、平素は競馬に興味が無い人からもブリーダーズカップ等を上回る注目を集める米国最大の競走で、「最も素晴らしい2分間(The Greatest Two Minutes Of Sports)」とも言われる。米国ダート路線の有力牡馬はとにかく本競走を最大の目標としており、本競走を基準にそれまでの出走日程を組む事が多い。創設当初は単なるケンタッキー州のダービーという位置づけに過ぎなかったが、1915年に名牝リグレットがニューヨーク州から遠征してきて勝利を収めた事で注目度が高まり、いつの間にかケンタッキー州の枠を飛び越えてアメリカ合衆国におけるダービーとしての地位を確立した。世界各国で施行されている「ダービー」の名が付く競走としては本家の英ダービーと並んで最高の権威を誇る。優勝馬にはバラの首飾りが飾られるのが恒例となっており、本競走への道は通称「Run For The Roses」と評される。創設当初はモデルとなった英ダービーと同じく距離12ハロンで施行されていたが、1896年から現行の距離となった。距離の変更はあっても創設から開催中止は1度も無く、これは米国の競走としてはかなり珍しい事例である(プリークネスSもベルモントSも開催中止時期があった)。
名称:ウィザーズS | 英名:Withers Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州アケダクト競馬場 | 距離等:ダート8ハロン(→ダート8.5ハロン) | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1874年 | 格付け:GⅢ(2000年~)GⅡ(1973~99年) | 施行時期:5月第1週(→2月第1週) | |||
19世紀に創設された米国の伝統競走。創設当時はベルモントSに匹敵する格を有しており、ケンタッキーダービーやプリークネスSより格上の時期もあった。米国三冠競走路線が確立された後も1960年代頃までは米国の重要な3歳馬限定戦としての地位を保っていたが、1973年のグレード制度導入時にはGⅠ競走ではなくGⅡ競走に格付けられた。その後も権威は下がり続け、現在では辛うじてGⅢ競走の地位を保っているに過ぎない。創設からほぼ一貫してマイル戦だったが、2012年からは8.5ハロンになっている。同時に施行時期も以前の4月下旬~5月上旬から1月下旬~2月上旬に変更されている。名称は19世紀米国競馬界の大御所の1人デビッド・ダナム・ウィザーズ氏に由来する。
名称:ピーターパンS | 英名:Peter Pan Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1940年 | 格付け:GⅡ(1983、1987年~)GⅠ(1984~86年)GⅢ(1978~82年) | 施行時期:5月第2週 | |||
GⅠ競走だった期間もあるが、施行時期がケンタッキーダービーの直後で、ベルモントSの前哨戦としてちょうど良いため、ケンタッキーダービーに参戦できなかった有力馬がベルモントSを目標とした場合の叩き台として使われることが多い。創設当初はハンデ戦で、1961~74年の長期中断期間を経て1975年に復活した際に別定重量戦となった。創設からほぼ一貫して9ハロンで施行されているが、1975・76年のみマイル戦だった。名称は20世紀初頭米国の名競走馬にして名種牡馬のピーターパンに由来する。2008年に日本から遠征したカジノドライヴが本競走を勝ち、日本調教馬による北米ダートグレード競走初制覇を挙げたが、本番のベルモントSは挫石のため回避した。
名称:プリークネスS | 英名:Preakness Stakes | ||||
場所:メリーランド州ピムリコ競馬場 | 距離等:ダート9.5ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1873年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:5月第3週 | |||
ケンタッキーダービーに続く米国三冠競走の第2戦。ケンタッキーダービーで負けてしまった有力馬は出てこない事が多いために、出走馬の質と量は多くの場合ケンタッキーダービーより下がるが、それでも米国を代表する大競走である事には変わりが無く、年によってはケンタッキーダービー優勝馬より本競走の優勝馬のほうがその後に活躍する事も少なくない。ケンタッキーダービーから2週間後という過密日程であるが、両競走の距離が近い事も影響しているのか、ケンタッキーダービー馬の勝率は比較的高い。名称はピムリコ競馬場のこけら落とし競走ディナーパーティS(現ディキシーS)の勝ち馬プリークネスに由来する。優勝馬にはメリーランド州の州花であるブラックアイドスーザン(ヒナギクの一種)の花飾りが飾られる。創設当初は距離12ハロンで、1889年に10ハロン、1890年に再び12ハロン、1894年に8.5ハロン、1901年に8ハロン70ヤード、1908年に再び8.5ハロン、1909年に8ハロン、1911年に9ハロンと距離の変遷があり、現行の距離になったのは1925年。なお、1890年の1回だけ古馬も出走可能となっており、この年は5歳馬が勝利している。
名称:ベルモントS | 英名:Belmont Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート12ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1867年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:6月第1週 | |||
ケンタッキーダービー・プリークネスSに続く米国三冠競走の最終戦。プリークネスSで負けてしまった有力馬が出てこない事が多い代わりに、ケンタッキーダービーで負けてしまった有力馬がプリークネスSを回避してここに直行してくる場合も多く、結果として出走馬の質と量は多くの場合プリークネスSと同程度となる。ケンタッキーダービー・プリークネスSより距離が長い事に加えて両競走を連勝してきた疲労が抜け切らない場合が多いのか、両競走を勝った馬がここで負けてしまい米国三冠馬になれない事例が多く、1978年にアファームドが史上11頭目の米国三冠馬になってから2015年にアメリカンファラオが史上12頭目の米国三冠馬になるまでの37年間において、本競走で米国三冠馬の夢を絶たれて観衆が天を仰いだ回数は12回に及ぶ。現在の米国ダート路線では距離12ハロンのGⅠ競走は他に存在しないため、本競走の距離も短縮するべきだと主張する人も少なくないらしい。その“Test of the Champion”と評される長い距離が影響しているのか、直線独走の大差で決着する事例が多いのも特徴の1つ。優勝馬には愛と幸運を意味する白いカーネーションの花飾りが飾られる。名称は米国ジョッキークラブの初代会長オーガスト・ベルモント氏に由来する。創設当初は距離13ハロンで、1874年にいったん12ハロンになるも、1890年に10ハロン、1893年に9ハロン、1895年に10ハロン、1896年に11ハロン、1904年に10ハロン、1906年に11ハロンとかなりの回数の距離の変遷があり、1926年にようやく12ハロンで固定されて現在に至る。
名称:ロスアラミトスダービー(スワップスS) | 英名:Los Alamitos Derby(Swaps Stakes) | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→ロスアラミトス競馬場) | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1964年 | 格付け:GⅡ(1989~98、2002年~)GⅠ(1973~88、1999~2001年) | 施行時期:7月第1週 | |||
現在はGⅡ競走に降格となっているが、西海岸を代表する3歳馬限定戦である。創設当初はカリフォルニア州出身の歴史的名馬スワップスに由来する「スワップスS」という名称だった。2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると2014年からはサンタアニタパーク競馬場に移され、この際に「ロスアラミトスダービー」と改名された。創設当初は距離10ハロンで、現行の距離になったのは1995年。
名称:ドワイヤーS | 英名:Dwyer Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン(→ダート8ハロン) | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1887年 | 格付け:GⅢ(2014年~)GⅡ(1973~82、1989~2013年)GⅠ(1983~88年) | 施行時期:7月第1週 | |||
1960年代までは米国牡馬3歳路線の重要な競走だったが、その後は概ね右肩下がりに価値が下落し、一時的に持ち直してGⅠ競走に格付けられた事もあるが、現在ではGⅢ競走まで転落している。創設当初は「ブルックリンダービー」という名称だったが、良くも悪くも有名な19世紀の有力馬主マイク・ドワイヤー氏とフィル・ドワイヤー氏の兄弟を記念して1918年に改名された。創設当初は距離10ハロンで、その後の幾度かの距離の変遷を経て、1994年から8.5ハロン、2015年から8ハロンとなった。1957~78年まではハンデ戦だった。
名称:アーリントンクラシックS | 英名:Arlington Classic Stakes | ||||
場所:イリノイ州アーリントンパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン(→芝8.5ハロン) | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1929年 | 格付け:GⅢ(2005~07、2013年~)L(2008~12年)GⅡ(1973~80、1990~2004年)GⅠ(1981~89年) | 施行時期:7月第1週(→5月第3週) | |||
創設当初は全米有数の高額賞金競走であり、間違いなく米国屈指の大競走だった。創設当初はダート10ハロン戦、1945年からはダート8ハロン戦であり、いずれの時期にも3歳の有力牡馬と牝馬が集結してレベルが高い戦いが展開されており、この頃の優勝馬には綺羅星のごとく名馬の名前が並んでいる。しかし1970年代に入ると、1974~76年は開催休止になるなど権威が下がってきた。距離は1972年までの8ハロンから、1973年は8.5ハロン、3年間の休止後の1977年に10ハロン、1980年に9ハロンとなった。翌1981年にGⅠ競走に格付けられ、いったんはかつての権威をある程度取り戻したが、その後は再び格が右肩下がりとなった。1994年にはそれまでのダート戦から芝競走に転換して、さらに2002年には距離を9ハロンから8.5ハロンに変更したが、アーリントンパーク競馬場が経営難のため1998・99年に閉鎖されていた時期は開催休止になるなどの悪条件もあって権威の低下に歯止めはかからず、一時的にグレード競走ではなくなるなど、かつての全米有数の大競走としての面影はどこにもなくなっている。格が高かった時代は概ね6月~7月開催だったが、2008年からは5月開催となっている。1971~73年の3年間のみ「グランプリS」の名称で施行されている。
名称:アメリカンダービー | 英名:American Derby | ||||
場所:イリノイ州アーリントンパーク競馬場 | 距離等:ダート10ハロン(→芝9ハロン) | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1884年 | 格付け:GⅢ(2012年~)GⅡ(1975~80、1990~2011年)GⅠ(1973・74、1981~89年) | 施行時期:7月第4週 | |||
19世紀に創設された、現存する中ではイリノイ州最古のステークス競走。19世紀には全米中でも五指に入る高額賞金競走であり、間違いなく全米有数の大競走だった。しかし開催休止がかなり頻繁に発生していた事もあり、1929年にアーリントンクラシックSが創設されるとその座を取って代わられた。それでもイリノイ州屈指の大競走である事には変わりが無く、アーリントンクラシックSを目指してイリノイ州に来た有力馬がついでに出走していく事例が多かった事もあり出走馬のレベルは相変わらず高かった。しかしアーリントンクラシックSとほぼ同様の経緯を辿って1990年代以降は地位が右肩下がりとなっている。創設当初はダート12ハロンで、1911年にダート10ハロン、1952年にダート9ハロン、1955年に芝9.5ハロン、1958年にダート9ハロン、1962年にダート10ハロン、1966年にダート9ハロン、1977年にダート10ハロン、1992年に芝9.5ハロン、2015年に芝9ハロンとなっている。アーリントンクラシックSと異なり現在でも7月開催となっている。
名称:ハスケル招待S | 英名:Haskell Invitational Stakes | ||||
場所:ニュージャージー州モンマスパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1968年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:8月第1週 | |||
歴史が比較的新しい米国3歳ダート路線の大競走。創設からしばらくは米国三冠競走で活躍した有力馬が参戦してくる事例は少なかったが、1970年代後半からそういった事例が増加傾向となり、現在ではトラヴァーズSと並んで米国三冠競走の優勝馬の次の目標として設定されることが最も多い競走となっている。特に今世紀に入ってからはその傾向が顕著となっている。もっとも、時期的にトラヴァーズSの前哨戦としてちょうど良いため、本競走はあくまで叩き台で本命はトラヴァーズSという事例も多い。創設当初は「モンマス招待H」という名称で、1981年に「ハスケル招待H」と改名され、ハンデ戦から別定重量戦となった2008年から現行の名称となった。創設から一貫してダート9ハロンで施行されている。
名称:ジムダンディS | 英名:Jim Dandy Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1964年 | 格付け:GⅡ(1983~2000年、2002年~)GⅠ(2001年)GⅢ(1973~82年) | 施行時期:8月第1週 | |||
一瞬だけGⅠ競走だった時期もあるが、基本的には米国三冠競走に出走した馬が次の目標をトラヴァーズSに設定した場合の前哨戦としての役割を果たしている。名称は1930年のトラヴァーズSで米国三冠馬ギャラントフォックスとその好敵手ウィッチワンをまとめて破った単勝オッズ101倍の大穴馬ジムダンディに由来する。創設当初は距離8ハロンで、1971年に7ハロン、1972年に現行の9ハロンとなった。
名称:トラヴァーズS | 英名:Travers Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート10ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1864年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:8月第4週 | |||
現在も続いている米国のステークス競走としては最も古い歴史を誇る米国の伝統競走で、1927~32年までの期間は「トラヴァーズミッドサマーダービー」という名称で施行された事もあり、「真夏のダービー(Midsummer Derby)」の異名で知られる。米国三冠競走には含まれないが、米国の3歳馬限定ダート競走としては現在でも米国三冠競走に次ぐ地位を誇り、米国三冠競走に出走した有力馬が次の目標として設定する事が多い。1920年の本競走をマンノウォーが優勝した際にマンノウォーの所有者サミュエル・リドル氏の妻がトロフィーを贈呈したため、それ以降に本競走の優勝馬には「マンノウォーカップ」というティファニー製の黄金トロフィーが贈呈される事が恒例となっている。名称はサラトガ競馬場の初代代表者ウィリアム・トラヴァーズ氏に由来する。創設当初は距離14ハロンで、1890年に12ハロンとなって以降に幾度かの変遷を経て、1904年から現行の距離で固定された。
名称:キングズビショップS | 英名:King's Bishop Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1984年 | 格付け:GⅠ(1999年~)GⅡ(1992~98年)GⅢ(1988~91年) | 施行時期:8月第4週 | |||
米国東海岸における3歳馬限定のダート短距離路線の大競走で、BCスプリントを最大目標とする馬が主に出走してくる。トラヴァーズSと同日に施行される。名称は1970年代前半の短距離路線で活躍した名馬キングズビショップに由来する。
名称:スーパーダービー | 英名:Super Derby | ||||
場所:ルイジアナ州ルイジアナダウンズ競馬場 | 距離等:ダート10ハロン(→ダート9ハロン) | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1980年 | 格付け:GⅡ(1982、2002年~)GⅠ(1983~2001年) | 施行時期:9月第2週 | |||
ルイジアナダウンズ競馬場の目玉競走として創設され、20世紀中は米国三冠競走で活躍した有力馬の参戦が珍しくなかった。現在ではGⅡ競走に降格となっているが、それでもルイジアナダウンズ競馬場においては最大の競走となっている。創設当初は距離10ハロンで、2002年にいったん9ハロンとなるも、2005年に10ハロンに戻った。しかし翌2006年から再び9ハロンとなり現在に至っている。
名称:ジェロームH | 英名:Jerome Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場(→アケダクト競馬場) | 距離等:ダート8ハロン(→ダート8ハロン70ヤード) | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1866年 | 格付け:GⅢ(2015年~)GⅡ(1973~83、1995~2014年)GⅠ(1984~94年) | 施行時期:9月第3週(→1月第1週) | |||
現在も続いている米国のステークス競走としてはトラヴァーズSに次いで2番目に古い歴史を誇る米国の伝統競走。創設当初はトラヴァーズSと同じく現在の米国三冠競走3戦に匹敵するほどの格を有していたが、現在でも高い格を有しているトラヴァーズSと異なり、本競走の価値はかなり低下している。2009年までは9月~10月開催だったが、2010年の休止を経て2011年からは4月開催となった。そして2013年に施行場所がそれまでのベルモントパーク競馬場からアケダクト競馬場に移され、1月第1週開催となった。名称は本競走創設時に施行されていたジェロームパーク競馬場の初代代表者レナード・ジェローム氏(ウィンストン・チャーチル英国首相の母方の祖父)に由来する。距離の変遷はかなり激しく、創設当初は現在と同じマイル戦だったが、1871年にいきなり2倍の16ハロンになると、様々な距離を経て、1914年に再びマイル戦に戻った。2013年にアケダクト競馬場に施行場所が移されてからはダート8ハロン70ヤードとなっている。距離の変遷はあっても創設以来一貫してハンデ戦だったが、2011年から別定重量戦となったため、現在の正式名称は「ジェロームS」である。
名称:ローレンスリアライゼーションS(廃止) | 英名:Lawrence Realization Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート13ハロン(→芝12ハロン) | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1889年 | 格付け:L(2005年)GⅢ(1989~2004年)GⅡ(1973~88年) | 施行時期:10月第2週 | |||
19世紀に創設された米国の伝統競走で、英セントレジャーがモデルとなっている。創設当時は米国有数の高額賞金競走で、ベルモントSに匹敵する格を有しており、ケンタッキーダービーやプリークネスSより格上の時期もあった。しかし長距離戦の権威が下がるにつれて本競走の価値はどんどん低下した。創設から1969年までは基本的にダート13ハロンで施行され、たまにダート12ハロンになる程度だった。しかし1970年に芝競走に変更され、以降は概ね芝12ハロンで施行された(この後もダートで施行された年が何度かある)。芝競走に変更した事で一時的に格がある程度回復したが、瞬く間に再び格が下がり、グレード競走の座を失った2005年を最後に、ニューヨーク競馬協会のコスト削減を理由に遂に廃止された。基本的に定量戦だったが、1994~2003年の期間はハンデ戦だった。名称は本競走が当初施行されていたシープスヘッドベイ競馬場を所有していたコニーアイランドジョッキークラブの会長で本競走の発案者でもあるジェームズ・G・K・ローレンス氏に由来する。
名称:ペガサスH | 英名:Pegasus Handicap | ||||
場所:ニュージャージー州メドウランズ競馬場(→モンマスパーク競馬場) | 距離等:ダート9ハロン(→ダート8.5ハロン) | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1980年 | 格付け:GⅢ(2004年~)GⅡ(1984~86、1994~2002年)GⅠ(1987~1993年) | 施行時期:10月第3週(→6月第3週) | |||
本邦輸入種牡馬であるブライアンズタイムやスキャンが勝利したGⅠ競走の1つだが、GⅠ競走だった期間は短く、現在はGⅢ競走になっている。現在はモンマスパーク競馬場で施行されているが、2009年までは基本的にメドウランズ競馬場で施行されていた。2007年までハンデ戦だったが、現在は別定重量戦となっている。2009年までは10~11月開催だったが、現在は6月開催となっている。基本的にダート戦だが、1996年のみ芝で施行されている。距離は創設1年目が6ハロン、2年目の1981年から9ハロン、1995年に8.5ハロン、1997年に9ハロン、2010年に8.5ハロンとなっている。
名称:マリブS | 英名:Malibu Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1952年 | 格付け:GⅠ(1995年~)GⅡ(1973~94年) | 施行時期:12月26日 | |||
サンフェルナンドBCS・ストラブSと共にストラブシリーズを形成する3競走の1つだったが、2013年限りでサンフェルナンドBCSが廃止されたためにストラブシリーズという路線は消滅し、ストラブSもGⅡ競走に降格となっている中で、本競走のみはダート短距離路線を進んできた3歳馬のシーズン最後の大一番としてGⅠ競走の地位を保っている。サンタアニタパーク競馬場は年末から翌年の春にかけてが主要開催時期の1つとなっているが、本競走はその冬春開催における初日の主要競走としての位置付けであり、1984年以降は施行日が12月26日と固定されている。1月から12月を1つのシーズンとして見ると、同時期に施行されるラブレアSと共に米国競馬におけるシーズン最後のGⅠ競走でもある。歴史的に見ると年末開催と年初開催の間で施行時期が行き来しており、入れ代わりのタイミングにおいては施行されない年があったり1年に2回施行された年があったりする。距離は創設から一貫して7ハロンとなっている。
3歳馬限定ダート競走(牝馬)
名称:ラスヴァージネスS | 英名:Las Virgenes Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート8ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1983年 | 格付け:GⅡ(1987、2016年~)GⅠ(1988~2015年)GⅢ(1985・86年) | 施行時期:2月第1週 | |||
