ドリームアヘッド

和名:ドリームアヘッド

英名:Dream Ahead

2008年生

鹿毛

父:ディクタット

母:ランドオブドリームズ

母父:カドゥージェネルー

圧勝やスリリングな大接戦などで短距離GⅠ競走を5勝した2011年のカルティエ賞最優秀短距離馬

競走成績:2・3歳時に英仏で走り通算成績9戦6勝

誕生からデビュー前まで

米国ケンタッキー州ダーレースタッドの生産馬で、1歳9月のキーンランドセールに出品され、競馬エージェンシーのフェデリコ・バルベリーニ氏により1万1千ドルで購入された。バルベリーニ氏は、かつて英ダービー馬シャーミットを自身で生産・所有したドバイの実業家カリファ・ダスマル氏に本馬を薦めた。ダスマル氏は購入を渋ったらしいが、結局は本馬を3万6千ポンドで購入する事に同意。ダスマル氏の所有馬となった本馬は、英国デビッド・シムコック調教師に預けられた。

競走生活(2歳時)

2歳7月にノッテンガム競馬場で行われた芝6ハロンの未勝利ステークスで、主戦となるウィリアム・ビュイック騎手を鞍上にデビュー。単勝オッズ2.75倍で12頭立ての1番人気に支持された。レース序盤は行き脚がつかずに後方からの競馬となっていたが、2ハロンほど走ったところから加速すると、残り2ハロン地点で先行馬勢に取り付いた。残り1ハロン地点から左側に大きくよれながらも一気に後続馬を引き離すと、2着フォーマルデマンドに9馬身差をつけて圧勝し、鮮烈なデビューを飾った。

その後は仏国に向かい、8月のモルニ賞(仏GⅠ・T1200m)に出走した。ジュライS・リッチモンドSなど3戦無敗のリブランノ、プリンセスマーガレットSの勝ち馬でチェリーヒントンS2着のソラーヤ、ボワ賞を勝ってきたケラティヤ、ロベールパパン賞の勝ち馬でボワ賞2着のプロリフィックチャンピオン、カブール賞を勝ってきたポンテヌオーヴォ、ロベールパパン賞2着馬ブルックスなどが対戦相手となった。リブランノが単勝オッズ3.25倍の1番人気、ソラーヤとケラティヤが並んで単勝オッズ6倍の2番人気、プロリフィックチャンピオンが単勝オッズ8倍の4番人気で、本馬は単勝オッズ9倍でポンテヌオーヴォと並ぶ5番人気だった。ここでは馬群の中団でレースを進めると、残り300m地点から加速を開始。残り150m地点で先頭に立つと、ゴール前で左側によれながらも、2着に追い込んできた単勝オッズ34倍の9番人気馬ティンホース(後の仏2000ギニー勝ち馬)に1馬身半差をつけて勝利した。

地元に戻ってきた本馬は、10月のミドルパークS(英GⅠ・T6F)に出走した。コヴェントリーSの勝ち馬で愛フェニックスS3着のストロングスート、ミルリーフSを勝ってきたテンプルミーズ、ノーフォークS・ジムクラックSの勝ち馬で英シャンペンS2着のアプルーヴ、前走5着のプロリフィックチャンピオンなどが対戦相手となった。本馬が単勝オッズ2.25倍の1番人気に支持され、ストロングスートが単勝オッズ4.5倍の2番人気、テンプルミーズが単勝オッズ5倍の3番人気となった。今回はスタートで出遅れてしまい、しばらくは馬群の後方を進んでいた。しかし残り1ハロン地点でスパートすると一瞬にして先頭に立ち、そのまま後続馬を見る見るうちに引き離した。ゴール前では例によって左側によれる場面もあったが、それでも2着ストロングスートに9馬身差をつけて圧勝した。