米国西海岸における3歳牝馬限定戦の大競走。もっとも本競走を最大目標とする事例はまず無く、この後のサンタアニタオークスの前哨戦として出走してくる馬が多い。
名称:サンタアニタオークス | 英名:Santa Anita Oaks | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1935年 | 格付け:GⅠ(1979年~)GⅡ(1973~78年) | 施行時期:4月第1週 | |||
米国西海岸における3歳牝馬最強馬決定戦。もっとも、この後に控えているケンタッキーオークスやニューヨーク牝馬三冠競走の前哨戦としての意味合いも強い。創設当初はサンタスサナSという名称で、1986年に現行の名称となった。創設年のみ2歳牝馬限定戦で、距離も5ハロンだった。その後は幾度もの距離の変遷を経て、1958年から現行の8.5ハロンで固定された。
名称:アッシュランドS | 英名:Ashland Stakes | ||||
場所:ケンタッキー州キーンランド競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1936年 | 格付け:GⅠ(1986年~)GⅡ(1981~85年)GⅢ(1973~80年) | 施行時期:4月第1週 | |||
GⅠ競走ではあるが、どちらかと言えばケンタッキーオークスの前哨戦としての意味合いが強い。創設当初は現行と同じ距離8.5ハロンだったが、開催時期は春ではなく秋で、しかも古馬混合戦だった。1940年に施行時期を春に移して3歳牝馬限定戦となり、同時に距離は6ハロンに短縮された。その後1974年に7ハロン、1981年に現行の8.5ハロンになった。名称は19世紀ケンタッキー州の政治家兼馬産家ヘンリー・クレイ氏の馬産牧場アッシュランドスタッドに由来する。
名称:ファンタジーS | 英名:Fantasy Stakes | ||||
場所:アーカンソー州オークローンパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1973年 | 格付け:GⅢ(2013年~)GⅡ(1975~77、1990~2012年)GⅠ(1978~89年) | 施行時期:4月第1週 | |||
GⅠ競走だった時期もあるが、基本的にはこの後に控えているケンタッキーオークスやニューヨーク牝馬三冠競走の前哨戦である。創設から一貫して距離8.5ハロンで施行されている。
名称:ケンタッキーオークス | 英名:Kentucky Oaks | ||||
場所:ケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1875年 | 格付け:GⅠ(1978年~)GⅡ(1973~77年) | 施行時期:5月第1金曜日 | |||
ケンタッキーダービーと同年に創設され、ケンタッキーダービーの前日に施行されるケンタッキー州のオークス。現在では全米中から有力馬が集う3歳牝馬最強馬決定戦としての地位を有しており、事実上は「アメリカ合衆国におけるオークス」と言えるが、1973年のグレード制度導入時にGⅠ競走には格付けられなかったところを見ると、1973年から一貫してGⅠ競走だったCCAオークスより長期間に渡って格下とみなされていたようである。ケンタッキーダービーの優勝馬にはバラの首飾りが飾られるが、本競走の優勝馬にはユリの首飾りが飾られるため、本競走への道は通称「Lillies for the Fillies」と評される。創設当初は距離12ハロンで、1891年に10ハロン、1896年に9ハロン、1943年に8.5ハロンとなり、1982年に再び9ハロンとなって現在に至る。
名称:ブラックアイドスーザンS | 英名:Black-Eyed Susan Stakes | ||||
場所:メリーランド州ピムリコ競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1919年 | 格付け:GⅡ(1976年~)GⅢ(1973~75年) | 施行時期:5月第3週 | |||
プリークネスSの前日に施行される3歳牝馬限定競走。創設当初は「ピムリコオークス」という名称で、1952年にメリーランド州の州花であるブラックアイドスーザン(ヒナギクの一種)にちなんで改名された。そのためにプリークネスSと同様に優勝馬にはブラックアイドスーザンの花飾りが飾られる。1973年のグレード制度導入からGⅠ競走に位置付けられた期間は無いが、それ以前はGⅠ競走級の格を有しており、ケンタッキーオークス・ニューヨーク牝馬三冠競走のうちのどれか1つと合わせて「米国牝馬三冠路線」を形成していた。創設から概ね距離8.5ハロンで施行されていたが、1989年に現行の9ハロンに変更された。
名称:シリーンS | 英名:Selene Stakes | ||||
場所:加国・ウッドバイン競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1954年 | 格付け:GⅢ(2005年~)GⅠ(1999~2004年) | 施行時期:5月第3週 | |||
加国のダート路線における3歳牝馬最強馬決定戦。加国産馬限定戦ではないため、米国産馬の参戦もしばしば見られる。1999年にリステッド競走からいきなりGⅠ競走に格上げとなったが、2005年に今度はいきなりGⅢ競走に格下げとなっている。創設当初は距離7ハロンで、1976年から現行の8.5ハロンとなった。
名称:エイコーンS | 英名:Acorn Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート8ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1931年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:6月第1週 | |||
ニューヨーク牝馬三冠競走の第1戦。英1000ギニーに倣って創設された競走であり、アメリカ合衆国版の1000ギニーであると言える。それ故か創設以来一貫してマイル戦となっている。2003年にアラバマSがニューヨーク牝馬三冠競走に加わると本競走はニューヨーク牝馬三冠競走からいったん外されたが、2007年に復帰している。
名称:サマータイムオークス(ハリウッドオークス) | 英名:Summertime Oaks(Hollywood Oaks) | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→サンタアニタパーク競馬場) | 距離等:ダート9ハロン(→ダート8.5ハロン) | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1946年 | 格付け:GⅡ(1973~78、1997年~)GⅠ(1979~96年) | 施行時期:6月第3週 | |||
米国西海岸の重要な3歳牝馬限定戦だが、GⅡ競走に降格となってから既に久しい。創設当初は距離8ハロンで、その後に幾度かの距離の変遷を経て、1954年から長らく距離9ハロンで施行されたが、2002年から現行の8.5ハロンとなった。創設当初の名称は「ハリウッドオークス」で、2002年に「ハリウッドBCオークス」となり、2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると2014年からはサンタアニタパーク競馬場に移されて名称も「サマータイムオークス」に変更された。
名称:マザーグースS | 英名:Mother Goose Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン(→ダート8.5ハロン) | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1957年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:6月第4週 | |||
以前はエイコーンS・CCAオークスと共にニューヨーク牝馬三冠競走を形成しており、その第2戦に位置付けられていた。他2競走より創設が遅く、本競走の創設まではニューヨーク牝馬三冠競走なる路線は存在しなかった。2003年にニューヨーク牝馬三冠競走からエイコーンSが外れてアラバマSが加わると、本競走がニューヨーク牝馬三冠競走の第1戦となった。2007年にアラバマSが外れてエイコーンSが復帰すると再び第2戦となったが、2010年にアラバマSが再びニューヨーク牝馬三冠競走に加わると今度は本競走が外されてしまい、現在ではニューヨーク牝馬三冠競走には含まれていない。それでもGⅠ競走の地位は維持しているが、近年の出走馬のレベルを見るといつGⅡ競走に格下げになってもおかしくない。名称は1920年代半ばの米国の名牝マザーグースに由来する。創設から長らく距離9ハロンで施行されてきたが、2010年に8.5ハロンとなった。
名称:プライオレスS | 英名:Prioress Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場(→サラトガ競馬場) | 距離等:ダート6ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1948年 | 格付け:GⅡ(1988~2000、2014年~)GⅠ(2001~13年)GⅢ(1973・74、1985~87年) | 施行時期:7月第1週(→9月第1週) | |||
米国伝統の3歳牝馬限定ダート短距離競走。距離は創設から全く変更されていないが、格付け、施行場所、施行時期はかなり変遷している。施行場所については、創設当初は今は亡きジャマイカ競馬場で、1960年からはアケダクト競馬場で、1987年からはベルモントパーク競馬場で、2012年からはサラトガ競馬場で施行されている。施行時期については、創設当初は4月に施行されていたが、1987年から6月末~7月初めに、2014年から8月末~9月初めの時期に移された。名称はシザレウィッチHやグレートヨークシャーHに勝利して米国産馬として史上初めて英国の競走の勝ち馬となった1853年生まれの牝馬プライオレスに由来する。
名称:デラウェアオークス | 英名:Delaware Oaks | ||||
場所:デラウェア州デラウェアパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン(→ダート8.5ハロン) | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1938年 | 格付け:GⅢ(1999~2003、2006、2015年~)GⅡ(1981・82、2004・05、2007~14年)GⅠ(1973~80年) | 施行時期:7月第2週 | |||
デラウェア州のオークス。創設から長年に渡り3歳牝馬にとっての大競走としての地位を保っていたが、1983~95年の長期休止期間を経て1996年に復活した後はかなり地位が下落していた。それでも一流牝馬の参戦は時々見受けられる。創設から長らくダート9ハロン戦だったが、1996年の復活時のみ芝8ハロンで、翌97年からはダート8.5ハロン戦となっている。
名称:コーチングクラブアメリカンオークス(CCAオークス) | 英名:Coaching Club American Oaks | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場(→サラトガ競馬場) | 距離等:ダート10ハロン(→ダート9ハロン) | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1917年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:7月第4週 | |||
ニューヨーク牝馬三冠競走の第2戦(以前は最終戦)。米国競馬界の大御所だったオーガスト・ベルモント・ジュニア氏の提唱により英オークスに倣って創設された競走であり、アメリカ合衆国版のオークスと言える。1973年にグレード制度が導入された際にケンタッキーオークスはGⅡ競走に格付けられたが、本競走は最初からGⅠ競走であり、米国における3歳牝馬限定戦としては間違いなく単独最高の地位を有していた。現在は他に匹敵する格の競走が複数存在するが、それでも米国の3歳牝馬最強馬決定戦としての地位は保っており、現にニューヨーク牝馬三冠競走の他2競走には変遷があるが本競走が外れたことは無い。改修中の代替開催を除けば創設以来ずっとベルモントパーク競馬場で施行されていたが、2010年にアラバマSが再びニューヨーク牝馬三冠競走に入れられた際に本競走もサラトガ競馬場に移された。英オークスが由来ではあるが、創設当初の距離は9ハロンで、1918年に10ハロン、1919年に11ハロン、1942年に12ハロン、1944年に再び11ハロン、1959年に10ハロン、1971年に12ハロン、1990年に10ハロン、1998年に12ハロン、2004年に10ハロンと、2010年に9ハロンと、距離の変遷はかなり激しい。創設から1927年まではハンデ競走だった。競走名に入っている「コーチングクラブ」とは、米国に存在した乗馬クラブの名称であるらしい。
名称:テストS | 英名:Test Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1922年 | 格付け:GⅠ(1988年~)GⅡ(1973・74、1979~87年)GⅢ(1975~78年) | 施行時期:8月第1週 | |||
米国における3歳牝馬限定の短距離戦としては最も権威があり、これを勝てば3歳牝馬の最強短距離馬としての地位を手にすることが出来る。もっとも、創設当初は距離10ハロンで、現行の距離となったのは1926年。
名称:アラバマS | 英名:Alabama Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート10ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1872年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:8月第3週 | |||
ニューヨーク牝馬三冠競走の最終戦。創設自体は他のニューヨーク牝馬三冠競走のどれよりも古く、米国の牝馬限定競走としては1868年創設のレディーズH、1871年創設のモンマスオークスに次いで3番目に古い歴史を誇る。現在ではGⅢ競走に転落したりグレード競走ですらもなくなっている他2競走と異なり、1973年のグレード制度導入時から一貫してGⅠ競走であり、米国3歳牝馬限定戦の大競走の1つとしての地位は今も昔も不変である。しかしニューヨーク牝馬三冠競走に位置付けられたのは今世紀に入ってからの話。2003年にエイコーンSの代わりにニューヨーク牝馬三冠競走に入れられたが、2007年にエイコーンSが復帰していったんは外された。そして2010年にマザーグースSの代わりに再び入れられたという経緯がある。20世紀初頭までは施行条件の変遷が激しく、創設当初のダート9ハロンを皮切りに、1903年には芝8.5ハロンで施行されたりもした。現行の距離で固定されたのは1917年。
名称:モンマスオークス | 英名:Monmouth Oaks | ||||
場所:ニュージャージー州モンマスパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン(→ダート8.5ハロン) | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1871年 | 格付け:GⅢ(2005年~)GⅡ(1980~84、1990~2004年)GⅠ(1973~79、1985~89年) | 施行時期:8月第3週 | |||
ニュージャージー州のオークス。米国の牝馬限定競走としては1868年創設のレディーズHに次いで2番目に古い歴史を誇り、米国で一番最初に施行された「オークス」と名が付くレースでもある。もっとも、ニュージャージー州の法令でパリミューチュエル方式が義務付けられるとそれに反発したモンマスパーク競馬場(当時はロングブランチ競馬場という名称)が1894年にいったん閉鎖されたために本競走も1893年限りでいったん廃止され、同競馬場が1946年に再開したのと同時に復活した経緯があるため、施行回数はその歴史の長さほど多くは無い。20世紀末まではGⅡ競走の時期であってもかなりの有力牝馬が参戦してくる事が多かったが、現在はそれほどでもなくGⅢ競走に転落したままである。もっとも、グレード競走ですらもなくなってしまったレディーズHよりはまだましかもしれない。創設当初は距離12ハロンで、1879年に10ハロン、1946年に8.5ハロン、1953年に9ハロン、1996年に8.5ハロン、2001年に9ハロン、2004年に8.5ハロンとなって現在に至る。
名称:ガゼルS | 英名:Gazelle Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場(→アケダクト競馬場) | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1887年 | 格付け:GⅡ(1973~83、2013年~)GⅠ(1984~2012年) | 施行時期:9月第1週(→4月第1週) | |||
米国の伝統的な3歳牝馬限定戦。以前は9月に施行されていたが、2009年に開催場所がベルモントパーク競馬場からアケダクト競馬場に移されると11月開催となり、2013年からは4月開催となってケンタッキーオークスやニューヨーク牝馬三冠競走の前哨戦となっている。創設当初と現在は別定重量戦だが、1911~2004年まではハンデ戦であり、ハンデ戦だった時期のほうが長い。創設当初は距離9ハロンで、1900年に8.5ハロン、1959年に8ハロン、1961年に再び9ハロンとなった後は距離の変遷は無い。あと、1917~20年の時期のみ古馬混合戦だった。
名称:コティリオンS | 英名:Cotillion Stakes | ||||
場所:ペンシルヴァニア州パークスレーシング競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1969年 | 格付け:GⅠ(1973・74、2012年~)GⅡ(1975~80、1989~2011年)GⅢ(1981~88年) | 施行時期:9月第3週 | |||
ペンシルヴァニア州フィラデルフィアにおける最大の競走。創設から一貫してダート8.5ハロンで施行されているが、格付けや施行場所の変遷はかなり激しい。創設当初はリバティーベルパーク競馬場で、1976年からキーストーン競馬場で、1985年からフィラデルフィアパーク競馬場で、2011年からパークスレーシング競馬場で施行されるようになった(いずれもフィラデルフィアにある競馬場)。創設当初はシュヴィーやスーザンズガールといった歴史的名牝が勝利を収めている高レベルな競走だったが、その後はどんどん格が下がっていった。しかし2004年にアシャドが、2010年にハヴァードグレイスが勝つなど近年は出走馬のレベルが上がり、2012年に38年ぶりにGⅠ競走の地位を取り戻した。
名称:ラブレアS | 英名:La Brea Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1974年 | 格付け:GⅠ(1997年~)GⅡ(1994~96年)GⅢ(1983~93年) | 施行時期:12月第4週 | |||
ダート短距離路線を進んできた3歳牝馬にとって年末最後の大舞台となる事も多い西海岸の大競走。現在は3歳牝馬限定戦だが、それに至るまでの経緯は複雑怪奇。創設1年目は古馬限定戦で、しかも牡馬出走可能だった。創設2年目は3歳馬限定戦と古馬限定戦の2本立てで、3年目の1976年は3歳馬限定戦となった。そして1977年は施行されず、1978年から古馬牝馬限定戦となった。しかしその後は施行時期が年初と年末の間を行き来したために、古馬牝馬限定戦と3歳牝馬限定戦の間を行き来し、2本立てで行われた年も3回あった。完全に3歳牝馬限定戦として固定されたのは1991年。創設当初は距離8.5ハロンで、1978年以降は一貫して7ハロンと、距離の変遷のほうが余程単純である。現在は12月最終週開催で、施行日が12月26日と固定されているマリブSと同日に行われる事が多いが、12月31日とかに施行された年もあり、マリブSと違って完全固定はされていないようである。
3歳馬限定芝競走(牡馬)
名称:ベルモントダービー(ジャマイカH) | 英名:Belmont Derby Invitational Stakes(Jamaica Handicap) | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:芝9ハロン(→芝10ハロン) | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1929年 | 格付け:GⅠ(2009年~)GⅡ(1976、1988~2004、2006~08年)GⅢ(1978~87、2005年) | 施行時期:7月第1週 | |||
当時ニューヨーク州にあったジャマイカ競馬場の名を冠した「ジャマイカH」として創設された。長年に渡りダート競走で、1973年のグレード制施行以降も長らくGⅡ競走とGⅢ競走を行き来する中堅競走だった。しかし2004年に芝競走となると急激に出走馬のレベルが上がり、2009年には遂にGⅠ競走に格付けられた。その後の2014年に、ジャマイカ競馬場が1959年に閉鎖された後もずっと続いていた「ジャマイカH」から現行名「ベルモントダービー」に変更され、同時に賞金額も大幅に増やされた。この名馬列伝集では「ベルモントダービー」と表記しているが、正式名称は「ベルモントダービー招待S」。創設当初は3歳馬と古馬の混合戦で、その後は3歳馬限定戦と古馬混合戦を行き来していたが、1961~76年の長期休止期間を経て復活した後は3歳馬限定戦として固定された。創設当初は距離6ハロンで、一部の例外を除いてその期間が続いたが、1997年に9ハロン、2014年に10ハロンとなった。
名称:セクレタリアトS | 英名:Secretariat Stakes | ||||
場所:イリノイ州アーリントンパーク競馬場 | 距離等:芝10ハロン | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1973年 | 格付け:GⅠ(1984年~)GⅡ(1974~83年) | 施行時期:8月第3週 | |||
1973年に同年の米国三冠馬セクレタリアトを招待するために「アーリントン招待S」として創設され、翌年からセクレタリアトの名を冠した競走名となった。セクレタリアトが出走したときはダート9ハロン戦だったが、改名後は一貫して芝で施行されている。距離は1974年が8.5ハロン、1975年から9ハロン、1977年が8.5ハロン、1978年から12ハロン、1983年が10ハロン、1984年が12ハロンと非常に変遷が激しかったが、1985年からは10ハロンで固定された。アーリントンパーク競馬場が改修中だった1988年と、同競馬場が経営難のため閉鎖されていた1998・99年は施行されなかった。
名称:ハリウッドダービー | 英名:Hollywood Derby | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→デルマー競馬場) | 距離等:芝10ハロン(→芝9ハロン) | 出走馬:3歳馬 | |||
創設:1938年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:11月第4週 | |||
米国3歳馬限定芝競走の締めくくりで、施行時期がBCターフの後であるため、BCターフから臨戦してくる馬が米国のみならず欧州からも多く見られる。BCターフ創設前の時期においても芝路線を進んできた3歳馬の最終目標であり、出走登録馬が多すぎて1981年から1987年まで7年連続で分割競走になったほどだった。もっとも創設当初はダート戦だった。長らくダート10ハロン(たまに9ハロン)で施行され、1973年に芝12ハロンに変更。しかし1976年にダート9ハロンに戻り、1981年から芝9ハロン、2003年から芝10ハロンとなっている。2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると、翌年からデルマー競馬場に移され、距離も9ハロンとなったが、名称は変更されなかった。創設当初は「ウェスターナーS」という名称で、現行の名称になったのは1959年。
3歳馬限定芝競走(牝馬)
名称:アメリカンオークス | 英名:American Oaks | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→サンタアニタパーク競馬場) | 距離等:芝10ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:2002年 | 格付け:GⅠ(2004年~) | 施行時期:7月第1週(→5月第4週) | |||
米国3歳牝馬の芝路線整備のために2002年に創設された歴史が新しい競走で、創設当時は国際招待競走だった。2005年に日本から遠征したシーザリオが圧勝し、この件がNHKの夜7時のトップニュースで報じられた事で日本における本競走の知名度は飛躍的に上昇した。シーザリオが優駿牝馬(オークス)の優勝馬でもあった事から、当時から「日米オークス制覇」として喧伝された。フジテレビがエピファネイアを「母は日米オークス馬シーザリオです」として紹介していたところを見ると現在でもその方針は変わっていないようだが、米国におけるオークスに相当する競走は歴史的に見てCCAオークス(現在ならケンタッキーオークスかも)であり決して本競走ではないから、海外競馬に詳しい人間から見ると非常に違和感を感じる紹介のされ方であり、それを指摘できる有識者がフジテレビの関係者に居ないという嘆かわしい実情を証明している。それはともかく、国際招待競走ではなくなった現在も芝路線を進む3歳牝馬にとっての重要競走としての地位を保っているが、2013年にハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると2014年からはサンタアニタパーク競馬場に移され、施行時期もそれまでの7月上旬から5月下旬~6月上旬に変更された。
名称:デルマーオークス | 英名:Del Mar Oaks | ||||
場所:カリフォルニア州デルマー競馬場 | 距離等:芝9ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1957年 | 格付け:GⅠ(1994年~)GⅡ(1978~87、1992・93年)GⅢ(1973~77、1988~91年) | 施行時期:8月第3週 | |||
米国西海岸における芝路線の3歳最強牝馬決定戦。創設当初はダートのマイル戦で、1965年から芝9ハロン戦となった。格付けの変遷はかなり激しいが、1994年から20年以上GⅠ競走の地位を保っている。
名称:ベルモントオークス(ガーデンシティBCS) | 英名:Belmont Oaks Invitational Stakes(Garden City Breeders' Cup Stakes) | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:芝9ハロン(→芝10ハロン) | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1979年 | 格付け:GⅠ(1999年~)GⅡ(1987~98年)GⅢ(1985・86年) | 施行時期:9月第2週(→7月第1週) | |||
米国東海岸における芝路線の3歳最強牝馬決定戦。創設当初は「レアパフュームS」という名称で、1998年にニューヨーク市の地名を冠した「ガーデンシティBCS」に改名され、2014年に賞金が大幅に増額されると同時に名称も「ベルモントオークス招待S」に変更され、開催時期も以前の9~10月から7月に変更された。同年には同じく3歳牝馬限定の芝のGⅠ競走アメリカンオークスが7月開催から5~6月開催に変更されたため、時期変更後も1頭の馬が両競走に出走する事は十分可能となっている。基本的に別定重量戦だが、1996~2004年の期間はハンデ戦だった。創設から距離8.5ハロンと8ハロンの間を頻繁に行き来していたが、1997年に9ハロン戦としていったん固定された。2014年からは10ハロン戦になっている。
名称:クイーンエリザベスⅡ世CCS | 英名:Queen Elizabeth II Challenge Cup Stakes | ||||
場所:ケンタッキー州キーンランド競馬場 | 距離等:芝9ハロン | 出走馬:3歳牝馬 | |||
創設:1984年 | 格付け:GⅠ(1991年~)GⅡ(1988~90年)GⅢ(1986・87年) | 施行時期:10月第2週 | |||
1984年に英国エリザベスⅡ世女王陛下のケンタッキー州訪問とトロフィーの寄付を記念して創設された。創設1年目のみダート戦で、2年目以降は一貫して芝競走となっている。創設から1989年までは距離8.5ハロンで、1990年に9ハロンとなった。ブリーダーズカップの前哨戦としてちょうど良い時期に施行されるが、本競走を叩いてブリーダーズカップに向かう馬は少なく、BCマイルやBCフィリー&メアターフに出走予定が無い3歳牝馬にとっての目標競走としての位置づけである。
古馬出走可能ダート競走(短距離~マイル路線・牡馬)
名称:サンカルロスH | 英名:San Carlos Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1935年 | 格付け:GⅡ(1973~2000年、2004年~)GⅠ(2001~03年) | 施行時期:3月第1週 | |||
米国西海岸の重要な古馬限定ダート短距離競走。創設当初は距離8.5ハロンで、1940年に現行の距離になった。
名称:カーターH | 英名:Carter Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州アケダクト競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1895年 | 格付け:GⅠ(1988年~)GⅡ(1973~87年) | 施行時期:4月第1週 | |||
19世紀創設の米国の伝統競走で、現在は米国ダート短距離路線における最重要競走の1つとなっている。もっとも、創設当初は距離10ハロンで、2年目から段階的に距離を短縮し、1903年に現行の距離7ハロンとなった。名称は第1回競走の賞金の大半を寄付したウィリアム・カーター船長という人物に由来する。
名称:メトロポリタンH | 英名:Metropolitan Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート8ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1891年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:5月第4週 | |||
サバーバンH・ブルックリンHと共にニューヨークハンデキャップ三冠競走の1戦。他の2競走の価値は下落してGⅠ競走ではなくなってしまい、ニューヨークハンデキャップ三冠路線はほぼ有名無実化してしまったが、本競走のみは米国上半期のダートマイル路線における最強馬決定戦としてGⅠ競走の地位を保っている。「メット・マイル」と呼称されることもある。創設当初は距離9ハロンで、マイル戦になったのは1897年。
名称:トリプルベンド招待H | 英名:Triple Bend Invitational Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→サンタアニタパーク競馬場) | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1952年 | 格付け:GⅠ(2003年~)GⅡ(1992~2002年)GⅢ(1988~91年) | 施行時期:6月第4週 | |||
創設自体は比較的古いが、長年に渡りそれほど価値が高い競走では無く、1973年にグレード制度が導入されてからも長らくグレード競走では無かった。しかし米国ダート短距離路線の整備が進むにつれて本競走の価値もどんどん上がり、現在では米国上半期における短距離最強馬決定戦としての地位を確立している。創設当初の名称は「レイクス&フラワーズH」で、1979年に1970年代前半の名馬トリプルベンドを記念して「トリプルベンドH」と改名され、その後「BC」や「招待」の文字が付いたり外れたりしながら今日に至る。創設当初は現行と同じ距離7ハロンだったが、1956~72年の期間は6ハロンで施行されている。2013年を限りにハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると2014年からサンタアニタパーク競馬場に移されたが、距離や施行時期などは変更されなかった。
名称:ビングクロスビーH | 英名:Bing Crosby Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州デルマー競馬場 | 距離等:ダート6ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1946年 | 格付け:GⅠ(2004年~)GⅡ(1999~2003年)GⅢ(1985~98年) | 施行時期:7月第3週 | |||
創設は第二次世界大戦終了の翌年と比較的古いが、短距離戦が軽視されていた時期だったため、それほどの重要競走では無かった。しかし米国でダート短距離路線が整備されると、創設以来一貫してダート6ハロン戦だった本競走の価値は上昇し、現在ではGⅠ競走として米国西海岸における短距離王決定戦の役割を担うまでになっている。名称はデルマー競馬場の創設に寄与した米国の著名な俳優ビング・クロスビー氏に由来する。
名称:アルフレッドGヴァンダービルトH | 英名:Alfred G. Vanderbilt Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート6ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1985年 | 格付け:GⅠ(2010年~)GⅡ(1995~2009年)GⅢ(1990~94年) | 施行時期:8月第1週 | |||
歴史が比較的新しい米国東海岸のダート短距離路線の大競走。創設当初は「アフィナミナンH」という名称だったが、数々の名馬を送り出した名馬産家にしてニューヨーク競馬協会の会長も務めたアルフレッド・G・ヴァンダービルトⅡ世氏が1999年に死去すると、彼の功績を讃えて翌年に改名された。創設当初から距離や施行時期などの変更は無い。
名称:フォアゴーS | 英名:Forego Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1980年 | 格付け:GⅠ(2001年~)GⅡ(1984~2000年)GⅢ(1983年) | 施行時期:8月第4週 | |||
名馬フォアゴーを記念して創設された米国の重要なダート短距離戦で、BCスプリントやBCダートマイルの前哨戦としての役割も担っている。創設当初はハンデ戦で、2005年から別定重量戦になっている。創設当初はマイル戦で、1982年に現行の距離になった。ただし、2000~02年の期間のみ6.5ハロンで施行されている。
名称:パットオブライエンH | 英名:Pat O'Brien Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州デルマー競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1986年 | 格付け:GⅡ(1999~2008、2012年~)GⅠ(2009~11年)GⅢ(1994~98年) | 施行時期:8月第4週 | |||
歴史が比較的新しい米国西海岸のダート短距離戦。一時的にGⅠ競走まで昇格したが、短期間でGⅡ競走に格下げとなっている。名称はデルマー競馬場の創設者の1人でもある俳優パット・オブライエン氏に由来する。
名称:ヴォスバーグS | 英名:Vosburgh Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート7ハロン(→ダート6ハロン) | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1940年 | 格付け:GⅠ(1980年~)GⅡ(1973~79年) | 施行時期:9月第4週 | |||
ブリーダーズカップの創設前は米国ダート短距離路線の最高峰競走であり、短距離馬にとってはシーズンの最大目標となるレースだった。BCスプリントが創設されるとその前哨戦としての役割を担うようにもなったが、現在でも米国屈指の重要な短距離戦としての地位は保っている。創設から一貫して距離7ハロンで施行されてきたが、2003年に6.5ハロンに、2004年に6ハロンに短縮された。1978年まではハンデ戦で、1979年から別定重量戦となった。1958年までは2歳馬も出走可能だった。名称は19世紀米国ジョッキークラブの公式ハンデキャッパーだった競馬歴史家ウォルター・S・ヴォスバーグ氏に由来する。
名称:サンタアニタスプリントCSS(エインシェントタイトルH) | 英名:Santa Anita Sprint Championship Stakes(Ancient Title Handicap) | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート6ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1985年 | 格付け:GⅠ(2001年~)GⅡ(1999・2000年)GⅢ(1990~98年) | 施行時期:10月第1週 | |||
米国西海岸の名馬エインシェントタイトルを記念して「エインシェントタイトルH」という名称で創設された、西海岸における重要な短距離戦。時期的にBCスプリントの叩き台としてちょうど良いため、本競走からBCスプリントに向かう馬が多く、本番を勝った馬も複数いる。2010年に主催者のオークツリー競馬協会とサンタアニタパーク競馬場の所有者ストロナックグループとの賃貸借契約がこじれて契約解除が決定され、その後2年間オークツリー競馬協会がサンタアニタパーク競馬場を使用しなかったためにオークツリー競馬協会が命名した競走名が2012年に一斉変更されると、本競走も現行の名称になった。距離は創設から変わっていないが、2006年までハンデ戦で、2007年から別定重量戦となっている。
名称:BCダートマイル | 英名:Breeders' Cup Dirt Mile | ||||
場所:持ち回り | 距離等:ダート8ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:2007年 | 格付け:GⅠ(2009年~) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの1日目に施行される。本競走の創設前のブリーダーズカップにおいては、ダート6ハロンのBCスプリントとダート10ハロンのBCクラシックはあったが、ダート1マイルの牡馬出走可能競走が無く、ダートのマイル戦を得意とする馬にとっては不得意のレースに出るかブリーダーズカップ出走を断念するかの二者択一を迫られる辛い状況が続いていた。しかし本競走の創設により、そういった馬が得意の舞台で存分にその能力を振るう事が可能となった。
名称:BCスプリント | 英名:Breeders' Cup Sprint | ||||
場所:持ち回り | 距離等:ダート6ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1984年 | 格付け:GⅠ(1984年~) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの2日目に施行される。ブリーダーズカップの創設1年目から存在している7競走のうちの1つで、北米のダート短距離路線における最強馬決定戦。創設当初はBCクラシックで勝ち負けするには少し実力が足りない馬が10ハロン路線から矛先を向けてくる事例がしばしば見られたが、北米のダート短距離路線がかなり整備された現在ではそういった事例は減少傾向にある。欧州短距離路線で活躍した芝馬の参戦も時々見られるが、好走する事例は少なく惨敗する事の方が多い。
名称:シガーマイルH | 英名:Cigar Mile Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州アケダクト競馬場 | 距離等:ダート8ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1988年 | 格付け:GⅠ(1990年~) | 施行時期:11月第4週 | |||
BCダートマイルが創設される以前は米国下半期のダートマイル路線における最強馬決定戦としての地位を有していた。現在はBCダートマイルにその座を奪われたが、BCダートマイルより後に施行されるため、BCダートマイルで負けてしまった有力馬にとっての敗者復活戦的な位置づけになっている。創設当初の名称は「NYRAマイルH(NYRAとは“New York Racing Association”、すなわちニューヨーク競馬協会の略称)」という名称だったが、1994年に本競走でGⅠ競走初勝利を果たしたシガーがその後に米国の歴史的名馬となったため、1997年に改名された。
名称:フランクJドフランシス記念ダッシュS | 英名:Frank J. De Francis Memorial Dash Stakes | ||||
場所:メリーランド州ローレルパーク競馬場 | 距離等:ダート6ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1990年 | 格付け:GⅢ(1992・93、2016年~)L(2011~15年)GⅠ(1999~2009年)GⅡ(1994~98年) | 施行時期:11月第4週 | |||
1989年にローレルパーク競馬場の代表者だったフランク・J・ド・フランシス氏が死去すると、彼の功績を讃えて翌年に創設された。かつてはBCスプリントと並ぶ米国ダート短距離路線のトップ2の地位にある大競走だった。2000年までは7月開催だったが、2001年から11月開催となりBCスプリントの後に施行されるようになったため、BCスプリントで負けてしまった有力馬にとっての敗者復活戦的な意味合いを持っていた時期もあった。しかし主催者であるメリーランドジョッキークラブの財政難により2008年と2010年に開催休止となり、2011年からはグレード競走としての地位を失ってしまった。2011年以降は休止されずに続いているが、出走馬のレベルがすっかり落ちてしまったため、グレード競走にはなかなか復帰できず、2016年からようやくGⅢ競走に格付けられることが決まった程度である。
古馬出走可能ダート競走(8.5ハロン以上・牡馬)
名称:サンフェルナンドBCS(廃止) | 英名:San Fernando Breeders' Cup Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1952年 | 格付け:GⅡ(1973~80、1990~2013年)GⅠ(1981~89年) | 施行時期:1月第2週 | |||
マリブS・ストラブSと共にストラブシリーズを形成する3競走の1つだったが、本競走のみ2013年を最後に廃止されたためにストラブシリーズという路線は消滅した。創設から1996年までは「サンフェルナンドS」という名称で、1997年から「BC」が付いた。距離9ハロンで施行された時期が何度かあるが、創設から概ね8.5ハロンで施行された。
名称:サンアントニオH | 英名:San Antonio Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1935年 | 格付け:GⅡ(1990年~)GⅠ(1973~89年) | 施行時期:2月第1週 | |||
GⅠ競走だった時期もあるが、基本的には同年に創設されたサンタアニタHの前哨戦としての位置づけである。サンタアニタHの前哨戦としては最も重要な存在であり、本競走の勝ち馬が本番も勝った事例は数多く、シービスケットも本競走と本番を連勝して引退の花道を飾っている。1940・41年のみ距離8.5ハロンで施行されたが、概ね9ハロンで施行されている。
名称:ストラブS | 英名:Strub Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート10ハロン(→ダート8.5ハロン) | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1948年 | 格付け:GⅡ(1998年~)GⅠ(1973~97年) | 施行時期:2月第1週 | |||
マリブS・サンフェルナンドBCSと共にストラブシリーズを形成する3競走の1つだったが、2013年限りでサンフェルナンドBCSが廃止された現在ではストラブシリーズという路線自体が消滅し、単にサンタアニタHの前哨戦という役割しか有さなくなっている。創設当初は「サンタアニタマチュリティS」という名称で、1963年からサンタアニタパーク競馬場の所有者チャールズ・ヘンリー・ストラブ氏の名を冠した「チャールズHストラブS」という名称になった。現行の名称になったのは1994年。創設当初は距離10ハロンで、1998年から9ハロン、2014年から8.5ハロンとなった。
名称:ドンH | 英名:Donn Handicap | ||||
場所:フロリダ州ガルフストリームパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1959年 | 格付け:GⅠ(1988年~)GⅡ(1973~87年) | 施行時期:2月第1週 | |||
米国古馬戦線におけるダートGⅠ競走の開幕戦で、このレースからシーズンをスタートさせる有力馬は少なくない。時期的にドバイワールドCの前哨戦としてちょうど良いために、これを叩いてドバイへ遠征する馬がしばしば見受けられ、本番で好走した事例も多い。名称はガルフストリームパーク競馬場の発展に貢献したジェームズ・ドン氏に由来する。創設当初は距離12ハロンで、1965年に9ハロンとなり、一時的に別距離で行われた事もあったがそれ以降は概ね9ハロンで施行されている。
名称:サンタアニタH | 英名:Santa Anita Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート10ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1935年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:3月第1週 | |||
米国西海岸におけるダート路線の最強馬決定戦で、通称「ビッグ・キャップ(Big Cap)」と言われる。当時の米国競馬においては破格の賞金10万ドル競走として創設され、その高額賞金から瞬く間に全米を代表する競走の1つとなった。現在では本競走より賞金が多い競走が複数あるために当時ほどの価値は無いと思われるが、それでも西海岸屈指の大競走としての地位は保っている。距離は創設から現在まで一貫して10ハロンだが、創設当初は3歳馬も出走可能で、1970年から古馬限定戦となった。日本ではシービスケットを主人公とした小説や映画で有名になったが、映画で描かれていたようにシービスケットとウォーアドミラルの対戦をお膳立てする目的で創設されたわけではない。
名称:ガルフストリームパークH | 英名:Gulfstream Park Handicap | ||||