引き続いて出走したデューハーストS(英GⅠ・T7F)では、前走ロイヤルロッジSを圧勝してきた3戦無敗のフランケル、英シャンペンSを快勝してきた2戦無敗のサーミッドとの対戦となった。ロイヤルロッジSを10馬身差で圧勝していたフランケル、所有するゴドルフィンが「ペガサス」と評していた期待馬サーミッドの2頭と本馬の対決は、“the two-year-old race of the century(2歳戦としては100年に1度の大一番)”、“one of the great two-year-old races of our time(現代における史上最大の2歳戦)”として絶大な盛り上がりを見せた。フランケルが単勝オッズ1.67倍の1番人気、本馬が単勝オッズ3.5倍の2番人気、サーミッドが単勝オッズ8倍の3番人気、次走のクリテリウム国際を勝つ事になるロデリックオコナーが単勝オッズ26倍の4番人気となっていた。本馬はスタートを切った直後に右側によれて出遅れてしまい、道中は最後方を追走した。残り2ハロン地点で加速しようとしたが、今度は左側によれて失速。勝ったフランケルから7馬身差をつけられた5着に敗れた。サーミッドは本馬からさらに10馬身差の6着最下位で、3強対決と言われて大いに盛り上がったこのレースは結局フランケルの独り勝ちになった。

2歳時の成績は4戦3勝となり、カルティエ賞最優秀2歳牡馬のタイトルもフランケルに奪われる結果となった。しかしワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングにおいては、フランケルと同値となる126ポンドの評価を得た。

競走生活(3歳時)

3歳になった本馬をシムコック師はとても慎重に仕上げた。当初は英2000ギニーに出走する予定だったが、これも馬場状態が堅すぎるとして回避した。あまりのシムコック師の慎重ぶりに、馬主のダスマル氏はかつて自分が所有したシャーミットを英ダービー馬に育て上げたウィリアム・ハッガス厩舎に本馬を転厩させる事も考えたという(ただし、本馬が競走馬を引退した際にはシムコック師の我慢強さを賞賛している)。

結局3歳初戦は6月のセントジェームズパレスS(英GⅠ・T8F)となった。このレースには、英2000ギニーを6馬身差で圧勝してきたフランケルが6戦無敗で参戦してきていた。他にも、独2000ギニーを7馬身差で圧勝してきたエクセレブレーション、英2000ギニー2着馬ドバウィゴールド、ジャンリュックラガルデール賞の勝ち馬ウットンバセット、愛フェニックスS・タイロスSの勝ち馬ゾファニー、朝日杯フューチュリティS・NHKマイルC・京王杯2歳Sを勝って日本から遠征してきたグランプリボスなどが出走していた。しかし本馬を含むこれらの馬達は全て伏兵扱いであり、フランケルが単勝オッズ1.3倍の1番人気で、エクセレブレーションが単勝オッズ11倍の2番人気、ドバウィゴールドとウットンバセットが並んで単勝オッズ13倍の3番人気、本馬が単勝オッズ15倍の5番人気だった。

レースはフランケルが先行して、本馬は後方馬群に陣取る形となった。ここまでは予想の範疇だったが、フランケルが残り距離が半分以上も残っている段階で突如加速して先頭に立ち、そのまま後続を一気に引き離していった。しかしさすがのフランケルもこんな滅茶苦茶な走りでそのまま圧勝できるわけはなく、残り半ハロン地点から脚色が衰え始めてきた。そこへ後続馬達がフランケルに襲い掛かっていったが、本馬の姿はその中にはなかった。残り1ハロン地点で右に左にふらふらとよれており、フランケルに詰め寄るどころの状態ではなかった。レースは結局フランケルが2着ゾファニーに3/4馬身差で辛うじて勝利を収め、本馬はフランケルから5馬身3/4差の5着に敗れた。

その後もマイル路線を進んだフランケルとはここで別れて、本馬は短距離路線に向かった。まずはジュライC(英GⅠ・T6F)に出走。主な対戦相手は、ブルーダイヤモンドS・クールモアスタッドSと豪州でGⅠ競走2勝を挙げた後に渡欧してキングズスタンドS2着・ゴールデンジュビリーS3着の実績を挙げていたスターウィットネス、クレイヴンS・デュークオブヨークSの勝ち馬で一昨年の英2000ギニー・セントジェームズパレスS2着の実績もあったデレゲーター、前走のゴールデンジュビリーSで2着だったムッシュシェヴァリエ、同4着だったエルザーム、同5着だったテンプルSの勝ち馬ベイテッドブレス、モルニ賞で本馬の6着に敗れた後にクリテリオンSを勝っていたリブランノなどだった。スターウィットネスが単勝オッズ5倍の1番人気、デレゲーターが単勝オッズ6.5倍の2番人気、本馬とエルザームが並んで単勝オッズ8倍の3番人気、ベイテッドブレスが単勝オッズ9倍の5番人気となっていた。