場所:フロリダ州ガルフストリームパーク競馬場 | 距離等:ダート10ハロン(→ダート8ハロン) | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1946年 | 格付け:GⅡ(1973・74、2003年~)GⅠ(1975~2002年) | 施行時期:3月第1週 | |||
フロリダ州の春開催における最大の競走の1つとして創設された。しかし現在では本競走の前哨戦としての位置づけだったドンHのほうが格が高くなっている。創設当初は距離10ハロンで、2005年に9.5ハロン、2009年に8ハロンとなった。
名称:ワイドナーH(廃止) | 英名:Widener Handicap | ||||
場所:フロリダ州ハイアリアパーク競馬場 | 距離等:ダート10ハロン(→ダート9ハロン) | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1936年 | 格付け:GⅢ(1995~2001年)GⅡ(1991~94年)GⅠ(1973~89年) | 施行時期:3月第4週 | |||
フロリダ州冬季開催における目玉競走として、当時としては高額の5万ドルの賞金で創設された。長年に渡ってハイアリアパーク競馬場の大競走としての地位を保っていたが、同競馬場の財政難で1990・92年に休止されるとGⅠ競走の座を失い、2001年限りで同競馬場が閉鎖されると本競走もその歴史に終止符を打った。名称はハイアリアパーク競馬場の代表者だったジョセフ・E・ワイドナー氏に由来しており、創設当初は「ワイドナーチャレンジH」という名称だった。創設当初は距離10ハロンで、1995年から廃止までは9ハロンだった。
名称:オークローンH | 英名:Oaklawn Handicap | ||||
場所:アーカンソー州オークローンパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1946年 | 格付け:GⅡ(1977~87、2003年~)GⅠ(1988~2002年)GⅢ(1973~76年) | 施行時期:4月第2週 | |||
現在はGⅡ競走に降格となっているが、アーカンソー州の重要な古馬限定戦である。創設当初はダート8.5ハロンで、1984年から9ハロンとなった。
名称:プレシジョニストS(マーヴィンルロイH) | 英名:Precisionist Stakes(Mervyn LeRoy Handicap) | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→サンタアニタパーク競馬場) | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1980年 | 格付け:GⅢ(2014年~)GⅡ(1980~87、1992~2013年)GⅠ(1988~91年) | 施行時期:5月第1週 | |||
GⅠ競走だった時期もあるが、基本的にはハリウッド金杯(現サンタアニタ金杯)の前哨戦としての位置づけである。創設当初は1941年から1986年までハリウッドパーク競馬場の代表者だったマーヴィン・ルロイ氏の名を冠した「マーヴィンルロイH」という名称だったが、2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されるとサンタアニタパーク競馬場に移され、同年に1985年の本競走の勝ち馬でもある米国顕彰馬プレシジョニストの名を冠した現行名に変更された。創設当初は距離8ハロンで、1988年から8.5ハロンとなっている(1993年のみ9ハロン)。
名称:カリフォルニアンS | 英名:Californian Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→サンタアニタパーク競馬場) | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1954年 | 格付け:GⅡ(1997年~)GⅠ(1973~96年) | 施行時期:5月第4週 | |||
以前は米国西海岸の大競走の1つで、スワップス、クーガー、エインシャントタイトル、アファームド、プレシジョニスト、サンデーサイレンスといった西海岸の名馬達や、ドクターファーガーやスペクタキュラービッドといった東海岸の名馬もはるばる遠征してきて優勝馬に名を連ねていた。現在はそこまでの格は無くGⅡ競走となっており、ハリウッド金杯(現サンタアニタ金杯)の前哨戦としての位置づけである。2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると2014年からサンタアニタパーク競馬場に移された。創設当初は距離8.5ハロンで、1979年から現行の9ハロンとなった(1985・86年のみ8ハロン)。
名称:ブルックリンH | 英名:Brooklyn Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート10ハロン(→ダート12ハロン) | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1887年 | 格付け:GⅡ(1993年~)GⅠ(1973~92年) | 施行時期:6月第1週 | |||
メトロポリタンH・サバーバンHと共にニューヨークハンデキャップ三冠競走の1戦。しかし本競走とサバーバンHがGⅠ競走でなくなった現在ではニューヨークハンデキャップ三冠路線は有名無実化している。距離の変遷が激しく、創設当初は10ハロン、1915年に9ハロン、1940年に10ハロン、1956年に9.5ハロン、1960年に10ハロン、1972年に9.5ハロン、1975年に10ハロン、1977年に12ハロン、1991年に11ハロン、1994年に9ハロン、2008年に12ハロンとなっている。過去の歴史を見ると基本的に6~7月開催だが、2006・07年のみ9月開催だった。現在はベルモントSと同日に施行されるようになっている。
名称:スティーヴンフォスターH | 英名:Stephen Foster Handicap | ||||
場所:ケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1982年 | 格付け:GⅠ(2002年~)GⅡ(1995~2001年)GⅢ(1988~94年) | 施行時期:6月第2週 | |||
ケンタッキーダービー前後の時期に施行される競走を除けばチャーチルダウンズ競馬場唯一のGⅠ競走。歴代優勝馬にはかなりの名馬が名を連ねており、特に今世紀に入ってからはその傾向に拍車がかかっている。名称はケンタッキー州の州歌「ケンタッキーの我が家」や「おおスザンナ」「オールド・ブラック・ジョー」などを作曲した米国有数の名作曲家スティーヴン・フォスター氏に由来する。基本的に3歳馬と古馬の混合戦だが、1985~87年の期間は古馬限定戦だった。もっとも3歳馬にとってはまだ3歳馬限定戦が豊富にある時期であるため、3歳馬の参戦は少なく勝った事例は1度もない。
名称:サバーバンH | 英名:Suburban Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート10ハロン(→ダート9ハロン) | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1884年 | 格付け:GⅡ(1997~2002年、2009年~)GⅠ(1973~96年、2003~08年) | 施行時期:7月第1週 | |||
メトロポリタンH・ブルックリンHと共にニューヨークハンデキャップ三冠競走の1戦。しかし本競走とブルックリンHがGⅠ競走でなくなった現在ではニューヨークハンデキャップ三冠路線は有名無実化している。名称は英国に当時存在したシティ&サバーバンHという競走に由来しており、米国から英国に遠征した後の米国顕彰馬パロールが勝った競走の1つがシティ&サバーバンHだったことから、パロールの功績を記念して創設された。創設から一貫して10ハロンで施行されてきたが、2010年から9ハロンとなった。
名称:サンタアニタ金杯(ハリウッド金杯) | 英名:Gold Cup at Santa Anita(Hollywood Gold Cup) | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→サンタアニタパーク競馬場) | 距離等:ダート10ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1938年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:7月第2週 | |||
サンタアニタH・パシフィッククラシックSと並ぶ米国西海岸におけるダート路線の最強馬決定戦。創設当初はハリウッドパーク競馬場で施行されており、名称も「ハリウッド金杯」だった。2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると施行場所がサンタアニタパーク競馬場に移され、現在の名称となった。この名馬列伝集では「サンタアニタ金杯」と表記しているが、正式名称は「ゴールドカップ・アット・サンタアニタ」である。創設から1996年まではハンデ戦だった。距離は創設から現在まで全く変わっていない。
名称:ホイットニーH | 英名:Whitney Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1928年 | 格付け:GⅠ(1981年~)GⅡ(1973~80年) | 施行時期:8月第1週 | |||
創設当初から米国東海岸における重要なダートの大競走で、創設当初から現在までの歴代優勝馬には歴史的名馬が名を連ねる。なぜか1973年のグレード制度導入時にはGⅡ競走に格付けられたが、この年にも同年の米国三冠馬セクレタリアトが参戦してくるなど、GⅡ競走の時期にも一流馬が次々と参戦しており、1981年にGⅠ競走に昇格して以降は格下げされていない。創設当初は距離10ハロンで、1955年から9ハロンとなった。1940年までは米国の牡馬出走可能主要競走としては珍しく騙馬出走不可だったが、翌年から可能になった。1974年までは定量戦であり、ハンデ戦となったのは1975年から。基本的に3歳馬と古馬の混合戦だが、1957~69年の期間は3歳馬出走不可だった。名称は米国競馬界の発展に大きく寄与した馬産家一族ホイットニー一家に由来する。
名称:サラトガC(廃止) | 英名:Saratoga Cup | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート14ハロン(→変更多数) | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1865年 | 格付け:GⅡ(1998~2005年)GⅢ(1996・97年) | 施行時期:8月第3週 | |||
米国の伝統競走で、19世紀においては古馬出走可能な競走としては米国最高の権威を誇っていたと言っても過言ではない。しかし1887~90年、1892~1900年には開催休止となっている。1901年に復活すると、相変わらず古馬長距離路線の重要競走として毎年のように多くの有力馬が参戦するようになった。ところが1956~62年、1964~78年、1980~93年は開催休止であり、半世紀近くの期間で2回しか施行されない状態となった。1994年に復活した時には既にかつての名声は過去のものとなっており、GⅠ競走に格付けられる事も無く、2005年を最後にニューヨーク競馬協会のコスト削減を理由に正式に廃止された。距離は創設当初から1886年までは一貫して18ハロン、1891年は16ハロン、1901年は13ハロン、1902~55年までは14ハロン、1963年は13ハロン、1979年は10ハロン、1994年は9ハロン、1995年から廃止までは10ハロンだった。
名称:パシフィッククラシックS | 英名:Pacific Classic Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州デルマー競馬場 | 距離等:ダート10ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1991年 | 格付け:GⅠ(1993年~) | 施行時期:8月第4週 | |||
名称に「クラシック」と付いているにも関わらず創設は比較的新しいが、サンタアニタH・サンタアニタ金杯と並ぶ米国西海岸最大の競走としての地位を確立しており、歴代優勝馬には近年の歴史的名馬の名前が並んでいる。もっとも本競走が有名になったのは、勝っていれば本競走の歴代優勝馬最大の大物になるはずだったシガーが1996年に2着に敗れて連勝記録が16で止まってしまったことも大きな理由である。創設から一貫して距離10ハロンで施行されている。
名称:フィリップHアイズリンH | 英名:Philip H. Iselin Handicap | ||||
場所:ニュージャージー州モンマスパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1884年 | 格付け:GⅢ(2000、2003年~)GⅡ(1997~99、2001・02年)GⅠ(1973~96年) | 施行時期:8月第4週 | |||
19世紀に創設された米国の伝統競走。もっとも、ニュージャージー州の法令でパリミューチュエル方式が義務付けられるとそれに反発したモンマスパーク競馬場(当時はロングブランチ競馬場という名称)が1894年にいったん閉鎖されたために本競走も1893年限りでいったん廃止され、同競馬場が1946年に再開したのと同時に復活した経緯がある。20世紀まではかなりの有力馬が優勝馬に名を連ねていたが、21世紀に入ってGⅢ競走に格下げされると一気に出走馬のレベルが低下した。創設当初は「モンマスH」という名称で、1967年に「エイモリーLハスケルH」に改名された。1981年にいったん「モンマスH」に戻り、1986年にモンマスパーク競馬場の代表者の名を冠した「フィリップHアイズリンH」になった。創設当初は距離12ハロンで、1946年の復活時に10ハロンに、1979年に9ハロンに、1996年に8.5ハロンになり、1998年に再び9ハロンになった。
名称:ウッドワードS | 英名:Woodward Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1954年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:9月第1週 | |||
米国ジョッキークラブの会長も務めた米国の名馬主ウィリアム・ウッドワード・シニア卿が1953年に死去したために、彼の功績を讃えて翌年に創設された。ブリーダーズカップの創設前はジョッキークラブ金杯と共に米国ダート路線の秋シーズンの締めくくり競走であり、本競走を目標とする事例が多く見られた。ブリーダーズカップが創設されるとその前哨戦としての役割を担うようにもなったが、格の変遷が激しい米国の競走の中にあって創設から今日まで一貫して米国古馬ダート路線の大競走としての地位を保っており、米国を代表する競走の1つと言える。創設当初は距離8ハロンで、翌年から概ね9ハロンと10ハロンの間を行き来し、1972~75年には12ハロンだった時期もあったが、1990年以降は9ハロンで落ち着いている。基本的に定量戦で施行されてきたが、1976・77・1988~90年の5回のみハンデ戦で施行されている。また、ベルモントパーク競馬場の改修期間を除けば基本的にベルモントパーク競馬場で施行されてきたのだが、2006年からサラトガ競馬場に開催場所が移された。
名称:マールボロC招待H(廃止) | 英名:Marlboro Cup Invitational Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート10ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1973年 | 格付け:GⅠ(1975~87年) | 施行時期:9月第2週 | |||
1973年、同厩同馬主のため実現しないと思われていた同年の米国三冠馬セクレタリアトと前年のケンタッキーダービー・ベルモントS優勝馬リヴァリッジの対決の舞台として、煙草会社フィリップ・モリス社の代表取締役で熱烈な競馬ファンでもあったジャック・ランドリ氏の音頭により実施されたのが最初である。これが大変に盛り上がったために、翌年以降も続けられることになった。米国東海岸における秋競馬の代表的競走であり、数多くの有力馬が本競走に参戦したが、BCクラシックの創設によりその存在価値が低下し、フィリップ・モリス社がスポンサーを降りたのを契機に1987年限りで廃止された。1973・74年は距離9ハロンで、1975年に10ハロン、1978年に9ハロン、1981年に10ハロンとなっている。
名称:オーサムアゲインS(グッドウッドS) | 英名:Awesome Again Stakes(Goodwood Stakes) | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1982年 | 格付け:GⅠ(2007年~)GⅡ(1990~2006年)GⅢ(1985~89年) | 施行時期:9月第4週 | |||
比較的歴史は新しく、創設からしばらくはGⅡ競走以下の格付けだった。しかしファーディナンド、シルバーチャーム、ティズナウ、プレザントリーパーフェクト、ラヴァマンといった歴史的名馬達が本競走を勝つなどかなり早い段階から出走馬のレベルはGⅠ競走級であり、2007年に正式にGⅠ競走に格付けられた。創設当初は「グッドウッドH」という名称のハンデ戦だったが、GⅠ競走になると同時に定量戦となった。2010年に主催者のオークツリー競馬協会とサンタアニタパーク競馬場の所有者ストロナックグループとの賃貸借契約がこじれて契約解除が決定され、その後2年間オークツリー競馬協会がサンタアニタパーク競馬場を使用しなかったためにオークツリー競馬協会が命名した競走名が2012年に一斉変更されると、本競走は1998年のBCクラシック優勝馬で種牡馬としても成功したストロナックグループ所有の名馬オーサムアゲインの名を冠して現行の名称になった。創設当初は距離8.5ハロンで、1987年から現行の9ハロンとなった。
名称:ジョッキークラブ金杯 | 英名:Jockey Club Gold Cup | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート10ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1919年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:10月第1週 | |||
ブリーダーズカップの創設前はウッドワードSと共に米国ダート路線の秋シーズンの締めくくり競走であり、本競走を目標とする事例が多く見られた。ブリーダーズカップが創設されるとその前哨戦としての役割を担うようにもなったが、格の変遷が激しい米国の競走の中にあって創設から今日まで一貫して米国古馬ダート路線の大競走としての地位を保っており、米国を代表する競走の1つと言える。創設当初は距離12ハロンだったが、1921年に距離が一気に16ハロンに延長され、米国ダート長距離最強馬決定戦となった。しかし長距離戦の格が下がってきた上にブリーダーズカップが創設されたため、本競走の価値を落とさないように1990年から米国競馬における一般的な距離である10ハロンに短縮された。
名称:モンマスC(メドウランズC) | 英名:Monmouth Cup(Meadowlands Cup) | ||||
場所:ニュージャージー州メドウランズ競馬場(→モンマスパーク競馬場) | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1977年 | 格付け:GⅡ(1979~82、1999年~)GⅠ(1983~98年) | 施行時期:10月第1週(→7月第4週) | |||
ニュージャージー州メドウランズ競馬場において「メドウランズC」という名称で創設されたが、2010年に同州のモンマスパーク競馬場に施行場所が移された事に伴い、「モンマスC」と改名された。2010年までは9月下旬~10月上旬の開催だったが、2011年の休止を経て2012年からは7~8月開催に変更された。創設当初の距離は10ハロンで、1990年から9ハロンとなり、その後は距離の変更は無い。2002年まではハンデ戦だったが、2003年から別定重量戦となった。
名称:BCクラシック | 英名:Breeders' Cup Classic | ||||
場所:持ち回り | 距離等:ダート10ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1984年 | 格付け:GⅠ(1984年~) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの2日目における主要競走。ブリーダーズカップの創設1年目から存在している7競走のうちの1つで、北米のダート10ハロン路線における最強馬決定戦。ダート競走の本場米国におけるダート最強馬決定戦という事は、すなわち世界最強ダート馬決定戦という事でもあり、これを勝てば世界最強ダート馬の称号を得られると言っても過言ではない。北米における最高賞金競走であり、ドバイワールドCと世界最高賞金競走の地位を争い続けている。ただし地元米国の競馬関係者にとっては本競走よりもケンタッキーダービーを勝つ方に心を惹かれるらしく、平素は競馬に興味が無い米国民が最も注目する競走も本競走ではなくケンタッキーダービーの方である。その意味においては、米国最大の競走は本競走ではなくケンタッキーダービーであると言える。欧州で活躍した芝馬も毎年のように参戦してくるが、好走する事例は少なく惨敗する事の方が多い。
名称:ピムリコスペシャルH | 英名:Pimlico Special Handicap | ||||
場所:メリーランド州ピムリコ競馬場 | 距離等:ダート9.5ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1937年 | 格付け:GⅢ(2012年~)GⅠ(1990~2008年) | 施行時期:11月第1週(→5月第3週) | |||
かつてはピムリコ競馬場を代表する大競走で、創設年に同年の米国三冠馬ウォーアドミラルが勝ち、2年目にはシービスケットがウォーアドミラルとのマッチレースを制して勝つなど、数々の歴史的名馬が優勝馬の一覧に名を連ねていた。1959年にいったん廃止されたが、1988年に復活した。廃止以前は10~11月開催だったが、復活以降は5月開催となった。しかしピムリコ競馬場の経営不振及び親会社のマグナ・エンターテインメント社の経営破綻により2002年以降はたびたび開催中止となった。2012年に改めて再開されたが、休止期間が続いたためにグレード制度の格付けからは既に外されており、同競馬場で1987~2011年まで施行されていたウィリアム・ドナルド・シェーファー記念Sという別競走の格付けを引き継ぐ形でGⅢ競走の地位を保つのみとなっている。格付けや施行時期に変遷はあるが距離の変更は創設から一切ない。
名称:クラークH | 英名:Clark Handicap | ||||
場所:ケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1875年 | 格付け:GⅠ(2006、2010年~)GⅡ(1998~2005、2007~09年)GⅢ(1973~97年) | 施行時期:11月第4週 | |||
ケンタッキーダービーと同年に同じチャーチルダウンズ競馬場において創設された米国の伝統競走で、現在ではケンタッキーダービーと同じGⅠ競走に格付けられているが、格付けで追いついたのは最近の話である。創設当初は3歳馬限定戦で、1902年から古馬混合戦となった。創設当初は距離16ハロンで、1881年に10ハロン、1896年に9ハロン、1902年に8.5ハロン、1922年に9ハロン、1925年に8.5ハロン、1955年に9ハロンとなり、それ以降は距離の変更はない。20世紀前半までの主な勝ち馬にはヒンドゥー、オールドローズバド、エクスターミネーター、ワーラウェイなどがいるが、ケンタッキーダービーと異なりケンタッキー州を代表する大競走という位置づけでは無く、1973年にグレード制度が導入された時点ではGⅢ競走だった。しかし20世紀末頃から有力馬の出走が目立つようになり、今世紀になってようやくGⅠ競走に格付けされた。ケンタッキーダービーと同じく19世紀の創設から1度も開催中止が無いという米国では稀有な競走でもある。名称はチャーチルダウンズ競馬場の創設者メリウェザー・ルイス・クラーク・ジュニア大佐に由来する。
古馬出走可能ダート競走(短距離~マイル路線・牝馬)
名称:サンタモニカH | 英名:Santa Monica Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:4歳以上牝馬 | |||
創設:1957年 | 格付け:GⅡ(1973~83、1988・89、2013年~)GⅠ(1990~2012年)GⅢ(1984~87年) | 施行時期:1月第4週 | |||
サンタアニタパーク競馬場で実施される古馬牝馬限定戦の1つで、距離が短いためにダート短距離路線を進む牝馬の1つの目標競走となり得る競走である。1959年までは牡馬や3歳馬も出走可能だったが、牡馬や3歳馬が勝った事例は無い。
名称:マディソンS | 英名:Madison Stakes | ||||
場所:ケンタッキー州キーンランド競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:4歳以上牝馬 | |||
創設:2002年 | 格付け:GⅠ(2009年~)GⅡ(2006~08年)GⅢ(2005年) | 施行時期:4月第1週 | |||
今世紀創設の歴史が新しい競走だが、ダート短距離路線の有力牝馬が集結するケンタッキー州の大競走としての地位を確立している。2004年に地元の馬産団体ヴァイネリーファームがスポンサーとなったために「ヴァイネリーマディソンS」と改名されたが、2013年から元の名称に戻っている。
名称:ヒューマナディスタフH | 英名:Humana Distaff Handicap | ||||
場所:ケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:4歳以上牝馬 | |||
創設:1987年 | 格付け:GⅠ(2002年~)GⅡ(1999~2001年)GⅢ(1990~98年) | 施行時期:5月第1土曜日 | |||
ケンタッキーダービーと同日に施行される古馬牝馬限定のダート短距離路線の大競走。創設当初は「ブラウン&ウィリアムソンH」という名称で、1995年に改名された。
名称:シュヴィーH | 英名:Shuvee Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート8ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1976年 | 格付け:GⅢ(2013年~)GⅡ(1978~85年、1997~2011年)GⅠ(1986~96年) | 施行時期:5月第3週(→7月第4週) | |||
1980年代後半から1990年代前半までは米国東海岸における重要な牝馬限定戦であり、この時期の優勝馬には米国顕彰馬が4頭もいる。しかし21世紀に入ってから格の低下が著しく、現在はGⅢ競走となっている。名称はニューヨーク牝馬三冠馬シュヴィーに由来する。創設当初はマイル戦だったが2年目から距離8.5ハロンになり、再び現行のマイル戦に戻ったのは1995年。基本的に5月開催だったが、2013年からは7月下旬~8月上旬の開催になっている。
名称:プリンセスルーニーH | 英名:Princess Rooney Handicap | ||||
場所:フロリダ州コールダー競馬場(→ガルフストリームパーク競馬場) | 距離等:ダート6ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1985年 | 格付け:GⅡ(2002~05、2015年~)GⅠ(2006~13年)GⅢ(1999~2001年) | 施行時期:7月第1週 | |||
第1回BCディスタフの覇者である名牝プリンセスルーニーを記念して、彼女が競走馬を引退した翌年に彼女がデビューした地であるコールダー競馬場において創設された。創設当初は距離7ハロンで、1997年に6ハロンとなった。GⅠ競走に格付けられていた時期はコールダー競馬場における唯一のGⅠ競走だった。ガルフストリームパーク競馬場の経営団体であるストロナックグループがコールダー競馬場の経営にも携わるようになったため、本競走は2015年にガルフストリームパーク競馬場に施行場所が移された。
名称:バレリーナBCS | 英名:Ballerina Breeders' Cup Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1979年 | 格付け:GⅠ(1988年~)GⅡ(1984~87年)GⅢ(1981~83年) | 施行時期:8月第4週 | |||
米国東海岸における牝馬限定の短距離ダート路線の大競走で、創設から一貫して距離7ハロンで施行されている。名称は1950年代前半に活躍した米国の名牝バレリーナに由来する。1994~2004年まではハンデ戦だったが、それ以外の時期は別定重量戦となっている。
名称:BCフィリー&メアスプリント | 英名:Breeders' Cup Filly & Mare Sprint | ||||
場所:持ち回り | 距離等:ダート7ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:2007年 | 格付け:GⅠ(2009年~) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの2日目に施行される。本競走の創設前はダート短距離を得意とする牝馬がブリーダーズカップに参戦する場合には、牡馬相手のBCスプリントか距離不適のBCディスタフに出走するしかなかったが、本競走の登場により選択の幅が増えた。第1回と第2回は距離6ハロンだったが、第3回以降は一貫して7ハロンで施行されている。今のところ北米調教馬以外が勝った事例は無い。
古馬出走可能ダート競走(8.5ハロン以上・牝馬)
名称:ラカナダS | 英名:La Cañada Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン(→ダート8.5ハロン) | 出走馬:4歳以上牝馬 | |||
創設:1975年 | 格付け:GⅡ(1977、1990年~)GⅠ(1978~89年) | 施行時期:1月第3週 | |||
サンタアニタパーク競馬場で実施される古馬牝馬限定競走の1つで、ラブレアS・エルエンシノSと共にラカナダシリーズを形成している。創設年は距離8.5ハロンで、2年目からしばらく9ハロンで施行されていたが、2012年に8.5ハロンに戻った。
名称:サンタマリアH | 英名:Santa Maria Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:4歳以上牝馬 | |||
創設:1934年 | 格付け:GⅡ(1973~89、2010年~)GⅠ(1990~2009年) | 施行時期:2月第2週 | |||
米国西海岸における伝統的な古馬限定牝馬競走。創設当初は3歳牝馬も出走可能だった。また、1941年の1度のみ、カリフォルニア州産馬限定の2歳戦として施行されており、この年は距離3ハロンだった。
名称:サンタマルガリータ招待H | 英名:Santa Margarita Invitational Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:4歳以上牝馬 | |||
創設:1935年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:3月第2週 | |||
米国西海岸におけるダート路線の最強牝馬決定戦で、創設年が同じであるサンタアニタHの牝馬バージョンとも言える。もっとも、創設当初は牡馬も出走可能であり、3歳馬も出走可能だった。1939年に牝馬限定戦となり、1961年に古馬限定戦となった。創設当初の距離は7ハロンで、その後の幾度もの変遷を経て、1955年から現行の9ハロンとなった。
名称:アップルブロッサムH | 英名:Apple Blossom Handicap | ||||
場所:アーカンソー州オークローンパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:4歳以上牝馬 | |||
創設:1958年 | 格付け:GⅠ(1982~89、1992年~)GⅡ(1978~81、1990・91年)GⅢ(1977年) | 施行時期:4月第2週 | |||
アーカンソー州の重要な牝馬限定戦で、米国東海岸と西海岸の有力牝馬が揃って参戦してきて高いレベルの戦いとなる場合が多い。創設は1958年だが、翌年にいきなり開催休止となり、1963年にいったん復活したがまたしても1年で休止。1968年に復活して以降は途切れることなく続いている。創設年は現行と同じ距離8.5ハロンだったが、1963年の復活後はしばらく6ハロン、1975年に8ハロン70ヤードとなり、1980年に現行の8.5ハロンになった。ちなみに1972年までは牡馬混合戦であり、牝馬限定戦となったのは1973年から。
名称:ラトロワンヌS | 英名:La Troienne Stakes | ||||
場所:ケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1986年 | 格付け:GⅠ(2014年~)GⅡ(2006~08年)GⅢ(2005年) | 施行時期:5月第1金曜日 | |||
ケンタッキーオークスと同日に施行される牝馬限定戦。一応は3歳牝馬も出走可能だが、3歳牝馬は同日に同場所で施行されるケンタッキーオークスに出るのが当たり前であるため、事実上は古馬牝馬のための競走となっている。創設1年目は牡馬混合戦だったが、2年目から牝馬限定戦となった。創設当初の名称は「ルイビルBCH」で、2010年に米国最高の根幹繁殖牝馬ラトロワンヌの名を冠した現行名になった。距離は1年目だけ9ハロンで、2年目から8.5ハロン。なお、同名の3歳牝馬限定戦がチャーチルダウンズ競馬場においてケンタッキーダービー当日(つまり本競走の翌日)に施行されていた。この競走は2008年のケンタッキーダービーで2着と健闘した直後に故障してこの世を去った牝馬エイトベルズの名を冠した「エイトベルズS」という名称に2010年から改名されており、本競走の改名は米国の誇りラトロワンヌの名を冠した競走を無くさないための措置と思われる。
名称:アドレーションS(ミレイディH) | 英名:Adoration Stakes(Milady Handicap) | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→サンタアニタパーク競馬場) | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1952年 | 格付け:GⅢ(2014年~)GⅡ(1973~86、2005~13年)GⅠ(1987~2004年) | 施行時期:5月第3週 | |||
20世紀までは米国西海岸を代表する牝馬限定戦だったが、今世紀に入ってから格の下落が続いている。創設当初は「ミレイディH」という名称で、長年に渡りこの名称で親しまれてきたが、2012年にハリウッドパーク競馬場の代表者だったマージョリー・L・エヴェレット氏が死去すると彼の功績を讃えて「マージョリーLエヴェレットH」と改名され、さらに2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると、翌年からサンタアニタパーク競馬場に開催場所を移して「アドレーションS」に改名された。
名称:オグデンフィップスH | 英名:Ogden Phipps Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1961年 | 格付け:GⅠ(1984年~)GⅡ(1973~83年) | 施行時期:6月第2週 | |||
米国東海岸における重要な牝馬限定戦。創設は1961年で牡馬混合戦としての開催だったが、1962~69年は施行されず、1970年に牝馬限定戦として復活した。創設当初は「ヘンプステッドH」という名称だったが、2002年に米国競馬界の重鎮オグデン・フィップス氏が死去したため、彼の功績を讃えて同年に改名された。創設年のみ距離12ハロンで、復活年と翌1971年は6ハロン、1972年から9ハロンとなり、1995年から現行の8.5ハロンになった。
名称:ヴァニティH | 英名:Vanity Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→サンタアニタパーク競馬場) | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1940年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:6月第3週 | |||
1973年のグレード制度導入時から一貫してGⅠ競走の地位を保っている、米国上半期におけるダート路線の最強古馬牝馬決定戦。創設年は8ハロン戦で、翌年以降から8.5ハロンと9ハロンを行き来して、1954年から9ハロンに落ち着いた(1986・87年のみ10ハロン)。2013年にハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると2014年からサンタアニタパーク競馬場に移された。この際に距離は9ハロンのまま変更されなかったが、それまでのハンデ戦から別定重量戦に変更されている。そのため現在の正式名称は「ヴァニティS」である。
名称:デラウェアH | 英名:Delaware Handicap | ||||
場所:デラウェア州デラウェアパーク競馬場 | 距離等:ダート10ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1937年 | 格付け:GⅠ(1973~89、2013年~)GⅡ(1990~95、2003~12年)GⅢ(1996~2002年) | 施行時期:7月第3週 | |||
一時的にGⅢ競走まで転落していた時期があったが、近年になって再び出走馬のレベルが上がり24年ぶりにGⅠ競走の座に返り咲いたデラウェア州最大の競走。創設当初は「ニューキャッスルH」という名称で、1955年に現行の名称に改名された。創設当初の距離は8.5ハロンで、1951年に10ハロンとなって以降は距離の変更は無い。なお、モンマスパーク競馬場で1887~93年まで、サラトガ競馬場で1901~37年まで、いずれも「デラウェアH」という同名競走が存在していたが、いずれも牡馬混合戦であり、本競走と直接的な関係は無いようである。
名称:ゴーフォーワンドH | 英名:Go For Wand Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場(→アケダクト競馬場) | 距離等:ダート9ハロン(→ダート8ハロン) | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1954年 | 格付け:GⅢ(2014年~)GⅡ(1973~80、2011~13年)GⅠ(1981~2009年) | 施行時期:7月第4週(→11月第4週) | |||
歴代優勝馬には多くの歴史的名牝が名を連ねる米国牝馬路線の大競走だったが、ここ数年で瞬く間に格が下がり現在はGⅢ競走になってしまっている。創設当初は20世紀初頭米国の名牝マスケットの名を冠した「マスケットH」という名称だったが、1990年の本競走の優勝馬で同年のBCディスタフで故障して命を落とした名牝ゴーフォーワンドを記念して1993年から改名された。創設からほぼ一貫してマイル戦だった(1982年のみ7ハロン)が、1994年に9ハロンとなった。しかし2010年の休止を挟んで2011年にGⅡ競走に格下げとなると、施行場所はサラトガ競馬場からアケダクト競馬場に、距離は8ハロンに、施行時期は11月第4週頃に変更されている。1979年から1994年までは別定重量戦だったが、それ以外の時期はハンデ戦となっている。
名称:クレメントLハーシュS(チュラヴィスタH) | 英名:Clement L. Hirsch Stakes(Chula Vista Handicap) | ||||
場所:カリフォルニア州デルマー競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1937年 | 格付け:GⅠ(2009年~)GⅡ(1986~2008年)GⅢ(1983~85年) | 施行時期:8月第1週 | |||
GⅠ競走に格付けられる前から歴史的名牝が優勝馬一覧に名を連ねる米国西海岸の重要な牝馬限定戦。創設当初は「チュラヴィスタH」という名称だったが、2000年にオークツリー競馬協会の創設者クレメント・L・ハーシュ氏が死去すると同年に「クレメントLハーシュH」と改名され、別定重量戦となった2009年から現行名となった。2000年にはサンタアニタパーク競馬場で施行されていたオークツリーターフCSSという別競走も「クレメントLハーシュターフCSS」と改名されており、同競走が2012年に「ジョンヘンリーターフCSS」に改称されるまで混同しやすい状態が続いた。創設年は1937年となっているが、翌1938年~66年まで長期中断期間があり、1967年に1回だけ復活したが、翌1968年~72年まで再び中断された。第1回はカリフォルニア産産馬限定のダート5.5ハロンの2歳戦で、第2回はダート8ハロンの3歳馬・古馬混合戦、1973年の第3回は芝9ハロンであり、この3回は同一競走としてはみなし難いのが実情である。1974年以降はダート競走として固定されたが距離や出走条件には変遷があった。1974年は距離8ハロン、1976年は7.5ハロンで、1981年から現行の8.5ハロンとなった。第2回から1980年までは牡馬も出走可能であり、1981年から牝馬限定戦となった。
名称:パーソナルエンスンS | 英名:Personal Ensign Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1948年 | 格付け:GⅠ(1987年~)GⅡ(1973~86年) | 施行時期:8月第4週 | |||
米国東海岸における牝馬限定のダートの大競走で、BCディスタフを最大目標とする馬が多く出走してきてレベルが高い戦いが展開されることが多い。創設当初は19世紀米国の名牝フィレンツェの名を冠した「フィレンツェH」という名称だったが、19世紀米国の事業家兼馬主で今は亡きモリスパーク競馬場の創設者でもあるジョン・アルバート・モリス氏を記念して1986年に「ジョンAモリスH」と改称。さらに1998年にBCディスタフなど13戦無敗の名牝パーソナルエンスンを記念して改称された。創設からずっとハンデ戦だったが、2005年から別定重量戦となった。施行条件の変遷が非常に激しく、創設から1971年まではダート8ハロンから9ハロンまでの間を行き来していたが、1972年に芝9ハロン戦となった。1975年のみ11ハロンで施行され、1976年にダート競走に戻って距離9ハロンで施行。1995年から10ハロンとなったが、2012年に9ハロンに戻った。
名称:ラフィアンH | 英名:Ruffian Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン(→ダート8ハロン) | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1976年 | 格付け:GⅡ(2013年~)GⅠ(1976~2011年) | 施行時期:9月第2週(→5月第2週) | |||
1975年にベルモントパーク競馬場で施行されたマッチレースで故障して命を落とした名牝ラフィアンを記念して翌年に創設された。創設年のみ距離10ハロンで、1977~89年は9ハロン、1990年から8.5ハロンとなった。距離の変遷はあっても創設から一貫してGⅠ競走として施行されていたのだが、2012年の開催休止を挟んで2013年に再開された際にGⅡ競走に降格となり、距離は8ハロンに変更され、施行時期も8~9月から4~5月に移された。
名称:ベルデイムS | 英名:Beldame Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1939年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:9月第4週 | |||
BCディスタフの創設前は、スピンスターSと共に米国下半期におけるダート路線の最強古馬牝馬決定戦だった。現在ではBCディスタフの前哨戦的な意味合いが強くなっているが、それでも1973年のグレード制度導入時から現在まで一貫してGⅠ競走の地位を保っており、米国を代表する牝馬限定戦である事には変わりが無い。名称は20世紀初頭の名牝ベルデイムに由来する。創設年のみ距離8.5ハロンで、1940年からしばらく9ハロンだった。1977年に距離10ハロンとなったが、1990年に再び9ハロンに戻っている。1959年まではハンデ戦だったが、現在は定量戦となっている。2011年からは招待競走となっているため、現在の正式名称は「ベルデイム招待S」である。
名称:ゼニヤッタS(レディーズシークレットS) | 英名:Zenyatta Stakes(Lady's Secret Stakes) | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:ダート8.5ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1993年 | 格付け:GⅠ(2007年~)GⅡ(1996~2006年)GⅢ(1995年) | 施行時期:9月第4週 | |||
1986年のエクリプス賞年度代表馬に選ばれた名牝レディーズシークレットが米国競馬の殿堂入りを果たしたのを記念してその翌年に「レディーズシークレットH」の名称で創設された。時期的にBCディスタフの前哨戦としてちょうど良いために年々その価値が高まり、2007年にGⅠ競走に格付けられると同時に定量戦となった。2009年に本競走を叩いてBCクラシックを制覇したゼニヤッタの功績を讃えて改名される事がいったんは決まったが、このときはレディーズシークレットに対する敬意を欠いていると非難の声が上がり、いったんは現役引退を表明したゼニヤッタが一転して現役を続行した事もあって話は流れた。しかし2010年に主催者のオークツリー競馬協会とサンタアニタパーク競馬場の所有者ストロナックグループとの賃貸借契約がこじれて契約解除が決定され、その後2年間オークツリー競馬協会がサンタアニタパーク競馬場を使用しなかったためにオークツリー競馬協会が命名した競走名が一斉変更される事が決まると、本競走も2012年から「ゼニヤッタS」に正式に改名された。
名称:スピンスターS | 英名:Spinster Stakes | ||||
場所:ケンタッキー州キーンランド競馬場 | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1956年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:10月第1週 | |||