ビュイック騎手は同日に別の競馬場で乗る先約があったため、本馬の鞍上は最初で最後のコンビとなる女性騎手ヘイリー・ターナー騎手だった。スタートが切られるとリブランノが先頭に立ち、本馬はその直後の好位につけた。なかなか進路が開かなかったために残り1ハロン地点まで馬群の中でじっと我慢していたが、ここでようやく進路を見つけたターナー騎手が本馬を内側に持ち出すと馬群の隙間を突いて鋭く伸びた。ゴール前でも左側に斜行しながら走っていたが、それでも先行して抜け出していた2着ベイテッドブレスをかわして半馬身差で優勝。鞍上のターナー騎手は、1997年にヤマラクに騎乗してナンソープSを制したアレックス・グリーヴス騎手以来14年ぶり史上2人目となる女性騎手による英国GⅠ競走制覇という快挙を達成した(ヤマラクはコースタルブラフと同着勝利だったため、単独勝利としては史上初となった)。

本馬は続いて仏国に向かい、8月のモーリスドギース賞(仏GⅠ・T1300m)に参戦した。主な対戦相手は、セントジェームズパレスS2着後にジャンプラ賞でも2着していたゾファニー、ポルトマイヨ賞・インプルーデンス賞の勝ち馬ムーンライトクラウド、ゴールデンジュビリーSを単勝オッズ26倍の11番人気で勝ってきたソサエティロック、セントジェームズパレスS7着から直行してきたウットンバセット、チップチェイスSの勝ち馬で前年のスプリントC3着のジェンキ、モーリスドギース賞3連覇に加えてジュライC・アベイドロンシャン賞・グロシェーヌ賞などを勝ち3年前のカルティエ賞最優秀短距離馬に選ばれていた古豪マルシャンドールなどだった。ビュイック騎手が鞍上に戻ってきた本馬が単勝オッズ2倍の1番人気に支持され、ゾファニーが単勝オッズ6倍の2番人気、ソサエティロックが単勝オッズ8倍の3番人気、ムーンライトクラウドが単勝オッズ10倍の4番人気と続いた。しかし本馬の悪癖の1つである出遅れ癖がここで顔を出し、後方からの競馬となった。いったんは6番手まで押し上げてきたが、残り200m地点からの伸びが無く、勝ったムーンライトクラウドから7馬身1/4差の7着に敗れた。

地元に戻ってきた本馬は、9月のスプリントC(英GⅠ・T6F)に出走した。ジュライC2着後に出走したナンソープSでは9着に終わっていたベイテッドブレス、短距離ハンデ競走で腕を磨いてグループ競走路線に参入してきたスチュワーズCの勝ち馬フーフィット、前走2着だったソサエティロック、同4着だったジェンキ、同5着だったウットンバセット、ジュライCで5着だったデレゲーター、同8着だったエルザーム、ルネサンスS・ベンゴーフS・バリーコーラスSの勝ち馬ビウィッチド、キングジョージSの勝ち馬マサマー、ナンソープS・ゴールデンジュビリーS・テンプルSなどを勝っていた古豪キングスゲートネイティヴ、ナンソープS・テンプルSの勝ち馬で後の2014年にカルティエ賞最優秀短距離馬に選ばれるソールパワーなどが対戦相手となった。前走の大敗にも関わらず本馬が単勝オッズ5倍の1番人気に支持され、ベイテッドブレスとフーフィットが並んで単勝オッズ6倍の2番人気、ソサエティロックとデレゲーターが並んで単勝オッズ10倍の4番人気となった。

スタートが切られるとマサマーやウットンバセットが先頭争いを演じ、本馬は好位を進んだ。そして残り2ハロン地点で先頭に立ってそのまま押し切ろうとした。しかしここで本馬最大の悪癖である斜行癖が顔を出し、右に左によれて失速。好位を進んでいたベイテッドブレスと中団から差してきたフーフィットの2頭に並びかけられた。しかし並びかけられた後は粘りを見せ、3頭がほぼ同時にゴールインした。体勢はベイテッドブレスが優勢に見えたが、写真判定の結果は本馬が2着ベイテッドブレスに鼻差、3着フーフィットにはさらに頭差で勝利していた。