BCディスタフの創設前は、ベルデイムSと共に米国下半期におけるダート路線の最強古馬牝馬決定戦だった。現在ではBCディスタフの前哨戦的な意味合いが強くなっているが、それでも1973年のグレード制度導入時から現在まで一貫してGⅠ競走の地位を保っており、米国を代表する牝馬限定戦である事には変わりが無い。ベルデイムSと異なり創設から一貫して9ハロンの定量戦で施行されており、ハンデ戦だった時期は無い。馬産団体ジュドモントファームがスポンサーであるため、「ジュドモントスピンスターS」と呼称される場合もある。
名称:BCディスタフ(BCレディーズクラシック) | 英名:Breeders' Cup Distaff(Breeders' Cup Ladies' Classic) | ||||
場所:持ち回り | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1984年 | 格付け:GⅠ(1984年~) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの1日目における主要競走。ブリーダーズカップの創設1年目から存在している7競走のうちの1つで、北米のダート路線における最強牝馬決定戦。牝馬限定戦としては世界最高賞金を誇る。2008年にいったん「BCレディーズクラシック」という名称に改名されたが、2013年から元の名称に戻された。創設から1987年までは10ハロン戦だったが、1988年からは一貫して9ハロンで施行されている。欧州芝路線で活躍した牝馬の参戦も時々見られるが、好走した事例は殆ど無く、歴代優勝馬は全て北米調教馬である。
名称:レディーズH | 英名:Ladies Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州アケダクト競馬場 | 距離等:ダート10ハロン(→ダート9ハロン) | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1868年 | 格付け:L(2005年~)GⅢ(1998~2004年)GⅡ(1990~97年)GⅠ(1973~89年) | 施行時期:11月第3週(→2月第1週) | |||
現存する米国の牝馬限定のステークス競走としては最も歴史が長い伝統競走で、1973年のグレード制度導入時からGⅠ競走に格付けられる地位を誇っていた。しかし年を追うごとに価値が下がり、2005年には遂にグレード競走の地位をも失ってしまった。それでも休止は何度かあったが廃止はされていない。距離の変遷はかなり激しく、創設当初は13ハロンで、その後様々な距離を経て、1965年から10ハロン、2010年から9ハロンになった。2016年からは8ハロン70ヤードで施行されるようである。また、1913~39年には2歳牝馬も出走可能だった。2008年までは基本的に11~12月開催だったが、2009年の休止を経て2010年からは1~3月開催になっている。
名称:トップフライトH | 英名:Top Flight Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場(→アケダクト競馬場) | 距離等:ダート9ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1940年 | 格付け:GⅢ(2015年~)GⅡ(1997~2014年)GⅠ(1973~96年) | 施行時期:11月第4週(→4月第2週) | |||
長らく米国東海岸の重要な牝馬限定戦だったが、21世紀に入ってから出走馬のレベルが下がり、現在はGⅢ競走に格下げになっている。名称は1930年代初頭の名牝トップフライトに由来する。2010年までは11月末開催だったが、2011年の休止を経て2012年に再開された際に、サラトガ競馬場からアケダクト競馬場に場所が移されて3~4月開催になった。創設当初は距離8.5ハロンで、1961年に9ハロンに、1994年に8ハロンに、2012年に8.5ハロンに、2015年に9ハロンになった。
古馬出走可能芝競走(短距離~マイル路線・牡馬)
名称:フランクEキルローマイルH | 英名:Frank E. Kilroe Mile Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1960年 | 格付け:GⅠ(2005年~)GⅡ(1984~89、1995~2004年)GⅢ(1973~83、1990~94年) | 施行時期:3月第1週 | |||
米国西海岸における芝マイル路線の重要競走の1つで、下積み期間が長かったが2005年にGⅠ競走に格付けられると現在までその地位を維持している。創設当初は「アーケイディアH」という名称だったが、フランク・E・キルロー氏という人物を記念して2001年に改称された。創設当初は距離10ハロンで、マイル戦になったのは1987年から。
名称:メーカーズ46マイルS | 英名:Maker's 46 Mile Stakes | ||||
場所:ケンタッキー州キーンランド競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1989年 | 格付け:GⅠ(2008年~)GⅡ(2000~07年)GⅢ(1991~99年) | 施行時期:4月第2週 | |||
歴史は比較的新しいが、着実に価値を上げて、現在では米国東部の上半期における芝マイル路線の古馬最強馬決定戦の地位を確立している。創設当初は「フォートハロッドS」という名称で、1997年にバーボンウイスキー製造会社メーカーズマーク社がスポンサーとなると「メーカーズマークマイルS」と改称され、2012年に現行の名称となった。創設1年目のみ距離8.5ハロンで、2年目からマイル戦となった。
名称:シューメイカーマイルS | 英名:Shoemaker Mile Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→サンタアニタパーク競馬場) | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1938年 | 格付け:GⅠ(2000年~)GⅡ(1990~99年)GⅢ(1987~89年) | 施行時期:6月第2週 | |||
創設当初は「プレミアH」という名称だったが、米国の名手ウィリアム・シューメーカー元騎手を記念して1990年に改名された。年々価値が上がり、現在では米国西海岸における上半期の芝マイル最強馬決定戦となっている。もっとも、創設当初はダート競走で、距離は6ハロンだった。その後もたまに別の距離で施行されながらもダート競走として施行されていたが、1984年に芝のマイル戦に変更された。1986・87年は8.5ハロンだったが、それ以外はマイル戦として施行されている。1995年まではハンデ戦だった。2013年にハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると2014年からサンタアニタパーク競馬場に移されたが、それ以外に特に大きな変更点はない。
名称:フォースターデイヴH | 英名:Fourstardave Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1985年 | 格付け:GⅠ(2016年~)GⅡ(2000~15年)GⅢ(1988~99年) | 施行時期:8月第2週 | |||
サラトガ競馬場で施行されている比較的歴史が新しい芝のマイル戦。歴代優勝馬にはBCマイルの優勝馬の名が複数見受けられ、出走馬のレベルは年々上昇傾向にあった。そのために2016年からはGⅠ競走として施行されることが決まった。創設当初の名称は「ダレルズジョイH」だったが、本競走を1990・91年に連覇した「サラトガ競馬場のスルタン」ことフォースターデイヴにちなんで1997年に改名された。
名称:ウッドバインマイル | 英名:Woodbine Mile | ||||
場所:加国・ウッドバイン競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1988年 | 格付け:GⅠ(1995年~)GⅡ(1990~94年) | 施行時期:9月第2週 | |||
創設は比較的新しいが、BCマイルの前哨戦としての価値が高いため、加国の競走としては珍しくGⅠ競走に格付けされてから現在まで一貫してその地位を保っている。もっとも創設当初はダート戦で、距離は10ハロンだった。1991年にダート9ハロンとなり、1997年に芝のマイル戦となって現在に至る。名称の変遷が多く、創設1年目は「モルソンエクスポートチャレンジ」で、2年目の1989年からしばらくは「モルソンエクスポートミリオン」で、1996年に「ウッドバインミリオン」に、1997年に「ウッドバインマイル」に、1999年に「アットマイル」に、2006年に現行の名称となった。
名称:シャドウェルターフマイルS | 英名:Shadwell Turf Mile Stakes | ||||
場所:ケンタッキー州キーンランド競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1986年 | 格付け:GⅠ(2002年~)GⅡ(1998~2001年)GⅢ(1988~97年) | 施行時期:10月第1週 | |||
ケンタッキー州における芝マイル路線の大競走で、BCマイルの重要な前哨戦としての創設も担っている。当初の名称は「キーンランドBCS」で、マイル戦となった1994年に「キーンランドBCマイルS」に、1999年に「キーンランドターフマイルS」に改名され、2003年に馬産団体シャドウェル・エステート社がスポンサーとなったため現行の名称となった。創設当初は距離9ハロンで、1994年にマイル戦となった。ただし2013年のみは大雨の影響で芝コースが使用できず、オールウェザー8.5ハロンで施行されている。
名称:ニアークティックS | 英名:Nearctic Stakes | ||||
場所:加国・ウッドバイン競馬場 | 距離等:芝6ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1973年 | 格付け:GⅡ(1999~2009、2014年~)GⅠ(2010~13年)GⅢ(1985~89年) | 施行時期:10月第2週 | |||
米国のBCターフスプリントと並んで北米においては実に珍しい芝短距離のGⅠ競走だったが、2014年からGⅡ競走に格下げとなってしまった。距離は創設から一貫して6ハロンだが、1994年まではダート戦だった。名称は加国の名種牡馬ニアークティックに由来する。
名称:BCターフスプリント | 英名:Breeders' Cup Turf Sprint | ||||
場所:持ち回り | 距離等:芝5ハロン又は6.5ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:2008年 | 格付け:GⅠ(2012年~)GⅡ(2010・11年) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの2日目に施行される。米国の芝路線における短距離最強馬決定戦。とは言っても米国には本競走以外に距離7ハロン以下の芝のGⅠ競走が1つも無いため、本競走に出走してくる米国調教馬は一般的に聞き慣れない馬ばかりであり、本競走の歴代優勝馬の中で本競走以外に米国のGⅠ競走を勝っている馬はいない(加国のニアークティックSを勝っている馬はいる)。芝競走であるため欧州馬の活躍が目立ってもおかしくないのだが、今のところ北米調教馬以外が勝った事例は無い。そんな次第で、現在GⅠ競走として施行されているブリーダーズカップの競走の中では最もその存在意義が乏しい競走である。距離は施行競馬場によって異なり、5ハロンの年と6.5ハロンの年がある。キーンランド競馬場で施行された2015年は初めて5.5ハロンという距離で施行された。
名称:BCマイル | 英名:Breeders' Cup Mile | ||||
場所:持ち回り | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1984年 | 格付け:GⅠ(1984年~) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの2日目に施行される。ブリーダーズカップの創設1年目から存在している7競走のうちの1つで、北米の芝マイル路線における最強馬決定戦。欧州の有力マイラーも毎年のように参戦しており、北米調教馬と欧州馬の対戦成績はほぼ互角である。北米のみならず世界全体においても最高峰の芝マイル競走なのだが、欧州最強マイラーとしての名声を確立させた馬が参戦して惨敗する事例も多く、欧州(特に英国)の競馬界においては、本競走を世界最高峰の芝マイル競走とはみなしていない人も多いようである。
名称:シービスケットH(サイテーションH) | 英名:Seabiscuit Handicap(Citation Handicap) | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→デルマー競馬場) | 距離等:芝8.5ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1977年 | 格付け:GⅡ(1987~2003、2010年~)GⅠ(2004~09年)GⅢ(1979・80、1984~86年) | 施行時期:11月第4週 | |||
施行時期がブリーダーズカップの後であるため、BCターフやBCマイルで負けてしまった有力馬の敗者復活戦的な意味合いを有する。施行条件の変遷が激しく、創設当初はダート8.5ハロン、1980年はダート8ハロン、1981年は芝9ハロン、1982年はダート8.5ハロン、1983年は分割競走で芝8.5ハロンと9ハロンの2本立て、1984年はダート9ハロンと毎年のように条件が変わっていた。1985年からは一貫して芝で施行されており、距離は9ハロン(1994年のみ10ハロン)で、1999年に8.5ハロンとなった。創設からずっと米国三冠馬サイテーションの名を冠した「サイテーションH」という名称だったが、2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると2014年からはデルマー競馬場に移され、同時に名馬シービスケットの名を冠した現行名になった。なお、「サイテーションH」という同名の競走が1955~68年までアーリントンパーク競馬場で施行されており、ラウンドテーブルなどかなりの有力馬も出走していた。
古馬出走可能芝競走(9ハロン以上・牡馬)
名称:サンルイオビスポH(ワシントンズバースデイH)(廃止) | 英名:San Luis Obispo Handicap (Washington's Birthday Handicap) | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1950年 | 格付け:GⅡ(1973~89、1992~2004、2006~11年)GⅢ(1990・91、2005年) | 施行時期:2月第3週 | |||
創設当初は「ワシントンズバースデイH」という名称で、1968年から「サンルイオビスポH」と改名されたが、2011年を限りに廃止された。米国西海岸における比較的重要な芝の競走ではあったが、米国全体で見るとそれほどの大競走だった時期は無く、GⅠ競走に格付けられた事もない。しかし1959年の本競走において日本から遠征したハクチカラが当時の米国最強馬ラウンドテーブル以下を破って勝利を収め、主として日本で調教された馬としては史上初めての米国のステークス競走制覇を果たしたために日本における本競走の知名度は高い。創設1年目は距離7ハロン、2年目は10ハロン、3・4年目は7ハロン、5年目は10ハロンで、6年目の1955年から12ハロンでほぼ固定された。2005年の1回だけ大雨のためダート12ハロンで施行されている。
名称:ハイアリアターフCH(廃止) | 英名:Hialeah Turf Cup Handicap | ||||
場所:フロリダ州ハイアリアパーク競馬場 | 距離等:芝12ハロン(→芝9.5ハロン) | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1929年 | 格付け:GⅡ(1973~81、1999~2001年)GⅢ(1994~98年)GⅠ(1982~89年) | 施行時期:2月第4週 | |||
ハイアリアパーク競馬場の冬季開催の主要競走の1つとして創設された。創設からしばらくはダート戦だったが、1939年に芝競走に変更されており、これは米国競馬史上初の芝のステークス競走の誕生でもあった。創設当初の名称は「マイアミカップH」で、1929年に「マイアミビーチH」、1953年に「ハイアリアターフカップH」と改名された。米国芝路線の重要競走としての地位を長年に渡り保っていたが、ハイアリアパーク競馬場の財政難により1990・91年に休止され、そして同競馬場が2001年限りで閉鎖されると本競走も運命を共にした。創設からしばらくは距離8.5ハロンを基本に8~9ハロンの間を行き来していたが、1946年に10ハロン、1947年に12ハロンとなった。1995年に9.5ハロンとなり廃止まで概ねその距離で施行された(2000年のみ11ハロン)。
名称:ガルフストリームパークターフH | 英名:Gulfstream Park Turf Handicap | ||||
場所:フロリダ州ガルフストリームパーク競馬場 | 距離等:芝9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1986年 | 格付け:GⅠ(1999年~)GⅡ(1993~98年)GⅢ(1990~92年) | 施行時期:3月第1週 | |||
米国芝路線におけるGⅠ競走の開幕戦で、このレースからシーズンをスタートさせる有力馬は少なくない。創設当初の名称は「ガルフストリームパークBCH」で、2006年に定量戦となると「ガルフストリームパークBCS」に、翌2007年に「ガルフストリームBCターフS」となり、2009年に再びハンデ戦に戻ると同時に現行の名称となった。創設当初は距離8.5ハロンで、1991年に11ハロンに、2006年に11.5ハロン、2007年に11ハロン、2009年に9ハロンになった。
名称:パンアメリカンS | 英名:Pan American Stakes | ||||
場所:フロリダ州ガルフストリームパーク競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1962年 | 格付け:GⅢ(2006~11、2015年~)GⅡ(1973~82、1990~2005、2012~14年)GⅠ(1983~89年) | 施行時期:3月第4週 | |||
フロリダ州における重要な芝競走だったが、最近は価値が低下している。創設当初はダート9ハロンで、1965年から芝12ハロンとなり、それ以降は概ね同条件で施行されている(2009年のみダート10ハロンで施行)。2007年まではハンデ戦だったが、現在は別定重量戦となっている。
名称:サンルイレイH | 英名:San Luis Rey Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1952年 | 格付け:GⅡ(1997年~)GⅠ(1973~96年) | 施行時期:3月第3週 | |||
米国西海岸における重要な芝競走の1つだったが、現在はGⅡ競走に降格となっている。1986年に北米遠征に出向いたシンボリルドルフが出走したがレース中に故障して敗退しそのまま引退した競走として日本では知られている。2005年までは別定重量戦だったが、2006年からハンデ戦となった。
名称:サンフアンカピストラーノ招待H | 英名:San Juan Capistrano Invitational Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:芝14ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1935年 | 格付け:GⅢ(2015年~)GⅡ(2004~14年)GⅠ(1973~2003年) | 施行時期:4月第3週(→6月第4週) | |||
かつては米国西海岸における芝の大競走の1つだった。たまにダート競走だったり別距離で施行されたりした年もあるが、創設から概ね芝14ハロンで施行されている。現在施行されている米国の平地グレード競走では最も距離が長い。そのためか長距離戦の権威が下がるにつれて本競走の価値も下がり、現在ではGⅢ競走になっている。2013年までは4月中旬開催だったが、2014年からは6月下旬に開催されている。
名称:ターフクラシックS | 英名:Turf Classic Stakes | ||||
場所:ケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場 | 距離等:芝9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1987年 | 格付け:GⅠ(1996年~)GⅡ(1994・95年)GⅢ(1989~93年) | 施行時期:5月第1土曜日 | |||
ケンタッキーダービーと同日に施行される芝の大競走。創設から1999年までは米国のウイスキー製造会社アーリータイムズ社がスポンサーだったため、「アーリータイムズターフクラシックS」又は「ETターフクラシックS」と呼称された。現在は米国の別のウイスキー製造会社ウッドフォードリザーブ社がスポンサーであるため、「ウッドフォードリザーブターフクラシックS」と表記されることもある。ベルモントパーク競馬場で「ジョーハーシュターフクラシック招待S」という似たような名称の芝のGⅠ競走が施行されているため混同しやすい。特にジョーハーシュターフクラシック招待Sの名称が単にターフクラシックSやターフクラシック招待Sだった時期はますますややこしかった。創設当初は古馬限定戦だったが、1992年から3歳馬も出走可能になった。
名称:ジョンヘンリーH(廃止) | 英名:John Henry Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場 | 距離等:芝9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1986年 | 格付け:GⅡ(1990~94年)GⅠ(1986~89年) | 施行時期:5月第2週 | |||
名馬ジョンヘンリーを記念して創設された米国西海岸の芝競走。しかし1994年限りで廃止されて10年足らずの短い歴史に幕を閉じた。
名称:マンハッタンH | 英名:Manhattan Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:芝10ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1887年 | 格付け:GⅠ(1984~89、1994年~)GⅡ(1973~83、1990~93年) | 施行時期:6月第1週 | |||
19世紀創設の米国の伝統競走だが、創設当時と現在ではその位置づけは大きく異なる。創設当初はダート戦で、概ね距離12ハロンで施行されていた。1970年に芝競走に変更され、現在では米国東海岸における芝の重要競走の1つとなっている。芝に変更された当初の距離は11ハロンで、1977年から10ハロンとなった後は現在まで距離の変更はない。もっとも、この1977年と1979・1988年は芝ではなくダートで施行されている。当初は9月前後の時期に開催されていたが、1991年から6月開催となり、現在はベルモントSと同日に施行されている。
名称:チャールズウィッティンガム記念H | 英名:Charles Whittingham Memorial Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→サンタアニタパーク競馬場) | 距離等:芝10ハロン(→芝12ハロン) | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1969年 | 格付け:GⅡ(2013年~)GⅠ(1973~2012年) | 施行時期:6月第2週 | |||
米国の芝競走としてはマンノウォーS、クレメントLハーシュ記念ターフCSと並んで1973年のグレード制度導入時から一貫してGⅠ競走の地位を保っている米国有数の芝の大競走だったが、2013年にGⅡ競走に降格となってしまった。創設当初の名称は「ハリウッド招待H」で、1989年に「ハリウッドターフH」と改名。1999年に米国を代表する名伯楽チャールズ・ウィッティンガム元調教師が死去すると彼の功績を讃えて同年に改名された。創設当初は距離12ハロンで、1988年に10ハロンになった。2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると2014年からはサンタアニタパーク競馬場で施行されるようになり、正式名称も「チャールズウィッティンガムS」となった。2014年は距離10ハロンだったが、2015年は12ハロンで施行された。
名称:ユナイテッドネーションズS | 英名:United Nations Stakes | ||||
場所:ニュージャージー州モンマスパーク競馬場 | 距離等:芝11ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1953年 | 格付け:GⅠ(1973~89、1994年~)GⅡ(1990~93年) | 施行時期:7月第1週 | |||
一時的にGⅡ競走に降格になっていた時期もあるが、創設当初から現在まで変わらず米国芝路線における大競走の1つである。創設当初はアトランティックシティ競馬場で施行されており、距離は9.5ハロンだった。1999年にモンマスパーク競馬場に移された際に11ハロンとなって今日に至っている。1990~97年の期間は「シーザーズ国際H」という名称だった。2003年まではハンデ戦だったが、2004年から別定重量戦となった。
名称:アメリカンS | 英名:American Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→サンタアニタパーク競馬場) | 距離等:芝9ハロン(→芝8ハロン) | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1938年 | 格付け:GⅢ(2014年~)GⅡ(1973~87、1990~2013年)GⅠ(1988・89年) | 施行時期:7月第1週(→5月第2週) | |||
一昔前までは米国西海岸における重要競走の1つで、ヌーア、サイテーション、スワップス、ネイティヴダイヴァー、アクアク、ジョンヘンリーといった歴史的名馬も勝利している。しかし現在は当時の面影はない。創設から概ねダート9ハロンで施行されてきた(ヌーアが勝った年は10ハロン)が、1968年から芝9ハロンに変更された。その後は概ねその条件で施行されてきたが、2011年から芝8ハロンになっている。2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されるとサンタアニタパーク競馬場に移され、同時にそれまでのハンデ戦から別定重量戦となった。概ね7月開催だったが、マイル戦になった2011年からは5月開催になっている。
名称:ボーリンググリーンH | 英名:Bowling Green Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場(→サラトガ競馬場) | 距離等:芝11ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1958年 | 格付け:GⅡ(1973~82年、1990年~)GⅠ(1983~89年) | 施行時期:7月第2週(→8月第1週) | |||
米国東海岸における重要な芝競走の1つで、GⅠ競走に格付けられていた時期もある。名称はニューヨーク市マンハッタン島の南端にある緑地ボーリンググリーンに由来する。創設当初は現行と同じ距離11ハロンだったが、その後に10ハロンから13ハロンまでの間を行き来して、1978年から再び11ハロンに落ち着いた。2012年以降は10ハロンだったり12ハロンだったりしたが、2015年は11ハロンに戻った。長年に渡りベルモントパーク競馬場で施行されてきたが、2015年からはサラトガ競馬場に移された。施行時期は6月下旬~7月上旬だったが、2009年に9月開催に変更され、2014年からは7~8月開催となっている。
名称:アーリントンH | 英名:Arlington Handicap | ||||
場所:イリノイ州アーリントンパーク競馬場 | 距離等:芝10ハロン(→芝9.5ハロン) | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1929年 | 格付け:GⅢ(2000年~)GⅠ(1981~89年)GⅡ(1973~80、1990~99年) | 施行時期:7月第2週 | |||
アーリントンパーク競馬場の開場3年目に創設された。創設当初はダート戦で、1969~71年の休止期間を挟んで芝競走に変更となった。長年に渡って同競馬場の古馬出走可能な競走としては中心的な存在であり、エクワポイズ、ディスカヴァリー、ブッシャー、アームド、コールタウン、ラウンドテーブルといった歴史的名馬が勝利を収めている。芝競走時代にもGⅠ競走に格付けられていた時期があるなど、同競馬場の主要競走の1つとしての地位を保っていたが、今世紀に入ってから価値が大きく下落した。創設当初からしばらくは概ね距離10ハロンで、1953年に9.5ハロン、1977年に12ハロン、1984年に10ハロンとなった。2015年は9.5ハロンで施行されている。
名称:サンセットH(廃止) | 英名:Sunset Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1938年 | 格付け:GⅢ(2010~13年)GⅡ(1990~2009年)GⅠ(1973~89年) | 施行時期:7月第2週 | |||
米国西海岸を代表する芝の大競走だったが、1990年代からどんどん価値が下がり、2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると本競走は他競馬場に移されずに運命を共にした。創設当初はダート戦で、その後はダートと芝の間をしばらく行き来し、1967年から芝で固定された。創設当初の名称は「アロハH」で、1940年に「サンセットH」となった。なお、1984・85年のみ「シーザーズパレスターフ選手権H」という名称で施行されたことがある。創設当初の距離は9ハロンで、2年目の1939年に12ハロン、1955年に13ハロン、1969年に16ハロンと概ねどんどん伸びていったが、1973年に12ハロンに短縮されると廃止までこの距離で施行された。
名称:エディリードH | 英名:Eddie Read Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州デルマー競馬場 | 距離等:芝9ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1974年 | 格付け:GⅠ(1988年~)GⅡ(1982~87年)GⅢ(1980・81年) | 施行時期:7月第3週 | |||
米国西海岸における芝の重要競走の1つ。創設から一貫して芝9ハロンで施行されており、施行時期の変遷もそれほどない。シーズンの最終目標としてBCマイルを目指す馬とBCターフを目指す馬が両方出走してくる事例が多く、出走馬のレベルは自ずと高くなっている。
名称:ソードダンサー招待S | 英名:Sword Dancer Invitational Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1975年 | 格付け:GⅠ(1984年~)GⅡ(1982・83年)GⅢ(1981年) | 施行時期:8月第3週 | |||
米国東海岸における芝12ハロン路線の大競走で、BCターフを最大目標とする馬が多く参戦してきてレベルが高い戦いが展開される事が多い。名称は米国の歴史的名馬ソードダンサーに由来する。創設当初はダート6ハロンで、1977年に芝8.5ハロン、1980年に芝12ハロンとなった。基本的に古馬混合戦だが、ダート戦だった1975・76年のみ3歳馬限定戦だった。2004年まではハンデ戦として施行されており、2005年から別定重量戦となった。
名称:アーリントンミリオンS | 英名:Arlington Million Stakes | ||||
場所:イリノイ州アーリントンパーク競馬場 | 距離等:芝10ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1981年 | 格付け:GⅠ(1983年~) | 施行時期:8月第3週 | |||
1981年に世界初の100万ドル競走として創設されたため、この名称が付いている。第1回において米国の歴史的名馬となるジョンヘンリーが大激戦を制して勝利したため、当時はまだ米国西海岸の有力馬としてしか認知されていなかったジョンヘンリー共々全米中に知られるようになった。現在でもブリーダーズカップの競走を除けば米国の芝競走の中で最高の地位を誇っている。1998・99年はアーリントンパーク競馬場が閉鎖中だったため施行されなかった。1988年にもアーリントンパーク競馬場が改修のため使用できなかったが、この時は加国ウッドバイン競馬場で代替開催された。創設から1987年まではビール会社のアドバイザー社がスポンサーだったため、「バドワイザーミリオン」又は「バドワイザー・アーリントンミリオン」と呼称されることが多かった。
名称:マンノウォーS | 英名:Man O' War Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:芝11ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1959年 | 格付け:GⅠ(1973年~) | 施行時期:9月第1週(→5月第2週) | |||
米国の芝競走としては唯一1973年のグレード制度導入時から現在まで一貫してGⅠ競走の地位を保っている米国有数の芝の大競走。名称は言うまでもなく米国競馬史上最高の名馬マンノウォーに由来する。創設当初は距離12ハロンで、その後は12ハロンと13ハロンの間を行き来していたが、1978年に11ハロンに固定された。1959・61年の2回だけハンデ戦として施行されている。施行場所、距離、格付けは近年の変更は無いが、施行時期のみ変更されている。以前は9~10月開催だったのが、2008年に7月開催、2014年に5月開催となった。そのため以前はBCターフ等の前哨戦としての役割も担っていたが、現在はその役割は無くなっている。
名称:バーナードバルークH | 英名:Bernard Baruch Handicap | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:芝9ハロン(→芝8.5ハロン) | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1959年 | 格付け:GⅡ(1984~87、1990年~)GⅠ(1988・89年)GⅢ(1973~83年) | 施行時期:9月第1週 | |||
GⅠ競走に格付けられていた時期もあるが、どちらかと言えばBCマイルを最大目標とする馬の足慣らしとして使われることが多い。名称はウッドロー・ウィルソンとフランクリン・ルーズベルトの両大統領の経済顧問を務める傍らで馬主活動もしていたバーナード・マネス・バルーク氏に由来する。創設当初はダート9ハロンで施行されていたが、1962年に芝8.5ハロン、1972年に芝9ハロン、1979年にダート9ハロン、1980年に芝11ハロン、1981年に芝9ハロン、2012年に芝8.5ハロンとなった。また、創設当初は3歳馬限定戦で、古馬混合戦となったのは1961年から。
名称:ノーザンダンサーターフS(ナイアガラBCH) | 英名: Northern Dancer Turf Stakes(Niagara Breeders' Cup Handicap) | ||||
場所:加国・ウッドバイン競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1953年 | 格付け:GⅠ(2002、2008年~)GⅡ(1999~2001、2003~07年) | 施行時期:9月第2週 | |||
GⅠ競走ではあるが、基本的には加国際S、さらにはその後のBCターフの前哨戦としての位置づけである。創設当初の名称は「ナイアガラH」で、1996年に「ナイアガラBCH」と、2006年に加国が世界に誇る大種牡馬ノーザンダンサーの名を冠した「ノーザンダンサーBCターフH」と、2008年に改めてGⅠ競走に格付けられると同時に定量戦となり現行の名称「ノーザンダンサーターフS」となった。創設から4年間はダート8.5ハロン戦であり、5年目の1957年から芝競走となった(1986年のみダートで施行されている)。芝変更後の距離は、1957年から11ハロン、1976年から12ハロン、1990年から10ハロン、1995年から12ハロンとなっている。
名称:ジョーハーシュターフクラシック招待S | 英名:Joe Hirsch Turf Classic Invitational Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1977年 | 格付け:GⅠ(1979年~) | 施行時期:9月第4週 | |||
歴史は比較的新しいが、創設3年目にGⅠ競走に格付けられてから一貫してその地位を保っている米国芝路線を代表する大競走。もっとも、BCターフの創設後はその前哨戦としての役割を担う事も多い。創設当初は「ターフクラシックS」、1991年以降は「ターフクラシック招待S」という名称だったが、チャーチルダウンズ競馬場で似たような名称の「ETターフクラシックS」が施行されていたため混同しやすく、そのためか2004年に全米競馬記者協会の創設者ジョー・ハーシュ氏の名を冠した現行の名称に改名された。それでも混同しやすいことには変わりが無く、筆者も時々混乱する。
名称:ジョンヘンリーターフCSS(クレメントLハーシュ記念ターフCS) | 英名:John Henry Turf Championship Stakes (Clement L. Hirsh Memorial Turf Championship) | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:芝10ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1969年 | 格付け:GⅡ(2011年~)GⅠ(1973~2010年) | 施行時期:9月第4週 | |||
米国の芝競走としてはチャールズウィッティンガム記念H、マンノウォーSと並んで1973年のグレード制度導入時から一貫してGⅠ競走の地位を保っている米国有数の芝の大競走だったが、2011年にGⅡ競走に降格となってしまった。現在ではBCターフの前哨戦としての意味合いも強くなっている。創設当初は「オークツリー招待S」という名称で、1996年に「オークツリーターフチャンピオンシップ」と、2000年に「クレメントLハーシュターフチャンピオンシップ」と、2003年に「クレメントLハーシュ記念ターフチャンピオンシップ」となった。なお、2000年に牝馬限定戦の「チュラヴィスタH」が「クレメントLハーシュH」と改名されたため、この時期は混同しやすかった。2010年に主催者のオークツリー競馬協会とサンタアニタパーク競馬場の所有者ストロナックグループとの賃貸借契約がこじれて契約解除が決定され、その後2年間オークツリー競馬協会がサンタアニタパーク競馬場を使用しなかったためにオークツリー競馬協会が命名した競走名が2012年に一斉変更されると、名馬ジョンヘンリーの名を冠した現行の名称になった。創設当初からしばらくは距離12ハロンで、現行の10ハロンになったのは1995年。
名称:加国際S(カナディアンインターナショナルS) | 英名:Canadian International Stakes | ||||
場所:加国・ウッドバイン競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1938年 | 格付け:GⅠ(1975年~)GⅡ(1973・74年) | 施行時期:10月第2週 | |||
加国産馬限定戦を除けば間違いなく加国最大の競走。BCターフの前哨戦としての役割を担う事もあるが、BCターフではなく本競走を目標として北米に遠征してくる有力欧州馬もいるほどである。歴史的に出走要件・施行条件・名称の変遷はかなり激しい。まず出走要件だが、創設1年目は加国産の3歳馬限定戦だった。2年目にはカナダ人所有の3歳馬限定戦に変更。3年目にはカナダ居住者所有の2・3歳馬混合戦に変更。その後も参戦させるために必要な所有者の条件が色々設定された。1954年になって所有者制限が撤廃されると同時に3歳馬と古馬の混合戦となり、これ以降は出走要件に変動は無い。次に施行条件だが、創設当初はダート競走で距離は8.5ハロン、1953年に9ハロン、1955年に9.5ハロン、1956年に13ハロンとなった。1958年から芝競走となり、しばらくは13ハロンで施行されたが、1987年に12ハロンになって現在に至る。最後に名称だが、創設1年目は「ロングブランチチャンピオンシップ」、1939年からは「カナダチャンピオンシップS」、1956年からは「カナダインターナショナルチャンピオンシップS(加国際CSS)」、1981年からは「ロスマンズインターナショナル」となり、1996年から現行の名称となった。
名称:カールトンFバークH(廃止) | 英名:Carleton F. Burke Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:芝10ハロン(→芝12ハロン) | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1969年 | 格付け:GⅢ(1998年~2007年)GⅡ(1973~84、1990~97年)GⅠ(1985~89年) | 施行時期:10月第4週 | |||
GⅠ競走だった期間もあるが、施行時期がブリーダーズカップと被るために出走馬のレベルが下がり、2007年を最後に廃止された。名称はカリフォルニア競馬協会の初代会長カールトン・F・バーク氏に由来する。創設当初は距離10ハロンで、1995年に12ハロンに延長されて廃止まで同距離で施行された。
名称:BCターフ | 英名:Breeders' Cup Turf | ||||
場所:持ち回り | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1984年 | 格付け:GⅠ(1984年~) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの2日目に施行される。ブリーダーズカップの創設1年目から存在している7競走のうちの1つで、北米の芝12ハロン路線における最強馬決定戦。欧州の12ハロン路線の有力馬も毎年のように参戦しており、北米調教馬と欧州馬の対戦成績はほぼ互角である。凱旋門賞から臨戦してくる馬も多いが、凱旋門賞優勝馬が本競走を勝った事例は無く(2着が最高)、凱旋門賞で全力を出し切ったために余力が残っていない有力欧州馬よりも、そうではない欧州馬の活躍のほうが目立っている。その意味においては、本競走は芝12ハロン路線における北米最強馬決定戦ではあっても、芝12ハロン路線における世界最強馬決定戦としての地位は有していないと言える。
名称:ワシントンDC国際S(廃止) | 英名:Washington D.C. International Stakes | ||||
場所:メリーランド州ローレルパーク競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1952年 | 格付け:GⅠ(1973~94年) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬史上初の国際招待競走として創設され、米国芝路線の有力馬だけでなく、ダート路線の有力馬、そして欧州・日本・共産圏などからも有力馬が集結して、米国のみならず世界全体における芝最強馬を決める戦いが繰り広げられた。その当時は米国における最も重要な競走の1つだったが、1984年にブリーダーズカップが創設されると、BCターフにその座を取って代わられた本競走の存在価値は一気に低下。1985年まで一貫して12ハロンで行われていたが、1986年以降は10ハロンに変更したり、1993年には試みにマイル戦として実施してみたり、ビール会社バドワイザー社の支援を受けたりして、立て直す試みが成された。しかし結局それらの努力が実を結ぶことは無く、1994年を最後に廃止された。
名称:ハリウッドターフC | 英名:Hollywood Turf Cup Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→デルマー競馬場) | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳以上 | |||
創設:1981年 | 格付け:GⅡ(2012年~)GⅠ(1983~2011年) | 施行時期:12月第1週 | |||
米国西海岸における年末の芝の大競走だったが、2012年からGⅡ競走に降格となってしまった。創設から基本的に距離12ハロンで施行されているが、1982・83年は11ハロンだった。2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されるとデルマー競馬場に移されたが、名称は変更されていない。
古馬出走可能芝競走(短距離~マイル路線・牝馬)
名称:ジェニーワイリーS | 英名:Jenny Wiley Stakes | ||||
場所:ケンタッキー州キーンランド競馬場 | 距離等:芝8.5ハロン | 出走馬:4歳以上牝馬 | |||
創設:1989年 | 格付け:GⅠ(2012年~)GⅡ(2006~11年)GⅢ(1995~2005年) | 施行時期:4月第2週 | |||
歴史は比較的新しいが、着実に価値を上げて、現在では芝路線の有力牝馬が集結するケンタッキー州の大競走としての地位を確立している。名称は18世紀末に捕虜となり家族や自分の子どもを皆殺しにされながらもそれに耐えて脱走に成功したネイティヴ・アメリカンの女性ジェニー・ワイリー夫人に由来する。
名称:ジャストアゲームS | 英名:Just a Game Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:4歳以上牝馬 | |||
創設:1992年 | 格付け:GⅠ(2008年~)GⅡ(2004~07年)GⅢ(1997~2003年) | 施行時期:6月第1週 | |||
1980年のエクリプス賞最優秀芝牝馬ジャストアゲームを記念して創設された比較的歴史が新しい競走。しかしとんとん拍子に格が上がり、現在では上半期における芝路線の古馬牝馬最強マイラー決定戦と言える地位を手にしている。ベルモントSと同日に施行される。現在は別定重量戦だが、2005年まではハンデ戦だった。
名称:ファーストレディS | 英名:First Lady Stakes | ||||
場所:ケンタッキー州キーンランド競馬場 | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1998年 | 格付け:GⅠ(2008年~)GⅡ(2001~07年)GⅢ(2000年) | 施行時期:10月第1週 | |||
歴史は浅いが、既にケンタッキー州の芝牝馬マイル路線の重要競走となっている。2000年にケンタッキー州の有力馬産団体ウインスターファームがスポンサーになった際にいったん「ギャラクシーS」と改名されたが、2006年に元の名称に戻っている。創設当初は距離9.5ハロンだったが、2005年から8ハロンに短縮された。距離的にはBCマイルの前哨戦的な意味合いもあるが、実際にはBCフィリー&メアターフの前哨戦としての意味合いのほうが強く、本競走を叩いてBCフィリー&メアターフを勝った馬は複数いる。