その後は再度渡仏してフォレ賞(仏GⅠ・T1400m)に参戦した。伊2000ギニー・伊ダービー・リボー賞・カルロヴィッタディーニ賞などの勝ち馬でロッキンジS2着のワースアド、スプリントC8着後にルネサンスSを勝ってきたビウィッチド、モーリスドギース賞3着後にモートリー賞を勝って健在ぶりをアピールしていたマルシャンドールなどの姿もあったが、何と言っても最大の強敵は、BCマイル3連覇・ロートシルト賞4連覇・ムーランドロンシャン賞・ファルマスS・ジャックルマロワ賞・イスパーン賞2連覇・クイーンアンS・フォレ賞とGⅠ競走14勝を挙げていた稀代の名牝ゴルディコヴァだった。連覇を狙うゴルディコヴァが単勝オッズ1.57倍の1番人気に支持され、過去に6ハロンを超える距離では3戦全て5着以下だったために距離が不安視されていた本馬が単勝オッズ4.5倍の2番人気、ワースアドが単勝オッズ11倍の3番人気となった。

スタートが切られるとゴルディコヴァのペースメーカー役だったフラッシュダンスが押して先頭を奪い、ワースアドが2番手、ゴルディコヴァが3番手で、本馬はゴルディコヴァを徹底マークしてその外側4番手につけた。残り400m地点でゴルディコヴァが先頭に立つと、本馬も外側から追撃を開始。残り200m地点でゴルディコヴァに並びかけて叩き合いとなった。今回も本馬の斜行癖は健在(?)であり、残り100m地点で少し左側によれる場面も見られたが、最後はゴルディコヴァを頭差の2着に抑えて勝利した。

このレースを最後に、3歳時5戦3勝の成績で競走馬を引退。この年のカルティエ賞最優秀短距離馬のタイトルを受賞した。

血統

ディクタット ウォーニング Known Fact In Reality Intentionally
My Dear Girl
Tamerett Tim Tam
Mixed Marriage
Slightly Dangerous Roberto Hail to Reason
Bramalea
Where You Lead Raise a Native
Noblesse
アルヴォラ Sadler's Wells Northern Dancer Nearctic
Natalma
Fairy Bridge Bold Reason
Special
Park Appeal Ahonoora Lorenzaccio
Helen Nichols
Balidaress Balidar
Innocence
Land of Dreams Cadeaux Genereux Young Generation Balidar Will Somers
Violet Bank
Brig O'Doon Shantung
Tam O'Shanter
Smarten Up Sharpen Up エタン
Rocchetta
L'Anguissola Soderini
Posh
Sahara Star Green Desert Danzig Northern Dancer
Pas de Nom
Foreign Courier Sir Ivor
Courtly Dee
Vaigly Star Star Appeal Appiani
Sterna
Dervaig Derring-Do
Babucon

ディクタットは当馬の項を参照。

母ランドオブドリームズは現役成績12戦3勝、フライングチルダースS(英GⅡ)・キングジョージS(英GⅢ)と距離5ハロンのグループ競走を2勝した短距離馬だった。ランドオブドリームズの母サハラスターはモールコームS(英GⅢ)の勝ち馬で、やはり短距離馬だった。ランドオブドリームズの半妹ジェントルナイト(父ザフォニック)の子にはプリンセスヌーア【プリンセスマーガレットS(英GⅢ)】が、サハラスターの半弟にはサドラーズウェルズ産駒のイエリータニー【グリーナムS(英GⅢ)】がおり、母系はひたすら短距離に特化している。しかし母系は相当遡っても活躍馬が出てこず、所謂ファミリーナンバー1号族の中でも繁栄していない部類に入る。→牝系:F1号族⑦

母父カドゥージェネルーは当馬の項を参照。

競走馬引退後

競走馬を引退した本馬は愛国バリーリンチスタッドで種牡馬入りした。2015年の種付け料は1万5千ユーロとなっている。

主な産駒一覧

生年

産駒名

勝ち鞍

2013

Donjuan Triumphant

クリテリウムドメゾンラフィット(仏GⅡ)

2013

Final Frontier

アングルシーS(愛GⅢ)

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