名称:メイトリアークS | 英名:Matriarch Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→デルマー競馬場) | 距離等:芝8ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1981年 | 格付け:GⅠ(1983年~) | 施行時期:11月第4週 | |||
米国西海岸の牝馬限定芝路線の締めくくり競走。時期的にブリーダーズカップの後であるため、BCフィリー&メアターフで負けてしまった有力馬の敗者復活戦としての位置づけでもある。創設当初は距離9ハロンで、1995年に10ハロン、1999年に9ハロン、2003年に現行の8ハロンとなった。2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると2014年からデルマー競馬場に移されたが、施行場所以外の変更は無い。
古馬出走可能芝競走(9ハロン以上・牝馬)
名称:サンタアナS | 英名:Santa Ana Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:芝9ハロン | 出走馬:4歳以上牝馬 | |||
創設:1968年 | 格付け:GⅡ(1982・83、1997年~)GⅠ(1984~96年)GⅢ(1981年) | 施行時期:3月第2週 | |||
米国西海岸における重要な芝の牝馬限定戦。GⅠ競走からGⅡ競走に降格になって久しいが、出走馬のレベルはGⅠ競走時代とそれほど変化はないようである。創設から一貫して距離9ハロンで施行されている。基本的に芝競走だが、1981~83年と1986年はダート戦だった。創設からずっとハンデ戦だったが、2011年に別定重量戦となった。
名称:サンタバーバラH | 英名:Santa Barbara Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:芝10ハロン | 出走馬:4歳以上牝馬 | |||
創設:1935年 | 格付け:GⅢ(2014年~)GⅡ(1996~2013年)GⅠ(1973~95年) | 施行時期:4月第3週 | |||
米国西海岸における重要な芝の牝馬限定戦の1つだったが、近年は価値が大きく下がっている。施行条件の変遷がかなり激しく、創設当初はダート3ハロンの牡馬混合2歳戦だった。1942~45年の休止期間を経て1946年にダート7ハロンの古馬戦となるも、翌年から1951年までまたも休止。1952年にカリフォルニア州産馬限定の3歳馬限定戦として再開され、短期間で複数の距離で施行されるも、1959~61年までまたも休止。1962年の復活時に芝10ハロンの牝馬限定戦となった。この復活時からしばらくは3歳馬出走可能だったが、1966年から古馬限定戦となった。1962年以降の距離の変遷はほぼ無い(2007年だけ9ハロンで実施)が、1973・1977・1982年の3回はダートで施行されている。
名称:ゲイムリーS | 英名:Gamely Stakes | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→サンタアニタパーク競馬場) | 距離等:芝9ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1939年 | 格付け:GⅠ(1983年~)GⅡ(1973~75、1977~82年) | 施行時期:5月第4週 | |||
米国西海岸における牝馬限定の芝の大競走。創設当初は「ロングビーチH」という名称だったが、1975年に名牝ゲイムリーが11歳の若さで他界すると、翌年にその名を冠して「ゲイムリーH」に改名された。1997年には「BC」が付いて「ゲイムリーBCH」となり、2008年に現行の名称となると同時に別定重量戦となった。2013年にハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると2014年からはサンタアニタパーク競馬場で施行されているが、施行時期や距離など、開催場所以外の変更は無かった。
名称:レッドカーペットH(ビヴァリーヒルズH) | 英名:Red Carpet Handicap(Beverly Hills Handicap) | ||||
場所:カリフォルニア州ハリウッドパーク競馬場(→デルマー競馬場) | 距離等:芝10ハロン(→芝11ハロン) | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1938年 | 格付け:GⅢ(2010年~)GⅡ(1973~87、2003~09年)GⅠ(1988~2002年) | 施行時期:6月第4週(→11月第3週) | |||
1990年代においては米国西海岸における重要な芝の牝馬限定戦だったが、21世紀に入ってからどんどん格が下がり、現在ではGⅢ競走になっている。創設は一応1938年としたが、1年目と2年目はカリフォルニア州産馬限定の牡馬古馬混合戦であり、しかも1940~67年まで長期中断期間があり、1968年の復活時に牝馬限定戦となったため、この1968年が事実上の創設年であると言える。最初の2回は距離8.5ハロンで、復活時は11ハロン、1976年に9ハロン、1996年に10ハロン、2014年に11ハロンとなった。名称は創設から長らく「ビヴァリーヒルズH」だったが、2013年の休止を経て2014年から「レッドカーペットH」となっている。また、施行場所だったハリウッドパーク競馬場が閉鎖されたため2014年からはデルマー競馬場開催となり、施行時期もそれまでの6月から11月に移された。
名称:ダイアナS | 英名:Diana Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州サラトガ競馬場 | 距離等:芝9ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1939年 | 格付け:GⅠ(2003年~)GⅡ(1973~2002年) | 施行時期:7月第4週 | |||
米国東海岸における牝馬限定の芝の大競走の1つ。創設からずっとダート9ハロン戦だったが、1973年に芝9ハロン戦に変更された。また、2004年までずっとハンデ戦だったが、2005年から別定重量戦となった。
名称:ジョンCメイビーH | 英名:John C. Mabee Handicap | ||||
場所:カリフォルニア州デルマー競馬場 | 距離等:芝9ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1945年 | 格付け:GⅡ(1980~83、2010年~)GⅠ(1984~2009年)GⅢ(1973~79年) | 施行時期:8月第2週 | |||
創設からかなり長い期間に渡って「ラモナH」という名称だったが、2002年にデルマーサラブレッドグラブ会長のジョン・メイビー氏が死去すると、彼の功績を讃えて翌年に改名された。創設は一応1945年だが、1946~58年までは開催されなかった。距離は創設年のみ8ハロンで、2回目以降からは現在まで一貫して9ハロン。ただし1969年まではダート戦であり、芝競走になったのは1970年から。
名称:マッチメーカーS | 英名:Matchmaker Stakes | ||||
場所:ニュージャージー州モンマスパーク競馬場 | 距離等:芝9.5ハロン(→芝9ハロン) | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1967年 | 格付け:GⅢ(1997年~)GⅡ(1980~96年)GⅠ(1973~79年) | 施行時期:8月第2週 | |||
創設から1970年代までの10年強はニュージャージー州のみならず全米で見ても重要な牝馬限定戦の1つだったが、1980年代以降はどんどん価値が下がっている。現在はケンタッキー州の馬産団体ウインスターファームがスポンサーであるため、「ウインスターマッチメーカーS」と呼称されることもある。創設当初はダート9.5ハロン戦で、1979年から芝9.5ハロン、1997年から芝9ハロンとなった。芝変更後も1983・2009年は大雨の影響などでダート戦となっている。基本的に別定重量戦だが、2002・03年はハンデ戦だった。
名称:ビヴァリーDS | 英名:Beverly D. Stakes | ||||
場所:イリノイ州アーリントンパーク競馬場 | 距離等:芝9.5ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1985年 | 格付け:GⅠ(1991年~) | 施行時期:8月第3週 | |||
歴史は比較的新しいが、かなり早い段階から芝路線を進む牝馬の目標競走の1つとなっており、ブリーダーズカップを別格とすれば米国における牝馬限定の芝競走としては屈指の大競走である。アーリントンパーク競馬場が改修中だった1988年と、同競馬場が経営難のため閉鎖されていた1998・99は施行されなかった。距離や出走条件、施行時期などは創設から全く変更なしである。名称はアーリントンパーク競馬場の代表者リチャード・L・ダッチョソワ氏が亡き妻ビヴァリー・ダッチョソワ夫人を偲んで命名したものである。
名称:ロデオドライブS(イエローリボンS) | 英名:Rodeo Drive Stakes(Yellow Ribbon Stakes) | ||||
場所:カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場 | 距離等:芝10ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1977年 | 格付け:GⅠ(1979年~) | 施行時期:9月第4週 | |||
歴史は比較的新しいが、創設3年目にGⅠ競走に格付けされると現在まで一貫してその地位を保っている、米国西海岸における最重要牝馬限定芝競走。BCフィリー&メアターフの創設後は同競走の重要な前哨戦として位置付けられているが、本競走を叩いて本番を勝った馬は2015年現在皆無である。創設当初の名称はその4年前の1973年に発表された有名歌「幸せの黄色いリボン」にちなんだ「イエローリボンS」だった。2010年に主催者のオークツリー競馬協会とサンタアニタパーク競馬場の所有者ストロナックグループとの賃貸借契約がこじれて契約解除が決定され、その後2年間オークツリー競馬協会がサンタアニタパーク競馬場を使用しなかったためにオークツリー競馬協会が命名した競走名が2012年に一斉変更されると、本競走も現行の名称になった。
名称:フラワーボウル招待S | 英名:Flower Bowl Invitational Stakes | ||||
場所:ニューヨーク州ベルモントパーク競馬場 | 距離等:芝10ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1978年 | 格付け:GⅠ(1982年~)GⅡ(1980・81年) | 施行時期:10月第1週 | |||
BCフィリー&メアターフが創設される前は米国芝牝馬路線における最重要競走の1つだった。現在ではBCフィリー&メアターフの最重要前哨戦という位置づけであり、BCフィリー&メアターフの歴代優勝馬は本競走からの臨戦馬が最も多い。創設から基本的に芝10ハロン戦だが、1987年のみダート10ハロンで施行された。名称はボウルオブフラワーズ、グロースターク、ヒズマジェスティの3姉弟を産んだ名繁殖牝馬フラワーボウルに由来する。
名称:EPテイラーS | 英名:E. P. Taylor Stakes | ||||
場所:加国・ウッドバイン競馬場 | 距離等:芝10ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1956年 | 格付け:GⅠ(1988・89、1999年~)GⅡ(1982~87、1990~98年)GⅢ(1977~81年) | 施行時期:10月第2週 | |||
加国際Sと同日に施行される、加国競馬における芝路線の最強牝馬決定戦。米国や欧州からの参戦も多い。創設当初は「ネッティーH」という名称だったが、1981年に加国の名馬産家エドワード・プランケット・テイラー氏を記念して改名された。創設当初はダート8.5ハロンで、1964年にダート9ハロン、1968年に芝10ハロンとなって現在に至る。1976年まではハンデ戦だった。
名称:BCフィリー&メアターフ | 英名:Breeders' Cup Filly & Mare Turf | ||||
場所:持ち回り | 距離等:芝10又は11ハロン | 出走馬:3歳以上牝馬 | |||
創設:1999年 | 格付け:GⅠ(1999年~) | 施行時期:11月第1週 | |||
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの2日目に施行される。ブリーダーズカップ8番目の競走として1999年に創設された、北米の芝路線における最強牝馬決定戦。欧州の有力牝馬も毎年のように参戦してくるため、芝路線における世界最強牝馬決定戦とも言える。やや北米調教馬が優勢だが、芝競走だけに欧州馬の活躍も目立つ。距離は施行競馬場によって異なり、10ハロンの年と11ハロンの年がある。キーンランド競馬場で施行された2015年は初めて9.5ハロンという距離で施行された。
加国産馬限定競走
名称:カップ&ソーサーS | 英名:Cup and Saucer Stakes | ||||
場所:加国・ウッドバイン競馬場 | 距離等:芝8.5ハロン | 出走馬:2歳馬 加国産馬のみ | |||
創設:1937年 | 格付け:なし | 施行時期:10月第2週 | |||
加国の伝統的な2歳戦で、加国産馬限定の2歳戦としてはコロネーションフューチュリティSに次ぐ賞金と権威を有する。コロネーションフューチュリティSはダート(現在はオールウェザー)であるため、芝を得意とする2歳馬にとってはこちらが最大目標となるが、両方に出走する馬も少なくない。加国産馬しか出走できないため、国際グレード競走には指定されない。創設当初は距離8ハロン70ヤードで、1953年に現行の8.5ハロンとなった。
名称:コロネーションフューチュリティS | 英名:Coronation Futurity Stakes | ||||
場所:加国・ウッドバイン競馬場 | 距離等:オールウェザー9ハロン | 出走馬:2歳馬 加国産馬のみ | |||
創設:1902年 | 格付け:なし | 施行時期:11月第1週 | |||
加国の伝統的な2歳戦で、加国産馬限定の2歳戦としては最も賞金が高く権威も最も高い。加国産馬しか出走できないため、国際グレード競走には指定されない。1902年に英国王エドワードⅦ世の戴冠式を記念して創設された。創設当初は距離4ハロンで、1909年に4.5ハロン、1920年に5ハロン、1927年に6ハロン、1941年に8ハロン、1949年に8ハロン70ヤード、1958年に8.5ハロン、1961年に9ハロンと段階的に距離が伸びている。1961年以降に距離の変遷は無いが、2007年からはダートでは無くオールウェザーで施行されている。
名称:ウッドバインオークス(加オークス) | 英名:Woodbine Oaks(Canadian Oaks) | ||||
場所:加国・ウッドバイン競馬場 | 距離等:オールウェザー9ハロン | 出走馬:3歳牝馬 加国産馬のみ | |||
創設:1956年 | 格付け:なし | 施行時期:6月第2週 | |||
カナダのオークス。バイソンシティS・ワンダーウェアSと共に加国牝馬三冠競走路線を形成しており、その第1戦に当たる。他の2競走や加国三冠競走と同じく加国産馬しか出走できないため、国際グレード競走には指定されない。施行時期が加国三冠競走の第1戦にして加国最大の競走であるクイーンズプレートより3週間ほど前であるため、本当に強い牝馬は本競走を勝った後に加国牝馬三冠競走路線を進まずに加国三冠競走に進む事もしばしばある。2001年までは「カナディアンオークス」という名称で、2002年から「ウッドバインオークス」となった。創設当初は距離8.5ハロンで、現行の9ハロンになったのは1959年。2007年からはダートでは無くオールウェザーで施行されている。
名称:クイーンズプレート | 英名:Queen's Plate Stakes | ||||
場所:加国・ウッドバイン競馬場 | 距離等:オールウェザー10ハロン | 出走馬:3歳馬 加国産馬のみ | |||
創設:1860年 | 格付け:なし | 施行時期:7月第1週 | |||
加国三冠競走の第1戦。加国における最大の競走で、加国のダービーに相当するとも言われる。加国産馬しか出走できないために国際グレード制度に基づく格付けは受けられない。加国における現存するステークス競走の中では最も歴史が長いだけでなく、米国における現存する最古のステークス競走である1864年創設のトラヴァーズSより4年前に創設されているから、北米最古のステークス競走でもある。名称はカナダの国王も兼ねている英国王に由来しており、英国王が男性の時代には「キングズプレート」、女性の場合には「クイーンズプレート」となっている。現在の英国王はエリザベスⅡ世女王陛下であるため、競走名は「クイーンズプレート」である。創設当初はヒート競走で施行されていたが、1867年限りでその方式は廃止された。距離は創設当初が8ハロン、1868年に16ハロン、1871年に14ハロン、1872年に12ハロン、1887年に10ハロン、1925年に9ハロン、1957年に現行の10ハロンとなった。芝で施行されたことは無いが、2007年からはダートでは無くオールウェザーで施行されており、オールウェザーがかなり衰退した現在では世界最大のオールウェザー競走であるとも言える。出走条件の変遷は距離と同じように激しく、未勝利馬しか出走できない時期があったり、古馬が出走可能な時期があったりした。
名称:プリンスオブウェールズS | 英名:Prince of Wales Stakes | ||||
場所:加国・フォートエリー競馬場 | 距離等:ダート9.5ハロン | 出走馬:3歳馬 加国産馬のみ | |||
創設:1929年 | 格付け:なし | 施行時期:7月第4週 | |||
クイーンズプレートに続く加国三冠競走の第2戦。加国三冠競走3戦の中では最も創設が新しく、本競走の創設をもって加国三冠競走路線が成立したのだが、実際に加国三冠競走という路線が確立されたのは1960年頃の話らしい。クイーンズプレートと同じく加国産馬しか出走できないため、国際グレード競走には指定されない。英国に同名の競走が存在するため、「加プリンスオブウェールズS」と表記される場合もある。創設当初は距離9ハロンで、1932年に8.5ハロン、1950年に9.5ハロン、1951年に8.5ハロン、1957年に9ハロン、1959年に11ハロン、1976年に12ハロン、1988年に現行の9.5ハロンとなった。
名称:ブリーダーズS | 英名:Breeders' Stakes | ||||
場所:加国・ウッドバイン競馬場 | 距離等:芝12ハロン | 出走馬:3歳馬 加国産馬のみ | |||
創設:1889年 | 格付け:なし | 施行時期:8月第3週 | |||
クイーンズプレート・プリンスオブウェールズSに続く加国三冠競走の最終戦。前2競走と異なり芝競走である。クイーンズプレートは現在オールウェザー、プリンスオブウェールズSはダートであるから、現在加国三冠馬になるためには3つの異なる馬場を全てこなさなければならない。他の2競走と同じく加国産馬しか出走できないため、国際グレード競走には指定されない。創設当初は距離9ハロンで、1925年に8.5ハロン、1952年に9ハロン、1957年に現行の12ハロンとなった。
障害競走
名称:米グランドナショナル(BCグランドナショナル) | 英名:American Grand National(Breeders' Cup Grand National) | ||||
場所:ニュージャージー州ファーヒルズ競馬場 | 距離等:21ハロン | 出走馬:4歳以上 | |||
創設:1897年 | 格付け:GⅠ(1996年~) | 施行時期:10月第3週 | |||
英国の英グランドナショナルに倣って創設された米国版のグランドナショナルで、米国における最大の障害競走である。障害は合計14ある。しかし平地競走より障害競走のほうが人気が高い英国や愛国と異なり、米国ではあからさまに障害競走の人気が低い。1994年から2006年まで本競走はブリーダーズカップの一環として施行されており、この時期の名称は「BCグランドナショナル」だった。しかし障害競走を施行できる競馬場は限られているため、他のブリーダーズカップの競走と異なり各地の競馬場の持ち回りでは無く一貫してファーヒルズ競馬場で施行されており、施行時期も異なっていた。それ自体は障害競走の特性から止むを得ないとも言えるが、問題はブリーダーズカップの競走であるにも関わらず馬券発売さえされなかった点であり、米国における障害競走の人気がいかに低いかを物語っている。本競走に関しても参考資料によって書いてある内容がまちまちであり、どれが真実なのか筆者には判別不能である(一番信頼できそうな米ブラッドホース誌の資料に基づいてこの説明を書いている)。それでも豪州のように障害競走の縮小という事態に陥らないのは、米国における障害競走の地位向上に尽力を続けている団体があるからである。本競走は年によって名称に「ハードル」が付いたり「スティープルチェイス」が付いたりしているが、ツスカリーの項に記載したように米国の障害競走は置障害競走ナショナルフェンスと固定障害競走ティンバーフェンスに大別され、本競走を含めて大半はナショナルフェンスであるから、「ハードル」と「チェイス」が明確に区分けされている欧州と異なり米国ではこの2つの言葉には明確な区別がされていない様子である。
※概要欄の施行場所、距離等、施行時期などは基本的に直近の条件を表示していますが、米国の競走は条件の変更が頻繁にあり、中には直近の条件のみを表示すると当競走の概要が正しく伝わらない場合があります。例えば、2013年限りでハリウッドパーク競馬場が閉鎖されると同競馬場で施行されていた競走の多くはサンタアニタパーク競馬場など他の競馬場に移されましたが、それを「施行場所:サンタアニタパーク競馬場」と表記すると長年に渡ってハリウッドパーク競馬場で施行されていた競走であるという点が一見して伝わりません。GⅠ競走だった時期にはダート競走だったけれどもGⅡ競走以下に降格となった後に芝競走に変更した競走を「距離等:芝8.5ハロン」と表記すると、同競走は全盛期から芝競走だったように見えてしまいますし、GⅠ競走だった時期には9月に施行されていたのにGⅡ競走以下に降格となった後に1月開催に変更された競走を「施行時期:1月第1週」と表記すると、同競走は全盛期から1月開催だったように見えてしまいます。上記のような場合には「施行場所:ハリウッドパーク競馬場(→サンタアニタパーク競馬場)」「距離等:ダート9ハロン(→芝8.5ハロン)」「施行時期:9月第3週(→1月第1週)」のように変更前の条件と変更後の条件を概要欄に表記し、詳細に関しては本文中で説明するようにしました。
※施行時期は週単位で表記していますが、大半の競走は毎年施行時期が微妙に変更されますので、あくまでも目安程度に考えてください。北米ではカリフォルニア州の競馬場を中心にダートがオールウェザーに変更された時期がありましたが、結局オールウェザーをダートに戻したカリフォルニア州の競馬場で施行されている競走に関しては概要欄にも本文中にもその旨は記載していません(現在もオールウェザーを続けているイリノイ州アーリントンパーク競馬場や加国ウッドバイン競馬場に関しては記載しています)。距離や芝・ダートの条件変更の歴史に関してはある程度詳細に記載しましたが、施行競馬場の変更の歴史に関してはそれを詳細に記載すると煩雑になるため、近年の変更でない限りは基本的に省略しました。